私の散歩論

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2023年12月31日日曜日

2023年の趣味活動をふりかえる

 Looking back on my hobby activities in 2023


New Year's Eve 2023 has arrived.

2023 is the year when the coronavirus pandemic ends. At the same time, it was also the year that generative AI began to penetrate the world. I look back on how wonderful it was to be able to live and experience 2023, such a world-changing year.


2023年の大晦日を迎えました。

2023年はコロナウィルスパンデミックが終焉を迎えた年です。同時に生成AIが世界に浸透し始めた年でもあります。このような世界的画期の年2023年を生きて体験できたことは素晴らしいことだったとふりかえっています。

このような画期という特殊状況の中で、その特性を活かして趣味活動を大いに楽しみ、発展させることができました。

対面でお会いし、ご指導やご厚情をいただいた皆様、Blog、Twitter、Facebook、YouTube、Sketchfabなどwebでお会いし、いいね・コメント・情報・アドバイス・ご指摘などをいただいた内外皆様に心から感謝申し上げます。2023年の1年間まことにありがとうございました。

この記事では、2023年趣味活動で特段に楽しかった事柄を思い出して、無理矢理ベストテンとしてまとめてみました。また年初にメモした「2023年のささやかな夢リスト」の実現状況を検証してみました。

1 2023年趣味活動で楽しかった事柄ベストテン

第1位 有吉北貝塚北斜面貝層構造の見える化プロジェクト着手

数年前から継続して進めてきている有吉北貝塚学習が高じて、北斜面貝層の貝層構造・遺物3D分布構造を発掘原票から情報を得て分析し、貝層構造を見える化するプロジェクトに着手しました。

2023年は千葉県教育委員会の許可を得て、A4遺物台帳4600ページ、A2遺物分布図450枚をスキャンし、データベース化作業に着手しました。2025年には65000遺物の3D空間分布が明らかになり、貝層と遺物の空間構造分析をまとめる予定です。


遺物の3D空間分布密度のテスト表示風景(谷頭部のみ)

…………………

後期高齢者の自分でも大多喜町の森宮分室まで出かけて、作業できるようになったというパンデミック終焉を喜ぶことができました。

データベース化作業では、ChatGPTによるPythonスクリプト生成が各所で有効活用できて、作業効率が飛躍的に向上しています。

第2位 ChatGPTによるPythonスクリプト生成

Pythonを本格学習しようとしていた矢先、ChatGPTでPythonスクリプト生成ができることを知りました。結果Python基礎学習は見事に中断して、ChatGPTによるPython本格活用が一挙に実現しました。例えば、BlenderPythonスクリプト生成では、CUBEを膨大な数の3D座標に一挙に生成して貼り付けるなどが一瞬のうちにできるようになりました。


はじめてChatGPT生成BlenderPythonスクリプトで作画した時の画面

…………………

ChatGPTによるPythonスクリプト生成は、自分に大きな衝撃を与えました。生成AIを利用できる世界に自分がいるということがにわかに信じられません。自分が未来に迷い込んでしまったという感情すら生まれます。迷い込んだ未来世界を十分に楽しんで、未来世界はこうだったと、いつか、だれかに、話したいと思います。

第3位 加曽利貝塚博物館令和4年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器-内房地域編-」の観覧

加曽利貝塚博物館令和4年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器-内房地域編-」を観覧し、加曽利E式土器学習を進めました。


「あれもE...」展の様子

第4位 「遺物から見える地域文化の発達」特別展の観覧

千葉市埋蔵文化財調査センターで開催された令和4年度特別展「遺物から見える地域文化の発達 縄文時代前期後葉~末葉」を観覧しました。普段体系的に見ることができない貴重な土器等遺物をじっくり観覧でき幸福感が生まれました。


鉢ヶ谷遺跡出土土偶

第5位 縄文土器塗色版3Dモデルの作成

フォトグラメトリーソフト3DF Zephyr Liteと3DモデルソフトBlenderを連携させることによって、縄文土器3Dモデルの表面に自由な塗色が可能となります。この技術を使って、加曽利E式土器の表面を塗色して遊びました。


