私の散歩論

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2022年3月30日水曜日

加曽利E式土器学習 これまで これから

 Kasori E-type pottery learning so far and from now on


Looking back on the past (last 4 years) of Kasori E-type pottery learning that I am currently working on, I looked forward to future activities. Figuratively speaking, I move from basic learning to applied problem learning.


現在取り組んでいる加曽利E式土器学習のこれまでをふりかえり、これからの活動を展望しました。

1 縄文土器学習スタートで重なった好条件

縄文学習を進める中で縄文土器学習はあまりに重たく感じて真正面から取り組むことを長い間ためらっていました。しかし、いろいろな学習経緯や専門家アドバイスを受ける中で、2019年1月に縄文土器学習開始を決断しました。

2019年1月9日記事「縄文土器学習の開始

ラッキーなことにこの時期に加曽利貝塚博物館で平成30年度企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」が開催されていて、その展示土器を学習素材とすることができました。

また、フォトグラメトリーに興味を持ち出したこともこの時期で企画展終了後に許可を得て展示土器の撮影をして3Dモデルを作りました。

幸先のよい縄文土器学習スタートが切れたと思います。

その後加曽利貝塚博物館では令和元年度企画展「あれもE… (印旛地域編)」、令和2年度企画展「あれもE… 北西部地域編」、令和3年度企画展「あれもE… 千葉市編2」と加曽利E式土器に関する企画展展示が続き、継続して多数の加曽利E式土器を体系的に観察することができ、学習を深めることができました。まことに幸運です。

同時に、フォトグラメトリーソフト3DF Zephyr Liteを使った展示土器3Dモデル作成にも習熟して土器観察をより詳細正確に行えるようになりました。さらに3Dモデル展開ソフトであるGigaMesh Software Frameworkに出会うことができました。展示土器を3Dモデルで、さらにそれを平面展開して観察できるようになったことは特筆して幸運であった出来事です。

2 学習経緯

2-1 平成30年度企画展と加曽利E式土器学習


平成30年度企画展の様子


平成30年度企画展のパンフレット

開催期間:2018年11月~2019年3月3日

企画展を5回観覧。企画展展示加曽利E式土器の観察結果に関する記事多数をブログに掲載しました。また展示土器の3Dモデルを作成しました。加曽利E式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を数回聴講しました。

2-2 令和元年度企画展と加曽利E式土器学習


令和元年度企画展の様子


令和元年度企画展のパンフレット

開催期間:2019年11月~2020年3月

企画展を3回観覧。企画展展示加曽利E式土器多数について観察記録3Dモデルを作成して観察し、その結果を多数記事にしてブログに掲載しました。3Dモデルの展開をGigaMesh Software Frameworkで行い、文様を考察しました。加曽利E式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を数回聴講しました。

2-3 令和2年度企画展と加曽利E式土器学習


令和2年度企画展の様子


令和2年度企画展のパンフレット

開催期間:2020年11月~2021年3月

企画展を5回観覧。企画展展示加曽利E式土器多数について観察記録3Dモデルを作成しさらにGigaMesh Software Frameworkで展開して詳しく観察しました。観察結果多数を記事にしてブログに掲載しました。加曽利E式土器・中峠式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を数回聴講しました。

2-4 令和3年度企画展と加曽利E式土器学習


令和3年度企画展の様子


令和3年度企画展のパンフレット

開催期間:2021年11月~2022年3月

企画展を3回観覧。企画展展示加曽利E式土器多数について観察記録3Dモデル作成用撮影を行い、現在3Dモデルを作成途上です。作成した3DモデルはGigaMesh Software Frameworkで展開して詳しく観察しています。観察結果は記事にしてブログに掲載しています。加曽利E式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を2回聴講しました。

3 作成した加曽利E式土器と関連土器の3Dモデル

企画展展示加曽利E式土器と関連土器でこれまでに作成した3Dモデルは次の通りです。(集成3Dモデルも含まれています。また一部重複があります。)


