縄文土器学習 602
有吉北貝塚土器分類のベースとなっている埼玉編年(1982)の加曽利EⅢ式土器詳細分類をカード化データベース化して、自分なりに理解してみました。
1 埼玉編年加曽利EⅢ式分の概要
埼玉編年 加曽利EⅢ式 土器分類と有吉北貝塚土器群分類の対応
埼玉編年では土器群を次の9群+その他に大別し、さらに詳細に区分しています。
1群 口縁部文様帯と胴部文様帯が分離した加曽利E式系統。キャリパー形。
2群 波状沈線区画文を基本とするもの。加曽利EⅢ式を特徴づける。
3群 文様モチーフが上下2段構成になるもの。
4群 隆起帯で文様が描かれ、区画内に縄文充填。
5群 縦位に区画された懸垂文。
6群 逆「U」字状懸垂文。
7群 条線のみ施文。
8群 縄文のみ施文。
9群 全面無文。
2 加曽利EⅢ式土器3種区分との対応
加曽利貝塚博物館における加曽利E式土器展示説明で使われる3種区分との対応をみてみました。
加曽利EⅢ式土器の3つの種類
ア キャリパー形土器
イ 意匠充填系土器
ウ 横位連携弧線文土器
2020.02.23記事「加曽利EⅢ式土器学習のポイント」参照
加曽利EⅢ式土器 埼玉編年(1982)土器群分類と3種区分
参考 横位連携弧線文土器
参考 意匠充填系土器
埼玉編年の1群はキャリパー形土器に、2群と3群は横位連携弧線文土器に4群は意匠充填系土器に対応することがわかります。
3 感想
・加曽利EⅡ式土器で主役であったキャリパー形土器(口縁部に主文様帯がある土器)にかわって横位連携弧線文土器と意匠充填系土器が主役の座に登場します。横位連携弧線文土器は連弧文土器と入れ替わるように登場するので、連弧文土器が横位連携弧線文土器に遷移したという見方が埼玉編年に記述してあります。今後その評価が現在どのようになっているのか学習を深めることにします。
・キャリパー形土器(口縁部に主文様帯がある土器)が衰退し、横位連携弧線文土器や意匠充填系土器が盛行するということは口縁部に主文様帯を置き、そこに渦巻文を配置した土器文化が衰退したことを示します。これは単なる土器デザイン流行現象ではなく、生活文化の大きな変化・画期と関連していると考えます。
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