私の散歩論

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2024年11月5日火曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 楔形石器分布

Distribution of cuneiform stone tools in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of cuneiform stone tools in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound was created. They are distributed on both the upstream and downstream sides of the shell layer on the northern slope, and the downstream side is an interesting area where many ritual artifacts have been found, leaving a gap.


有吉北貝塚北斜面貝層の楔形石器の分布図を作成しました。北斜面貝層の上流側と下流側に分かれて分布し、下流側では儀礼的遺物多出域で空白となっていて、興味が生まれます。

 1 有吉北貝塚北斜面貝層 楔形石器分布

有吉北貝塚北斜面貝層 楔形石器分布

データ:発掘調査報告書

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3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 楔形石器


楔形石器の例(南斜面貝層出土例)

発掘調査報告書から引用

発掘調査報告書には北斜面貝層出土の楔形石器の実測図は掲載されていないようです。

2-2 分布の特徴

ガリー谷の上流側(画面左側)と下流側(画面右側)に分かれて分布しているように観察できます。下流側分布は中空部分があり気になります。この中空部分には儀礼的遺物が多出していますから、そこに実用道具の楔形石器が分布しないことは、「棲み分け」みたいな感じを受け分布上の興味が増します。今後の総合的な遺物分布検討が楽しみになります。

3 有吉北貝塚北斜面貝層 OEF分布

発掘調査報告書ではOEFとは楔形石器の形成に伴って作出された剥片のことであると説明されています。遺跡全体で、楔形石器は581点、OEFは1022点出土しています。しかし、北斜面貝層のOEF出土数は9点となっていて、異常です。これは本来の分布特性ではなく、調査における資料掲載もれとか、分類方法の途中変更などに起因している一種のミスであると考えます。

有吉北貝塚北斜面貝層 OEF分布

データ:発掘調査報告書

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3Dモデルの画像

4 有吉北貝塚北斜面貝層学習の再開における感想

短期集中学習としての千葉市人形塚古墳学習に10月一杯取り組みました。いつもののんべんだらりとしたブログ記事づくりとは違い、特段に学習を集中した結果、予期した以上の進展となり、次のステップまでしばらく活動を区切ることにしました。

そこで、1ヵ月間手を離れていた有吉北貝塚北斜面貝層学習に取り組み始めました。1ヵ月間の休憩の後の学習取組はかなり新鮮な感情でスタートすることができました。これまでは当面の作業が念頭から離れることがなく、作業連続の波に呑まれたような生活でした。しかし、1ヵ月ぶりに北斜面貝層学習に戻ってみると、学習方向がよく見え、学習意欲も強まり、物事の「できる」感が強まっています。

同時に、これまでは考えることなく出来ていた一連の実務作業が、空では思い出せません。作業ステップをもう一度メモして、確認して進めなければできません。これは仕方がないことです。

当面は次の実務作業を継続して、遺物台帳と発掘調査報告書掲載遺物リストを総合したデータベース作成を急ぐことにします。

●報告書掲載遺物リスト(石器関連)のデータベース化(postgreSQL作業)

・OCR作業

・postgreSQL作業

●報告書掲載遺物リスト(石器関連)のBlender棒グラフ作成

・「Excel名寄せ.py」を使ったグリッド別頻度分布資料作成

・「グリッド座標書き込み.py」を使ったグリッド頻度分布表に座標追記。

・Blenderで「CUBE配置90%1ステップ総数.py」を使った作図。

・Blenderで表題を「移動回転スケール変更.py」を使って配置。

2024年11月3日日曜日

千葉市人形塚古墳 当初形状復元模式モデル

 Chiba City Ningyozuka Tomb: Model of the original shape


I have studied the restoration of the original shape of the Ningyozuka Tomb in Chiba City, and based on the results, I have created a model of the restoration. There is an artificial space on the left and an upper terrace on the right, and the shape of the tomb is not completely symmetrical. The top of the front part is higher than the top of the rear circular mound.


千葉市人形塚古墳の当初形状復元を検討して、その結果により復元模式モデルを作成しました。左側に造出的空間が、右側に上段テラスがあり、古墳形状は完全な対称形になっていません。前方部墳頂の方が後円部墳頂より高くなっています。

1 千葉市人形塚古墳 当初形状復元模式モデル

千葉市人形塚古墳 当初形状復元模式モデル

垂直比率:×3.0


説明図

地図は沼澤豊氏作成「千葉市人形塚古墳企画図」を引用

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3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

千葉市人形塚古墳の当初形状復元を想定して、その模式モデルを作成しました。

左側には旧地表面を利用した造出のような空間があります。

テラスは前方部前面斜面には無いようです。右側には上段テラスがあり、埴輪展示の演出効果を高めています。

盛土は大きく2回に分けて実施され、その場所に小段が残されたようです。

前方部墳頂の方が後円部墳頂より高くなっています。


2024年11月2日土曜日

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 総括編」の観覧

 Visiting the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "This is E, That is E: Kasori E-type pottery, general edition"


I visited the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That is E, That is E: Kasori E-type pottery, general edition" to commemorate the 100th anniversary of the excavation. The pottery exhibits, explanatory panels, and explanatory pamphlets are very comprehensive. This is a rare opportunity for me to learn about Kasori E-type pottery.


