私の散歩論

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2022年4月28日木曜日

土器の大きさと容量の関係

 Relationship between the size and capacity of pottery


The size and capacity of the Kasori E-type deep bowl are measured from a 3D model. The measurement work is still in progress. However, various interests arose during the work, so I wrote it down as an intermediate impression. It is assumed that the purpose was different depending on the pottery capacity.


加曽利貝塚博物館R3企画展「あれもE…」に展示された加曽利EⅣ式深鉢等多数について、3Dモデルからその大きさと容量を計測しています。計測作業はまだ途中です。しかし、土器大きさと容量の関係が段々と判ってきたので、大中小の土器5つを並べて、中間的な感想をメモしました。


土器の大きさと容量

感想

1 大きさと容量の関係に関する自分の感覚

見た目の大きさ(器高、口径(最大幅))の変化とくらべて、容量の変化が急激であるような感覚を受けます。これは自分が普段から土器の容量に無頓着であったことによるからだと気が付きます。

2 縄文人は容量を決めてから土器をつくった

土器をつくる縄文人はその目的に応じてまず土器の容量を決めていたと思います。土器の大きさを決めてから土器をつくり、その結果としてある容量の土器が出来上がったというプロセスはあり得ないと考えます。いままで自分が土器容量に無頓着であったことに気が付いたことは良かったと思います。

3 目的別の容量

土器の目的別にある幅はあるにしろ、おおよその容量が決まっていたと考えます。例示土器に対して次のような目的を空想しますが、そのような空想がどの程度確からしいのか、今後学習を深めたいと思います。

特大…多量ドングリのアク抜き煮沸用?

大…多用途、集団調理用?

中…家族調理用?

小…神前調理用?

特小…祭器(非調理)?

4 目的と器形

特大の土器は容量に対して水面面積が小さくなっていて、水分蒸発が抑えられるような機能があります。モノを長時間煮込むことに適しています。現代の寸胴鍋のような利用のされ方が想定できます。

大と中の土器は開口部が開いている器形です。煮ている内容物を取り出しやすい形状です。現代の鍋料理で皆が鍋をつついて食べるようなイメージを持つことができます。

小の土器は把手(貼付文)があり、相対的に装飾性に富んでいます。しかし開口部は開いていません。特別な調理に使ったのかもしれません。

特小の土器はその容量が調理のためにはあまりにも小さいです。また土器全体に占める把手の割合が大きいです。こうした要素から料理をこの土器にいれて祭壇に飾った祭器かもしれません。

5 実用的容量の計測必要性

今回の容量計測はその土器に水を入れた時の最大容量を計測しています。土器を調理等で使う場合の実用的容量は最高水面位置から5㎝程度下になるので、その容量を計測して知ることも意義があるかと思います。

6 土器容量別出土状況

遺跡毎(集落毎)に土器容量別の出土量や出土遺構の統計を取ると、容量別の目的が浮かび上がってくるかもしれません。


参考 容量計測作業画面


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