中峠式土器


加曽利EⅠ式土器


加曽利EⅡ式土器


加曽利EⅢ式土器


加曽利EⅣ式土器


加曽利EⅤ式土器


称名寺式土器

4 学習内容

4-1 これまでの学習内容

縄文土器学習を始めた2019年1月時点では縄文土器に関する知識は「皆無」であったといって過言ではない状況でした。そのような状況でスタートした学習であったため、次のような視点でこれまで学習を進めてきました。

ア 多数の縄文土器をより詳しく観察する

多数展示されている縄文土器を単に見るだけ、あるいは数枚の写真をとるだけでは自分の印象になにも残りません。そうした無知識の自分にとって、多数写真を周回撮影して3Dモデルを作成し、それをGigaMesh Software Frameworkで展開して文様を観察するという作業は土器観察をしっかり行う、詳しく行うという点でとても優れた方法です。3Dモデルとして画面上でいじくることができます。現物土器を手に取ってアーダコーダと観察する専門家の活動を疑似的に行っていることになります。3Dモデルを作成することにより、しないよりははるかに深い観察が出来ていることを実感しています。

イ 基本的な土器型式分類を確認する

これまでの学習は加曽利貝塚博物館の学芸員の方が分類した土器型式やその説明を吸収する立場から学習してきました。右も左も判らないので、「加曽利EⅡ式土器の特徴はコレコレ」という説明を現物土器で「そうなんだ、確かに。」と確認することが主な学習活動でした。正解のある問題を解くというレベルの文字通りの学習です。

ウ 土器型式変化の大勢感を理解する

アとイの活動を展開する中で、中峠式土器→加曽利EⅠ式土器→EⅡ→EⅢ→EⅣ→EⅤ・称名寺式土器という型式変化の大勢感を得るように学習を進めました。それはある程度出来てきたように感じます。ちんぷんかんぷんの外国語がいつの間にか少しだけ理解できるようになったような感覚だと思います。

4-2 これからの学習内容

これまでの活動でいわば「基礎学力」がついてきたので、これからは「応用問題」に取り組むことが肝要であると考えます。次の学習活動を展開することにします。

ア これまでに得た加曽利E式土器関連情報の整理

ア-1 加曽利E式期とその前後期の土器型式に対応する絶対年代年表の作成

・諸説の比較

ア-2 土器型式別特徴の整理(大きさ、器形、文様等)

・3Dモデルの活用

・GigaMesh Software Frameworkによる展開図の活用

イ これまでに学習してきた問題意識の整理

これまでの縄文土器学習で様々な感想や仮説をメモしてきましたが、これらを整理して、今後の学習で利用できるものを確認します。

・これまでの加曽利E式土器関連ブログ記事の通読と分析。

ウ 土器型式変化と関連する要因の推測

・土器型式変化と社会変化の関係を分析するために、どのような項目が関連するのか予察します。

エ 令和4年度企画展「あれもE…」の観覧学習

・2022年11月から始まる加曽利貝塚博物館令和4年度企画展「あれもE…」の観覧学習を行います。

4-3 当面の学習活動

ア 加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…千葉市編2」で撮影した土器の3Dモデル作成

イ 3-2の項目イの取組(過去記事通読分析)

ウ 3-2の項目ア-2の取組(土器型式別特徴の整理)


2022年3月29日火曜日

加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

 Kasori E IV type deep bowl (No.36) (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model


I have created a 3D model of the Kasori EIV type deep bowl (No.36) (Mochigasaki Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shellmound Museum R3 exhibition "That is also E ...". I deployed it with the GigaMesh Software Framework and carefully observed it. The pattern of this pottery is a horizontal cooperation arc line pattern.I fantasized that the pattern is an expression of the human world and the divine world.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」で展示された加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡)の観察記録3Dモデルを作成して、じっくり観察しました。この深鉢は対向系横位連携弧線文土器です。

1 加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.03.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.503 processing 180 images

Kasori EIV type deep bowl  (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.03.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.503 processing 180 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

