私の散歩論

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2023年5月4日木曜日

有吉北貝塚北斜面貝層出土の全遺物に精細3D位置情報があることを知る

 Knowing that all relics excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound have detailed 3D positional information


I learned that all the relics excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound are associated with detailed 3D positional information (on-site in millimeters).

For me, who enjoys 3D analysis learning of excavated information in Blender 3D space, it is a great news to discover a surprising fact.

I forget my remaining life and get excited.


有吉北貝塚北斜面貝層出土の全遺物に精細3D位置情報があることを知りました。発掘調査報告書掲載情報を3D分析して学習を楽しんでいる自分にとって、驚愕の事実判明です。1980年代の発掘ですが、全出土物の平面座標(x,y)と高さ座標(z)が㎜単位の精度で紐づいています。発掘関係者にとっては常識なのかもしれませんが、一般市民の自分にとっては驚愕であるだけでなく、3D空間分析の新地平が確実に開けると考えられる超朗報です。

有吉北貝塚出土資料を保管している千葉県教育委員会森宮分室の担当官の方に資料現物をみせていただき、教えていただきました。感謝です。

1 発掘調査報告書掲載土器(中期土器)の3D位置情報

発掘調査報告書には掲載土器の精細平面分布図と精細立面図が掲載されています。


例 359番土器破片の平面分布図と立面分布図

このすばらしい資料から掲載土器の高精度3D空間分布データを作成し、分析してきました。


例 加曽利EⅡ式土器(第10・11群土器)3D分布図(部分)

しかし学習を進めれば進めるほど、欲が出てきます。掲載図から3D位置情報を読み取る作業で生まれたデータには各種誤差・錯誤・不明が入り込み、精度が落ちるデータもあります。またグラフに表現できる情報には限界がありますから、情報全体の2割程度は欠落しています。

ところが、今回教えていただいた保管原資料を使えば、手間はかかりますが、次の方法で全ての土器破片について現場㎜単位の精度で3D位置情報を知ることができます。

ア 復元土器破片の注記からメッシュ番号と遺物番号を読み取る


例 359番土器破片のメッシュ番号と遺物番号

イ 遺物分布図から平面座標を読み取る

メッシュ毎に1/10遺物分布図が作成されていて、遺物番号が平面図にプロットされています。方眼紙に描かれた遺物分布図上で0.1㎜程度精度の計測が可能ですから、情報としては現場における㎜単位の精度になります。遺物番号位置を図面上で計測することにより高精度の遺物出土平面座標を知ることができます。

具体的には、遺物分布図をスキャナーで電子化し、illustratorに取り込み、illustrator座標を読み取れば簡単な変換式で現場座標を知ることができます。


illustratorを使った座標読み取りのイメージ

ウ 遺物台帳から高さ情報を知る

遺物台帳には全出土物の高さ情報が㎜単位で記載されています。

2 早期土器・前期土器及び土器以外の全出土遺物の3D位置情報

中期土器は出土土器現物の注記を読み取らなければその3D座標にたどり着くことが出来ません。しかし、早期土器・前期土器及び土器以外の全出土遺物については、発掘調査報告書に遺物番号が記載されていますので、現物注記を読み取ることなく、その3D位置座標を知ることができます。

2-1 前期土器の例

前期土器は南斜面貝層出土土器と接合する土器もあり、その分布原理に強い興味を持っています。北斜面貝層出土前期土器には発掘調査報告書で出土メッシュ番号と遺物番号が記載されているので、現物確認することなく3D座標を知ることができます。


例 発掘調査報告書における前期土器(158番)の記載

これまで次のようなメッシュ単位分布図を作成してきましたが、これからは中期土器と同じく精細な3D空間分布を把握することが可能となります。


例 これまでの早期土器・前期土器の分布把握

早期土器や前期土器がその時期にこの場所に持ち込まれたのか、それとも加曽利EⅡ式土器と一緒に持ち込まれたものであるのか、3D分布分析の中で結論がでるかもしれません。

2-2 貝製品の例

貝製品に限らず中期土器以外の出土物は発掘調査報告書でメッシュ番号と遺物番号が記載されています。


例 貝製品(装飾品他)でメッシュ番号と遺物番号が記載されている様子

従って、これまで平面分布図のみ作成してきましたが、これからは3D分布図作成が可能となります。


例 これまで作成してきた貝製品のメッシュ単位分布図(棒グラフの立体表現)

貝製品(装飾品他)の分布について、識者の見立てでは、台地面存在の指導者竪穴住居がガリーに崩落して、その結果腰飾りが貝層に流れ込み埋もれたということになっています。しかし、3D分布分析ができるようになると遺物と貝層との関連も判るようになり、北斜面貝層で祭壇がつくられてたり、装飾品が埋納されるような活動存在が想定できるようになるかもしれません。

3 感想

Blender3D空間を舞台に北斜面貝層の貝層と遺物の3D分布分析が可能であることがわかりました。発掘作業が行われた1980年代には、作成した3D位置情報を有効活用する技術は十分ではありませんでした。しかし、2023年の今では、素人の自分でも貝層と遺物の精細3D分布分析が技術的に可能です。これからの有吉北貝塚北斜面貝層学習に、残寿命を忘れてワクワクします。


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