大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 6
大膳野南貝塚後期集落の土坑について指標別に時期別分布を検討しています。これまでに指標「体積類型」について検討しました。
この記事では指標「平面形型」について時期別分布を検討します。
なお次の土坑に関する指標について順次時期別分布を検討します。
●フラスコ型土坑
●円筒型土坑
●貝層土坑
●漆喰土坑
●周辺小ピット付土坑
●土坑墓可能性土坑
1 平面形型の区分
発掘調査報告書における土坑平面形記述を次のように4類型に区分して検討することにします。
土坑平面形型
土坑平面形型の統計
・円形型は土坑空間体積(容量)に対して表面積が最小になるので湿気の影響を受けにくいなどの特性が考えられ、食糧等の貯蔵に有利であることから数が多いと考えられます。
・楕円形型が何故存在しているのか、その理由は今後詳しく検討することにしますが、現在は次のような理由があるのではないかと推測しています。
ア 細長いモノを貯蔵あるいは埋納するために楕円形にした。
イ 土坑の出入り(昇降)施設を設置するために楕円形にした。
ウ 土坑建設労働をしやすくする為に楕円形にした。
・方形型の存在理由は特段の意味があるに違いないと推定しますが、現時点では具体的イメージを持てていません。
・その他型の方形型以上に意味がある可能性が濃厚ですが、現時点では具体的イメージを持てていません。
2 時期別土坑(平面形型)分布
2-1 加曽利E4~称名寺古式期
加曽利E4~称名寺古式期
この時期だけ土坑平面形型分布は異常といっていいと思います。土坑5箇所のうち一般的である円形型は1基だけで、他は方形型2基、その他型2基となります。
この時期だけ何故土坑平面形型のメインが円形型・楕円形型ではないのか、今後注意深く検討していくことにします。
2-2 称名寺~堀之内1古式期
称名寺~堀之内1古式期
方形型1基、その他型1基で残りは全て円形型と楕円形型です。この情報は加曽利E4~称名寺古式期の情報と大いに異なり、その理由を継続して検討することにします。
2-3 堀之内1式期
堀之内1式期
円形型と楕円形型がほとんどでありそれ以外は方形型が3基だけです。
2-4 堀之内2式期
堀之内2式期
円形型と楕円形型から構成されます。
2-5 堀之内2~加曽利B1式期
堀之内2~加曽利B1式期
円形型と楕円形型から構成されます。
2-6 加曽利B1~B2式期
加曽利B1~B2式期
その他型1基がありますが、残りはすべて円形型と楕円形型です。
2-7 参考 後期全期
参考 後期全期
3 考察
平面形型の違いは土坑機能(利用目的)の違いに関わっていると推測していますが、その具体的関わり方の知識がないので、現段階では詳しい分析に至りません。しかし、今後他の指標を順次検討する中で平面形型を生かした集落形成・終焉に関わる分析を行うことにします。
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