箕輪町郷土博物館常設展に展示されている顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)を3DモデルとGigaMesh Software Framework展開図で観察し、その文様の意味について想像しました。
1 顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡) 観察記録3Dモデル
顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡) 観察記録3Dモデル縄文時代中期中葉
長野県宝
撮影場所:箕輪町郷土博物館常設展
撮影月日:2021.11.10
展示の様子
ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 184 images
3Dモデルの動画
2 GigaMesh Software Frameworkによる展開
GigaMesh Software Frameworkによる展開図
GigaMesh Software Frameworkによる6面図
GigaMesh Software Framework作業風景
3 観察とメモ
顔面把手を正面から見た時の吊り目で吻が出ている顔面を母神と考えると、次のような祖母神-母神-子神-孫神の顔が描かれていると想像しました。
顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様の解釈(想像)
ア 把手顔面を正面から見た時
母神だけが具象的顔で表現されていて、母神の体が即ち土器そのものであると想像します。母神の対向位置に子神が描かれていて、子神の顔は双眼把手として抽象的に表現されています。子神は背中を土器表面に貼り付けているように表現されています。子神はその乳房、手(指4本)、胴、足が人風に描かれています。さらに子神の腹には双眼把手があり、これは子神から生まれた孫神の顔であると考えます。
なお、母神の顔の上に双眼把手があります。これは母神を今産んでいる祖母神の顔であると考えます。
つまりこの場面では祖母神が母神を産み、母神が子神を産み、子神が孫神を産んでいる様子を一挙に表現していると考えます。しかし母神の顔だけ具象的なので、母神が子神を産んでいる様子がメインテーマになっていると考えます。
イ 把手を裏から見た時
展示では視線が到達できないので把手裏面の様子が不明瞭ですが、発掘調査報告書写真で確認すると把手裏面の母神顔面に相当する場所には大きな丸い穴が存在します。この穴が母神顔の抽象表現であると想像します(注)。その上に双眼把手があり祖母神の顔と考えます。
発掘調査報告書掲載写真
丸山遺跡発掘調査報告書から引用
子神の様子はアの子神とほとんど同じように表現されています。
つまり把手を裏から見た時も祖母神が母神を産み、母神が子神を産み、子神が孫神を産んでいる様子を一挙に表現していると考えます。しかし母神の顔は双眼把手とは異なる抽象表現となっています。この場面でも母神が子神を産んでいる様子がメインテーマになっていると考えます。
注)大きな穴は祖母神の産道を表現していて、ここから母神の顔が出てくることを想像させる趣向であると想像します。
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