縄文社会消長分析学習を進めるにあたって縄文早期の海域拡大が尋常ならざるものがあり、その実態を知り、問題意識を深めようとしています。
この記事では海域水深データを入手し、QGISにプロットするところまでできましたのでその結果をメモします。
1 海域水深データの入手
サイト NOAA NATIONAL CENTERS FOR ENVIRONMETAL INFOMATIONからETOTP1 ice Surface(氷の表面)、cell registrated(セルの真ん中)、georeferenced tiff形式でデータをダウンロードしました。
ETOPO1_Ice_g_geotiff.tif(445MB)
2 水深0m~-40m、水深-40m~-100mの抽出
ダウンロードファイルをQGISに取り込みプロパティ→シンボロジ→単バンド疑似カラーで分類を操作して水深0m~-40mを緑色、水深-40m~-100mを紫色に設定ました。
水深0m~-40m、水深-40m~-100mの抽出図(世界)
水深0m~-40m、水深-40m~-100mの抽出図(日本周辺)
3 縄文早期当初と前期前葉当初の海・陸分布イメージ
後期旧石器時代の氷期クライマックス期には海水面高度は-100mあるいはそれ以上であったと考えられています。その後海水面は上昇し、縄文早期当初の海水面高度は-40m程度であるといわれています。その後海水面高度は急激に上昇し、縄文早期終末=前期前葉当初には+2.5m~3m程度であったといわれています。その当時の海面は関東平野の奥まで侵入しています。その侵入の様子は現在の標高8m等高線で近似的に把握することができます。(2014.04.08記事「縄文海進クライマックス期の海陸分布」参照)
これらの情報を関東地方についてGoogle earth をベースとした地図に表現してみました。
Google earth をベースとした基礎図
この基礎図をまとめて清書すると次のようになります。
縄文早期当初と前期前葉当初の海・陸分布イメージ
縄文早期の期間は房総付近では陸地が半減した時期にあたります。気候が温暖化して植生等が変化したというだけでなく、生活空間そのものが半減しています。この陸域半減という事象は草食動物にとっては半分しか生き残れないという意味を持つと考えられます。一方人にとってはどうでしょうか?おそらく生活の方法や社会の仕組みを工夫して社会は継続しておそらく発展したに違いありません。獣の替わりに別の食べ物を探したに違いありません。
房総や東京湾沿岸の縄文人が生活空間半減という一種の試練を受けていたころ、内陸の縄文人はそのような影響を受けていません。ここに縄文社会の地域特性が顕著に表れる素地があるのではないだろうかと推測します。
縄文社会消長分析学習の大きなテーマが見つかりそうな感じになってきました。
4 感想
・海底地形データの極粗い情報ですが、QGISで操作できるようになりました。
・現在水面下にある-100mまでの海底は、海岸浸食の結果と堆積物に覆われて平坦になっています。しかし海水面が上昇していたころの地形は浸食がすすむ台地であったと考えられます。その広大な台地地形を「なかったことにして考えない」、「考えるのは現在の陸地だけ」というスタンスは決して許されません。
・今後より精細な海底地形情報を入手し、検討をより精細にしていくことにします。
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