塗色版3Dモデル画像

第6位 小学校における花見川学習支援

千葉市立Ⅿ小学校で花見川学習をゲストティーチャーとして支援しました。花見川の役割とか歴史とかについて子どもたちの理解の一助になったと思います。また、自分自身が花見川学習を深めるキッカケにもなりました。


学習で使ったPowerpointの1画面

第7位 おゆみ野歴史愛好会における話題提供

おゆみ野歴史愛好会で大膳野南貝塚に関する話題提供をしました。会の皆様と楽しく、活発な学習交流時間を共有することができました。


話題提供で使ったPowerpoint画面

第8位 干渉色遊び

地図アート研究所やまだこーじさん発明干渉色セットを使って、干渉色をBlenderで生成するBlenderPythonスクリプトをChatGPT支援で作成し、遊びました。


有吉北貝塚北斜面貝層ガリー侵食基底面地形へ干渉色を適用した様子

第9位 ポンペイ遺跡観覧

老夫婦で2度目のイタリア旅行をしました。その中でポンペイ遺跡を観覧しました。百聞は一見にしかずのたとえどおり、収穫の多い旅行となりました。


ポンペイ遺跡

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旅行(旅行社によるツァー)中参加者ほぼ全員が風邪症状となりました。高熱で旅行を一時中断された方もいます。さいわいわれわれ老夫婦は軽い症状ですみました。帰国直後、親しくなった同行者からメールが来て、検査したところ、夫婦ともにコロナ感染していたとのことでした。われわれ老夫婦もコロナ感染していた可能性が濃厚です。コロナに感染しても死亡することなく海外旅行ができる時代になったことを実感しました。

第10位 考古学切手収集

考古学切手収集を楽しみました。


黄金のマスク(フランス、2022年、ツタンカーメン王墓発掘100周年)

2 「2023年のささやかな夢リスト」の実現状況

2023.01.15記事「ブログ開設12周年通過にあたって」でメモした「2023年のささやかな夢リスト」の実現状況を検証します。

2-1 有吉北貝塚北斜面貝層の3D分析学習を深める

→年当初に想定した以上にスケールの大きい学習に発展しました。夢は実現しつつあります。

2-2 趣味活動のフィールド「花見川流域」への回帰を探る

→趣味活動の原点である花見川流域に自分の意識を一時振り向けることはできました。

2-3 楽しい「風景、切手、地形」などの「趣味活動の中の趣味」を発展させる

→夢実現はまだ道半ばです。

2-4 3D技術の高度な習得を目指す

→ChatGPT登場により、状況が変わりました。夢の実現、つまり3D技術向上が加速しています。

3 2024年の活動

上記1と2の2023年ふりかえりを踏まえて、2024年の趣味活動を年始にお屠蘇をなめながらじっくり考えることにします。そしてその結果を2024年1月15日記事「ブログ13周年通過記念記事」(予定)でまとめ、2024年1年間の活動指針にします。


皆様、良いお年をお迎えください。


2023年225記事(この記事を除く)のサムネール

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2022.12.31記事「2022年の趣味活動をふりかえる

2021.12.31記事「2021年の趣味活動をふりかえる

2020.12.31記事「2020年の趣味活動をふりかえる

2019.12.31記事「2019年の趣味活動をふりかえる

2018.12.31記事「2018年の趣味活動をふりかえる

2017.12.31記事「2017年の趣味活動をふりかえる

2016.12.31記事「2016年の趣味活動をふりかえる

2015.12.31記事「2015年をふりかえる

2014.12.31記事「1年をふりかえる

2013.12.31記事「大晦日の夜に1年をふりかえる




中峠類型(014)(東庄町神代夏方遺跡) 観察記録3Dモデル

 Nakabyo type pottery (014) (Tonosho Town,Jindainatsukata Site ) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Nakabyo type pottery (014), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

