私の散歩論

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2018年11月30日金曜日

参考 旧石器と縄文遺跡数の県別3D表示

2018.11.29記事「考古遺跡お国自慢 千葉県・千葉市は貝塚数日本一」で貝塚数を示したように、都道府県別統計をGoogle earth proの画面で3D表示するスキルを獲得できました。このスキルを使って都道府県別旧石器時代遺跡数と縄文時代遺跡数を3D表現してみました。

1 都道府県別旧石器時代遺跡数

都道府県別旧石器時代遺跡数

都道府県別旧石器時代遺跡数

参考 地図表示(MANDARAによる)

参考 統計

旧石器時代統計について私の場合は、通常の地図表示よりも3D表示した方がはるかに豊かなイメージ(発想、空想、連想)を持つことができます。
例えば、「列島北に大陸から旧石器時代人がやってきてそこで生活する。列島南の北九州に半島から旧石器時代人がやってきてそこで生活する。その双方の旧石器時代人が列島中央の関東で巡り会い、関東の広大な台地を舞台に種族が繁栄する。」というような空想を3D表示からすることができました。
通常の地図表示ではこのような空想を生み出すには相当強いエネルギー投入が必要になります。
3D表示すると色だけでなく凹凸で統計量の差が強調されてより直観的にわかります。また列島だけでなく周辺の衛星写真が表示されるので、統計量を東アジアの位置関係のなかで観察できます。
学習を深める、興味を深める、学習活動における満足感や充実感を増進させる上で3D統計地図は重要なツールになりそうです。

2 都道府県別縄文時代遺跡数

都道府県別縄文時代遺跡数

都道府県別縄文時代遺跡数

参考 地図表示(MANDARAによる)

参考 統計

縄文時代遺跡数が列島の東に偏っている理由について、3D統計地図から様々な空想をすることができます。いろいろな事柄を調べてみたくなります。

2018年11月29日木曜日

考古遺跡お国自慢 千葉県・千葉市は貝塚数日本一

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 8 考古遺跡お国自慢

1 都道府県別貝塚数
2018.11.19記事「千葉県貝塚 自治体別集計」で千葉県遺跡DBの貝塚数を自治体別に集計してみました。その時は「遺跡DBの内容につて自治体別に集計する必要性は自分の学習では少ないと考えます。しかし絶無とは考えられないので、貝塚について集計してみました。」と書きました。
しかしその後、自分の狭い意味での学習興味とは別に考古遺跡に関するお国自慢みたいな興味のあり方もあることに気が付きました。
貝塚数という指標に注目して都道府県別に集計すると、全国で千葉県がダントツの1位になります。

都道府県別貝塚数

都道府県別貝塚数
縄文時代貝塚文化の列島における中心が千葉県であると言い切ることができます。
千葉県というくくりで、他の都道府県にはばかることなくお国自慢できます。
現代行政組織としての千葉県や千葉県民が特別偉いわけでも何でもありませんが、「貝塚数全国一」は文化にかかわる地域おこしの素材として利用できると思います。

参考 県別貝塚数

2 千葉県自治体別貝塚数
貝塚数を千葉県内で市町村別に集計すると、千葉市がダントツの1位になります。

千葉県市町村別貝塚数

千葉県市町村別貝塚数
都道府県別にみて貝塚数は千葉県がダントツの1位であり、その千葉県内で千葉市がダントツの1位になります。
千葉市というくくりで、他の県内市町村にはばかりながら、密かにお国自慢できます。
千葉市や千葉市民が県内で大声でお国自慢することは少し品がありませんが、統計数字を否定することは決してできませんから、それとなくオブラートに包んで、しっかりとお国自慢することはできそうです。

