3D model observation of abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site)
I observed the abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) exhibited at the Chiba City Folk Museum “Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City” with a 3D model. I am deeply interested in the meaning of making abalone-shaped baked clay object in inland villages that are not engaged in fishing. I will consider the possibility that the abalone-shaped baked clay object was a totem that symbolized the group.
千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」で展示されているアワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡)を3Dモデルで観察しました。
1 アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル Abalone-shaped baked clay object
アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル Abalone-shaped baked clay object撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」
撮影月日:2021.12.22
展示の様子
ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 91 images
Abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) Observation record 3D model
Location: Chiba City Folk Museum “Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City”
Shooting date: 2021.12.22
Shooting through a glass showcase
Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 91 images
3Dモデルの動画
2 メモ
2-1 展示説明
展示説明
「アワビ形土製品
内野第1遺跡(花見川区宇那谷町)
縄文時代の人々は身近な生物を模した造形物を多く作った。イノシシが多くみられるが、本資料のようなアワビを模した土製品は珍しい」
2-2 内野第1遺跡発掘調査報告書記載
アワビ形土製品
内野第1遺跡発掘調査報告書から引用
「アワビ形土製品は低地部包含層中から出土している。近接する佐倉市井戸作遺跡では裏面に縄文が施されたものが出土している。内陸部における外洋性の海産資源との関連性を裏付けるものである。」(内野第1遺跡発掘調査報告書から引用)
3 アワビ形土製品の巻方異常
アワビ貝殻の巻方は右巻です。
巻貝の巻方判定
尖った方を上にして口が右側に来るものが右巻、左側に来るものが左巻です。巻貝の9割は右巻で、アワビも右巻です。
ところが、本アワビ形土製品は巻方が左巻となっています。
マダカアワビ貝刃とアワビ形土製品の巻方の違い
アワビ形土製品の巻方が異常であることから、この土製品がつくられた場所(おそらく内野第1遺跡)にはアワビ貝殻現物は存在していなかったと推定できます。トコブシなどの類似貝殻も無かったと考えられます。アワビ形土製品はその作者が以前見たことがあるアワビ貝殻現物を想念としてイメージして、この土製品を作ったものと考えることができます。webで見かける他遺跡出土アワビ形土製品には形状がリアルで巻方も右巻のものがありますが、それは現物をよく観察できる環境下でつくられたものに違いありません。この土製品にはアワビ貝殻のリアルさはほとんどありません。
4 本アワビ形土製品の意義
本製品が出土した内野第1遺跡は千葉市でも内陸に位置していて、直接海の漁労に関わることはない集落です。
千葉市内野第1遺跡の場所
内陸にある集落で、貝殻現物もない状況下でアワビ形土製品がつくられたということは、アワビに対する強い信仰が社会全体に存在していたことを示唆しているのだと考えます。大膳野南貝塚ではマダカアワビ貝刃が出土していて、それが祭祀で使われていたと考えましたが、そうした漁労民のいわば「アワビ信仰」が内陸集落にも交易とか婚姻とかの社会交流によりもたらされていたと考えます。
5 トーテミズムから見たアワビ
トーテミズムという視点からアワビ形土製品の意義について検討することは大変興味深いことであると考えます。今後、縄文学習の重要テーマとして取り組むことにします。
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