1 縄文土器形式別遺跡数仮集計グラフと較正年代資料
縄文土器形式別遺跡数の仮集計を行いました。
2019.07.08記事「縄文土器形式別遺跡数統計の仮集計」
千葉県 縄文土器形式別遺跡数(仮集計)
このグラフを較正年代資料と対比させ、遺跡数を較正年代のスケールで把握することにチャレンジします。
縄文土器形式別較正年代資料
2 土器形式等の便宜的とりまとめ
較正年代資料の土器土器形式分類に遺跡数資料を合わせることとして、次のような便宜的まとめをしました。
土器形式等の便宜的まとめ
晩期については土器形式区分について較正年代資料と遺跡数グラフの対応関係の検討は行いませんでした。遺跡数データをそのまま使うことにします。その理由は、検討しても区分数が減らないことと、遺跡数データの安行式が後期安行と晩期安行一緒になっていて、詳細検討の意味が虚弱なためです。
便宜的なまとめによる縄文土器形式別遺跡数
グラフが連続して縄文社会消長の大局的イメージを捉えることができます。
条痕文の時代(茅山式の時代)、諸磯(浮島式の時代)、加曽利E、加曽利Bの4つの時期に遺跡数増加のピークがあることが直観できます。
そのうち加曽利Eが最高の遺跡数増加ピークです。
同時に称名寺の時期に社会が急速に衰退したこと、加曽利Bのピークの後社会が衰退の一途をたどって縄文社会が終焉したことがわかります。
次にこのグラフを較正年代資料に載せてみました。
3 縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比
縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比
土器形式の継続期間と遺跡数の両方を同時にみることができる資料となっています。この資料を詳しく分析することによって単純な遺跡数増減分析から、より高度な社会消長分析に移行することができると考えます。
例えば、早期撚糸文期と晩期の2つを比較すると継続期間(800年くらい)・遺跡数(400くらい)のセットが似ています。遺跡数から見る限り、縄文晩期社会の零落状況は縄文早期前葉期社会状況に匹敵すると考えることができるかもしれません。
4 感想
・縄文時代社会消長の概略イメージを少しづつ描くことができてきたと考えます。
・データの取り扱いは雑駁な面もありますが、最初の大局観ができることの意義は大きいと考えます。
・次の記事で遺跡数/継続期間という指標の検討をしたいと思います。
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