2022年5月12日木曜日

加曽利E式土器の大きさと容量

 Kasori E type pottery size and capacity


I measured the size and capacity of 22 Kasori E-type pottery from a 3D model, and looked at the data and made a note of the impressions that came to my mind.

From the viewpoint of pottery capacity, I thought that it could be classified into four types, extra large, large, medium, and small, according to the purpose of use.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器22器について3Dモデルから大きさと容量を計測しましたので、そのデータを眺めて思い浮かぶ感想をメモしました。

1 器高・容量データと感想

1-1 器高・容量データ


加曽利E式土器(加曽利EⅢ式~称名寺式)の器高と容量

番号101~104以外の土器は全て加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器、番号101は令和3年度千葉市出土考古資料優品展(千葉市埋蔵文化財調査センター)展示土器、102~104は加曽利貝塚博物館常設展展示土器

縄文人イラストは「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」から引用

1-2 器高と縄文人イラストとの対比

器高データを自分自身がより実感的に受け止めるために、縄文人イラストと比較してみました。縄文人の寸法は専門家論文のデータに基づいています。


縄文人の平均身長(男)162.7㎝

1-3 器高・容量データ

計測した22モデルは加曽利EⅣ式土器前後の土器です。ここでは時間経過をとりあえず捨象して、全体を一つのサンプルとして観察してみます。

器高は最大53.68㎝から最小26.37㎝になります。最大/最小は約2です。一方、容量は最大41.18ℓから最小1.91ℓになります。最大/最小は20を越えます。この数値をみて、当事者の縄文人にとっては土器の大きさ(器高)ではなく、容量がはるかに重要な要素であったことに気が付きました。縄文人にとってはどれだけの量の煮炊きをするのかという目標にもとづいて土器をつくったのであり、結果として器高や器形ができたと考えることが妥当です。縄文人がどの程度の器高の土器をつくろうかと目標的に考えたことはなかったに違いありません。われわれ現代人が分析的に器高を扱うのは自由であり必要だと思いますが、縄文人にとっては、容量の方がはるかに重要な指標であることに気が付きました。

1-4 容量データによる類型区分


容量データによる類型区分

容量データを眺めてみると、次のような類型区分が仮想できます。

A 容量特大…30ℓ以上あるような特大土器です。ドングリ煮沸によるアク抜きなど、集団作業で使われた「業務用大鍋」のような印象を持ちます。食事のための調理用としては大きすぎるような気がします。

B 容量大…20ℓ前後の大きな土器です。多用途で使われ、場合によっては集団のための調理に使われたのかもしれないと空想します。

C 容量中…10ℓ前後の土器です。この大きさの土器が家族調理用に使われたのではないだろうかと想像します。

D 容量小…5ℓ以下の土器です。器体の大きさに比して大きな把手を有しています。神前に供える料理を調理する専用土器あるいは神前に料理を供える容器であったものであると空想します。

このような類型区分仮想がどの程度蓋然性があるのか、今後学習を深めたいと思います。


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