私の散歩論

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2025年4月12日土曜日

土器片3Dモデルを使った土器3D分布モデル

 3D pottery distribution model using 3D pottery fragment model


I created a 3D pottery fragment model of a few centimeters and used it to create a 3D pottery distribution model. It creates a visual effect similar to underground exploration (exploration in a shell layer). Blender's geometry nodes were used.


数㎝程の土器片3Dモデルを作成して、それを使って土器3D分布モデルを作成しました。地中探索(貝層中探索)のような視覚効果が生まれます。Blenderのgeometry nodes利用。

1 斜面貝層細区分と土器3D分布モデル(土器片3Dモデルバージョン)

斜面貝層細区分と土器3D分布モデル(土器片3Dモデルバージョン)

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間、幅2m)

貝層大区分境界及び斜面貝層細区分境界:青平面メッシュ

土器:土器片3Dモデル(5㎝×7㎝×1㎝)(X軸、Y軸、Z軸に対する傾きはランダム)


参考 斜面貝層細区分

3DF Zephyr v8.005でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像 1


3Dモデルの画像 2

2 メモ


土器片3Dモデル

土器片3DモデルはBlenderで形状を作成して、縄文写真を貼り付けて作成しました。

通常のCUBEによる土器3D分布モデル(Blenderファイル)に土器片3Dモデルを追加して、次のgeometry nodesで土器片3Dモデルを使った土器3Dモデルを作成しました。オブジェクトの差し替え、角度のランダム化がわずかな手間で出来ました。


geometry nodes

CUBE表現と比べて、土器片3Dモデルを使うと地中探索(貝層中探索)のような視覚効果が生まれます。

土器以外の遺物も実体をイメージしやすい3Dモデルを作成して表示すると、CUBE表現では湧いてこなかった新しいイマジネーションが生まれるかもしれません。

土器片の平均的な大きさを推定で5㎝×7㎝×1㎝としましたが、土器片大きさデータが得られるならば、それを使うことにしたいと思います。(データ範囲内での、大きさランダム表示など)

もし、発掘体験者がこのような土器3D分布モデルを見て、違和感を感じるならば、その違和感にとても貴重な情報が隠されていると考えます。


2025年4月9日水曜日

技術メモ 点群から1つのオブジェクトを生成する方法

 Technical Note: How to generate an object from a point cloud


I have confirmed five methods to convert the distribution shape of a point cloud (a group of objects) in Blender3D space into a single object.


Blender3D空間における点群(オブジェクト群)の分布形状を1つのオブジェクトに変換生成する方法を5つ確かめました。

1 元データ


元データ

CUBEが分布する例です。

2 凸包


凸包

CUBE分布の殻を生成します。内部構造は見えなくなります。

3 ポイントクラウドの拡大


ポイントクラウドの拡大

内部構造が見えますが、点群ボリュームが連結するまで拡大するので、分布実体より肥大化します。

4 CUBEの拡大


CUBEの拡大

元データを拡大したもので、内部構造が見えますが、分布実体より肥大化します。

5 バウンディングスフェア


バウンディングスフェア

分布形状を内包する最小球です。

6 バウンディングボックス


バウンディングボックス

分布形状を内包する最小直方体です。

7 メモ

バウンディングスフェア以外はBlenderのgeometry nodesで数個のnodeを連結することで生成しています。

geometry nodesで作業することにより、元データに対して非破壊的です。

バウンディングスフェアは専用nodeがないのでPythonで生成しています。

上記以外にもメタボールを使った方法などがあります。

3D空間で遺物密度の分級を行った際、高密度分布域を強調して表現したい場合などに、この技術を利用します。


2025年4月8日火曜日

イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

 A boar jawbone and three hunting tools were unearthed in close proximity


I discovered a place where a boar jawbone and three hunting tools (a deer bone piercing tool, a marine animal bone fish hook, and a stone arrowhead) were unearthed in close proximity. A dense area of ​​bones and teeth surrounds the site. I hypothesized that this area was a ritual space consisting of an altar and a place to eat animal meat.


