私の散歩論

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2014年3月31日月曜日

千葉市自然研究会編著「行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド」紹介

花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 40 (最終回)

千葉市は、昭和5910月、21世紀に向けて「緑と水辺の都市宣言」をしました。この宣言を契機に快適な環境づくりに拍車がかかり、その中で自然とともに歩む機運が盛り上がりました。そうした思いの中で、千葉市都市緑化植物園をあしがかりにして、この図書が生まれました。

「行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド」の諸元、内容、主要目次
【諸元】
書名:行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド
編著:千葉市自然研究会(代表 大賀宣彦)
発行:千葉市
発行日:昭和68年(1988年)331
体裁:B5判、136

【内容】
「川の流れに沿って
千葉市自然研究会
雨が降ります。雨は大地をうるおし、流れは地形をつくります。千葉市の大地も、長い歴史の中で水の営みによってつくられました。
水は生命を育みます。水辺には植物、動物たちの豊かなくらしがあります。
千葉市にも川があります。都川、鹿島川、花見川などです。この本を作るにあたって、私たちは、これらの川をさかのぼりながら、流域の自然をさぐり、見ていこうとしました。そして、流れの注ぐ海辺にも目を向けようとしました。
たくさんの市民の方にも参加してもらい、地域にすばらしい自然のあることを見てきました。しかし,地形が変わり、水が汚れ、生きものがくらしにくくなっている現実にも直面しました。
いま自然は、人に追い払われる一方かのように見えますが、その反面、自然はまた人の周辺に近づこうとしているのです。「街のなかの自然」はそんな一面です。自然の再発見は、足もとから、庭さきからできます。「こんなところに」という驚きも生まれることでしょう。
市民の皆さんに「自然の理解者」が増えることを、私たちは心から願っています。この本は、そのよきガイドになれるものと信じます。」(中表紙の囲い文章から)

【主要目次】
1 街のなかの自然
2 都川をさかのぼって
3 鹿島川の流域
4 雑木林を歩けば
5 花見川の周辺
6 海辺の自然
7 大地のすがた
8 野外で気をつけたい生物
9 泉自然公園探訪
10 千葉市の気象
11 自然観察レポート

行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド

112頁が写真あるいはイラストを多用したカラー刷りであり、とても読みやすいガイドブックです。



花見川流域ではなく、鹿島川と都川の流域境についてですが、この図書に次のようなイラストが掲載されていて、河川争奪という言葉は使っていませんが、河川争奪そのものを説明しています。

鹿島川と都川境の河川争奪地形説明イラスト
千葉市の分水界と水系について「都川が鹿島川の支流を奪う?」説明がされています。

このような生物をメインとする自然環境ガイド本としては異色の地学事象を扱っていて、大変興味深い自然ガイドとなっています。

なお、このイラストに気がつく前ですが、3年程前、都川と鹿島川の河川争奪について千葉県立中央博物館にこれまで調べられたり興味を持った人がいたか尋ねたことがあります。その時は、都川と鹿島川がからむ河川争奪については初耳だとの回答をいただきました。

レーキの検討をしている中で、この付近に、これ以外にも沢山の河川争奪を見つけています。

このイラストに描かれた事象を含めて、河川争奪による水系網の変遷を調べれば、地殻運動の経緯が判るのではないかと考えています。今後その検討をGISを使って5mメッシュにて行いたいと思っています。

この図書に表現されている、河川を軸にした自然に対する興味の持ち方に心底共鳴します。

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「花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介」シリーズは今回を持って一旦終了します。

まだ紹介したい図書はあるのですが、いつか改めて追補します。

20144月1日以降は花見川地峡に関わる幾つかの話題について、それぞれシリーズ記事で掲載を予定しています。

手始めに、シリーズ「花見川地峡とは」を開始します。
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近藤精造監修「千葉の自然をたずねて」紹介

花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 39

築地書館「日曜の地学」シリーズ19として発行された図書であり、千葉県の地形や地質の現場観察に便利になるようになっている本です。

「千葉の自然をたずねて」の諸元、内容、主要目次
【諸元】
書名:日曜の地学19 千葉の自然をたずねて
監修:近藤精造
発行所:築地書館
発行日:1992220
体裁:B6判、284

【内容】
この本は具体的に千葉を例にして、それぞれの地域別に、歩いて自然から学ぶゆきかたをとっている。地形や地質などの自然の実態を、その場所での露頭観察で読みとったり、縄文や万葉の昔のなぎさを地形から学んだり、自然の改変によってもたらされる影響の深さなどを示してくれている。(まえがきより)
この本は、これまで出されている“日曜の地学シリーズ”とくらべて少し違ったところがあります。それはわたしたちの身近な自然を積極的にとりあげた点です。(あとがきより)

