花見川河川争奪を知る7 河川争奪による分水界の変化
花見川河川争奪による分水界変化図
ベースマップは旧版1万分の1地形図
堀割普請前の復元水系図にもとづいて、大正6年測量の地形図により東京湾水系と印旛沼水系の分水界図を作成し、その中に花見川河川争奪前の復元想定分水界を点線で図示しました。
この図により、花見川河川争奪により、印旛沼水系から東京湾水系に移行した流域を面的に把握することができます。
この図のベースマップを現代の地図に置き換えて、次に示します。
花見川河川争奪による分水界変化図
ベースマップは2万5千分の1地形図
なお、既報(2011年7月27日記事「河川争奪の胚」)でも述べましたが、東京湾水系と印旛沼水系の分水界付近のコンター分布は極めて特徴的な様相を呈しています。分水界線を引くことが困難です。
こうした、私にとって「いわくつき」の地形について、分水界線を引くために、旧版1万分の1地形図のコンターを改めて詳細に見たところ、分水界線を引くためには次のようなイメージを持つと合理的に引けることが判りましたので、河川争奪の成因にもかかわることなので、記録しておきます。
分水界線を引くための地形解釈イメージ
分水界線を引くことが困難な表面的な理由は大きな凹地等を含むどちらの流域に含めてよいのかわからない地域が広がっていることです。
この「困難」を「困難」として捉えるのではなく、そうした流域未確定領域が存在すると考えたらどうだろうかと気がつきました。つまり、人世界でたとえれば、国境紛争地帯があり、国境未確定になっている領域があると考えれば、よいのではないかと気がついたことです。
これまで、力づくで流域界線を引こうとしていたのですが、自然地形にも流域未確定領域という概念を導入すれば、地形(とその成因)の理解がより合理的にできそうだと気がつきました。
今回の作業では、流域未確定領域を東京湾側の水系に「一時帰属」させて分水界線を引きました。
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