3-1 展示説明


展示説明

展示説明では弧線文の沈線が加曽利EⅢ式土器とくらべて細くなり、形状が鋭角になっていることが説明されています。なぜそのように変化するのか、そうした変化と相関するかもしれない要因考察を今後のテーマに組み込み、縄文土器学習の楽しみを濃くしていきたいと思います。

また、上下に対向する弧線文の位置が微妙にずれています。他の対向系横位連携弧線文土器も同じです。なぜずれるのか?それを説明できるかもしれない要因についてアーダコーダと考察を楽しむことにします。それに関連する空想を次の3-2でメモします。

3-2 文様の分布


GigaMesh Software Frameworkによる展開図 沈線と縄文施文域

非縄文施文域を「図」として眺めてみるとその領域が土器全体にジグザグしながら連続しています。まさに横位連携しています。このような領域をつくるためには3-1で注目した上下に対抗する尖った弧線文の位置を微妙にずらす必要があります。

縄文施文域を「図」非縄文施文域を「地」としてみるのか、反対に非縄文施文域を「図」縄文施文域を「地」としてみるのか、その違いで解釈(空想)が異なってきます。縄文土器観察では自分の「図」「地」感覚を時々反転させることも重要だと思います。

あまりに空想すぎるので文字にするのははばかるのですが、メモしないと忘れるので、一応メモしておきます。

…………………

縄文施文域…人の住む空間(大地・自然・生業世界)

非縄文施文域(磨消縄文域)…神の住む空間(天・先祖の住む世界)

この加曽利EⅣ式土器(No.36)では各地縄文集落(単位縄文施文域)が神の住む空間(天・先祖の住む世界)に囲まれて存在していることが表現されている。→加曽利EⅡ式土器などとくらべると縄文施文域が狭まり孤立化していて、逆に非縄文施文域が拡大連続化していて、「人の住む空間」が減少している。→社会が退縮している様子。

…………………

今はこのように考えるのですが、学習が進むに従ってその「トンチンカンさ」を噛みしめるのか、「本質は捉えている」と自信を持つのか、自分の心理に起こる現象が楽しみです。恐らく「トンチンカンさ」と「本質は捉えている」の中間のどこかだと思います。


2022年3月27日日曜日

干渉色に塗った山形土偶3Dモデル

 The Yamagata clay figurine 3D model painted in interference color


The interference color repeats in the direction of face height. You can see the 3D model by using the interference color change in the same way as contour lines.


干渉色に塗った山形土偶3Dモデルをつくりました。干渉色は顔面高さ方向に繰り返します。干渉色変化を等高線と同じように利用して3Dモデルを見ることができます。

1 干渉色に塗った山形土偶3Dモデル The Yamagata clay figurine 3D model painted in interference color

干渉色に塗った山形土偶3Dモデル

干渉色は顔面高さ方向に繰り返します。干渉色変化を等高線と同じように利用して3Dモデルを見ることができます。

土偶の元3Dモデル:https://skfb.ly/onJHL

干渉色画像は「干渉色変換ツール」(やまだこーじさん開発公開)で作成

https://ymd5022002.github.io/map-art-jp/ice_converter/?fbclid=IwAR1L1017wTNEUVXYFLOo0WJga3xNj9Jty1TIT5YphtmGnGflooHZpyPMUyM

The Yamagata clay figurine 3D model painted in interference color

The interference color repeats in the direction of face height. You can see the 3D model by using the interference color change in the same way as contour lines.

Original 3D model of clay figurine: https://skfb.ly/onJHL

Interference color image created with "Interference color conversion tool" (developed by Koji Yamada)

https://ymd5022002.github.io/map-art-jp/ice_converter/?fbclid=IwAR1L1017wTNEUVXYFLOo0WJga3xNj9Jty1TIT5YphtmGnGflooHZpyPMUyM


