私の散歩論

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2024年7月31日水曜日

全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of Yamagata clay figurine  painted entirely in red (Uchino No.1 Site, Chiba)


I created a 3D model of the observation record of the Yamagata clay figurine  painted entirely in red (Uchino No.1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “Faces of Clay Figurines from the Jomon Period”.I have enjoyed creating various 3D models of this clay figurine in the past, including interference color 3D models and measured-style 3D models.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。この土偶は過去に干渉色3Dモデル、実測図風3Dモデルなど多種3Dモデル作成を楽しんだことがあります。

1 全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 93 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

この土偶は過去に何回も3Dモデルを作成して楽しんだことがあります。

2-1 最初の3Dモデル作成

2020.08.23記事「全面赤彩された山形土偶頭部の3Dモデル


2020.08.233Dモデル画像

2-2 赤色立体原理適用

2022.02.06記事「山形土偶3Dモデルへの赤色立体原理適用


山形土偶の赤色立体画像

2-3 干渉色で塗る

2022.03.27記事「干渉色に塗った山形土偶3Dモデル


干渉色に塗った山形土偶3Dモデル

2-4 実測図風線分による3Dモデル表現

2022.03.22記事「実測図風線分による3Dモデル表現


実測図風線分による3Dモデル 1


実測図風線分による3Dモデル 2

2-5 実測図風書き込み山形土偶3Dモデル

2022.03.20記事「3Dモデルテクスチャ画像の書き込み


実測図風書き込み山形土偶3Dモデル

2-6 山形土偶干渉色動画

2022.02.06記事「山形土偶画像を干渉色に変換し位相をずらした動画



山形土偶画像を干渉色に変換し位相をずらした動画

2-7 参考 発掘調査報告書掲載実測図


発掘調査報告書掲載実測図


発掘調査報告書掲載実測図

2024年7月30日火曜日

技術メモ:postgreSQLによるテーブル結合 遺物台帳テーブルと土錘テーブル

 Technical memo: Table join with PostgreSQL: Relic ledger table and soil weight table


I analyzed the correspondence between the relic ledger and soil weight list of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound using a table join with PostgreSQL. This was my first data analysis with PostgreSQL. I realized that the relic ledger names are nothing more than collection bag labels.


有吉北貝塚北斜面貝層の遺物台帳と土錘リストを対象に、postgreSQLによるテーブル結合でその対応関係を分析しました。自分にとって、postgreSQLによるはじめてのデータ分析です。遺物台帳名称が採集袋ラベルに過ぎないことがよくわかりました。

1 postgreSQLによる遺物台帳テーブルと土錘テーブルの結合

1-1 遺物台帳テーブル

現在(2024.07.30)の遺物台帳テーブルの項目(カラム)は次の通りです。データ数は64097です。

(わかりやすくするために日本語で表記しています。データベースでは英字略記で表記しています。)

・グリッド(文字表記)

・遺物番号(グリッド内の通し番号)

・遺物コード(グリッド-遺物番号の文字連続表記)

・グリッドコード2(数値表記)

・遺物コード2(数値表記)

・名称(文字表記)

・標高(小数点表記)

・貝層(文字表記)

・注記(文字表記)

・はみ出し移動前(文字表記)

・はみ出し移動後(文字表記)

・移動コード(数値表記)

・遺物分類コード(数値表記)

1-2 土錘テーブル

土錘テーブルの項目は次の通りです。データ数は960です。

・遺物コード2(数値表記)

・土錘数(数値表記)

発掘調査報告書掲載土錘リストは個別土錘リスト(1090)です。このリストから遺物コード2で土錘数を集計した資料がこの土錘テーブルです。

1-3 postgreSQLによる遺物台帳テーブルと土錘テーブルの内部結合

postgreSQLのクエリで遺物台帳テーブルと土錘テーブルの内部結合主キー「遺物コード2」で行い、「遺物台帳対応土錘テーブル」を派生させました。

●「遺物台帳対応土錘テーブル」

・遺物コード2(数値表記)