参考 千葉県 自治体別貝塚数

3 感想
考古歴史に関して、学習や研究といった学術指向の興味だけでなく、地域おこしや観光資源といった観点からの興味のありかたもあり得ることに気が付きました。
千葉県や千葉市は、縄文時代貝塚文化の学習研究フィールドとして特別重要であり、貝塚文化学習研究のメッカであると一般国民や世界の人々が認識し、来訪するようにならなければいけないと思います。

2018年11月28日水曜日

千葉県貝塚 遺構遺物検索例(人骨)

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 7 遺構遺物検索例(人骨)

千葉県遺跡DBにおける貝塚755件の遺構遺物欄記載を「人骨」で検索してみました。DB遺構遺物欄活用例として検索したものです。

1 人骨出土貝塚
人骨出土貝塚は36件で貝塚全体(755件)の約5%となります。
地形別にみると台地に立地する貝塚がほとんどですが、低地の貝塚から人骨が出土している例もあります。

千葉県 人骨出土貝塚

千葉県人骨出土貝塚 地形立地分類
・低地2件は茂原市の渋谷貝塚と下太田貝塚で、下太田貝塚は時代「縄文(中・後・晩)」で遺構遺物概要が「貝層、獣骨層、土器包含層・縄文土器、石器、土偶、骨製品、人骨200体以上、赤色顔料粒子、植物種子、植物遺体」となっていて人骨200体以上という特段に注目すべきものとなっています。低地立地貝塚で人骨出土した例は特別な考察が必要な事例のようです。
・台地貝塚から人骨が出土している事象は貝塚が集落における埋葬場所であったことを示していると考えます。

2 人骨出土貝塚の分布特性
下に千葉県 貝塚地形立地分類を示します

千葉県貝塚 地形立地分類
この図と1に示した千葉県人骨出土貝塚地形立地分類をくらべると、貝塚が密に分布するところと人骨出土貝塚が密に分布するところがほぼ一致します。
その分布一致の様子はヒートマップ(カーネル密度推定)を対照すると一目瞭然です。

千葉県人骨出土貝塚ヒートマップ(カーネル密度推定)

千葉県貝塚ヒートマップ(カーネル密度推定)

3 考察
・貝塚が密に分布する場所に人骨出土貝塚が密に分布するのですから、一般論としては貝塚が埋葬の場に使われるという文化が分布図に表現されていると言えそうです。
しかし、人骨出土貝塚の分布は貝塚全体の分布と比べてかなり極限されています。この様子から、貝塚に人骨を埋葬するという風習が限定された時期のものであるなど、限定条件が存在しているように想像します。
・貝塚から人骨が出土して、それが発掘調査報告書等に記載されている遺跡の総数のうち、DB検索(「人骨」)でヒットする貝塚(36件)の割合がどの程度のものであるか、まだ情報を持っていません。
・人骨出土貝塚の中に大膳野南貝塚が含まれていません。これはDB出典(ふさの国文化財ナビゲーション)における内容面更新に限界があることを示しています。遺跡データベースの内容を発掘報告書発行に従って順次更新するという本来のデータベース管理作業はおそらく不可能に近いことであると理解します。

2018年11月27日火曜日

千葉県貝塚 立地分類

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 6 立地分類

千葉県遺跡DBにおける貝塚755件の立地欄に記載されている地形立地を分類して統計と分布図を作成してみました。

1 千葉県貝塚 地形立地分類

千葉県貝塚 地形立地分類
地形立地を山地、丘陵地、台地・段丘、台地斜面、低地微高地、低地、不明の7つに分類して統計をとると、山地と丘陵地合計は12(1.6%)、台地・段丘と台地斜面の合計が656(86.9%)、低地微高地と低地の合計が75(9.9%)、不明12(1.6%)となります。台地に立地している貝塚が圧倒的に多いことがわかります。台地に立地する貝塚は集落と対応する場合がほとんどであると考えられます。一方、低地(微高地)に立地する貝塚には現場出先作業場などの特別の意味があると考えられ、台地立地貝塚とは異なる意義があると考えられます。