発掘100周年を記念する加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 総括編」を観覧しました。土器展示、説明パネル、解説パンフレットがとても充実しています。自分にとってまたとない加曽利E式土器学習機会到来です。

1 土器展示

7つのショーケースを使って73点の土器が時期順を基本に展示されています。


会場入口


土器展示ショーケース


土器展示ショーケース

2 説明パネル

今回の企画展は過去とくらべて説明パネルの充実度が光っています。


説明パネル例

3 解説パンフレット


解説パンフレット表紙

無料で配布されている解説パンフレットに全展示土器写真とほとんどの説明パネルが掲載されていて、コンパクトな加曽利E式土器百科事典の様相を呈しています。とても充実していて、デザイン印刷もgoodです。

4 感想

今回の訪問は自分にとっては偵察的訪問であり、展示の状況を確認するためのものでした。3Dモデル作成用撮影は加曽利EⅡ式土器1点だけにとどまりました。今回観覧の結果を踏まえて、この企画展を活用した加曽利E式土器学習のイメージが出来上がりましたので、2025年3月2日終了までに数回訪問して、加曽利E式土器学習を深めることにします。

学習は次の手順で行うことにします。

ア 今回展示土器分類毎に展示土器をじっくり観察して、主要なものについて3Dモデルを作成します。

今回展示土器の分類

1 中峠類型

2 加曽利EⅠ式土器

3 加曽利EⅡ式土器

4 他地域影響土器(加曽利EⅡ式期)

4-1 大木系土器

4-2 連弧文土器

4-3 曽利式土器

4-4 折衷する土器

5 加曽利EⅡ~Ⅲ式土器

6 加曽利EⅢ式土器

7 加曽利EⅣ式土器

8 加曽利EⅤ式土器

9 (参考)北白川C式

イ 過去「あれもE…」企画展で作成した3Dモデルを今回土器分類で整理します。

ウ 加曽利EⅡ式土器からEⅢ式土器への移行変化について特段に詳しく観察します。(有吉北貝塚北斜面貝層学習に結びつけるため。)


2024年10月ブログ活動のふりかえり

 Looking back on blog activities in October 2024


I looked back on the activities of the blog "HANAMIGAWA RYUIKI wo ARUKU" in October 2024.

My activities in October were almost entirely focused on learning about Ningyozuka Kofun in Chiba City. I used a 3D model created from a contour map of the kofun as a tool to carry out my learning. I was lucky to come across Yutaka Numazawa's research into the restoration of kofun design principles. I even reached the point of starting to consider the 3D model of the restoration.


ブログ「花見川流域を歩く」の2024年10月活動をふりかえりました。

10月活動は、千葉市人形塚古墳学習にほぼ終始。古墳等高線図から作成した3Dモデルをツールに学習を展開。沼澤豊さんの古墳設計原理復元研究に出会えラッキー。復元3Dモデルの検討入口まで到達。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2024年10月の記事数は28です。

・千葉市人形塚古墳等高線図から3Dモデルを作成して、それをツールに沼澤豊さんの古墳設計原理復元研究の学習を深めました。沼澤豊さんの手によって24等分値という当該古墳の基準スケールが明らかになり、それをもって説明された千葉市人形塚古墳形状の歯切れの良さに感動しました。ぐにゃぐにゃの等高線図から24等分値で構成される古墳諸元が抽出される様子は魔法のようです。

・千葉市人形塚古墳から出土した地割線の意義について、空中写真判読や3Dモデル検討から、発掘調査報告書や沼澤豊さんの見解と微妙に異なる結論が得られたプロセスを大いに楽しみました。

・ウズベキスタン関連記事を6編書きました。

・儀礼学習記事を1編書きました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事を2編書きました。

3 2024年10月活動の特徴

3-1 千葉市人形塚古墳学習

千葉市人形塚古墳学習を短期集中で取り組みました。沼澤豊さんの論文「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」(2008、千葉県教育振興財団文化財センター「研究連絡誌」)に出会えて、その先端的研究を学習できたことはラッキーでした。幸先のよい学習スタートとなりました。この論文で得た知識(24等分値=当該古墳の基準スケール)を垂直方向にも援用して復元3Dモデルの検討入口まで到達できました。

3-2 他の学習

有吉北貝塚北斜面貝層学習は人形塚古墳学習に席を譲り休みました。

儀礼学習および展示物3Dモデル作成活動を行いました。

4 2024年11月活動の展望

4-1 千葉市人形塚古墳学習

千葉県教育庁森宮分室に許可申請している空中写真閲覧が実現すれば、空中写真分析を行い、古墳形状等の認識を深め、古墳の当初形状復元3Dモデルを作成することにします。短期集中学習をまとめることにします。

4-2 有吉北貝塚北斜面貝層学習

古墳学習で獲得した等高線から地形3Dモデルを作成する技術を利用して、地山等高線図を3Dモデル化して、北斜面貝層の器形状の理解を深めることにします。貝層分布(セクション図情報)の3Dモデル化のあり方について検討します。

4-3 儀礼学習

儀礼学習を継続します。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2024年10月記事 〇は閲覧の多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」


2024年10月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2024年10月 YouTubeに投稿した動画


2024年10月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像