私の散歩論

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2015年11月8日日曜日

2015.11.08 活動日誌

かねてから取り組んでいる角川千葉県地名大辞典の付録小字リストの電子化・データベース化の作業に10月末頃から集中して取り組んでいます。

千葉県域の北半分がほぼ終了しましたので、その概要を近日中に報告したいと思います。

さて、この作業は次のような項目を市町村毎に行っています。

1 小字リストの印刷物(紙)をスキャンする。(JPEGファイル)
2 JPEGファイルをOCRで電子テキストに変換する。
3 OCR電子テキストの誤りを修正するとともに区切り記号を入力する。
4 修正済み、区切り記号入り電子テキストをExcelに取り込み、マクロを使ってデータベース用ファイルに変換する。

以上の作業の内、3の作業が時間的に全体の90%を占めます。

これまで約4万の小字と同数のルビを全部自分の目で読んできたことになります。

この作業はとても有用な入力快適化ソフトを入手したことにより思いのほか効率化が進み、また自分自身も単純作業に慣れてきて、「目」と「手」とわずかの「脳の集中力」でほぼ自動で作業できる状況になりました。

当初はとても苦痛で煩雑な単純作業でしたが、今では苦痛という感覚は極めて減衰し、逆に早く完成して分析に使えばどんなに興味を深めることができるだろうかという期待感が取って替わっています。

この単純作業では脳内作業空間に余裕が生まれたという実感を持ち始めています。脳内がある程度デュアルモードになり、別の思考をイメージ的で弱いものですが展開できるまでになりました。

OCRが犯した誤謬を発見し、語の区切りを確認するという注意思考と、まったく別次元の思考を2つ同時並行で進行させています。

おそらく早朝の散歩の初期状況と同じだと感じています。散歩を始めた頃は散歩のなかで自然や環境を感じ、それについて思考するということと、まったく別次元の思考を両立することができるかできないかの状況でした。

しかし、現在の散歩では散歩本来の楽しみと、それとは無関係の思考の両立ができるようになっています。

パソコン単純入力作業も、それをもっと続けますから、つまりこれから約4万の小字名と同数のルビを確認修正して区切り記号を入れる作業が残っています。

その単純作業で、単純作業とは別建ての思考をある程度体系的に行えるという両立能力を身につけることができるようになることを期待しています。

期待しているというか、自分自身をそのような能力が身につくように訓練したいと思います。

千葉県8万の小字と同数のルビを1人で入力するというとんでもない単純作業をする代償として、単純パソコン作業時の脳内デュアル思考能力獲得を目指します。

なお、参考までに、1日の大半をこの単純作業に費やした時に次のような思考を展開しましたので、思考例として紹介します。

思考例
●自分が花見川流域について特段の興味を抱いている事項
1 花見川河川争奪
2 東海道水運支路
3 印旛沼堀割普請
4 現代花見川流域の川づくり・地域づくり

1 花見川河川争奪
花見川河川争奪現象については地形学分野における学術上の特段の研究がありません。(環境分野の1論文で触れているものがある)
したがってほとんど知られていません。
しかし明瞭な自然現象ですから世の中にこの事象の存在を知っていただくことが大切であると考えています。
その理由は、その河川争奪現象により縄文海進時にこの場所が東京湾と香取の海の地峡となり、下総における交通の要衝となったからです。
花見川河川争奪現象があったので、その後の奈良時代の東海道水運支路開設、さらには近世の印旛沼堀割普請が存在しえたのです。
また花見川河川争奪現象の存在が知られていないことが背景となり、現代河川行政において花見川は「人工河川」であるという誤った認識が存在しています。

2 東海道水運支路
花見川と平戸川(現在の新川)の水運を結ぶ船越に官道跡の痕跡を発見しています。
奈良時代の遺跡、遺物分布から、花見川と平戸川、つまり東京湾と香取の海を結ぶ東海道水運支路が存在していたという仮説を構築しています。
東海道水運支路が機能していたころは、花見川、平戸川沿岸は律令国家の蝦夷戦争における最重要の軍事兵站・輸送基地群が存在していたと考えています。
花見川、平戸川付近が日本のなかで特段に注目されていたと考えます。

3 印旛沼堀割普請
江戸幕府の国家規模プロジェクトとして印旛沼堀割普請が実施されました。
奈良時代とともに近世の印旛沼堀割普請でも、花見川、平戸川(新川)が日本のなかで注目されました。
多くの素晴らしい研究が存在します。

4 現代花見川流域の川づくり・地域づくり
理論の上での問題意識ですが、現代河川行政において、不当にも花見川が「人工河川」という烙印を押されています。
千葉県に「人工河川」という烙印を押された河川は他にありません。
このような不当な(誤った)花見川認識では、つまり根本理論が間違っていては、具体的な河川整備や地域づくりがいつの間にか間違った方向に進んでいってしまう可能性を排除できません。

もっと詳しく、またこの4つ以外の項目についても思考したのですが、それを全部メモすると大論文になりますので、ここでは概要の概要だけ思考例としてメモしました。

1時間程度の散歩と違って、長時間パソコン入力作業では思考をより体系的で多くの分量について行うことができるようです。
おそらく思考の質は体全体を動かしている分、散歩の方が上ではないかと現時点で想像しています。

花見川風景

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