3Dモデルの動画です。

2 メモ


干渉色に塗った山形土偶3Dモデルの画面 1


干渉色に塗った山形土偶3Dモデルの画面 2


干渉色に塗った山形土偶3Dモデルの画面 3

このモデルの作成方法の概要は次の通りです。詳しくは別記事でメモします。

1) フォトグラメトリーソフト(3DF Zephyr Lite)で3Dモデル(メッシュ)作成

2) 3DF Zephyr Liteのメッシュをフィルター→カラーを更新→「高さ」で色のグラデーション表示→Sketchfab投稿

3) Sketchfabからgltfファイルでダウンロード

4) gltfファイルをBlenderにインポート→UV展開→ベイク→Wabefront(.obj)ファイルでエクスポート

5) Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像ファイルを干渉色変換ツールで干渉色に変換

6) テクスチャ画像が干渉色となったWabefront(.obj)ファイルを3DF Zephyr Liteにインポート

7) 3DF Zephyr LiteからSketchfabに干渉色モデルをアップロード

8) 3DF Zephyr Liteで動画作成

3 感想

上記手順を見つけるために、見よう見まねの試行錯誤を丸々3日間行いました。無駄な時間のようにも見えますが、結局は乗り越えなければならないハードルであることから、必要な時間投資であったと自分に言い聞かせました。赤色立体原理によるテクスチャ画像作成→赤色立体画像3Dモデルも技術的に可能になりました。


2022年3月24日木曜日

加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

 Kasori E IV type deep bowl (No.35) (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model


I have created a 3D model of the Kasori EIV type deep bowl (No.35) (Mochigasaki Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shellmound Museum R3 exhibition "That is also E ...". I deployed it with the GigaMesh Software Framework and carefully observed it. The pattern of this pottery is a horizontal cooperation arc line pattern including  spherical design sentences.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」で展示された加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)の観察記録3Dモデルを作成して、じっくり観察しました。球状意匠文を含む横位連携弧線文土器です。

1 加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.24


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.502 processing 126 images

Kasori EIV type deep bowl  (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.24

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.502 processing 126 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ


文様の様子

展示では「球状の意匠文」として紹介されていました。


展示パネル(部分)


2022年3月22日火曜日

実測図風線分による3Dモデル表現

 3D model representation by actual measurement line segment


Taking the Yamagata clay figurine 3D model as an example, I tried to express a 3D model using actual measurement line segments. In the past, I've technically longed for Hugh's handwritten 3D model, but I'm happy to get a little closer to it.


山形土偶3Dモデルを例に実測図風線分による3Dモデル表現を試行しました。過去に、Hugh氏手書き3Dモデルに技術的にあこがれましたが、それに少し近づいてうれしくなりました。

1 実測図風線分による3Dモデル

山形土偶3Dモデルを例に実測図風線分による3Dモデル表現を試行しました。

実測図風線分による山形土偶3Dモデル


実測図風線分による山形土偶3Dモデルの動画


3Dモデルと実測図

作り方のプロセス概要は次の通りです。

・山形土偶の周回撮影(この場合展示土偶をガラス面越し撮影)

・フォトグラメトリーソフト(3DF Zephyr Lite)によるメッシュモデル作成→Wabefront(.obj)ファイル出力(Aファイル….obj .mtl の2ファイル)

・BlenderにAファイルインポート→UV展開→Wabefront(.obj)ファイルエクスポート(Bファイル…2ファイル)

・3DF Zephyr LiteにBファイルを「UVマップ付きメッシュを入力」で入力→テクスチャ付メッシュ作成→Wabefront(.obj)出力(Cファイル…3ファイル)

・PhotoshopでCファイルのテクスチャ画像(.png)を開く→編集(線分書き込み、写真画像の不透過率0%)→画像保存(Dファイル….png)

・Cファイルの.obj .mtlとDファイル.pngのセット(Eファイル)が「実測図風線分だけの3Dモデル」です。

2 技術的あこがれに少し近づく


Hugh氏の3Dモデル“Illustrated Paleolithic Handaxe” Sketchfab画面

3年前にフォトグラメトリーを始めた頃、Hugh氏の3Dモデル“Illustrated Paleolithic Handaxe”を見て、この手書き3Dモデルにあこがれました。そして、このような3Dモデルをいつかぜひとも作りたいと思いました。その時は発掘調査報告書実測図だけから、近似的に3Dモデルをつくれないだろうかと思案している時でした。