・名称(文字表記)

・土錘数(数値表記)


pgAdmin4画面(テーブル結合の様子)

pgAdmin4はpostgreSQLのGUIです。

2 派生テーブル「遺物台帳対応土錘テーブル」の検討

2-1 データ数の減少

土錘テーブルのデータ数は960でしたが、テーブル結合した後の「遺物台帳対応土錘テーブル」のデータ数は940に減少しました。

このデータ減少を詳しく検討したところ、次の要因によるものであることがわかりました。

1 土錘テーブル(発掘調査報告書土錘リスト由来データ)の遺物コード2には、出土グリッドは判明しているが、遺物番号が無いものがあり、それに遺物コード2仮番を付けていたものがあるため。(8件)

2 発掘調査報告書土錘リストから生成される遺物コードに実在しないものが含まれているため(おそらく錯誤による作業ミス)。(12件)

結果として、土錘テーブル(全960件)のうち940件(97.92%)が遺物台帳との対応で使えることがわかりました。

2-2 土錘と遺物台帳名称との対応

土錘と遺物台帳名称との対応の概要は次のようになりました。


土錘(現物)がリンクしている遺物台帳名称

現場で土錘として取り上げられた件数(遺物番号の数)は437件で46.5%、土器として取り上げられたものが471件で50.1%、その他の名称で取り上げられたもの32件で3.4%ということになります。

土器として取り上げられたものとは、ほとんどの場合土器片多数を一括で取り上げ、1つの遺物番号をつけた採集袋の中にいれられた状況があり、後日その採集袋の土器片を分析するなかで土錘も見つかったと考えることができます。

石器、骨、貝、鱗、貝サンプルも同じく、それらの名称に該当する品が納められた採集袋の中から、後日土錘が見つかったという状況が考えられます。

2-3 標高データのあるものは64.4%

遺物台帳では「〇〇一括」と書かれたものは標高データがありません。その件数を「遺物台帳対応土錘テーブル」で集計すると335件となります。従って940-335=605件が標高のあるデータで、全体の64.4%に該当します。標高データのあるものは、今後遺物分布図から平面座標を取得できますから、精細な3Dモデル座標も取得できます。

3 メモ

postgreSQLによる遺物台帳テーブルと土錘テーブルの内部結合により派生した「遺物台帳対応土錘テーブル」の分析から、遺物台帳の性格がよくわかりました。遺物台帳名称はあくまでも採集袋のラベルであり、採集袋の中にはラベルとは異なる遺物も一緒に納められいる場合がかなりあるということです。この状況を理解できたことで、今後の分析活動に柔軟性が求められることが判明しました。

4 感想

postgreSQLによる北斜面貝層遺物データベース作成活用がいよいよ本格化しました。現状ではヨチヨチ歩きですがどんな活動でも幼少期通過は必要であり、我慢して実務作業を継続することにします。さいわいなことに、postgreSQLによるデータ分析の不足分はPythonによる分析で穴埋めできています。

今後、postgreSQLのクエリ記述でChatGPT支援を受けて、データ分析の高度化を図りたいとおもいます。

なお、Pythonスクリプト作成、BlenderPythonスクリプト作成ではChatGPT支援を日常的に受けています。postgreSQL、Python、Blenderなどの連携活動がChatGPT支援で自由にできると感じるので、楽しい状況になっています。


2024年7月29日月曜日

みみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of owl clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba City)


I created a 3D model of the observation record of the owl clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “Faces of Clay Figurines from the Jomon Period”. I felt that this owl clay figurine was also a clay figurine that depicted the figure wearing a mask, that is, a masked clay figurine.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されているみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。このみみずく土偶も仮面を被っている様子を表現した土偶、つまり仮面土偶であると感じました。

1 みみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

みみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 130 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 感想(想像)

