私の散歩論

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2022年12月10日土曜日

土器破片分布密度

 Distribution density of pottery fragments


The distribution density of Kasori EII-style (groups 10 and 11) pottery is higher than that of Nakabyo-style pottery in the northern slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound. It seems that the reason for this is that the whole pottery came to be brought into the shell layer and that the pottery became larger.


有吉北貝塚北斜面貝層では、中峠式土器と比べ加曽利EⅡ式(第10・11群)土器の分布密度が高くなっています。その理由として、土器全体を貝層に持ち込むようになったことと、土器の大型化をあげることが出来そうです。

1 土器破片分布密度

有吉北貝塚北斜面貝層の時期別土器破片数はつぎのようになります。


土器破片数

加曽利EⅡ式(第10・11群)土器の破片数がダントツに多くなっています。

土器破片が分布するグリッド数を時期別にみると次のようになります。


分布グリッド数。

分布グリッド数でみると各期の数値の差は縮まります。中峠式土器と加曽利EⅢ式土器の順位が土器破片数と比べて逆転します。これは、中峠式期の方が加曽利EⅢ式期より、より広い空間を土器投棄活動(土器投棄による願掛け活動)に利用していたことを示しています。

土器破片数/分布グリッド数を求めるとその数値は土器破片分布密度を指標しています。


土器破片数/分布グリッド数

分布密度からみても加曽利EⅡ式(第10・11群)土器がダントツの数値となります。加曽利EⅢ式土器は中峠式土器とくらべて分布域が狭いにもかかわらず、分布密度が大きくなります。

2 加曽利EⅡ式(第10・11群)土器と加曽利EⅢ式土器の破片数と分布密度の数値が大きい理由

加曽利EⅡ式(第10・11群)と加曽利EⅢ式土器の破片数と分布密度の数値が大きい理由として、次の2つの要因も大きく関係しているように感じますので、メモしておきます。

ア 投棄部位の違い

中峠式土器と加曽利EⅡ式(第10・11群)土器を比べると、中峠式土器は口縁部の突起が主な投棄部位であるように観察できます。一方、加曽利EⅡ式(第10・11群)土器は土器全体が投棄部位であるように観察できます。

イ 土器の大きさの違い

中峠式土器の大きさと比べ加曽利EⅡ式(第10・11群)土器には巨大なモノが目立ちます。通常調理用ではなく、大量堅果類のアク抜きなどに使われたモノので、集団組織作業で使われる専門的土器のようです。この手の土器は中峠式土器にはありません。


北斜面貝層から出土した中峠式土器 例


北斜面貝層から出土した加曽利EⅡ式(第10・11群)土器 例

3 感想

中峠式期には自分の土器の把手をちぎり取り、それを投棄して願掛けしたという個人レベルの活動がメインであったようです。一方、加曽利EⅡ式(第10・11群)期には集団が所持する巨大土器を集団が貝層に持ち込み破壊し、その大量破片を各所にばら撒き、集団的な願掛け活動をおこなったようです。

4 参考 有吉北貝塚北斜面貝層 時期別土器破片分布


有吉北貝塚北斜面貝層 時期別土器破片分布



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