私の散歩論

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2024年6月3日月曜日

儀礼について

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 1


About rituals

Study 1 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


Before starting my study of ritual archaeology, I studied rituals themselves. I realized that I had never really thought deeply about rituals. I realized that rituals, unlike spells or magic, are absolutely essential for the maintenance and reproduction of society, and that Jomon society was no exception.


儀礼考古学学習に入る前に、儀礼そのものについて学習しました。真正面から儀礼について思考を深めたことがなかったことに気づかされます。儀礼がまじないや呪術と異なり、社会の維持と再生産に絶対不可欠なもので、縄文社会も例外ではないと気が付きました。

● 学習方法

谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」(雄山閣)の学習を次のような方法で行うことにします。

序章→1章→・・・→終章の目次順番で学習します。

自分が咀嚼できて、一塊の興味を持つことができる範囲の感想を記事にします。必ずしも図書の目次単位やページ数に拘泥しないことにします。半ページの内容でも、興味が刺激されて深まれば、その感想を1つの記事にすることにします。

図書掲載事例に関連する情報を自分が所持している場合やweb等で入手できる場合、積極的に引用して学習を深めることにします。

学習技術的にはこの図書の電子版はないようなので、自分でスキャンOCR処理して、ページ画像を拡大してモニターで読み、必要な引用は別のテキストエディター画面からコピペで行います。

序章 儀礼考古学の現代的意義

1 儀礼への問題関心

(1) 儀礼と社会

「「儀礼」は社会的慣習によつて形式化された、もっとも人間らしい文化的行動である。個人間のコミュニケーションの中で取り交わされる挨拶や社交辞令、結婚式・卒業式・葬式などの人生儀礼、神仏への礼拝や宗教的な儀式・祭礼、国家や国家間でおこなわれる国事儀礼など、「儀礼」の範囲は非常に幅広く、人間の文化と社会に深く結びついている。また、儀礼と結びついた祝宴、接待、贈答なども普通にみられ、儀礼には経済的活動としての側面もある。

まじないや呪術は超自然的な神秘的な力を借りて個人的な願望を叶えようとするものである。儀礼はそのような利己的行為とは異なり、その本質は礼にあり、社会秩序を維持するために守るべき規範・礼儀作法である。

一定の形式に則っておこなわれる儀礼には、社会秩序を維持し人間関係を円滑にする大切なはたらきがある。

儀礼は、社会の維持と再生産に絶対不可欠なものとなっている。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・儀礼というものについて真正面から考えたことがほとんどなかったことに気づきました。この図書の最初にかかれている儀礼の意味について、深く理解せずして土偶や石棒やひいては縄文社会について的確な理解はできないことを直観します。

・自分は土偶や縄文社会に興味があるのですが、儀礼が現代社会で果たす役割についても、遅ればせながら、良く眺めて、その意義を検討したいと思います。

・儀礼とまじないとか呪術との違いをしっかり理解しておく必要があることに気が付きました。身体変工(イレズミや抜歯など)などは無意識的に呪術的行為だと考えていましたが、偏見的な間違いのようです。

参考 Wikipedia 儀礼

Wikipedia儀礼の項の儀礼の類型では次のような項目を列挙しています。(英語翻訳版)

●通過儀礼

通過儀礼は個人のステータスを移行させる儀礼イベントである。ここで言うステータスには「誕生」「思春期」「結婚」「死」などがある。

●暦的および記念的儀礼

暦的儀礼および記念的儀礼は一年の特定の時点を印づけたり、なんらかの重要なイベントから一定の時間が経過したことを印づけたりするものである。暦的儀礼は時間の経過に社会的な意味を与え、「週」「月」「年」といった再帰的なサイクルを作り上げる。一部の儀礼は季節的な変化に向けられており、太陽暦もしくは太陰暦にしたがって行われる。グレゴリオ暦を基準に見た場合、太陽暦にしたがう儀礼は毎年同じ日に行われる(たとえば1月1日の元旦)。

●交換と交感の儀礼

神的な諸力を讃え、喜ばせ、宥めるための各種の供犠や献具は、この類型に属している。初期の人類学者エドワード・バーネット・タイラーによれば、このような供犠は見返りを期待して行う贈与なのだという。

●苦難の儀礼

人類学者ヴィクター・ターナーの定義によれば、苦難の儀礼とは人間に不幸をもたらす霊を鎮める行為である。これらの儀礼には霊による占い(託宣を求めること)が含まれるばあいもあり、これによって原因が確定され、また癒し、浄化、悪魔払い、守護などのためにどの儀礼を行うかが確定される。経験される不幸としては個人的な健康の他に、旱魃や昆虫禍などのような広義の気候に関連した問題もある。

●饗宴、断食、祝祭の儀礼

饗宴や断食は苦難の儀礼においても行われるが、苦難の儀礼では神々がはっきりと儀礼に臨在しているのに対し、ここで饗宴と断食の儀礼と称するものにおいては、共同体がその基本的で共有された宗教的諸価値への支持を公に表明することが中心となっている。これにはたとえばイスラームのラマダンにおける共同体の断食、ニューギニアの豚の屠殺、カーニバルの祝祭、カトリックの改悛の行列などといった広範なパフォーマンスが含まれる。

●政治的儀礼

人類学者クリフォード・ギアツによれば、政治的儀礼は実際に権力を作り上げている。バリの国家についての彼の分析において彼が述べるところによれば、儀礼は政治権力の飾りではなく、政治的権力者の権力は儀礼を作り上げる能力にかかっている。儀礼において、王を頭に頂く社会的ヒエラルキーが自然で聖なるものと感じられるような宇宙的フレームワークが作り出されるのである。


全面赤彩された山形土偶頭部(千葉市内野第1遺跡)千葉市埋蔵文化財調査センター所蔵

写真は記事と関係ありません。

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