私の散歩論

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2024年9月21日土曜日

土偶と石棒の異質さ

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 19


The difference between clay figurines and stone rods


Study 19 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I learned about the difference between clay figurines and stone rods described in “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi. I intend to follow the pages and digest the author's idea that clay figurines are objects of prayer related to production and food, while stone rods show a connection to ancestral spirits and ancestral worship.


谷口康浩著「土偶と石棒」で記述されている土偶と石棒の異質さについて学習しました。土偶は生産や食に関連した祈りの対象であり、石棒は祖霊観念や祖先祭祀との関連性が窺えるという筆者の考えを、今後ページを追って、咀嚼するつもりです。

第1章 縄文時代の儀礼と社会

3 土偶と石棒-異質なシンボルと儀礼-

(1)土偶と石棒の異質さ

【抜粋】

「土偶は第二の道具の中でも出現期がもっとも古く、草創期末ないし早期初頭に出現し(原田1997)、それ以後、縄文時代を通じて多様な系統と型式を派生しながら発達した(原田2010)。近畿地方の大川・神宮寺式系押型文期や関東地方の撚糸文期に出現した発生期の土偶は、抽象的かつ小型ながらも女性をイメー

ジして作られている(図4)。現在のところ最古例となる滋賀県相谷熊原遺跡と三重県粥見井尻遺跡出土の土偶(草創期後半)にも乳房の表現があり、明らかに女性をイメージした造形である。豊穣や多産への祈りから生み出されたシンボルという解釈があるのも、女性の性徴を表現するその造形による。

「土偶」とはひとがたの土製品を総称する考古学上の分類であり、多様な型式・系統の違いを無視して縄文時代の土偶の性格や用途を一律に考えることはできないが、女性的な造形表現は土偶の根源的なイメージを読み取る重要な手がかりとなる。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

「女性的造形を土で表現する土偶に対して、男性の性徴を石で表す石棒がある(図5)。二つの異質な象徴は、形態や大きさが対照的であるだけでなく、出現年代がかけ離れている。石棒が出現するのは中期初頭であり、草創期に出現した土偶に比べると約5,000年も後出である。土偶の起源が古く縄文文化の形成期にさかのぼるのは、生命維持に直結する豊穣や多産への祈りが古くから先行しておこなわれていたからであろう。それに対し石棒の出現時期が新しいのは、後から発達してきた神観念や儀礼に関係していることを意味するものと考えられる。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

「土偶と石棒は、土と石という素材の物質性、女性と男性という性徴表現、サイズと重量の違いのいずれにおいても、異質さが際立つている。石棒には祖霊観念や祖先祭祀との関連性が窺え、家族や親族集団がおこなう集団的儀礼の性格が読み取れるが、土偶にはそうした性格は認めがたい。土偶の出現年代の古さからみても、人間生活にとってより基本的な祈りに関係したシンボル、とりわけ生命と生活を維持していくうえで欠かせない生産や食に関連した祈りの対象と考えるのが、やはりもっとも妥当であろう。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

土偶の遷移 谷口康浩著「土偶と石棒」から引用

石棒の諸形態 谷口康浩著「土偶と石棒」から引用

【感想】

・土偶は草創期に出現し、多様な型式・系統の違いがあるが、人間生活にとってより基本的な祈りに関係したシンボル、とりわけ生命と生活を維持していくうえで欠かせない生産や食に関連した祈りの対象であるという筆者の考えがよく理解できます。

・石棒には祖霊観念や祖先祭祀との関連性が窺え、家族や親族集団がおこなう集団的儀礼の性格が読み取れるという筆者の考えを今後咀嚼していくつもりです。


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