【主要目次】
花見川流域に係る項目の細目次は次の通りです。
2 古東京湾のなごり-花見川・印旛沼-
 みどころ
 地形図
 埋め立て以前の幕張をさがす
 花見川低地と幕張砂丘のおいたち
 東京湾岸の海岸林のなごり
 花見川開削の歴史
 湧き水をさがそう
 印旛沼の水
 古鬼怒湾を掘りだす
 13万年前の「印旛潟」
 鶴巻の貝化石

千葉の自然をたずねて

花見川付近に関して、イラストが豊富で親しみやすい地学解説書です。


横戸緑地の桜 2014.03.31

早朝散歩でチェックしている横戸緑地(印旛沼堀割普請捨土土手遺構を利用した緑地)の桜が一斉に咲き誇り始めました。

花見川脇横戸緑地の桜
風が強くて木の揺れが激しく、写真アングルが定まりません。

花見川脇横戸緑地の桜
風が強くて木の揺れが激しく、写真アングルが定まりません。

花見川脇横戸緑地の桜


花見川脇横戸緑地の桜

2014年3月30日日曜日

モニターを4画面にしました

これまでパソコンのモニターは3画面だったのですが、さらに使い勝手をよくするために4画面にしました。

ますます使い勝手がよくなりましたので、なぜもっと早く4画面にしなかったのか、少し悔みます。

これまで27インチ-24インチ-27インチの順に並べた3画面を使っていたのですが、これからは27インチ-27インチ-27インチ-24インチの順に並べた4画面を使います。

モニター機器全体の横幅は2.5mとなり、自分に都合よいように湾曲させて配置しています。

4画面の中をカーソルは自由に移動できるように設定してあります。


4画面の配置

4画面の配置

私の場合、ブログ記事を作成する際に、モニターに呼び出す画面はエクスプローラー、Google Chrome 、地図太郎PLUSGIS)、Google earthIllustratorPhotoshop、ワード等多岐にわたる場合が一般的です。

これらの画面をいちいち表示したり隠したりしていては効率が著しく落ちます。

これらの画面が同時に広い空間にあれば、作業全体が良く見渡せるとともにドラッグ&ドロップ等により頭に浮かんだアイディアを画面上で素早く画像や文章で定着させることが可能となります。

生まれたアイディアがパソコン操作に難渋している間に、いつの間にか萎縮してしまうということも少なくなります。

作業効率が上昇するだけでなく生理的快適環境が生れます。

4画面と言えども、必要とする画面全てを同時に表示することはできませんが、4つのソフト画面を同時に表示できる環境の作業効率は1画面の場合と比べると数倍の違いがあると実感しています。

というのは、自宅4画面のパソコンと同じ仕様(764ビット、メモリー16G)で、同じソフトをインストールしたいわばクローンのノートパソコンを外出先に用意しています。そのノートパソコンでブログ記事作成作業をすることが時々あるのですが、その際のまだるっこい作業と比較して、能率の差の大きさを実感しています。

なお、旅行中にキーボードやマウスも付けたタブレットパソコンでブログ記事を書くこともあるのですが、その際の非効率はイライラを通り越して、アキラメの境地になり、自宅パソコン環境のありがたさを強く実感することになります。

3画面から4画面にする際にかかった経費は次の通りでした。

モニター代金(27型ワイド液晶ディスプレイ (非光沢/1920x1080/300cd/100000000:1/6ms/ブラック) S271HLDbid (Acer)18980
アダプター代金(USB2.0マルチディスプレイアダプタ REX-USBDVI2 (ラトックシステム)5499
合計24479

この程度の経費で3画面から4画面にできるのですから、趣味次元とはいえ費用便益的に考えてもっと早くしてしておけばよかったと思いました。

4画面を使いこなしてから5画面、6画面とさらに画面面積拡大方向にパソコン環境改善を実現していくことになるか、4画面で打ち止めになるのか、自分の気持ちを観察していきます。

もし5画面、6画面にしようとするとモニターを上下2段に配置する必要が生じ、多少のハードルが生れます。

2014年3月29日土曜日

フクロウを見かける

頭上をカラスより大きな鳥が飛びすぐ近くの雑木林にとまりました。

頭が大きくフクロウでした。

写真を撮りたかったので、知らんぷりして、何気なく通り過ぎるフリをしてカメラをポケットから出し、電源を入れ撮影しようと振り向くと既にフクロウはいませんでした。

今朝(2014.03.295時頃の出来事です。

フクロウを見かけた雑木林

この付近でフクロウを夕方みることは時々あります。

この付近の雑木林ではこれまでフクロウの外、大きさのある鳥獣としては、オオタカ、ノウサギ、ハクビシンを見かけています。オオタカ、ハクビシンはこの付近に巣があると考えています。

