花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.2旧石器時代の移動路>3.2.17旧石器時代遺跡と地形 事例検討その11 後期旧石器時代の狩イメージ
単独出土石器分布ヒートマップ(半径パラメータ=100m)の特徴を次に図に書きこみました。
単独出土石器分布ヒートマップから読み取れる特徴
a、b、c、dといった場所が赤くなっていて、単独出土石器分布が濃密であるということです。つまり、旧石器時代人が濃密に動物と接触した場所です。
これらの場所は顕著な地形的特色のある場所です。
aは台地東端の袋小路的な場所です。動物を追い詰めるのに好都合です。
bは台地狭窄部であり、動物にとって逃げ場のない場所です。
cはガリー上部に位置し、ここからガリー伝いに動物を追うのに適した場所です。
dはcからガリー伝いに追ってきた動物を急崖から落とす場所です。
単独出土石器分布ヒートマップからこのような特徴的情報を引き出すことができました。
この情報から狩イメージを想定すると次のようになります。
単独出土石器分布ヒートマップと地形から想定した狩イメージ
この地域(台地東部分)では動物を東側に追い詰めてaの付近、bの付近、cの付近及び隣接ガリーに導き、そこから一挙に急崖下に追い落とす狩が行われたと考えます。
実際の活動は、これらの多様な動物の追い詰め方(狩イメージ)のいずれかの方法がその都度計画的に採用されたと考えます。
動物が散らばらないようにする工夫(障害物の設置、勢子の配置)が狩の前に巧妙に執られたと考えます。
動物の群れを急崖から落とすことにより動物を殺すあるいは瀕死の重傷を負わし、石器を実装した槍は最後の息の根を止めるために使われたと考えます。
動物を追い落し、仕留めた場所(谷底)は現在は沖積層に埋没しています。
狩では動物を集め群をつくる勢子、動物が一定方向に走るように誘導する勢子、動物を確実に急崖から追い落とす(あるいはその場で仕留める)狩人、急崖の下で待ち受け落ちてきた動物を仕留める狩人が配置されたと考えます。
次に遺物集中地点分布ヒートマップを作成する等により、狩後の臨時キャンプゾーン、獲物加工処理ゾーン等について検討します。
つづく
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