私の散歩論

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2023年6月16日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器12点3D分布モデルの作成

 Creation of a 3D distribution model of 12 pieces of Atamadai-style pottery on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound


I read the 3D coordinates of 12 points of Atamadai-type pottery from the graph published in the excavation report, displayed them in Blender 3D space, and conducted a preliminary examination. 3D coordinate reading was done with my own Python script.


発掘調査報告書掲載グラフから阿玉台式土器12点の3D座標を読み取り、Blender3D空間に表示し、予備検討しました。3D座標読み取りは自作Pythonスクリプトで行いました。

1 グラフから3D座標を読み取るPythonスクリプト

次はPythonスクリプトh3.pyの例です。

…………………

import cv2

def onMouse(event, x, y, flags, params):

    if event == cv2.EVENT_LBUTTONDOWN:

        print('{:.03f}'.format((y-97)/95.111+2), '{:.03f}'.format((x-36)/94.125+20), 0)

img = cv2.imread('h3e.png')

cv2.namedWindow('gazo', cv2.WINDOW_NORMAL)

cv2.imshow('gazo', img)

cv2.setMouseCallback('gazo', onMouse)

cv2.waitKey(0)

…………………

h3.pyをコマンドラインで走らせると計測用画像(平面図)が画面に出て、計測ポイントをクリックするとblender3D空間対応座標(x座標、y座標)が画面に表示されます。


h3.pyを走らせた様子(実際の作業は別画面に平面図を大伸ばしして行います。)

別のスクリプトで立面図から同じ対象のy座標、z座標を取得し、合わせて3D座標(x、y、z)を取得します。

この方法により個別土器毎の3D座標を正確に取得することができます。

昨年同じ作業をしましたが、そのときはBlender3D空間の中で図学的方法で手作業で同じ作業を行いました。作業が煩雑であるためグループ毎一括の作業となり、個別土器毎の作業とはなりませんでした。

2 阿玉台式土器12点の3D座標読み取り結果と3D空間プロット

2-1 阿玉台式土器12点の3D座標読み取り結果


阿玉台式土器12点の3D座標読み取り結果

2-2 有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器12点3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器12点3D分布モデル

阿玉台式土器12点…黄色CUBE

(CUBEの大きさは30㎝×30㎝×30㎝で表示)

阿玉台式土器の3D座標は発掘調査報告書グラフから計測

ガリー侵食地形面及び一般地形面は貝層断面図、貝層平面図から作成

等高縞模様は等高線に見立てるとおおよそ60㎝間隔

貝層断面図は発掘調査報告書から塗色の上引用

剥ぎ取り断面図は展示物3Dモデル及び上守秀明氏提供画像から構成

注記

No.1,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号28

No.2,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号25

No.3,阿玉台Ⅰb式,第2群土器,土器番号3

No.4,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号24

No.5,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号27

No.6,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号20

No.7,阿玉台Ⅱ式,第3群土器,土器番号15

No.8,阿玉台Ⅱ式,第3群土器,土器番号14

No.9,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号34

No.10,阿玉台Ⅰb式,第2群土器,土器番号4

No.11,阿玉台Ⅲ式,第4群土器,土器番号26

No.12,阿玉台Ⅳ式,第5群土器,土器番号51


有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器12点3D分布モデルの画像1


有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器12点3D分布モデルの画像2


有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器12点3D分布モデルの動画

3 予備検討

No.1~4はガリー侵食谷頭急斜面に位置することから、谷頭上部から急斜面に向かって投棄されたものと解釈できます。No.5、6は谷頭から投棄された土器が重力と流水の営力で流されたものと解釈できます。No.6は谷底基底面から出土していて、集中出土する加曽利EⅡ式土器はこれより上の貝層から出土しています。この様子から阿玉台式土器の投棄は加曽利EⅡ式土器集中投棄以前に投棄されたことが示唆されます。No.1土器は想定した谷頭急斜面より下から出土していて、谷頭急斜面の3D復元が間違っている可能性があります。

No.7は斜面貝層とその下の「崩落土層」の境付近から出土しているように観察できます。

No.8は貝層の最下部から出土しています。

No.9~12は貝層堆積域の外からの出土です。貝層が形成していた頃、あるいはそれ以前の頃の陸域からの出土です。No.12は地形面の下からの出土であり、この付近の地形面表現が曖昧であることを突きつけられます。この付近のガリー侵食基底面地形はわかりませんし、堆積地形も時間経過の中で変化し続けていると考えられます。この付近の地形面表現はしない方がよいのかもしれません。


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