フクロウ、オオタカは花見川対岸のゴルフ場(鷹之台カンツリー倶楽部)を主な餌場としているようです。

オオタカを見る機会は最近増えています。

ハクビシンも弁天橋(の鉄骨橋桁)を通って花見川を渡り、ゴルフ場方面に出かけて果樹等を食べているようです。

今朝は川霧もなく、明瞭な風景が見えました。

弁天橋からの風景

横戸緑地の桜の花の数が増えつつあります。

横戸緑地の桜の花


横戸緑地の桜の花

2014年3月28日金曜日

花見川の朝霧 20140328

今朝、花見川に朝霧が出ていました。

横戸緑地(台地の上の印旛沼堀割普請捨土土手)からみた花見川堀割の朝霧

朝霧の中で咲くコブシ

朝霧

渦を巻く朝霧
両岸台地から、樹間の隙間を通って、水面に流れ込む冷気の通路の配置によって、各所に朝霧の渦が出来ています。

朝霧の中のサイクリスト

弁天橋から見た朝霧の花見川(上流方向)

弁天橋から見た朝霧の花見川(下流方向)

横戸緑地の桜
1りん2りんの花が咲き出しました。

横戸緑地の桜

横戸緑地の桜

横戸緑地の桜


2014年3月27日木曜日

白鳥孝治著「生きている印旛沼」紹介

花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 38

この図書の著者は千葉県公害研究所長、千葉県環境部技監、(財)印旛沼環境基金水質研究員等を歴任した行政技術者の白鳥孝治氏です。その豊富な経験と利用できる豊かな情報に基づいて印旛沼の民俗と自然をまとめています。

「生きている印旛沼」の諸元、内容、主要目次
【諸元】
書名:生きている印旛沼 -民俗と自然-
著者:白鳥孝治
発行所:崙書房出版
発行日:平成181030
体裁:A5判、161

【内容】
印旛沼は不思議な沼である。流域には、いわゆる「水源地」がなく、人が大勢住んでいるところそのものが印旛沼の水源地である。歴史的な遺跡や古村のたたずまいと現代的な住宅団地との混在、山紫水明を思わせる景色と水質汚染に悩む印旛沼の矛盾。これらは印旛沼を取り巻くこの地域の地理的環境の下に、人々が良かれと思いながら生活し、自然に手を加え、時間とともに積み重ねてきた姿である。印旛沼は、この地域の人々の生きる姿を移す鏡であったのである。(カバー文章より抜粋)

【主要目次】
序 章
1章 印旛沼とその流域の概要
2章 印旛沼周辺の人の営み
3章 印旛沼とその周辺の自然的特性
4章 印旛沼とその周辺の自然改造
5章 印旛沼流域の現状
6章 印旛沼の現状
7章 これからの環境保全
終 章

生きている印旛沼

2014.02.11記事「印旛沼-自然と文化- 全6冊 紹介」で紹介した雑誌「印旛沼-自然と文化-」の白鳥孝治氏著作をはじめとする諸論文を核にして、印旛沼の自然と歴史・文化をまとめた本です。

花見川流域の北半分はもともと印旛沼流域ですから、この図書は花見川流域を知るために有益です。

さらに、花見川地峡という視点に立つと、さらに有益な図書として位置付けることができます。

なお、この図書の「第4章印旛沼とその周辺の自然改造」の一部は著者の論文「印旛沼堀割工事現場の自然地理的特徴」(印旛沼自然と文化、№5)により構成されています。

「印旛沼堀割工事現場の自然地理的特徴」(印旛沼自然と文化、№5)には花見川河川争奪の記述があるのですが、本書では花見川河川争奪に関する記述が削除されています。

その理由は判らないのですが、著者のせっかくの卓越した先見性が人々に伝わらないことになり、もったいないことです。

現在、花見川河川争奪について記述された刊行物は白鳥孝治著「印旛沼堀割工事現場の自然地理的特徴」(印旛沼自然と文化、№5)だけです。


2014年3月26日水曜日

花見川の早咲き桜が満開

花見川(横戸緑地下)の早咲き桜が満開となっています。

花見川の早咲き桜

花見川の早咲き桜

花見川の早咲き桜

花見川の早咲き桜

横戸緑地の桜はまだ開花していませんが、今日にも咲きそうです。

横戸緑地の桜

横戸緑地の桜

路傍の野草も一斉に花を咲かせています。

ヒメオドリコソウ

ナズナ

ホトケノザ

セイヨウアブラナ


2014年3月25日火曜日

花見川地峡の成立自然史と利用・開発史

花見川流域という地域限定から離れて、花見川地峡という視点に移動してみると、これまで散歩で興味を深め、思考し、情報をあつめた様々なバラバラな事項を一つのストーリーで語ることができるようになりました。