The handle is two twin ring (twin eyes) in opposite directions. I imagine that the twin ring (twin eyes) are a feminine icon.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている中峠類型(014)の観察記録3Dモデルを作成しました。把手は逆方向2段の双環(双眼)です。双環(双眼)は煎じ詰めれば女性のアイコンと妄想。

1 中峠類型(014)(東庄町神代夏方遺跡) 観察記録3Dモデル

中峠類型(014)(東庄町神代夏方遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2023.12.19


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.511 processing 128 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

014土器は、口縁部の連結した渦巻は大木式、集合沈線は勝坂式と共通しますが2段の穴をもつ特徴的な把手を持ちます。

南東北で火焔土器を母体に成立する浄法寺類型の影響がみられます。

4 感想(妄想)

2段の双環(双眼)は器としての土器に対する向きが逆になっています。

双環(双眼)の意味は穴を出入りするモノの関係を表現しているものと想像します。

穴とは産道出口を、双環(双眼)とは赤ん坊が出てくる出口と赤ん坊の素が入る入口を象徴しているものと想像します。

器としての土器は子宮のアナロジーとして考えられていたと想像します。

双環(双眼)は女性の妊娠・出産機能を象徴しているので、煎じ詰めれば、女性そのもののアイコンであったと想像します。


穴と双環(双眼)


穴と双環(双眼)

2023年12月28日木曜日

中峠類型等3点 展示状況素3Dモデル

 3 items including Nakabyo type 3D model of exhibition situation


I created 3D models of the exhibition situation of three items, including the Nakabyo type, which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". These pottery were created by the local Katsusaka V style and others influenced by the Daigi 8a style that moved south.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている中峠類型等3点の展示状況素3Dモデルを作成しました。これらの土器は勝坂Ⅴ式などが南下する大木8a式の影響を受けて生成したものです。


1 中峠類型等3点 展示状況素3Dモデル

中峠類型等3点 展示状況素3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2023.12.19


展示の様子

展示土器のキャプション

055 変容した勝坂式土器(横芝光町東長山野遺跡)

014 中峠類型(東庄町神代夏方遺跡)

016 加曽利EⅠ式土器(東庄町神代夏方遺跡)

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.511 processing 128 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 展示説明


揺籃期の土器群

「「揺籃期の土器群」は、ここでは中期中葉末の阿玉台Ⅳ式と勝坂Ⅴ式。南下する大木8a式とこれを受けて生成する中峠類型などの多様な土器。そして、この時期に成立する加曽利EⅠ式古段階の土器のことを指します。

揺籃期の土器群は、交錯・融合し多様な折衷土器を産み、その中で一定のまとまりを持つ一群が「類型」として抽出されています。」


2023年12月26日火曜日

大木8a式土器(003)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

 Daigi 8a style pottery (003) (Choshi City,Awashimadai Site ) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Daigi 8a style pottery (003), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition".  I was interested in the hole and the S-shaped pattern at the handle , and imagined that it was a pattern related to childbirth as a symbol of happiness.

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている大木8a式土器(003)の観察記録3Dモデルを作成しました。把手の穴とS字文様に興味を持ち、幸福象徴としての出産関連文様らしいと妄想しました。

1 大木8a式土器(003)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

大木8a式土器(003)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2023.12.19


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.511 processing 146 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

把手の穴とS字(逆S字)文様に興味を持ちました。


把手の穴とS字(逆S字)文様の様子


把手の穴とS字(逆S字)文様の様子

次のような妄想をメモしておきます。この妄想が全くのスカであるのか、多少は意義があるのか、大いに意義があるのか、いつか検証出来る時を、あるいは他の人から納得できるご指摘を受ける時を、楽しみに待つことにします。

把手解釈(妄想)

