縄文土器学習 454
畑と灌漑施設を文様で表現している縄文土器の3例目の検討です。
1 縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡)
3Dモデル、展示の様子、動画、GigaMesh Software Frameworkによる展開図を示します。
縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡) 観察記録3Dモデル撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2020.03.13
5面ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 84 images
展示の様子展示の様子 特殊モード写真3Dモデルの動画GigaMesh Software Frameworkで作成した3Dモデルの展開図2 文様を構成する記号の解釈
縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡)の記号の解釈・灌漑水路網の発達した畑システム(理想郷、桃源郷)を表現しています。
・文様は同じ構成が2回繰り返しになっていますが、一方は大きな把手部にある双眼の上に細長いくびれ隆線が合計3つ配置されています。もう一方は双眼だけです。
・双眼は水源として解釈します。
・「人面」の2つの目のように見える2つの細長いくびれ隆線は溢れて分流する水(水路)として解釈します。
・双眼から隆線が斜めに走り、その先端に水源が配置されています。この斜め隆線は特定の畑に水を運ぶ重要な導水路であることを、斜めという表現で、示唆しています。
・取水口の記号は例1、例2と同じです。
・畑の記号は沈線でメッシュを描いて示しています。
・畑の存在する場所が台地面であり、そこは水の手当てに苦労するところであるので、理想の畑を表現するとなると、水にあふれた畑になります。
3 感想
・2020.08.21記事「灌漑施設を文様として表現する縄文土器」及び2020.08.22記事「畑と灌漑施設を文様で表現した縄文土器 2例目」で検討した土器記号およびそれが表現している意味について、ほぼ同じような解釈をすることができました。
・縄文中期中部高地の人々が理想の畑イメージとして、灌漑水路網が発達して水に苦労していない畑を共有していたことを知ることができました。
・現実の畑と灌漑施設はどれほど原始的だったとしても、それが存在していたことは確実です。
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