次に、そのストーリーの目次をメモします。

●花見川地峡の成立自然史と利用・開発史
1 花見川地峡成立の自然史
1-1 原始河川
1-2 印旛沼筋河川争奪
1-3 花見川河川争奪

2 花見川地峡の利用・開発史
2-1 縄文弥生時代の交通
2-2 律令国家の直線道路、東海道水運支路
2-3 牧・野の境界
2-4 享保・天明・天保の印旛沼堀割普請
2-5 明治~戦前期の陸軍演習場
2-6 本土決戦における抵抗ライン
2-7 戦後印旛沼開発

【解説】
・人が花見川地峡の存在に気がついて利用・開発する前に、花見川地峡が成立する地学現象がありました。
その花見川地峡成立の自然史(地史)を前半で語ります。後半で人が花見川地峡を利用・開発した歴史を語ります。
・「1 花見川地峡成立の自然史」では大きく3段階に分けて語ります。
・「1-1 原始河川」では離水した北総台地に古平戸川と鹿島川の二つの河川が利根川の方向に別々に流れていた原初期の状況を語ります。
・「1-2 印旛沼筋河川争奪」では古平戸川が手賀沼付近の地殻変動により堰き止められ、次いで鹿島川により河川争奪される状況を語ります。
・「1-3 花見川河川争奪」では東京湾水系により古平戸川の支流古柏井川が争奪され(自然河川としての)花見川水系と花見川地峡が成立する状況を語ります。
アーカイブブログ「花見川流域資料1下総台地の地形発達史」参照
サイト「花見川流域の小崖地形」参照

・「2 花見川地峡の利用・開発史」では7つの興味ある利用・開発史を語ります。
・「2-1 縄文弥生時代の交通」では貝塚分布など考古学的情報を使って縄文弥生時代の花見川地峡の交通を語ります。
・「2-2 律令国家の直線道路、東海道水運支路」では花見川ー柏井から高津までの直線道路ー平戸川という花見川地峡を巧みに利用した律令国家時代の東海道水運支路について語ります。
・「2-3 牧・野の境界」では牧・野の境界として花見川地峡が機能した様子を語ります。
・「2-4 享保・天明・天保の印旛沼堀割普請」では花見川地峡を活用した印旛沼堀割普請の様子を語ります。
・「2-5 明治~戦前期の陸軍演習場」では花見川地峡が2つの陸軍演習場を区分していた状況を語ります。
・「2-6 本土決戦における抵抗ライン」では、花見川地峡が本土決戦における一つの抵抗ラインとして計画されていた状況を語ります。
・「2-7 戦後印旛沼開発」では戦後印旛沼開発で花見川地峡を利用した様子を語ります。
サイト「花見川地峡の自然史と交通の記憶」参照

このストーリーにより、私が貯めたメモと仮説を取りまとめます。
つまり、「花見川地峡の成立自然史と利用・開発史」をメモ・仮説集として取りまとめる算段です。

花見川の風景

2014年3月24日月曜日

流域から地峡への地域認識の発展

このブログで情報発信している趣味活動は、花見川流域というくくりの地域認識を基盤にして行ってきました。ブログ名称「花見川流域を歩く」がそれを表現しています。

しかし、花見川流域を歩いて4年、ブログ開設3年経ち、地域認識のくくりとして流域という用語を使っていると、活動から得た強い興味を表現しきれない(捉えきれない)という思考場面が増えてくるようになりました。

一方、流域という用語の不十分感を補完できる新たな地域認識の概念として地峡という用語に親和感を持つようになってきました。

そこで、流域から地峡に思考がバージョンアップする通過点の今をメモしておきます。

まず、流域という概念を使って地域認識を始めたので、花見川流域とその周辺地域から多くの興味を引き出せたことを確認しておきます。花見川流域という概念を使わなければ、花見川流域やその周辺から得られた興味ははるかに少なかったと体感的に感じます。

しかし、花見川流域という概念で地域をある程度深く捉えてみると、地域に存在している自然的事象・社会的事象は表面上は流域に従って生起しているように見えても、実は一段背後にある地峡という特性により深い根を張っていることに気がついたのです。

流域にこだわって地域を歩き、地域を認識してきてとてもよかったのですが、流域から地峡へと地域認識が発展することは、多少の進歩が感じられ、うれしいことです。

サイト「花見川地峡」参照


いつか見た花見川の朝焼け風景