1 把手正面の平面的な小さな穴は陣痛が始まった頃の、まだ出産まで間がある産道出口の様子と考えます。

2 把手正面の大きな穴は陣痛が盛んになった頃の、出産直前の拡がった産道出口の様子と考えます。

3 把手左右にある「モノが出てきそうな立体的穴」は、赤ん坊が出てくる産道出口の様子と考えます。

4 産道出口を巡るS字(逆S字)は臍の緒を象徴するイコン(アイコン)と考えます。

5 臍の緒象徴イコン(アイコン)が穴を巡ることにより、その穴から赤ん坊が出てきたことを表現しようとしていると考えます。

6 1~5から、この把手は出産における産道出口の様子を時系列的に表現しているものと解釈(妄想)します。

縄文時代の女性の最大のミッションは子どもを産むことであったと考えます。最大のミッションであるということは、そのミッションを実現することが、最高の幸福を得ることだったと考えます。

この土器把手文様は女性が赤ん坊を出産するという最高の幸福を、産道出口の時系列的掲示で表現したのだと妄想します。


2023年12月25日月曜日

大木8a式とその影響を受けた土器9点 展示状況素3Dモデル

 A total of 9 pieces of Daigi 8a style pottery and pottery influenced by it  Exhibition status 3D model


I created a 3D models of the the exhibition situation of Daigi 8a style pottery and the pottery influenced by it, which are on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". These pottery were influenced by Tohoku in the early Kasori E style.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている大木式8aとその影響を受けた土器9点の展示状況素3Dモデルを作成しました。加曽利E式初期に東北の影響を受けた土器です。

1 大木8a式とその影響を受けた土器9点 展示状況素3Dモデル

大木8a式とその影響を受けた土器9点 展示状況素3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2023.12.19


展示の様子

展示土器のキャプション

001 七郎内Ⅱ群土器(大木7b式期)(銚子市粟島台遺跡)

002 大木8a式土器(銚子市粟島台遺跡)

064 大木8a式土器(東金市羽戸遺跡)

003 大木8a式土器(銚子市粟島台遺跡)

078 大木式と勝坂式の要素を持つ土器(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

074 大木式の要素を持つ加曽利E式(東金市羽戸遺跡)

019 大木8a式土器把手(東庄町神代夏方遺跡)

077 大木8a式土器(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

079 中峠類型(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.511 processing 146 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 参考 3Dモデル作成途中の資料


全く手を加えていない展示状況3Dモデル

この3Dモデルの壁一部やキャプション等を取り去ったものが「大木8a式とその影響を受けた土器9点 展示状況素3Dモデル」です。


カメラ配置

ガラス面越しに撮影したカメラ位置です。

3 感想

これまで縄文中期遺跡の学習で時々大木式土器が出てきましたが、それと加曽利E式土器との関係に注目することはありませんでした。正確にいうとその関係に注目したいのですが、大木式土器観察の機会もほとんどなく、いつか興味を持ちたいけれど、今は持てないという状況がつづいてきました。

ところが今年の企画展示「あれもE・・・」で大木式土器とその影響土器が大きなテーマとなり、迫力ある展示になっていますから、否が応でも大木式土器と加曽利E式土器との関係に興味をもちました。これからじっくり学習していくことにします。


今年のパンフレット3ページ


大木式7・8式土器主要遺跡分布図(小林達雄編「総覧縄文土器」から引用)

今年のパンフレット3ページに外房地域の説明があります。この地図を見ながら、大木式土器7・8式土器主要遺跡分布図と頭のなかで地理的観念的に対照してみました。そんな遊びの中で、大木式の加曽利E式土器に対する影響は海岸沿いにつまり、海洋とのかかわりのなかであったように感じました。この感じがもっともな類の感じであるのか、あまり意味のない感じなのか、学習を進める中で確かめたいと思います。


加曽利E式土器の分布圏(平成30年度企画展パンフレット「あれもEこれもE-加曽利E式土器(千葉市内編)-」(加曽利貝塚博物館)から引用)

加曽利E式土器の分布圏を見ると、大木式土器と加曽利E式土器の関係がますます興味深いものになってきました。


2023年12月23日土曜日

施印土器「福」2点の印影比較

 Comparison of seal impressions on two pieces of earthenware "Fuku"


When I enlarged and compared the seal impressions of the stamped earthenware "Fuku" 1 and 3 exhibited at the special exhibition "Praying for Happiness" at the Chiba City Folk Museum, I found that the positions of the dots on the ne (shimesu) side were different. I am no longer convinced that it is the same copper seal.


