縄文土器学習 334
2019.12.12記事「藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡) 観察記録3Dモデル」で伊那市創造館で観察した藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の3Dモデルを掲載しました。
藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡) 観察記録3Dモデル
同時に興味深い土器4区画文様を詳しく観察するために4枚の写真を並べてみました。
土器文様を詳しく観察するための4枚の写真
しかし、4枚の写真を並べるだけでは物足りなさが深まりました。
その後縄文土器大観にこの土器の展開写真を発見し、すばらしいと思いました。
2019.12.15記事「縄文土器大観にみる藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)」
縄文土器大観の藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)写真 一部拡大
縄文土器大観から引用
このような展開写真を3Dモデルから自ら作成できれば学習になんと役立つだろうとかなわぬ願いとおもいつつ考えていました。
ところが2か月もたたないうち、その展開図が即座にできるようになったのですからラッキーです。
2020.01.30記事「GigaMeshによる縄文土器展開写真の効率的作成」
早速この土器の展開図を作成して、予備的な検討をしてみました。
3Dモデルから作成した藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)展開写真
展開写真による検討
口縁部区画A~DはAとB、CとDが楕円環をまたいでそれぞれ区画隆線がつながっています。A・BとC・Dは対向していてつながっていません。
AとBは文様イメージが大きく違います。またCとDも文様イメージが大きく異なります。
しかしAとCは何かイメージに共通性があります。BとDには共通性がありません。
胴部は4つの区画の外側区画線が土器下部でつながっています。
aとc、bとdの文様が似ていて、aとbが対、cとdが対になっていてその対が対向しています。
このような対応関係からA-a、B-b、C-c、D-dがそれぞれ対応していて、A-a→B-b→C-c→D-dあるいはC-c→D-d→A-a→B-bのように(あるいは逆方向で)土器を回りながら文様が少しずつ変化して元に戻るような仕組みになっている考えられます。
無意味に模様を配列したとはとても思えません。
4場面の変化に合わせて物語や神話が語られたり、四季の変化が表現されたり、思考・感情プロセスの変化が表象されたりしていたものと想像します。
この1つの土器の模様を眺めているだけでは結論はでませんが、類似土器の展開写真を多数そろえて観察し、出土状況とか共伴遺物とか遺構・遺跡環境とかの諸条件との対応を分析すればなにかヒントが生まれるに違いないと思います。
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