私の散歩論

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2022年5月16日月曜日

加曽利E式土器型式と器形・容量

 Kasori E type pottery, shape and capacity


The data on the height and capacity of 22 Kasori E type potteryi are displayed separately by subdivision type, and the impressions that come to mind are noted. I would like to collect and consider a large number of statistically meaningful data.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち3Dモデルを作成した22器について、器高・容量のデータを型式別に分けて表示し、浮かぶ感想をメモしました。器高・容量データの型式別表示はFacebook関根達夫さんからのリクエストによるものです。

注)称名寺式土器は加曽利E式土器に含まれるものではありません。しかし、加曽利E式土器と称名寺式土器が併行する地域があるので、加曽利貝塚博物館R3企画展「あれもE…」では加曽利E式土器の扱いの中に称名寺式土器を含めています。これに習い、このブログでも加曽利E式土器の扱いの中に称名寺式土器を含めています。なお、加曽利E式期は縄文中期、称名寺式期は縄文後期であり、加曽利E式期終末~称名寺式期は縄文時代の重要な画期をなす時期であり、特段に興味をそそる時期であり、今後学習を深めたいと考えている時期です。

1 器高・容量データの型式別表示


器高・容量データの型式別表示

この図を作ってみると次のような感想が脳裏に浮かびます。

ア 加曽利EⅤ式と称名寺式のデータが一番多い

加曽利EⅤ式と称名寺式(趣旨としては同時代)のデータが一番多いことに気が付きます。6割以上です。また器高の大きいものから小さいものまでそろっています。自分は展示をみて自分が興味をそそるものから順に3Dモデル撮影しています。その時はそれがどの時期(型式)であるのかあまり気にしませんでした。しかし、結果として同時期である加曽利EⅤ式と称名寺式のサンプルがもっとも多かったということは、企画展副題「加曽利EⅣ式土器とその末裔たち」の末裔に自分が特段に興味を持ったことに気が付かされました。

そもそも加曽利EⅤ式という普段使われない型式名が自分を刺激したのだと思います。

イ 統計的に意味のあるデータを揃えてみたい

仮に統計的に意味あるような多数データを加曽利EⅢ式-EⅣ式-E5式・称名寺式の順に揃えることができれば、どのような図になるのか興味が湧きます。型式別(時期別)に器形(あるいは容量)をみると、ある時期は土器が大きく、ある時期は土器が小さくなるに違いありません。ある指標(例 最大土器の大きさとか出土土器平均の大きさとか)を設定すれば、恐らく加曽利EⅢ式土器より加曽利EⅣ式土器のほうが小さく、それよりも加曽利EⅤ式土器・称名寺式土器の方が小さいという空想をします。その空想は社会の衰退期(混乱期)ほど集団規模が小さくなり、それに従って大きな土器のニーズが減ると考えるからです。もし、データを多数そろえれば、このような思考(空想)が正しいものか、間違っているのか検討することができます。近い将来ぜひとも検討したいとおもいます。今回は3Dモデル作成という膨大なテマヒマをかけましたが、発掘調査報告書の実測図から出来る作業ですから、データをつくることはそんなに難しいことではありません。やると決断すれば実現できます。

2 容量類型区分の型式別表示

2022.05.12記事「加曽利E式土器の大きさと容量」で容量データにより土器を類型区分しました。型式とは別に土器利用目的に応じて容量別に類型があることは否定できないと考えます。

類型区分(仮想)は次の通りです。

A 容量特大…30ℓ以上あるような特大土器です。ドングリ煮沸によるアク抜きなど、集団作業で使われた「業務用大鍋」のような印象を持ちます。食事のための調理用としては大きすぎるような気がします。

B 容量大…20ℓ前後の大きな土器です。多用途で使われ、場合によっては集団のための調理に使われたのかもしれないと空想します。

C 容量中…10ℓ前後の土器です。この大きさの土器が家族調理用に使われたのではないだろうかと想像します。

D 容量小…5ℓ以下の土器です。器体の大きさに比して大きな把手を有しています。神前に供える料理を調理する専用土器あるいは神前に料理を供える容器であったものであると空想します。

この容量類型区分を型式別に分けて表示してみました。


容量類型区分の型式別表示

この図から次のような感想が浮かびます。

ア 類型別に型式を追ってみたくなる

A類型には器形から2種類あると考えます。この2種類別にみて型式別(時期別)に器形や文様の細部がどのように変化するのか興味がわきます。A-1は加曽利EⅢ式にも存在しますが、称名寺式には無くなるのか?とか、A-2はどうなんだろうか?とか。


画像によるメモ

イ 型式をイメージする代表的類型としてのB類型

縄文土器概説書などで、型式をイメージさせるような代表的土器の例としてB類型が多く使われているような気がします。大きくて汎用性があり、それだけに恐らく大事にされた土器と考えられますからある意味当然です。縄文時代にあってもおそらく代表的土器だったに違いありません。しかし、B類型だけでなく、A類型、C類型、D類型の土器も同時に使われていたのであり、ある型式の土器イメージを持つとしたら、その型式のA類型、B類型、C類型、D類型別のイメージを持ちたいものです。


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