第4部 下総台地形成に遡る その26
勝田台オタマジャクシ状凹地の地質柱状図をみて、その凹地が湖沼跡であり、湖沼であったために地殻変動の姿は増幅されて地形に表現されていることがわかりました。
牧の原オタマジャクシ状凹地についても同じことが言えるのか、早速しらべてみました。
結果は、牧の原オタマジャクシ状凹地も勝田台オタマジャクシ状凹地と全く同様の地質となっており、双方を同じ地形(オタマジャクシ状凹地)と分類したことが正しいと判明しました。
牧の原オタマジャクシ状凹地も下末吉海進が海退に転じ、離水した後に、地殻変動により湖沼が形成され、最近まで(※)湖沼環境が継続したのではないかと考えることができました。
※ 地史的な意味での最近です。恐らく最終氷期頃(1.8万年前頃)に湖沼環境が壊れたのではないかと想像します。
1 牧の原オタマジャクシ状凹地付近のボーリングデータ
牧の原オタマジャクシ状凹地付近には次の図の示すように多数のボーリングデータが存在しています。
牧の原オタマジャクシ状凹地付近のボーリングデータ
千葉県地質環境インフォメーションバンクの分布図と地形段彩図のオーバーレイ図
これらのデータを悉皆的に検討すれば、牧の原オタマジャクシ状凹地の詳しい地史や環境が判ると思います。
これらのデータをパソコン上で次々に見たところ、牧の原オタマジャクシ状凹地の地形に対応して、凹地中央ではローム層はほとんど現れず、凹地縁辺部の微高地(凸地)ではローム層が現れることが判りました。
そこで、とりあえずの検討として、事例的に6つの地質柱状図を抽出することにしました。
2 地質柱状図例の位置とデータ
オタマジャクシ状凹地中央部の3点と縁辺部3点の地質柱状図例位置とそのデータを示します。
地質柱状図例の位置
地質柱状図例
オタマジャクシ状凹地縁辺部の微高地では常総粘土層の上部にロームが積もり、下総上位面の一般的地層を示しています。
一方、オタマジャクシ凹地中央部ではローム層がほとんど見られません。この解釈は、勝田台オタマジャクシ状凹地での検討と同じく、この場所が永らく流下性の湖沼であったため、降った火山灰が流されてしまったと考えました。
牧の原オタマジャクシ状凹地も、地殻変動により凹地ができ、その場所に水が溜まって湖沼となったと考えま。
そして、その姿が永らく継続して、周辺陸地では火山灰が積もり、湖面部分は火山灰が流され、地形の凸凹が増幅されていったものと考えます。
勝田台オタマジャクシ状凹地では凹地中央部のボーリングデータは1つだけでしたが、牧の原オタマジャクシ状凹地ではボーリングデータが多数あるので、時間とパワーを投入すれば詳しい堆積環境等の情報を得ることが可能だと思いました。
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