この度「実測図風線分による山形土偶3Dモデル」を作ってみると、Hugh氏の3Dモデル作成方法が少しわかったような気がします。3年前のあこがれに少しだけ近づいたことに気が付き、うれしくなりました。

3 参考 透明な「実測図風線分だけの3Dモデル」作成

実測図風書き込みをした山形土偶3Dモデル(透明モデル)

3Dモデルの透明化はBlenderでできます。またSketchfabでもできます。

なお、3DF Zephyr Liteはフォトグラメトリーソフト(写真から3Dモデルをつくる測量ソフト)であり、3Dモデルの高度表現ソフトではないことから、透明表現には対応していないことを知りました。

4 関連記事

ブログ花見川流域を歩く番外編2022.03.20記事「3Dモデルテクスチャ画像の書き込み



2022年3月21日月曜日

加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

 Kasori E IV type deep bowl (No.27) (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model


I have created a 3D model of the Kasori EIV type deep bowl (No.27) (Mochigasaki Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shellmound Museum R3 exhibition "That is also E ...". I deployed it with the GigaMesh Software Framework and carefully observed it. The pattern of this pottery is a horizontal cooperation arc line pattern.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」で展示された加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡)の観察記録3Dモデルを作成して、じっくり観察しました。

1 加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.24


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.502 processing 163 images

Kasori EIV type deep bowl  (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.24

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.502 processing 163 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる平面展開


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開

3 メモ

3-1 文様


横位連携弧線文の様子

3-2 部位による縄文施文方向の違い


部位による縄文施文方向の違い

口唇部付近では横方向で縄文を施文していて、それより下では上下方向で施文しています。加曽利EⅡ式土器では口縁部文様帯と胴部で同じように縄文施文方向を違えて、口縁部文様帯の意匠効果を強調しているものが多く存在しますが、その風潮が加曽利EⅣ式土器にも継続していると言えます。この情報は加曽利貝塚博物館研究講座(2022.03.19、館祐樹先生)でも紹介されました。


2022年3月20日日曜日

加曽利貝塚博物館の土偶研究講座の聴講

 Attendance at a research course on clay figurines at the Kasori Shellmound Museum


On March 19, 2022, I attended the Kasori Shellmound Museum research course "Knowing Jomon-Introducing clay figurines in Chiba City-" (Lecturer: Kasori Shellmound Museum, Dr. Wataru Nagahara). Fortunately, this is a course that I was able to participate in by lottery. So far, many clay figurines such as creating 3D models have appeared, and it was a very interesting course. I was surprised at the information that one of the figurines excavated from Kasori Shellmound was contrasted with the "Masked Goddess".


2022年3月19日に令和3年度加曽利貝塚博物館研究講座「縄文を知る -千葉市内の土偶を紹介します-」(講師:加曽利貝塚博物館 長原 亘先生)を聴講しました。

コロナ感染防止のために参加者を絞って開かれた講座で、自分は運よく抽選に当たったので参加できたのでした。

講演内容は自分の興味を強く刺激する話題が多く、とても参考になりました。特に自分がこれまでに3Dモデルを作成して観察した土偶についてあらためてその意義について考えさせられるものが多くありました。


講演の様子

1 講演の内容

ア 土偶とは?

・縄文時代に創られた土人形

・土偶の大まかな流れ

ア-1 “土偶”の字義は?

・粘土で作られた人形の神像

ア-2 土偶の種類

・製作技法や素材による分類

・特徴的な装飾や形状による分類

ア-3 各期の土偶

イ 土偶の型式編年とは?

・全国土偶型式編年表(原田案)

・発生期の土偶

・中期の土偶

・後・晩期の土偶

・山形土偶の系列

・みみずく土偶の変遷

・千葉市における土偶の変遷

イ-1 土偶をめぐる様々な説

イ-2 土偶はみんな同じ?

・土偶の本質は、さまざまなのでは?

ウ 千葉市の土偶を紹介します

・内野第1遺跡の土偶の意義

・土偶の研究方法とは?