2 千葉県貝塚 地形立地分類の分布

千葉県貝塚 地形立地分類
台地立地貝塚(貝塚集落)と低地立地貝塚(現場作業場)の関係という観点でこの図を眺めると、東京湾岸、古鬼怒湾、九十九里、房総南端で異なる特性があるかもしれないという思考が生れます。それが海退に伴う地形特性の違いに起因するものであるのかどうか、興味が湧きます。
この図から縄文時代貝塚だけを抜き出すと次の図になります。

千葉県縄文時代貝塚 地形立地分類
縄文時代の貝塚集落と海浜現場出先作業場の関係は東京湾岸と九十九里では異なっているように感じれらます。台地立地貝塚数と低地立地貝塚数の比が大きく異なります。またその距離も大きく異なります。漁労の仕方が異なっていたと考えることができそうです。

3 感想
・遺跡DB情報を使って遺跡と地形立地との関係で考察すると遺跡のさまざまな特性をあぶり出すことができると考えます。
・遺跡DBの立地記述はすべてそのまま正確である保証はありません。引き写した情報をフィルターを通して吟味し、正確なものに修正する必要があります。情報をすべてGIS上で観察操作できるので、この作業は困難ではありません。

2018年11月26日月曜日

千葉県貝塚 文献の有無

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 5 文献の有無

千葉県遺跡DBにおける貝塚755件の文献欄に文献の記述があるかどうかカウントしてみました。文献欄に文献の記述があるということはDB記述以上の遺跡調査結果記述が存在しているということであり、情報をたどればその記述を図書館等で閲覧して学習できる可能性があります。一方、文献欄に記述がないということはDB記述以上の遺跡情報が存在していないことになります。

1 貝塚の文献の有無

千葉県貝塚及び遺跡の文献の有無
貝塚(755件)と遺跡全部(20130件)について文献の有無を調べたところ、貝塚は全体の57%にあたる428件に文献があり、遺跡全体でみると31%にあたる6177件に文献があることがわかりました。
遺跡全体より貝塚の方が文献がある率が約2倍となります。これは遺跡の中でも貝塚が人々や研究者の興味を引いてきていることを示しています。遺跡全体のなかでも貝塚に対する調査が進み情報が多いことがわかります。

2 貝塚文献の有無分布

千葉県貝塚 文献の有無
貝塚の文献有無の分布をみると文献無貝塚が多い空間が偏在していることがわかります。特に九十九里につくられた貝塚に文献無がめだち、この貝塚には「弥生時代以降」のものも少なからず含まれています。富津君津付近や千葉県北西端付近にも文献無がめだちます。このことから、文献無貝塚が多い空間付近の文献有貝塚の情報価値が大きいことがわかります。
貝塚の学習をする上では読み切れないほどの(それ以前に収集できないほどの)文献があり、学習素材不足ということは全く考えられません。
逆に多量の文献をいかに収集し、いかに効率的に解読するか。あるいは文献重要性評価を適性に行い、学習すべき文献の絞り込みをいかに行うかということが重要な学習技術となりそうです。
遺跡DBの情報を踏まえて、つまり20130遺跡の情報の存在を十分に意識し、有効活用しつつ考古歴史の学習を進めることにします。

2018年11月25日日曜日

千葉県貝塚 大枠時代別集計とその分布

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 4 大枠時代別集計とその分布

千葉県貝塚遺跡を大枠の時代別集計をして、その分布を概観してみました。

1 貝塚の大枠時代別集計

千葉県 種別「貝塚」を含む遺跡の年代別集計
種別に貝塚が含まれる遺跡の時代を「縄文時代だけ」「縄文時代と弥生時代以降」「弥生時代以降」の3区分してみました。遺跡には貝塚だけでなく他の種別(例 包蔵地、集落跡…)も含まれている場合がありますから、遺跡の時代は貝塚形成の時代とは限りません。しかし統計大勢的な意味で貝塚形成年代を推察できる資料にはなると考えます。
「縄文時代だけ」の貝塚遺跡が434、「縄文時代と弥生時代以降」が227で合計661(88%)ですから貝塚のほとんどが縄文時代に存在していたことになります。「弥生時代以降」の貝塚遺跡は79で全体の約10%となります。
なお、参考までに貝塚遺跡から旧石器時代遺物が出土した遺跡の数は75となります。
年代別集計結果を地図にプロットして、分布面からの特徴があるか観察してみました。