イノシシ顎骨と狩猟道具3点(鹿骨製刺突具、海獣骨製釣針、石鏃)が接近出土する場所を発見しました。その場所を囲んで骨・歯分布密集域が広がります。この付近が祭壇と獣肉を食べる場から構成される祭場空間だと仮説しました。

1 イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

イノシシ顎骨出土例


イノシシ顎骨に接近して出土する遺物

イノシシ顎骨、石鏃、骨角歯牙製品、貝製品(装飾品)、人骨を集成した3D 分布モデルを作成したところ、イノシシ顎骨、刺突具(鹿骨)、釣針(海獣骨)、石鏃が接近出土する場所を発見しました。

2 イノシシ顎骨等4点内包球の作成


イノシシ顎骨等4点内包球の作成

この4 遺物接近出土の場所が骨・歯3D分布との関連で気になるので、4遺物を内包する球を3D空間に設定しました。

3 イノシシ顎骨等4点内包球と骨・歯3D分布との空間関係


イノシシ顎骨等4点内包球と骨・歯3D分布との空間関係

イノシシ顎骨等4点内包球と骨・歯3D分布との関係を観察しました。結果、内包球が骨・歯3D分布における密集域空白部にすっぽりと入ることを確認しました。骨・歯密集域空白部は11 断面のS3層の褐色部に対応します。

4 作業仮説

以上の空間関係から、次の作業仮説を設定しました。

「イノシシ顎骨をトーテムとした狩猟関連祭祀の場(直径1mくらいの祭壇空間)が斜面貝層に継続して存在し、刺突具(鹿骨)、釣針(海獣骨)、石鏃などが埋納された。その場所には貝殻投棄が行われないので、その場所だけ貝層は褐色となった。祭祀の度毎にごちそうの獣肉を含む飲食がおこなわれたので、祭祀の場(祭壇空間)の周りには骨・歯の密集域が形成された。イノシシ顎骨等出土域とそれを囲む骨・歯密集域をセットで祭場空間として捉える。」


2025年4月7日月曜日

斜面貝層細区分と骨・歯3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

 Slope shell layer division and bone/tooth 3D distribution model (density color expression version)


I observed and analyzed the state of the slope shell layer subdivision and bone/tooth distribution (density color expression version) in the study space (3D space) of the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound. The bone/tooth dense area is distributed on the middle slope of the white shell layer, and is clearly different from the pottery dense area distribution.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における斜面貝層細区分と骨・歯分布(密集度色表現バージョン)の様子を観察分析しました。骨・歯の密集域は白色貝層の斜面中腹に分布し、土器密集域分布と明らかに異なります。

1 斜面貝層細区分と骨・歯3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

斜面貝層細区分と骨・歯3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界及び斜面貝層細区分境界:青平面メッシュ

骨・歯:CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

骨・歯密集度:

赤 当該骨・歯から20㎝範囲内空間に10個以上の骨・歯が出土しているもの

ピンク 当該骨・歯から20㎝範囲内空間に6~9個の骨・歯が出土しているもの

薄ピンク 当該骨・歯から20㎝範囲内空間に3~5個の骨・歯が出土しているもの

白 当該骨・歯から20㎝範囲内空間に0~2個の骨・歯が出土しているもの

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 斜面貝層細区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察・検討


斜面貝層細区分別骨・歯件数

骨・歯の出土件数は全ての白色貝層が褐色貝層を上回ります。


骨・歯3D分布

骨・歯の3D 分布をみると、密集域が白色貝層でいずれも貝層形成時の斜面中腹の場所に該当します。密集域分布が土器と明らかに異なります。骨・歯は獣肉を食べた残滓が残されたものと捉え、斜面の中腹で野外飲食により投棄された跡であると想定します。


骨・歯3D分布 上からオルソ投影

骨・歯3D 分布モデルを上からオルソ投影すると、斜面中腹部の11 断面側に骨・歯密集域の空白部を観察できます。

2025年4月6日日曜日

斜面貝層細区分と土器3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

 Slope shell layer subdivision and pottery 3D distribution model (density color version)


I observed and analyzed the slope shell layer subdivision and pottery distribution (density color version) in the study space (3D space) of the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound using a 3D model. The pottery concentration area is concentrated near the lower tip of the white shell layer. I inferred that the pottery was dumped in that location (near the water's edge at the time).


