陥し穴の長軸方向から推測する動物追い詰めルート(2017.03.11改訂)
この記事から猟ルート別にどこまで詳細分析が可能であるか、チャレンジしてみます。
この記事では大金沢支谷ルートにある陥し穴のうち同時利用された可能性の高い陥し穴について検討します。
大金沢支谷ルートと関連陥し穴を抜き書きすると次のようになります。
大金沢支谷ルート
よく見ると18と23、15と16、33と34と32の陥し穴が近接しています。
近接性は次の図に示す通り、18と23は4.2m、15と16は5.7m、33と34は6.3m、34と32は5.3mになります。
陥し穴23と18の距離計測 4.2m
陥し穴15と16の距離計測 5.7m
これら近接陥し穴に類似性があるか、記載図版で確かめてみました。
陥し穴 大金沢支谷ルート
18と23は同じスリットタイプです。
15と16も同じスリットタイプです。
33、34、32は同じ逆木設置タイプです。
このように長軸方向が同じで近接する陥し穴のタイプが同じであることから、これら近接陥し穴は狩猟効果を増幅するために同時に設置されて利用された可能性が生まれます。(A)
同時に複数の陥し穴を利用したのではなく、同じ集団が作り直した跡であると考えることもできます。(B)
Aと考えるにしても、Bと考えるにしても、近接類似陥し穴が存在する空間位置が狩猟上重要なポイントであったことが推測できます。
ただし、18と23は大きさが違い、メインとサブのような機能分担が見え隠れします。
また、33、34、32ではその順に殺傷力が小さくなります。33は丸太逆木3本、34は丸太逆木1本、32は竹やり多数です。ここでも機能分担が見え隠れします。
親子連れの動物など体格の異なる群れを効率的に捕獲するために複数の陥し穴を配置した可能性も検討する必要があります。
実際の狩猟イメージについて次の記事で検討します。
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