千葉市立郷土博物館の特別展「幸福を祈る」で展示されている施印土器「福」1と3の印影を拡大して比較すると、ネ(しめす)偏の点の位置が異なり、同じ銅印であるとの確信がもてなくなりました。

2023.12.20記事「施印土器「福」3点(千葉市南河原坂窯跡群) 展示状況素3Dモデル」では同じ銅印で施印したと観察できると書きましたが、その確信が持てなくなりました。

1 施印土器「福」展示


施印土器「福」展示の様子

2 施印土器「福」3点(千葉市南河原坂窯跡群) 展示状況素3Dモデル画像


施印土器「福」3点(千葉市南河原坂窯跡群) 展示状況素3Dモデルの「上から、オルソ投影」画像

3 「福」示偏の点の位置


「福」示偏の点の位置

2つの土器の「福」のネ(しめす)偏の点の位置が土器片接合による変動(誤差)や土器形状等々を考慮しても、違いすぎます。ぱっと見は同一銅印による施印であると考えましたが、詳しく見ると点の位置は明確に異なります。次のような3つの理由を考えました。

1 同じ鋳型から生まれた別銅印が2つあり、2つの銅印は些細な作成工程の違い等で、点の位置がずれていた。

2 同じ銅印を長期間使用していて、点が欠けるなどの不都合が生じ補修された。そのため補修前の印影と補修後の印影が異なるようになった。

3 左側土器復元を施印印影を正確に復元するという観点からやり直せば、点位置の不都合は消失する。(同一銅印による施印)

展示左側の印影は外枠が少しだけ曲がっていて、正確な方形からずれています。また、左側土器の印影細部凹凸には右側に見られるような「キレ」がありません。施印行為を重ねるうちに銅印がくたびれてきた様子が反映されているようです。その観察から、理由2により点の位置がずれたのかもしれません。


2023年12月21日木曜日

加曽利貝塚博物館「あれもE...」展の観覧

 Viewing the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E..."


I went to see the Reiwa 5th annual special exhibition, "That's also E..."(Sotobo area version) at the Kasori Shell Mound Museum. This year's "That's also E..." exhibition is filled with Daigi-style pottery and pottery influenced by it, and is truly impressive.

加曽利貝塚博物館で令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」を観覧しました。今年の「あれもE...」展は大木式土器とその影響土器が充実していて、圧巻です。

1 パンフレット


パンフレット

2 展示風景


展示会場入口


大木8a式土器、大木8b式土器


揺籃期の土器(中峠類型など)


揺籃期の土器(養安寺遺跡238号土坑など)


揺籃期の土器(羽戸遺跡113号住居など)


加曽利EⅠ式土器

加曽利EⅠ式土器


加曽利E式後半

3 感想

外房地域は加曽利E式の成立から前半の段階で東北地方の大木式土器の影響が濃くみられます。展示ではそのプロセスを追って、大木式土器から加曽利EⅠ式土器に至る過程の様々な土器展示が特段に充実しています。圧巻といえる展示になっています。

展示に使われているショーケース数も増え、例年のあれもE展より展示土器数が増えているようです。

今回の観覧ではショーケース毎に最も興味をもった土器1つを選び、合計7土器について3Dモデル作成用の半周回撮影をガラス面越しに行いました。

4 メモ

「あれもE...」企画展は2018年から6年連続して開催されています。2024年度は加曽利貝塚B・E地点発掘100周年の節目の年であることから、「あれもEこれもE加曽利E式土器 -総括編-」が開催される予告が展示に掲載されていました。