2 年代別集計結果の地図プロット

千葉県 種別「貝塚」を含む遺跡 年代 縄文時代だけ

千葉県 種別「貝塚」を含む遺跡 年代 縄文時代と弥生時代以降
「縄文時代だけ」と「縄文時代と弥生時代以降」遺跡分布の大要は類似しているように観察できます。しかしその二つを比較するとある顕著な特徴が現れます。

千葉県 種別「貝塚」を含む遺跡 年代 弥生時代以降
「弥生時代以降」の分布をみると、東京湾付近では干潟に立地するものはありません。ところが九十九里では干潟の砂洲に立地するものがあります。貝塚の分布範囲が「弥生時代以降」に明瞭に拡大しています。貝塚を形成した縄文人の末裔は「弥生時代以降」になると東京湾では以前と同じ場所で居住したり、貝塚を形成しましたが、九十九里では縄文時代の貝塚付近の場所を捨てて干潟に進出して新たな貝塚を形成する場合が多くみられたと言える可能性があります。検討に値する現象を見つけることができました。

千葉県 種別「貝塚」を含む遺跡 年代 年代別地図の重ね合せ
地図が小縮尺のため明瞭とは言えませんが、貝塚が集中している市川-松戸付近と千葉市付近をくらべると千葉市付近の方が貝塚全体に占める「縄文時代と弥生時代以降」の割合が多いように感じられます。図のオーバーレイは赤(「縄文時代だけ」)が上、黄色(「縄文時代と弥生時代以降」)が下になっていますが、市川-松戸付近では黄色が隠れてしまいますが、千葉市付近では黄色が目立ちます。
千葉県の縄文時代で貝塚が特に集中した場所2箇所のうち千葉市付近の方が弥生時代以降になってもその貝塚付近が集落として継続している割合が多かったという仮説が浮かび上がります。この仮説が正しいかどうか大いに検討する価値があると思います。
千葉市付近の縄文人集落の特徴が縄文語で語り継がれて地名「千葉」が生れたという「地名「千葉」は縄文語起源 梅原猛仮説」を検討している現在、千葉市付近で貝塚遺跡の多くが弥生時代以降も集落等として存続していたという事実は大変興味が湧きます。

千葉県 種別「貝塚」を含む遺跡 参考 旧石器時代を含む
多くの事例が旧石器時代遺跡の場所に後年にたまたま貝塚が形成されたものであると考えます。しかし、場合によっては旧石器時代から縄文時代草創期・早期に貝塚が形成されるまで継続して旧石器時代人→縄文時代人が生活に利用していた場所であることが想定できる遺跡が含まれているかもしれません。その可能性のある遺跡を個別に検討してみる学習上の価値はあると考えます。

3 感想
貝塚を対象に遺跡DBの年代大枠を分析しただけでも興味のある事象を複数見つけることができました。さらに貝塚を対象に縄文時代を細分化して分析すれば貝塚文化変遷検討に関わる基礎資料を得ることができると考えます。

2018年11月24日土曜日

千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定)

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 3 ヒートマップ(カーネル密度推定)作成

千葉県貝塚755のうち位置情報のあるもの748をQGISにプロットし、ヒートマップ(カーネル密度推定)を作成してみました。

1 千葉県貝塚のプロット

千葉県貝塚のプロット

2 千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定)の作成
どのような色合いのものが貝塚分布の粗密をより直観的に分りやすく表現することができるか、幾つかの例を作ってみました。

