私家版千葉県遺跡DBの全レコード(20130)を分布図を通じて概観する活動を行っています。2019.01.04記事「千葉県遺跡分布地図帳 諸磯式土器と浮島式土器」でDBから土器形式別分布図の作成が容易であり、その情報が思いのほか高い価値を有していると直観できました。この記事では土器形式の次の例として縄文時代後期の代表的土器形式である加曽利B式土器の分布図を作成してみました。
1 加曽利B式土器の分布
私家版千葉県遺跡DB地図帳 加曽利B式土器分布 110
私家版千葉県遺跡DB地図帳 加曽利B式土器(貝塚)分布 111
加曽利B式土器出土遺跡で遺跡種別が貝塚(貝塚・集落を含む)であるものです。
私家版千葉県遺跡DB地図帳 加曽利B式土器(集落)分布 112
加曽利B式土器出土遺跡で遺跡種別が集落(貝塚であるものを除く)であるものです。
加曽利B式土器出土遺跡で遺跡種別が包蔵地等(貝塚、集落を除く)であるものです。
青丸…貝塚、赤丸…集落、灰丸…包蔵地
私家版千葉県遺跡DB地図帳 加曽利B式土器分布ヒートマップ 115
加曽利B式土器出土遺跡が密集する空間ほど黒く表現されています。
私家版千葉県遺跡DB地図帳 加曽利B式土器分布(背景ヒートマップ) 116
青丸…貝塚、赤丸…集落、灰丸…包蔵地
青丸…貝塚、赤丸…集落、灰丸…包蔵地
青丸…貝塚、赤丸…集落、灰丸…包蔵地
青丸…貝塚、赤丸…集落、灰丸…包蔵地
2 メモ
・加曽利B式土器の分布をみると塊状になっているように観察できます。
・加曽利B式土器は遺跡種別貝塚(貝塚・集落を含む)・集落(貝塚を除く)・包蔵地のセットで存在しているように観察できます。
・ヒートマップを背景に分布図を見ると、塊状分布がよくわかります。塊状の部分がまとまった地域社会(広域行政連合?)を表現していると考えて間違いないと思います。
・ヒートマップを背景にして種別分布をみると貝塚・集落・包蔵地がセットで存在していてそのセットが生活空間の基本構造になっているように空想(仮説)できます。この地図は縄文後期社会の空間構造検討の有力な情報素材になると考えます。
・その図を拡大すると、貝塚・集落・包蔵地のセット構造があからさまになるように感じることができます。塊状部分(黒い部分)に沢山の貝塚・集落・包蔵地セット単位が存在するように見られ、それらが単位地域社会(村?)の生活跡であると空想したくなります。
・DBから土器形式別遺跡情報を汲みだすと極めて有用な基礎情報を得ることができるとこの作業でわかりました。作業を改めて千葉県の縄文時代全土器形式の情報を体系的に汲みだすことにします。
・参考 西根遺跡(低地遺跡)から大量の加曽利B式土器が出土していて、それは近隣集落の合同収穫祭跡であると見立てていますが、その近隣集落の場所が上記地図ヒートマップ黒の一つの塊状に対応する可能性が濃厚になりました。
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