私の散歩論

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2016年6月24日金曜日

千葉県郷名分布図のGIS背景地図取り込み

「千葉県地名変遷総覧(千葉県立中央図書館編)附録千葉県郷名分布図(邨岡良弼著日本地理志料による)」を古代郡名や郷名の検討に関連して、最近、何回も利用しています。

古代郡名や郷名の分布等については明治時代の検討成果ですから大いに限界があるものと感じています。

その視点とは別に、この地図には千葉県の明治時代の大字がもれなく掲載されていることに気が付きました。

この地図は、千葉県の地名や考古歴史を考える際に大変貴重で価値のある史料であることを改めて認識しました。

現在手に入る大字分布図は昭和30年代以降の地域開発で町丁の新設細分化が大規模に行われ、かつ新規名称が増大してしまった地域が広がっているデータです。

このブログで作成した千葉県小字データベース(角川千葉県地名大辞典付録小字一覧の電子化)の大字についても、その位置が復元できないものや復元に手間取るものが多数ふくまれています。

千葉県小字データベースの正確なプロットをするうえでアドレスマッチングでは不十分であり、戦後経済高度成長期以前の大字分布図が見つからないで困っていた最中であったのです。

従って、千葉県郷名分布図をGISの背景地図として取り込めれば、千葉県小字データベースの大字データの位置情報を正確に得ることができます。

既成のアドレスマッチングに頼らないで、自力で正確な歴史的地名の位置プロットができるようになります。

このような目論見の下に、この地図を電子化してGISに張り付けて実用できるようにしましたので、その経緯をメモしておきます。

1 「千葉県地名変遷総覧(千葉県立中央図書館編)附録千葉県郷名分布図(邨岡良弼著日本地理志料による)」の姿

この地図を広げて写真に撮った姿を示します。

千葉県郷名分布図
2色刷り 大判地図

2 スキャン貼り合せした1枚画像のGIS取り込み

A3判6枚に分けて地図をスキャンして、そのファイルを画像回転等の単純な方法で貼り合せました。

スキャン画像6枚の貼り合せ

この貼り合せ画像1枚をGIS背景地図として取り込み、位置合わせを行いました。

位置合わせの機能としては移動・拡大縮小・回転の他に変形(四隅を引っ張って自由に変形できる)があります。

貼り合せ画像1枚のGIS位置合わせ結果

最大限位置合わせを行いましたが、自分の満足できる(実用になる)位置合わせをすることができませんでした。

あちらが合えば、こちらが合わないという状況が多数生じます。

この作業の中で、A3判6枚に分けてスキャンしないで、大判のスキャナーで最初から1枚の画像を作成しても、その結果はあまり変わらないであろうことが理解できました。

GISの自由変形機能は四隅をひっぱって実現しているので、限界があるからです。

多数点で自由にあちらこちらに引っ張ることができれば話はちがってくるのですが。

(GISではないのですが、Illustratorに多数点で自由に引っ張って歪ませる機能があるようなので、今後その機能が幾何補正に役立つものであるか検討する予定です。)

3 スキャン画像6枚の個別のGIS取り込み

スキャン画像6枚を個別にGISに取り込みました。

スキャン画像6枚のそれぞれのGIS位置合わせ結果

2で行った方法よりはるかに不具合が少なくなります。一応実用に使えるレベルまで位置合わせを繰り返しました。

さらに、この作業の中で、明治時代の測量図を完全に近い形で幾何補正することをあきらめ、利用の際に微調整を行うシステムとすることにしました。

広域で大字を見る場合、どうしても大字界線が地形や現在の市町村界等とすこしズレていまします。

そのズレは最小化して実用にある程度耐えられるようにしたのですが、その画像の位置合わせを不変のものとしないで、目的に応じて、利用の度毎に位置合わせ微調整をして利用することにしました。

背景地図としての位置合わせ決定版を作らないという、発想逆転になりました。

柔軟に対応するという苦肉の策です。

4 大字界線の利用イメージ

長南町蔵持という大字を対象に、その大字の範囲を抽出してみました。

GISにおける千葉県郷名分布図の表示(大字蔵持付近)

GISにおける千葉県郷名分布図と標準地図のオーバーレイ表示

GISにおける千葉県郷名分布図と色別標高図のオーバーレイ表示

GISにおける大字蔵持と標準地図のオーバーレイ表示

GISにおける大字蔵持と色別標高図のオーバーレイ表示

大字蔵持の範囲はあくまでもイメージですが、想像以上にその範囲が正確なイメージとなりました。

大字の範囲を大きな円で示したり、反対に点で示したりするのではなく、イメージとは言ってもその概形を示せるのです。

満足のいく結果となりました。









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