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における斜面貝層細区分と土器分布(密集度色表現バージョン)の様子を3Dモデルで観察分析しました。土器密集域は白色貝層の下方先端付近に集中しています。その場所(当時の水辺付近)を選んで土器が投棄されたと推察しました。

1 斜面貝層と土器3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

斜面貝層と土器3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界及び斜面貝層細区分境界:青平面メッシュ

土器:CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

土器密集度:

赤 当該土器片から20㎝範囲内空間に3個以上の土器片が出土しているもの

ピンク 当該土器片から20㎝範囲内空間に2個以上の土器片が出土しているもの

薄ピンク 当該土器片から20㎝範囲内空間に1個以上の土器片が出土しているもの

白 当該土器片から20㎝範囲内空間に土器片出土がないもの

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 斜面貝層細区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察・検討


斜面貝層細区分別土器・土製品件数

斜面貝層細区分別土器・土製品件数をみると、同じ白色貝層でもS2層の土器・土製品件数がS1層、S3層より多く、S2層の時期の土器更新が激しかったことを物語っています。S2層の時期はS1層、S3層の時期より貝消費・貝食品生産経済が活性化していたと考えます。この考えは、S2層で骨・歯件数(=獣肉消費量)が一番多いことや骨角歯牙製品件数(=社会の豊かさ指標)が一番多いことと整合的です。


土器3D分布


S2層先端付近の土器

土器の3D分布をみると、密集域が白色貝層の下方先端あるいは先端付近に存在するという際立った特徴が観察できます。その様子は千葉県立中央博物館展示剥ぎ取り断面のS1層下方先端、S2層下方先端で実物観察できます。

土器密集域が白色貝層下方先端付近に形成されている様子は土器投棄原理を考える上でとても示唆的であると考えます。白色貝層の下方先端付近はその形成当時はいずれも水辺的環境であったと考えられます。従って、縄文人が水辺での土器投棄を好んでいた可能性が3Dモデル観察から浮かび上がります。


貝殻遺物の挙動想定

なお斜面貝層では、土器や貝殻は投棄された当初踏圧などの影響で下方に移動していると考えられます。しかし、その移動量は不明です。本ブログでは遺物3D分布の諸状況から、平均的下方移動量はさほど大きなものではないとイメージし、分析では考慮していません。



2025年4月5日土曜日

斜面貝層細区分と遺物3D分布モデル

 Slope shell layer subdivision and artifact 3D distribution model


I observed and analyzed the slope shell layer subdivision and artifact distribution in the study space (3D space) of the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound using a 3D model. More artifacts were excavated from the white shell layer than from the brown shell layer. I hypothesized that during the white shell layer period, the yield of clams and other shellfish was high, which stimulated the economy, and that other artifacts also increased in tandem.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における斜面貝層細区分と遺物分布の様子を3Dモデルで観察分析しました。白色貝層からの遺物出土が褐色貝層より多くなっています。白色貝層の時期にはハマグリ等貝収量が多く経済が活性化し、それに連動して他の遺物も増えたと仮説しました。

1 斜面貝層細区分と遺物3D分布モデル

斜面貝層細区分と遺物3D分布モデル

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界及び斜面貝層細区分境界:青平面メッシュ

遺物:赤CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 斜面貝層細区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデル動画


3Dモデル動画 (ワイヤーフレーム版)


3Dモデル画像(ワイヤーフレーム版)

