私の散歩論

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2021年5月21日金曜日

縄文中期初頭イノシシ形土製品(八千代市上谷遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 608

八千代市立郷土博物館で現在開催中の企画展「印旛沼南西岸の縄文文化~やちよの縄文~」(2021.04.24~06.13)で展示されている縄文中期初頭イノシシ形土製品(八千代市上谷遺跡)の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。

1 縄文中期初頭イノシシ形土製品(八千代市上谷遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期初頭イノシシ形土製品(八千代市上谷遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:八千代市立郷土博物館2021年度企画展「印旛沼南西岸の縄文文化~やちよの縄文~」

撮影月日:2021.05.13

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing 43 images


展示の様子 1


展示の様子 2


展示の様子 3


3Dモデルの動画

2 観察メモ

2-1 観察

観察結果を写真にメモしました。


上谷遺跡出土イノシシ形土製品

2-2 発掘調査報告書情報


実測図

「9はK8-36-2グリッドより出土した。イノシシ形である。頭部は突出する。左目のみ刺突、耳は粘土の貼付で表現され、口・鼻は表現されていない。背はつままれており、後部では右側に曲がる。背に細い穿孔がある。尾は粘土をつまんで表している。四足は短い。土製品の表面には調整のあとがある。文様はない。残存状況良好で、ほぼ全体が残る。長さ36.5㎜、高さ23㎜、幅21㎜、重さ13g。製作時期は伴出土器と動物形土製品の類例が縄文時代中期にみられることから、五領ヶ台式期のものであろう。」

「上谷遺跡の動物形土製品の製作時期は縄文時代中期初頭であり、出現期の資料の一つである。中期の動物形土製品は、丁寧な製作技法・無文・写実的形態という共通性があり、動物形土製品の形態からも一つのタイプとして考えられるであろう。また出土状況・残存状況にも共通性が確認された。この結果、動物形土製品の出現期の縄文時代中期の特徴が明らかにされた。」上谷遺跡発掘調査報告書第5分冊から引用


動物形土製品出土位置 1


動物形土製品出土位置 2

ブログ「芋づる式読書のメモ」2018.04.02記事「上谷遺跡動物形土製品

2-3 感想

・この小さなイノシシ形土製品を狩猟に出かける時に使う背負袋などに結んでいる様子を想像すると、学生生徒がランドセルやリュックに同じような好みの小物をぶら下げている様子とイメージが重なります。

・イノシシ形土製品は狩猟における豊猟祈願の意味があったことは確実です。

・このイノシシ形土製品は台地縁辺で出土していることから、谷津と対岸台地を見渡す見晴らしのよい場所で執行された狩猟祈願祭祀で最後に使われ、埋められたと想像します。

・上谷遺跡の水場(断層により出口のなくなった台地上の浅い谷)から数軒の五領ヶ台式期竪穴住居が出土しています。このことから、この場所が遊動的狩猟の一つの拠点になっていたと想像します。まだしっかりした定住は無かったかもしれません。

参考 2016.09.08記事「上谷遺跡の縄文時代住居跡と水場

3 3Dモデル作成技術メモ

ア 手振れ

小さな対象物であり高倍率撮影になります。手振れには最大限注意しましたが、多くの写真で手振れが発生しました。展示物を高倍率で撮影して3Dモデルを作成することは今回のように劣悪な質を覚悟しなければならないことを再確認します。なお、今回のモデルは低質ですが、より低レベルを想定していたので、それを踏まえると多少はマシなものが出来たとも、自分をなぐさめます。

千葉県立中央博物館企画展で小さな琥珀製品の3Dモデルを作成した時は、結局撮影を3回チャレンジしてようやく低質モデルができました。

イ 撮影不可能側面

展示物の置かれた位置とショーケースの配置からイノシシ頭部の右側は完全に撮影不可能でありモデルが無様に欠けてしまいました。

ウ 三脚を使った全周撮影

近い将来八千代市教育委員会に閲覧申請して、このイノシシ形土製品の全周撮影をターンテーブル等を使ってある程度専門的撮影をしてしっかりした3Dモデルを作成することにします。

その3Dモデルを3Dプリントして、それにストラップを付け、カメラバッグにでも取付け、家族の怪訝な顔を気にしないで散歩に出ることにします。


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