・山形土偶

・みみずく土偶

・中空土偶

・土偶の接合関係に意味はあるのか?

・内野第1遺跡の土偶の在り方は?

・まとめ


講演資料表紙(土偶写真豊富な全カラー16ページ資料)

以下、自分が特段に持った興味・感想をメモします。(順不同)

2 土偶には様々な原理があるという考え

講演では長原先生が「土偶には様々な原理があり、単一の用途・目的でつくられたものではない」という考え方を述べられたと理解しました。その考えに共鳴しました。趣旨の異なる土人形を「土偶」という言葉(概念)でくくってしまっているため、その言葉に縛られてしまい、異なる趣旨を見分けることが出来ないでいるという研究現状認識です。

3 加曽利貝塚出土円錐形土偶について


縄文後期初頭円錐形土偶(加曽利貝塚北貝塚) 加曽利貝塚博物館常設展展示

この土偶が発掘後30年位経ってからの出土物再整理で「発見」されたというエピソードを聞くことができました。この土偶の意義について、とても強い興味が再び湧きおこりました。


講座における説明風景

参考 3Dモデル掲載記事 2020.06.19記事「円錐形土偶の乳房間縦沈線の意義

4 加曽利貝塚出土土偶と「仮面の女神」土偶との類似性

昨年加曽利貝塚から出土した逆三角形顔の土偶と国宝土偶「仮面の女神」との類似性が指摘されました。驚くべき情報です。講演を聞きながら心臓がバクバクしてしまいました。チャンスがあれば逆三角形顔の加曽利貝塚出土土偶の3Dモデルをつくりたいものです。


講座における加曽利貝塚出土土偶と国宝土偶「仮面の女神」との類似性指摘


加曽利貝塚出土土偶(2022.02.19 千葉市生涯学習センターロビー展示で撮影)


加曽利貝塚出土土偶(2022.02.19 千葉市生涯学習センターロビー展示で撮影)

参考 仮面の女神3Dモデル掲載記事 2020.03.20記事「国宝土偶「仮面の女神」注記付き3Dモデルと想像的解釈

5 内野第1遺跡土偶の分布研究

内野第1遺跡から土偶が395点出土していて、数は千葉市内1位、千葉県内2位、全国的に見ても有数(100点以上出土遺跡全国で20弱)です。この多数土偶の分布分析が行われていて、その一端が講演で紹介されました。とても興味が湧く研究です。その論文を入手できればぜひとも学習してみたいものです。


講座における内野第1遺跡土偶分布説明の様子

6 子和清水遺跡出土土偶が肩パット土偶に対比される

千葉市子和清水遺跡は趣味活動を始めた11年前に興味を持った遺跡で、遺跡の地形にも興味を持ち、またその出土物を千葉市埋蔵文化財調査センターで閲覧したことがある遺跡です。多数のブログ記事を書きました。その子和清水遺跡から土偶が出土していて、それが肩パット土偶であるというのですから驚きです。興味が深まりドキドキしてしまいました。


講座における子和清水遺跡出土土偶と肩パット土偶説明の様子


子和清水遺跡出土土偶実測図

子和清水遺跡発掘調査報告書から引用

参考 2011.09.13記事「子和清水遺跡の出土物閲覧1

2022年3月18日金曜日

加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

 Kasori EIII type deep bowl (Kasori shellmound, Chiba city) Observation record 3D model


As part of the Kasori E-type pottery learning, I created and observed a 3D model of the observation record of the Kasori EIII type deep bowl exhibited at the Kasori Shellmound Museum permanent exhibition. This pottery is a design-filling pottery and has the swirl design by cord-mark impressions is bordered by ridges.


