花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.198 千葉県遺跡別銙帯出土数分布図の作成
鳴神山遺跡を銙帯出土という面からも検討するために、千葉県出土銙帯について情報を分布図にしてみました。
千葉県出土銙帯の情報は「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(2004、千葉県発行)に一覧表及び分布図を含めて詳しく説明されていて、このブログで既に紹介しています。
2015.03.20記事「銙帯出土遺跡分布と東海道」等参照
この記事では上記図書の銙帯一覧情報をGISに取り込んで、詳しい検討ができるようにしましたので、その状況を説明します。
「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」掲載の出土銙帯一覧表を整理すると次のようになります。
千葉県の銙帯出土遺跡
2000年頃までに刊行された発掘報告書に基づいた千葉県における銙帯の悉皆調査結果です。この情報をつくるにあたっての労苦は大変なものであったと推察します。
現時点(2015年)ではもっと情報が増えていると思いますが、大勢に極端な変動はないと推察します。
銙帯出土遺跡数109、銙帯出土数260となっています。(銙帯出土数はこのブログで一部統合しています。)
銙帯出土遺跡の位置情報をWEBサイト「ふさの国文化財ナビゲーション」(千葉県)から取得して、銙帯出土遺跡分布図を作成すると次のようになります。
千葉県の銙帯出土遺跡
この情報の検討は上記図書掲載の分布図を使って何回か行っています。
さて、墨書土器では墨書土器出土遺跡の分布だけだなく、墨書土器出土数に着目しています。
墨書土器出土数が多ければ、それだけ律令国家の集団組織活動が盛んであったと考えるからです。
同じように、銙帯も単純にその出土遺跡分布だけでなく、銙帯出土数の分布も重要な情報になります。
銙帯は官人が身に着けるものですから、銙帯出土が多ければそれだけ官人が多かったことを物語ります。
官人が多かったということは官人が組織して行うプロジェクトが大きかったこと、あるいは重要であったことを物語ります。
つまり銙帯数は墨書土器出土数と同じような意味を持つ指標となります。
銙帯数は官人つまり中堅指導層の層の厚さを、墨書土器出土数は官人に指導される上中位の労働層(※)の層の厚さの指標になると思います。
※ 奴婢や俘囚など社会の下層民には墨書土器の風習は及んでいなかったと想定しています。
そこで、単なる銙帯出土遺跡分布ではなく、遺跡別銙帯出土数の分布図を作成してみました。
千葉県の遺跡別銙帯出土数
銙帯出土遺跡分布図とくらべてこの出土数分布図のほうが銙帯分布(つまり官人分布)の集中地点が明瞭にわかります。
千葉県の銙帯集中地点が数か所に集約されることが一目でわかります。
この分布図の検討及び銙帯を指標にした鳴神山遺跡の意義検討は次の記事で行います。
なお、分布図「千葉県の遺跡別銙帯出土数」作成は2015.08.30記事「グラフ分布図の作画」で習得したGIS技術の初成果です。
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