2023年12月20日水曜日

施印土器「福」3点(千葉市南河原坂窯跡群) 展示状況素3Dモデル

 3 pieces of stamped earthenware "Fuku" (Chiba City,Minamikawarasaka kiln ruins) Exhibition status 3D model


I created a 3D model of the exhibition situation of the stamped earthenware "Fuku" exhibited at the special exhibition "Praying for Happiness" at the Chiba City Folk Museum. It can be observed that 1 and 3 were stamped with the same copper seal.


千葉市立郷土博物館の特別展「幸福を祈る」で展示されている施印土器「福」の展示状況素3Dモデルを作成しました。1と3は同じ銅印で施印されたものと観察できます。

1 施印土器「福」3点(千葉市南河原坂窯跡群) 展示状況素3Dモデル

施印土器「福」3点(千葉市南河原坂窯跡群) 展示状況素3Dモデル

撮影:千葉市立郷土博物館平成5年度特別展示「幸福を祈る -古代人の願いと造形-」

撮影月日:2023.12.19


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.507 processing 226 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

今回の展示で線刻ではなく、施印という文字の書き方ジャンルがあることをはじめて知りました。

墨書土器データベース(明治大学古代学研究所)で確認すると、南河原坂窯跡群データで、釈文が「福に□」、器種が「鉢」、墨・刻が「印」と記載されているもの1点と釈文が「福に□」、器種が「高台付坏」、墨・刻が「印」と記載されているもの1点が確認できます。今回の展示1は鉢、3は高台付坏であると確認できます。展示2は印の外枠がなく、書体が線刻のように観察できます。施印土器のように土器内面に福が書かれていますが、施印土器ではないと感じます。


2023年12月19日火曜日

おゆみ野歴史愛好会で話題提供 大膳野南貝塚学習

 Lecture at the Oyumino History Enthusiasts Association

Daizenno Minami Shell Mound learning


On December 19, 2023, I gave a lecture on Daizenno Minami Shell Mound learning at the Oyumino History Enthusiasts Association. During the lecture, many people asked surprising questions and offered opinions, making it a very fun and fulfilling learning exchange.


2023年12月19日におゆみ野歴史愛好会で大膳野南貝塚学習をテーマに話題提供させていただきました。話し中に、多くの方から意表をつく質問やご意見が出て、とても楽しく、充実した学習交流となりました。

話題提供は次のよう順番でPowerpoint106枚を利用しておこないました。

1 話題提供項目

●表題 QGISをツールとした大膳野南貝塚学習の楽しさ

はなしに入る前に

1 学習の経緯

2 大膳野南貝塚の概要

3 後期竪穴住居の特性

3-1 分布特性

3-2 時期別特性

3-3 竪穴住居の形状と面積

3-4 竪穴住居と施設の構造

3-5 住居の継続性、継承性

3-6 貝層出土状況

3-7 出土物

3-8 環状焼土

3-9 埋葬

3-10 まとめ

4 住居数と貝層量の相関分析

4-1 集落消長と貝層形成

4-2 生貝集落外持ち出し

5 考察(想像)

6 QGIS学習の楽しさ


Powerpoint表紙

2 話題提供の趣旨

話題提供の趣旨は、5年前にまとめた大膳野南貝塚学習メモの主要内容である「後期集落竪穴住居の漆喰有無の意義」の見直しという内容です。

竪穴住居の施設や設備そのもの、出土物から次のように考えました。

竪穴住居漆喰【有】は漁労民の定住住居で間違いないと考えました。竪穴住居漆喰【無】は定住住居ではなく、近隣内陸縄文人の交易施設(一時逗留、交易荷物倉庫)であると考えました。