千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定) 例1

千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定) 例2

千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定) 例3

千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定) 例4
輪郭線を入れてみました。

千葉県貝塚分布 ヒートマップ(カーネル密度推定) 例5
輪郭線を入れてみました。

3 感想
地図表現技術的には輪郭線を入れた方が色の変化や濃密だけより、より密度分布の様子を直観できるようです。
貝塚学習の本来の興味である、なぜ貝塚分布に粗密があり、密な地域はどのような条件をそなえているのかということは追って近々本格的に取り組むことにします。この記事では市川市から松戸市にかけての一帯が千葉県で最も密度が高く、千葉市中央区・若葉区・稲毛区・花見川区の一帯がそれに次いで密度が高くなっていることを押さえておくことにとどめます。

2018年11月19日月曜日

千葉県貝塚 自治体別集計

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 3 貝塚の自治地別集計

貝塚を自治体別に集計し、それを3Dグラフで表現してみました。

1 貝塚の自治体別集計

貝塚の自治体別集計

千葉県自治体別貝塚数

2 貝塚自治体別数の3Dグラフ

貝塚自治体別数の3Dグラフ A

貝塚自治体別数の3Dグラフ B

3 検討課題
遺跡DBの内容につて自治体別に集計する必要性は自分の学習では少ないと考えます。しかし絶無とは考えられないので、貝塚について集計してみました。その結果、遺跡DBに自治体コード欄をもうけることが必須であることがわかりました。現状では検索抽出されたレコードを所在地でソートして手作業で集計することが必要であり、この作業は極めて非効率的です。自治体別集計をしてみて課題が浮かび上がり、よかったと思います。
自治体別3Dグラフが必要になる場面がどれだけあるか、現状では不明です。しかしそれを比較的簡便につくる方法を確認することができました。

2018年11月16日金曜日

千葉県貝塚 水系別分布

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 2 貝塚の水系別分布

貝塚の水系別分布を概観してみました。

1 貝塚の水系別分布

貝塚の水系別分布
奥東京湾岸・東京湾岸水系に立地する貝塚が密集して分布して最も数が多く見えます。ついで古鬼怒湾水系に分布するものが多く、九十九里・太平洋岸水系に立地するものが少なくなっています。

水系別分布は次の水系図を参考に類別しました。

水系図
古鬼怒湾岸水系(鹿島川など)の上流部に立地する貝塚の中には分水嶺をこえて貝が東京湾からもたらされたものがあります。

2 水系別貝塚数

水系別貝塚数
奥東京湾岸・東京湾岸水系貝塚は468で全体(748)の62.6%をしめます。古鬼怒湾岸水系貝塚は179で全体の23.9%になります。九十九里・太平洋岸水系貝塚は101で全体の13.5%をしめます。

3 検討課題
水系別貝塚数に顕著な差異があり、その差異の理由を分析して説得力のある説明ができるようにすることが重要な学習上の検討課題になると考えます。
食料となる貝の分布状況、採取活動のしやすさ、漁労活動の場が狩猟活動と両立できる地理的位置条件を具備しているかどうか…などの条件を抽出して分析することが課題です。
なお、これらの検討条件の重要な一つとして、「海の向こうに交流・交易できる有力な相手がいるかどうか」というコミュニケーション、交通条件の検討が極めて大切であると以前から強く考えています。奥東京湾岸・東京湾岸水系貝塚を形成した縄文人は東京や神奈川の縄文人と交流したに違いありません。相互の人的移動もあったに違いありません。古鬼怒湾岸水系貝塚を形成した縄文人は茨城の縄文人と交流したに違いありません。九十九里・太平洋岸水系貝塚を形成した縄文人は海を経由して東北や伊豆方面の縄文人と交流していたか?

