私の散歩論

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2024年3月30日土曜日

神子柴遺跡現場訪問

 Site visit to Mikoshiba


I visited the Mikoshiba site in Minamiminowa Village, Nagano Prefecture. The site are said to date from the end of the Paleolithic period to the beginning of the Jomon period. Many large points and stone axes have been unearthed. After experiencing the scenery at the site, I had many impressions.


長野県南箕輪村の神子柴遺跡現場を訪問しました。旧石器時代最終末から縄文時代最初頭にかけての遺跡と言われています。大型尖頭器や石斧が多数出土しています。現場の風景を体感して、多くの感想が生まれました。

1 神子柴遺跡現場の様子


神子柴遺跡全景


神子柴遺跡全景


説明看板と石碑


説明看板


説明看板に掲載されている遺跡詳細地図

神子柴遺跡の周辺に樹林があり、遺跡から南アルプスはあまり見えません。しかし、氷河期の植生を考えると旧石器時代最終末の風景は、現代とは全く異なっていたと考えられます。

遺跡現場には詳しい説明看板と石碑があります。説明看板には遺跡詳細地図が掲載されていて参考になります。

2 神子柴遺跡の位置


神子柴遺跡の位置


神子柴遺跡の位置


神子柴遺跡の位置

神子柴遺跡は天竜川右岸の高位にある最も広い段丘面から小半島状に突き出した狭い段丘面に立地しています。その狭い立地場所と遺跡の性格(多量の大型石器が出土した様子)は当然ながら関係していると考えられます。

遺跡は段丘面を開析する小河川沿いに位置していて、河川(水場)との関係が想起されます。

遺跡立地場所は天竜川右岸で最も段丘面が広く発達する場所に位置することから、段丘面における狩猟と関係していることが想定されます。

3 感想

神子柴遺跡現場訪問の感想をまとめると次のようになります。このような感想は、地図だけからでは生まれません。

【ランドマークと交易中継地】

・伊那谷のどこからでもその場所がわかるランドマークとなっている段丘崖先端部が神子柴付近に拡がります。そのランドマークとなっている地形から500~600m離れた場所(歩いて7~8分)に神子柴遺跡が立地します。

・神子柴遺跡がランドマークの近くにあることから、神子柴遺跡は諏訪方面と飯田方面を連絡する交通の中継拠点として、交易中継地として便利な場所であったと考えられます。

【風景】

・ランドマークとなっている段丘崖先端部および神子柴遺跡から伊那谷全体と中央アルプス、南アルプスの山岳景観がよく見えます。風景がとてもよいです。氷河期では植生はまばらであり、この場所からの風景を妨げるものの存在は考えられません。

・風景が特段よいという場の特性が遺跡性格と関係するかもしれないと考えます。

【狩猟好適地】

・神子柴遺跡付近は伊那谷のなかでも最も広い段丘面が発達する場所です。多くの動物群が回遊する場所です。

・段丘崖を利用した追い込み猟などを想定すると、神子柴遺跡は動物を仕留めた場所の近くに位置し、猟の拠点であった可能性が考えられます。

【小区画】

・遺跡が立地する区画は小谷で区切られていて、だだっ広い場所ではなく、限られた人数が集まり逗留・生活・活動するには好適です。遺跡立地場所は拠点構築にふさわしい場所です。

【水場】

・遺跡立地場所のすぐ下には清冽な谷水が流れます。動物解体などの作業がとてもしやすい場所です。逗留生活もしやすい場所です。

4 参考 神子柴遺跡出土石器


神子柴遺跡出土大型尖頭器(伊那市創造館展示)


神子柴遺跡出土大型尖頭器(伊那市創造館展示)


神子柴遺跡出土局部磨製石斧(伊那市創造館展示)



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