3 感想

おゆみ野歴史愛好会での話題提供は、昨年につづき2回目です。昨年は有吉北貝塚学習についてはなしをさせていただきました。今年は昨年話題提供の後日談からはなしをはじめました。Powerpointを進める毎に皆様からご質問やご意見が出ました。その場でスマホで情報を検索してそれを提示される方もいらっしゃいます。私もいろいろと脱線して自分の興味をはなしました。Powerpointが終わった時が終了時間となり、話題提供→討議ではなく、時間全部が文字通りの学習交流となりました。とても楽しく、充実した時間を皆様と共有することができました。学習を深める機会を与えていただいた、おゆみ野歴史愛好会様に感謝します。

配布資料「QGISをツールとした大膳野南貝塚学習の楽しさ」(6ページ)



2023年12月17日日曜日

大膳野南貝塚後期集落の竪穴住居床構造、炉構造

 Pit dwelling floor structure and furnace structure of the late Daizenno Minami Shell Mound settlement


For the past two weeks, I have concentrated on studying at Daizenno Minami Shell Mound. I considered the pit dwellings of late settlements to be divided into whether or not stucco was excavated. As a result, significant differences were found in the floor structure and furnace structure, indicating that the quality of the not-stucco-pit-dwelling was low.


この2週間、大膳野南貝塚学習に集中しました。後期集落竪穴住居を漆喰出土有無で分けると、床構造と炉構造に顕著な違いが見つかり、漆喰出土無住居の品質が低いことが判りました。


大膳野南貝塚中期末~後期集落の竪穴住居には漆喰が出土するものと、出土しないものがあります。その違いが何を意味するのか興味があり、集中的に発掘調査報告書情報を精査した結果の一部です。

以下漆喰出土のある竪穴住居を竪穴住居漆喰【有】、漆喰出土のない竪穴住居を竪穴住居漆喰【無】と呼びます。

1 床構造


竪穴住居 床の種類

床の種類はローム層直床、ブロック貼床、漆喰貼床の3種のいずれかになります。

ローム層直床→ブロック貼床→漆喰貼床の順に、住居施設として高機能で高品質になります。


漆喰出土有無別床種類集計

漆喰出土有無別に集計すると、竪穴住居漆喰【無】は全てローム層直床となります。一方竪穴住居漆喰【有】にはブロック貼床10軒(29%)、漆喰貼床4軒(11%)が含まれます。竪穴住居漆喰【有】の方が住居性能のレベルが高かったことが判ります。


漆喰出土有無別床種類分布

2 炉構造


屋内炉の模式的理解

屋内炉は竪穴住居漆喰【無】では火床面、地床炉、土器片囲い炉が見られます。竪穴住居漆喰【有】では漆喰炉、土器片囲い漆喰炉が見られます。それら5つの炉種類は図解で示す通りの方向で高機能、高品質になります。

機能・品質の判断は次のように考えました。

土器を安定的に設置する機能が火床面→地床炉→土器片囲い炉の順に強化される。

土器を安定させる際の使い勝手が地床炉→漆喰炉、土器片囲い炉→土器片囲い漆喰炉で良くなる。


漆喰出土有無別炉種類集計

竪穴住居漆喰【無】では炉という構造がみられない火床面が13軒(25%)見られます。高機能の土器片囲い炉は4軒(8%)に過ぎません。一方、竪穴住居漆喰【有】では高機能・高品質の土器片囲い漆喰炉が18軒(47%)になります。炉構造という点からみると、竪穴住居漆喰【有】の方が竪穴住居漆喰【無】よりもはるかに住居性能レベルが高かったことが判ります。


漆喰出土有無別炉種類分布

3 メモ

竪穴住居漆喰【有】は漁労民の定住住居であることは疑いようがありません。

そして、床構造、炉構造からみると、竪穴住居漆喰【無】は竪穴住居漆喰【有】と比べて住居性能が格段に劣ることが判りました。この情報は竪穴住居漆喰有無の違いの意義を考える上で、重要なエビデンスになると考えます。

次の記事で、漆喰出土有無別に出土物について見てみます。