加曽利E式土器学習の一環として、加曽利貝塚博物館常設展で展示されている加曽利EⅢ式深鉢の観察記録3Dモデルを作成して観察しました。この土器は意匠充填系土器で、隆帯によって縁取られた状文渦巻意匠文を有しています。

1 加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル Kasori EIII type deep bowl

加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展(通路)

撮影月日:2022.03.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.502 processing 110 images

Kasori EIII type deep bowl (Kasori shellmound, Chiba city) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Permanent Exhibition

Shooting date: 2022.03.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.502 processing 110 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる平面展開


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開

3 メモ


隆帯で縁取られた縄文渦巻意匠文の様子

この土器は意匠充填系土器で、隆帯で縁取られた縄文渦巻意匠文を有しています。隆帯ではなく、沈線で渦巻が縁取られる意匠充填系土器は前記事(2022.03.17記事「加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡) 観察記録3Dモデル」で観察しました。



2022年3月17日木曜日

加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡) 観察記録3Dモデル

 Kasori EIII type deep bowl (No.26) (Hagawa site, Chiba city) Observation record 3D model


I have created a 3D model of the Kasori EIII type deep bowl (No.26) (Hagawa site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shellmound Museum R3 exhibition "That is also E ...". I deployed it with the GigaMesh Software Framework and carefully observed it. This pottery is a design-filling pottery, and the swirl design by cord-mark impressions is bordered by a sunken line.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」で展示された加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡)の観察記録3Dモデルを作成して、じっくり観察しました。

1 加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EⅢ type deep bowl

加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.03.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.502 processing 153 images

Kasori EⅢ type deep bowl  (Hagawa site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.03.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.502 processing 153 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ


文様の様子

加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡)は意匠充填系土器で、沈線で縁取られた縄文渦巻意匠文が特徴となっています。

上段の観察できる範囲には渦巻文と考えられるものが4つ見えますが、もっとも左の渦巻文の右に渦巻文ではない細長い文様があります。この細長い文様に対応する波状突起がこの土器の正面を意味しているのではないかと想像します。


2022年3月15日火曜日

Sketchfabに土偶3Dモデルのcollectionを作成しました

 Created a collection of clay figurine 3D models in Sketchfab


I created a collection of clay figurine 3D models on the Sketchfab (arakiminoru) site. Currently, I am collecting 56 models. It covers major clay figurines from early Jomon early leaf clay figurine to late Jomon clay figurines to some extent. It may be the largest number of published clay figurine 3D models in Japan.


1 土偶3Dモデルのcollection作成

Sketchfab(arakiminoru)サイトに土偶collection(56モデル、2022.03.15現在)を作成しました。縄文早期前葉土偶から縄文晩期土偶までの土偶3Dモデルを集成したサイトになります。


Sketchfab(arakiminoru)サイトの土偶collection

土版collection(7モデル)も作成しました。


Sketchfab(arakiminoru)サイトの土版collection

2 collectionリスト

これまでに作成したSketchfabのcollectionは次のようになります。土偶・土版および縄文土器ともに同一対象物に複数の異なるバージョンの3Dモデルを作成している場合や、重複があります。公表された3Dモデル集成としては土偶、縄文土器ともに現在のところ数としては日本最大かもしれません。

●土偶・土版

土偶 56モデル

土版 7モデル

●縄文土器

勝坂式 10モデル

阿玉台式 19モデル

中峠式 18モデル

加曽利EⅠ式 25モデル

加曽利EⅡ式 37モデル

加曽利EⅢ式 46モデル

加曽利EⅣ式 22モデル

加曽利EⅤ式 2モデル

加曽利E式 5モデル

称名寺式 25モデル

堀之内式 20モデル

3 3Dモデルを活用した学習方法

土偶及び縄文土器の3Dモデルが蓄積してきました。主要タイプに対するカバー率が向上してきましたので、3Dモデルを使った学習を効率的に行える環境がうまれつつあります。今後その方法を検討しながらさらに3Dモデルを作成して一種のデータベースとして活用できるようすることにします。

当面、3Dモデルを年表(時間軸)にプロットして前後関係を明確にして、土偶および土器の変化について考察する材料をつくっていくことにします。次の年表は加曽利貝塚博物館に展示されている30000年まえから現在までの100年刻みの年表ですが、このような年表をwebサイトにつくり、情報を逐一掲載する仕組みを検討していくことにします。


加曽利貝塚博物館に展示されている年表


加曽利貝塚博物館に展示されている年表(部分)