2-1 仮面土偶としてみると納得する

同じ千葉市内野第1遺跡から仮面タイプのみみずく土偶が出土しています。

2024.07.23記事「仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

その情報を念頭に、このみみずく土偶を3Dモデルで周囲から子細に観察すると、人が仮面を付けているように理解することができます。仮面部分(丸い顔)と耳が離れているから、なおさらそのように見えます。


3Dモデル画像横から


3Dモデル画像横から

2-2 顔面の意義

顔面(仮面)は以前から顔の皮はぎの暴行(拷問、凌辱、刑罰)の様子を表現しているものと考えています。その論拠に一つが鼻の位置が目の位置と比べて通常顔面より上にあることです。顔の皮を剥ぐと肉がとれ鼻骨だけになりますから、鼻が上に上がったようにみえます。この鼻の位置移動を強調表現しているものと想像します。

女神にたいする暴行(拷問、凌辱、刑罰)はこの土偶が使われた儀礼に関わる神話がそうなっているからだと想像し、それがハイヌウェレ型神話だと想像します。顔の皮剥ぎという刑罰は当時実在していたと考えます。

(この想像が間違っているとか、すこし変だとかの疑念がいつまでも生まれないので、継続して自分の作業仮説にしています。)


2024年7月28日日曜日

直接観察できない縄文人行動を解釈する研究ツールとしての類推法

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 13


Analogy as a research tool for interpreting Jomon behavior that cannot be directly observed


Study 13 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


At the end of the prologue to “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi, I learned about analogy, a research tool for interpreting Jomon behavior. In conclusion, the book emphasizes the importance of interpretation methods that involve “comparison” and “contrast” of structures and contexts, rather than “analogy” from similar cases.


谷口康浩著「土偶と石棒」の序章最後として、縄文人行動解釈のための研究ツールである類推法について学習しました。結論として、類似事例からの「類推」ではなく、構造やコンテクストの「比較」「対照」の解釈法の大切さが書かれています。

序章 儀礼考古学の現代的意義

3 前提的問題

(2)解釈とアナロジー

・序章の最後に考古学研究における民族誌や歴史民俗によるアナロジー(類推法)の有効性と援用の問題を論じています。とても参考になる記述です。

・方法論的規準として、渡辺仁(1996)の考古学上の「解釈」に対する研究者の方法論的な態度の三つのモードを紹介しています。

「モード1とは、遺物の人類学的意味の理解には無関心で、資料(遺物)の記載が研究目標であるために、客観的に扱える形態的属性の論議から外にほとんど出ようとせず、遺物をめぐる主体の行動の実態と意味を解釈することに消極的ないし否定的で、民族誌的情報による類推にも懐疑的である。

モード2は、遺物の用途や機能に興味をもつが、科学的・人類学的な解釈の方法論をもたずに形態的パターンの類似した個別事例の民族誌情報を直載に持ち込むので、独断的・主観的解釈に陥り、解答の論理性あるいは根拠の客観性が欠ける。

これに対してモード3は、科学的アプローチによる解釈を得るために民族誌的情報を援用する方法を研究し、土俗考古学(ethnoarchaeology)をその方法的規準とする。

モード2が考古・民族の個別事例の形態的パターンの類似を直接解釈の根拠にしてしまうのに対し、モード3はそのような個別要素の比較ではなく、要素群の機能的相互関係の類似すなわち構造の類似に基づいて機能を類推する方法を取る(渡辺1993)。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・著者は「行為」と「コンテクスト」の分析から要素群の構造的な関係態を抽出できるか否かを検討する必要があるとして、行為やコンテクストの「反復性」「再現性」が考古学的な方法で確認できるかどうかが必要条件になると強調しています。