2 検討


表 斜面貝層細区分別遺物件数


グラフ 斜面貝層細区分別遺物件数


グラフ 斜面貝層細区分別体積 ㎥


グラフ 斜面貝層細区分別遺物密度 件/㎥


白色貝層の遺物件数は多く、褐色貝層の遺物件数は少ないことが特徴となっています。遺物密度も全体では白色貝層が大きく、褐色貝層は小さくなっています。

また、白色貝層の方が褐色貝層より単位体積当たり貝殻量は多いから、単位貝殻量あたり遺物密度を想定すると、白色貝層の方が褐色貝層より遺物密度がさらに大きくなります。

このデータから、次の作業仮説を検討しました。。

●作業仮説

白色貝層の時期は豊漁でハマグリ貝収量が多く、集落内貝消費が増大して貝殻投棄が増えます。従って貝層が白色になります。交易用貝食品生産も増え、人口も増加傾向になります。貝調理増加や交易用食品生産増加や人口増加に伴い道具類(土器、貝刃など)の更新による投棄が増えます。また交易が活性化するので獣肉の消費も増え、骨・歯投棄量も増えます。

一方、褐色貝層の時期は白色貝層の時期と逆で、ハ

マグリ貝収量が少なく、相対的にイボキサゴ収量の割合が増えるので貝層は褐色になります。貝消費や交易用貝食品生産が少なくなるので、関連する道具類の更新も進まないため、その投棄量は少なくなります。獣肉消費量も減るため、骨・歯投棄量が減少します。

なお、白色貝層S2 とS3 に挟まれる褐色貝層R3 の時期は二次堆積貝層の堆積現象が急激に進んでいます。その事象から、ガリー谷頭部での急激な浸食作用が考えられます。従って、気候変動(降雨増大)が「貝収量減でかつ遺物投棄量減」現象を招いている可能性も想定できます。


2025年4月4日金曜日

2025年3月ブログ活動のふりかえり

 I looked back on the activities of the blog "Walking the Hanami River Basin" in March 2025.


Following on from January and February, I pushed myself to focus on the investigation of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, despite my old age. In terms of technology, I am now able to analyze the correspondence between the 3D shell layer model and the 3D artifact distribution model in the 3D investigation space, and my knowledge is increasing.


ブログ「花見川流域を歩く」の2025年3月活動をふりかえりました。

1月、2月に引き続き、老骨に鞭打って、有吉北貝塚北斜面貝層検討に集中しました。技術面で、3D検討空間において貝層3Dモデルと遺物分布3Dモデルの対応関係分析が出来るようになり、知見が増えています。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2025年3月の記事数は25です。

・北斜面貝層における貝層3Dモデルと遺物分布3Dモデルの対応関係分析記事を書きました。

・千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」で観覧したアリソガイ、アワビ、イルカ下顎製腰飾などの観察記録3Dモデル記事を書きました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事2編を書きました。

3 2025年3月活動の特徴

テストグリッドでの試行を踏まえ、10断面と11断面に挟まれた空間を検討空間に設定しました。

貝層断面図(精細な発掘現場で手書きで書かれた断面図)における貝層分層と大格闘しました。斜面貝層(オリジナル貝層)については、結局、貝層断面図から貝層発達大局観を得ることが出来ませんでした。挫折といっていいと思います。

仕方がないので、Bプランとして用意していた現場写真から斜面貝層発達大局観を得ることにして検討し、成功しました。斜面貝層を褐色貝層3層と白色貝層3層が交互に重なる分層として設定しました。この分層設定はその後の分析に役立つ信頼性のあるものとなりました。

斜面貝層発達大局観を得た後の分析活動はすべて順調に経過し、3D空間における貝層と遺物の関係を明らかにすることができました。

作業に熱中するために、生活も変えました。テレビニュース、ネットニュース、新聞から自分を遮断しました。それに接するとそちらに興味や思考エネルギーを取られてしまうためです。またブログ記事も3月23日をもって更新を止めました。ブログ記事作成時間がバカにならないので、記事更新をやめ、時間を北斜面貝層検討に全て投入しました。ブロガーを自認する自分としては最後の非常手段といってもいいかと思います。

4 2025年4月活動の展望

北斜面貝層検討をさらに深める活動を行うとともに、2年前から継続している北斜面貝層遺物データベース作成作業の残作業(遺物平面図からXY座標を読みとる作業)に取組むことにします。

ブログ記事更新も旧に復したいと思います。


参考

ブログ「花見川流域を歩く」2025年3月記事 〇は閲覧の多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2025年3月記事


2025年3月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2025年3月 YouTubeに投稿した動画


2025年3月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像