私の散歩論

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2021年11月15日月曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様の解釈

 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)について3DモデルやGigaMesh Software Frameworkによる展開図を作成して観察しました。

2021.11.13記事「顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の観察記録3Dモデル

この中で土器文様に関する伊那市創造館展示パネルの説明をそのまま展開図に書き込み学習しました。

その後、類似土器として顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)について同様の学習を行い、文様意味について独自に考察(想像)しました。

2021.11.14記事「顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)の3Dモデル観察

この記事では箕輪町土器考察にならい、顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様についても独自の考察(想像)を行いました。

1 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様の解釈(想像)


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様の解釈(想像)

ア 土器を正面からみた場面

把手の顔面を母神と考え、土器全体が妊娠した母神を表現していると考えます。この考えは伊那市創造館パネル説明と同じです。

土器に双眼把手とその下に丸い小突起があります。これを母神から(土器から)生まれ出た子神の顔と子神の産道とそこから出る孫神の頭であると考えます。子神の両側には半円と三叉文が描かれていますので、それが母神の産道です。正面からみると母神、母神の産道、産道から出た子神、子神の産道から頭を出した孫神を見ることができると考えます。

イ 土器を裏からみた場合

把手上部の双眼把手を祖母神の顔、その下の丸い突起(渦巻が描かれている)を(祖母神の)産道から出た母神の頭であると考えます。土器胴部には子神の頭(双眼把手)と子神の未成熟な産道出口が描かれていると考えます。子神の両側には子神が出てきた母神産道が描かれています。

ウ 胴部の2つの双眼把手の間にある丸い小突起

胴部の2つの双眼把手の間にある丸い小突起を子神と考え、その回りを母神の子宮と考えます。


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様

2 伊那市創造館展示パネル説明との違い


伊那市創造館展示パネル説明による解釈

展示館説明では母神が赤ちゃん(子神)を産んでいるかもしれないという説明ですが、母神の産道が大きく描かれているので、丸い小突起は子神が産んでいる孫神と考えた方がよいと考えました。(ヘソは論外だと考えます。)

また二つの丸い小突起が乳房であるとの展示館説明は、母神の子宮とその中の子神と考えた方が、この土器全体が表現している世界(妊娠-出産による命の継続)に合う解釈だと考えます。

3 顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様解釈との関係


顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様の解釈(想像)

伊那市月見松遺跡出土土器の解釈は箕輪町丸山遺跡出土土器の解釈とほぼ同じになります。土器文様の基本構造が同じなので、それに起因して同じ解釈(想像)になるのだと思います。

双方ともに祖母神が母神を、母神が子神を、子神が孫神を産むというストーリーが描かれています。妊娠、出産により命が代々継続していくという社会原理が土器文様に描かれています。また顔面把手正面の顔面は母神、土器自体も母神の妊娠した様子という点も同じです。

4 メモ

女性が親から子へと代々命をつなげていくという点では、男との継続的性交(結婚)、妊娠、出産、育児という場面が大事になります。この土器では妊娠と出産が描かれています。したがって、この土器を使った祭祀は妊娠と出産の場面で使われたと想像します。性交(結婚)に関する祭祀は石棒を使って行われたのではないだろうかと想像します。育児に関する祭祀も別の道具で行われたと想像します。土鈴機能のある土偶をみるとその表情が柔らかく、子ども用を感じさせます。土鈴機能付土偶や育児土偶などが育児祭祀道具の一つであったのかもしれません。


2 件のコメント:

  1. 素晴らしい。
    卓見に敬意! 2023-142-23

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  2. 匿名さん コメントありがとうございます。感謝です。

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