2018年11月14日水曜日

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 貝塚のプロット

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 1 貝塚のプロット

千葉県遺跡DB作成作業がだんだんと形になってきています。作業の合間にDBのデータをいじってみてどのように使えるか予備的な検討をしたいと考えています。
遺跡種別に「貝塚」と記載されているレコードが755ありますので、それを抜き出して、DBの利用方法についてシリーズで検討します。(貝塚そのものの検討は改めて行います。)
この記事ではデータのプロットの確認をします。

1 千葉県貝塚のプロット

千葉県貝塚の分布
遺跡種別「貝塚」レコード755件のうち位置情報がないもの(公開されていないもの)が7件ありますから、実際は748遺跡のプロットとなります。
自分の記憶では千葉県貝塚全部のプロット図を見た覚えはありません。時代別貝塚分布図は「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」の貝塚の項に8枚にわたって掲載されていますが、総集編地図はありません。自分にとってこの図ははじめて見る図として意義があります。同時に内容面(分布面)で太平洋岸の分布で新たに気になることが生れました。九十九里の海浜部に貝塚があることをはじめて知りました。その時代について興味がわきます。鴨川方面太平洋岸にも貝塚が散見され興味を引きます。
このプロット図を拡大縮小しながら千葉県全体を見回すと、最も貝塚密度が高いのは市川付近であると感じられました。

千葉県貝塚の分布 市川付近
市川付近を含む画面で遺跡名を表示させてみました。遺跡名とその位置が正確であることを確認できました。

2 属性テーブルの表示
今回は現在までに作業した千葉県遺跡DBの全項目をQGISにとりこみました。

QGIS属性テーブルの表示
確かにQGISに千葉県遺跡DB項目が取り込まれていることが確認できます。
QGISラベル機能を利用してこれらの項目を遺跡名と同じように分布図上に表示することができます。

2018年11月10日土曜日

日本遺跡概要 2

2018.11.08記事「日本遺跡概要 1」で作成した県別遺跡数グラフを分布図に変換してみました。
分布図変換アプリは地理情報分析支援システムMANDARA10を利用しました。色分けの区分はアプリによる自動区分によりました。

1 総遺跡数

総遺跡数
千葉県が全国2位であり、かつ東日本のなかではダントツの1位であり、千葉県の「歴史濃度」がとても濃いことがわかります。

2 旧石器時代集落跡・散布地数

旧石器時代集落跡・散布地数
千葉県は全国3位であり、東京都1位、神奈川県7位、埼玉県9位などが含まれる関東圏が全国でも有数の旧石器時代人生活域であったことがわかります。

3 縄文時代集落跡・散布地数

縄文時代集落跡・散布地数
千葉県は全国4位であり縄文人が好んで生活した場所であることがわかります。1位岩手県、2位北海道、3位長野県の面積は千葉県より広いので、単位面積あたり遺跡数を集計すれば千葉県の縄文遺跡密度はそれらの県よりも上位になると推測します。

4 貝塚数

貝塚数
千葉県がダントツの1位であり、貝塚文化は千葉県が中心に展開したと考えて間違いないと思います。貝塚学習に関して千葉県は申し分のないフィールドです。

5 古墳・横穴数

古墳・横穴数
千葉県は4位となりますが、東日本ではダントツの1位になる点に着目します。古墳時代には東国開拓・進出の前線拠点として上総・下総が中央から見て重要な地域であったことを物語っていると考えます。

6 感想
旧石器時代、縄文時代、古代で千葉県(という現在行政区域が存在する房総半島とその周辺域)が列島全体の視点からみて枢要な役割を果たした地域であることが分布図からも直観できました。学習のしがいがあるというものです。
このような俯瞰的視点も備えつつ千葉県遺跡DB作成作業を進めたいと考えます。
地理情報分析支援システムMANDARA10は大変使いやすい分布図作成アプリ(フリーソフト)です。作者の谷謙二さんに感謝します。