North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound Where is the pedestal?
The excavation survey report photo collection shows the excavation of the pedestal. But there is no description. The pedestal excavated as a ritual implement tells us that the northern slope shell layer is a ritual space.
発掘調査報告書写真図版集には器台出土が写っています。しかし記載は一切ありません。祭具としての器台出土は北斜面貝層が祭祀的空間であることを物語っています。
1 器台出土の状況写真
器台出土の状況写真 キャプション Ⅱ-52 P層
(発掘調査報告書掲載写真をPhotoshopニューラル機能によりカラー化)
この写真は天井部があらかた欠損した器台が出土した様子であることに間違いないと考えます。(写真右上の土器破片状のものがもしかしたら天井部に該当するかもしれないと気になります。)
しかし、この写真以外に器台に関する記載は発掘調査報告書中に皆無です。
発掘調査報告書全3冊を何度も隈なく捜索しましたが、器台に関する情報・記載は見つかりませんでした。
この写真以外の情報は発掘調査報告書にはありませんが、器台が北斜面貝層Ⅱ-52グリッドのP層から出土したことは事実であるとして、以下の考察をメモします。
2 器台出土位置及び層位
器台出土位置
器台出土層位
これまでの検討で器台は加曽利EⅡ式(第10・11群)土器であると考えられます。
第2断面貝層時期区分
3 参考 加曽利EⅡ式器台例
千葉市中野僧御堂遺跡出土器台
加曽利貝塚博物館2018年度企画展「あれもE・・・」展示
4 器台出土の意義
4-1 貝層から器台が出土することは珍しい
器台用途について興味をもって学習したことがありますが、その自分の限られた学習範囲では、器台出土場所は竪穴住居や竪穴住居周辺であり、貝層から出土した例はこれまで知りません。器台が祭祀道具であることは確実ですが、その祭祀とは屋内祭祀をイメージしていましたので、器台出土場所が竪穴住居やその周辺であることは当然であると理解していました。しかし、北斜面貝層から器台が出土したことは貝層と祭祀の関係を示唆する事象として珍しいのではないだろうかと考えます。
4-2 廃棄ではない可能性
写真を見ると器台は天井こそ欠損していますが、それ以外は丸々残存しているようです。つまり斜面の上から投棄されて破片になったものではなく、完形品がそのままこの場所付近に持ち込まれたと考えることができます。
4-3 北斜面貝層で祭祀が行われた1つの証拠としての器台
完形品が持ち込まれたことから、この器台は廃棄されたものではなく、祭祀のための実用道具としてこの場に持ち込まれたと考えることができます。
この器台を使ってこの場所で祭祀が執行された可能性が濃厚です。この場所でこの器台を使って祭祀が行われた傍証として同じⅡ-52グリッドからイタボガキ製貝輪と磨製石斧が出土し、隣の(2m離れた)Ⅱ-53グリッドからイノシシ顎骨出土をあげることができます。
イタボガキ製貝輪と磨製石斧 Ⅱ-52グリッド
(発掘調査報告書掲載写真をPhotoshopニューラル機能によりカラー化)
イノシシ顎骨 Ⅱ-53グリッド
(発掘調査報告書掲載写真をPhotoshopニューラル機能によりカラー化)
器台、イタボガキ製貝輪、磨製石斧、イノシシ顎骨などが密集して出土した状況から、つぎのような活動を想像することができます。
この器台のあった場所付近にはイナウで構成される木製祭壇があり、その木製祭壇にはイノシシ頭骨が飾られ、また宝物としてのイタボガキ製貝輪や宝刀としての磨製石斧が飾られ、その祭壇の前に器台が据えられ、祭祀が執行されたと想像します。
・器台の用途学説学習は今後進めたいと思います。(過去の器台観察では、器台は香り発生材料を火であぶる装置のようだと想像しています。)
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