私の散歩論

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2014年11月20日木曜日

事例「Head-Smashed-In Buffalo Jamp」の威力

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.2旧石器時代の移動路>3.2.26事例「Head-Smashed-In Buffalo Jamp」の威力

2014.08.09記事「「花見川地峡成立の自然史-仮説的検討」をふりかえる」でそれまでの地形検討を切り上げ、2014.08.10記事「「シリーズ 花見川地峡の利用・開発史」の検討方針」から考古歴史の話題について取り組み出しました。

それから100日たちましたので、一度振り返って、自分の興味の変遷及び当初記事予定と実際記事との乖離について確認しておき、今後の趣味活動(記事作成活動)の参考として記録しておきます。

1 当初予定
次のような目次をつくり、「1縄文弥生時代の交通」からスタートするつもりでした。
1 縄文弥生時代の交通
2 〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路
3 牧の境界
4 享保・天明・天保の印旛沼堀割普請
5 明治~戦前期の土地利用
6 本土決戦
7 戦後印旛沼開発

2 実際の記事作成の流れ
2-1 ウォーミングアップの必要性痛感
縄文弥生時代の交通について検討を始めたのですが、考古歴史の基礎知識がきわめて虚弱な自分の現状を考えるとウォーミングアップする必要性を最初に痛感してしまいました。

学校の勉強や研究、会社の仕事としての調査研究なら与えられたテーマに取り組まないで、とりあえずウォーミングアップの学習をしますという訳にはいきません。
しかし、自分の知的好奇心を満足させる趣味活動ですから、いくらでもウォーミングアップができます。

そこで、最初に考えたのは、以前千葉県教育委員会から教えていただいた「ふさの国文化財ナビゲーション」からダウンロードできる遺跡情報をいじってみて、千葉県の考古歴史について自分なりのイメージをつくっておこうというものでした。

自分の学習法は「図書を読む」「文献から情報を得る」という方法より、「図書・文献に掲載されているデータをいじって確かめてみる、著者が行っていない分析を自分でしてみて新たな情報を引き出してみる」という方法の方が性に合っています。

2-2 時代別市区町村別遺跡密度図の作成と考察
最初は時代別遺跡数を市区町村別に集計して遺跡密度図を作成するという作業をしました。
旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、奈良時代、平安時代別に遺跡密度図を作成すると、自分が想像していた以上の学習ができます。また、「千葉県の歴史」(千葉県発行)などの記述の意味を分布図で確かめることが出来るとともに、図書に記述されていないことも示唆されイメージを持てることもあります。
単なる分布図作成作業を越えた価値のある学習ができたという実感を得ることができました。

2-3 アドレスマッチング
通常ならウォーミングアップはここまでです。しかし、千葉県の全19000件の遺跡データ(エクセルデータ)を手元に置いて、これを地図上にプロットしたいという強い欲望が生じました。
全19000件のデータを効率的にプロットする方法考えている時、アドレスマッチングという方法があることに気がつきました(思い出しました)。
気が付けば、単純な操作でできますから、即座に時代別遺跡擬似プロット図をつくることができました。
そこで時代別の遺跡擬似プロット図の考察を始め出したのです。

2-4 ヒートマップ分析(カーネル密度推定)
アドレスマッチングによる遺跡ドット図はプレゼンテーション的には迫力がありますが、その分布図から有用な情報(密度情報)を引き出すということは実はかなり困難であることに気がついて、思案している時、カーネル密度推定(ヒートマップ分析)という方法があることに気がつきました(思い出しました)。
アドレスマッチングによる遺跡擬似プロット図のヒートマップを作成すると、ドット位置の擬似性(不正確性)が見かけ上大幅に除去できるということもわかり、時代別遺跡 ヒートマップ図は時代別遺跡密度図として有用なものであることがわかりました。
時代別ヒートマップを比較することにより、各時代の特性をあぶり出すことができたと考えます。
本来検討(縄文弥生時代の交通)のためのウォーミングアップですが、それ自体が意味のある検討であるとも感じましたので、「縄文弥生時代の交通」と同格の目次項目「埋蔵文化財データに基づく地域特性基礎検討」をつくり、その場所に関係記事を移動しました。(ブログ記事再掲サイト「花見川地峡-メモ・仮説集-」参照)
ウォーミングアップ活動が高じて、一つのテーマ活動になってしまったのです。

この活動の中で、かねてから趣味活動上の懸案事項であったフリー高機能GISソフトであるQGISの実運用にこぎつけることができました。QGISの操作をある程度自由に行えるようになりたいという技術的欲望を、初歩的で少しだけですが満足させることができました。

2-5 Head-Smashed-In Buffalo Jamp
そうした記事を作成している時期に、たまたまカナダ旅行中、アルバータ州にHead-Smashed-In Buffalo Jampという遺跡があることを知り、強い印象を受けました。日本の旧石器時代狩方法検討の参考になるのではないだろうかと考えました。
この事例から強い刺激を受けたため、ヒートマップ分析の後「縄文弥生時代の交通」に取り組むのではなく、急遽「旧石器時代の移動路」という項目をつくり、旧石器時代の学習活動を始めました。
そして、「千原台ニュータウンⅩ-市原市草刈遺跡(東部地区旧石器時代)-」(平成15年、財団法人千葉県文化財センター)という詳細な旧石器時代遺物集中地点データ集を知り、そのデータをいじることができました。
データにより、自分が想定した(仮説した)狩方法を説明することができたと考えます。
事例「Head-Smashed-In Buffalo Jamp」が私を草刈遺跡データの分析に駆り立て熱中させたその威力に自ら感動しています。

Head-Smashed-In Buffalo Jampのイメージ

3 今後の活動
この100日間の活動をふりかえると、結局最初に取り組むべき「縄文弥生時代の交通」についてほとんど手がついていない状況を確認します。
また、新項目「旧石器時代の移動路」も八千代市の事例検討や移動路そのものの検討がこれからです。

こうした状況ですが、「旧石器時代の移動路」の残りの検討、「縄文弥生時代の交通」の本体検討は近々行うこととし、次の記事から「〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路」に取り組むこととします。

当初つくった目次の順番通りに作業を進ませるということよりも、自分の興味が強いものを優先する方が、結果として質の高い記事を作成できるに違いないと考えます。

自分が花見川流域や下総台地や千葉県を対象にした考古歴史のパッチワークをつくっていて、あちらの検討継ぎ接ぎをつくったら、次は隣ではなく、全然別の場所の検討継ぎ接ぎをつくるというイメージを持っています。

継ぎ接ぎの素材が沢山できれば、最後に完成品としてのパッチワークをつくる時、味わいのあるものが出来るというものです。

手芸パッチワークのアナロジーで自分の趣味活動を捉えると、学校や会社などの組織が考える活動(仕事)のあり方(順番)に縛られることが少なくなりますから、趣味活動が楽しくなり、その産物も充実すると思います。



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