私の散歩論

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2022年8月28日日曜日

縄文土器実測図から3Dモデルをつくる

Creating a 3D model from a Jomon pottery survey map


A simple 3D model was created from the measured drawing (front view) of Jomon pottery (Horinouchi style) excavated from an outdoor plaster furnace in Daizenno Minami Shell Mound, Chiba City. I made a note of the creation process to remember. This is the first step in creating a 3D model from the Jomon pottery survey map.


千葉市大膳野南貝塚の屋外漆喰炉から出土した縄文土器(堀之内式)について、その実測図(正面図)から簡易3Dモデルを作成しました。その作成プロセスを忘れないようにメモしました。縄文土器実測図から3Dモデルをつくる活動の第1歩となります。

1 縄文土器実測図(正面図)


縄文土器実測図(正面図)

大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用


縄文土器写真

大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用

2 作成プロセス

以下のBlender操作は2DAnimation画面で行います。(全般→Layout画面ではBsurfaces機能が正常に動作しません。)

2-1 実測図の空間配置と断面線描画

実測図(同じもの2枚)を空間配置配置し、断面線をグリースペンシルで描画します。


実測図(同じもの2枚)の空間配置と断面線を描画した様子 Blender画面


描画した断面線(4本) Blender画面

4本の断面線を回転順番(及び上から下(逆も可)順番)にグリースペンシルで描画します。(描き順がバラバラではBsurfaces機能が正常に動作しません。)

2-2 Bsurfaces機能による曲面生成

4本の断面線からBsurfaces機能により土器曲面を生成します。


Bsurfaces機能により生成した曲面 Blender画面

事前にBsurfacesアドオン(標準搭載)を使えるようにチェックしておく必要があります。

4本グリースペンシルが選択された状態でサイドバー→編集→Bsurfaces→Initialize(Add BSurface mesh)をクリック→(下の)Guide strokesのグリースペンシルをクリックしてスポイトをつまんで断面線チェック→Add Surface。

左下に生まれる小画面Bsurfaces add surfaceでCyclic Crossをチェック、「クロス」、「追従」の数値を入力して好みの精細さを設定します。(この例はクロス50、追従10です。)


主な操作ポイント

2-3 曲面のUV展開

Blender編集モードで曲面を選択してUV展開します。この例ではシームを2か所にいれてUV配置が2つに分割するようにしました。

UV Editing画面でUV→UV配置をエクスポートでUV配置画像をエクスポートします。


UV配置画像

2-4 UV配置画像に実測図を配置する

UV配置画像に実測図画像の模様部分を貼りつけます。UV画像は歪んでいるので、Photoshopパペットワープ機能を使ってその歪みに実測図画像を合わせます。その後、UV画像を削除して実測図画像(UV版実測図画像)だけにします。最後に参考として色を付けました。


UV配置画像に実測図画像を貼りつけた様子 Photoshop画面


UV配置画像を除去した様子(UV版実測図画像) Photoshop画面


着色したUV版実測図画像

2-5 UV版実測図画像を画像テクスチャとした貼りつけ、ソリッド化する

曲面オブジェクトにUV版実測図画像を画像テクスチャとした貼りつけ、それをモディファイヤ→ソリッド化で厚みを加えました。


曲面オブジェクトに画像テクスチャを貼り付け厚みを加えた様子(完成) Blender画面

3 実測図から作成した縄文土器の簡易3Dモデル

実測図から作成した縄文土器の簡易3Dモデル


3Dモデルの動画

4 感想

・この土器は波状口縁や把手がないので、また回転体部分が残存しているので、比較的に容易な方法で簡易3Dモデルをつくることができました。実測図だけの情報からつくる縄文土器3Dモデルの出発点になると考えます。

・土器内面に画像テクスチャが見えるなど不備が残ります。土器表面のざらつきなどの質感付与の工夫余地は大いにあります。

・実測図画像は透視的な絵であり、展開されたものではありません。従ってより正確に作業しようとするならば、実測図画像を展開した上で、UV画像に貼り付ける必要があります。また、Bsurfaces機能による曲面作成も口縁部などに工夫する余地があります。

・実測図ではなく、発掘調査報告書掲載写真から簡易3Dモデルをつくることもテストする価値があると思います。


 

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