・最後に類似した事例からの「類推」ではなく、構造やコンテクストの「比較」「対照」をおこなえる解釈法の構築が課題となると述べています。

【メモ】

・出土した遺物・遺構などから縄文人の行動を直接観察することはできません。そこで、直接観察された民族誌情報を縄文人に適用して、観察できない縄文人行動を解釈する研究ツールが類推法(アナロジー)です。

・しかし、過去の類推法は個別事例の形態的パターンの類似を直接解釈の根拠にしてしまい、それでは弊害が大きいことが述べられています。

・結論として類似した事例からの「類推」ではなく、構造やコンテクストの「比較」「対照」をおこなえる解釈法の構築が課題となると述べています。この方法は、直接観察した人の行動(民族誌情報)と直接観察できない縄文人行動を、構造やコンテクストで「比較」「対照」して検討して、最終的には縄文人行動を可能な範囲で想定することになるのです。単純な類推と比べると格段に進歩した研究ツールであると考えます。

・このような方法論的問題意識で書かれた本書本論の学習をこれから始めます。とても楽しみです。

【感想】

・考古学の方法論としての類推法の問題点と、それを克服する新たな方法については理解しました。

・自分は考古学を学んでいるのではなく、考古事象を観察して楽しむことを趣味として生活しています。・考古学を知ることは趣味活動をより深く楽しむために必要ですから、本書のような考古学専門書の学習にも興味が湧きます。

・遺物を観察していて、その遺物の使い方など、決して観察できない縄文人行動とか心理に大いに興味が向かいます。

・その際、本書では戒められている「個別事例の形態的パターンの類似を直接解釈の根拠にする」検討も大いに行い、その結果をSNSで情報発信することにします。そうすることによって考古趣味活動を楽しむことにします。

・一方、構造やコンテクストの「比較」「対照」解釈法についても頭の片隅に置き、そうしたことを考えることができる情報に直面した時は、その解釈法についての検討も楽しむことにします。


土偶

この画像は本文と関係ありません。


土錘平均重量の分布

 Distribution of average weight of soil weight


There was no macroscopic distribution phenomenon that divides the space of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound in terms of the average weight of soil weight by grid. However, when viewed microscopically, there are some places where the average weight changes from large to medium to small. It seems that the soil weights were sorted by weight due to the slope flow force.


グリッド別土錘平均重量は有吉北貝塚北斜面貝層の空間を区分するようなマクロな分布事象はありませんでした。しかし、ミクロにみると平均重量大→中→小と変化するところがあります。斜面流水営力で土錘が重さでソートされた結果のように見えます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘平均重量

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘平均重量

土錘が10以上出土したグリッドのみ表示

棒の長さは土錘出土数を示す(10~48)

データ出典:発掘調査報告書

濃黄:平均重量>34g

黄:34g≧平均重量≧24g

薄黄:24g>平均重量

(平均重量とは当該グリッドから出土した土錘重量の平均値、北斜面貝層出土土錘の平均重量は29g。)

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3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

グリッド別土錘平均重量の分布は北斜面貝層空間をマクロに区分するよな特筆すべき特徴は見られませんでした。土錘平均重量という指標でみると北斜面貝層空間を区分するような特徴がなかったという情報も貴重な情報になります。

なお、北斜面貝層下流部の最も土錘出土が多いグリッド付近で左岸→流路流心に向かって、平均重量大→平均重量中→平均流路小と変化する事象が観察できます。この分布図だけでその理由を明らかにすることはできませんが、左岸から流路流心に向かう斜面流によって土錘がソートされた現象である可能性が浮かび上がります。つまり左岸から投棄された土錘のうち、重たいものは直ぐに堆積してしまい、平均的重量の土錘はさらに運搬され、軽い土錘はより遠くまで運搬されたというモデルが検討俎上にのぼります。詳細検討はグリッド単位検討ではなく、遺物単位3D空間プロットモデルで検討することにします。


2024年7月27日土曜日

土錘破損率の分布

 Distribution of soil weight breakage rates


I visualized the breakage rates by grid using the soil weight list of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound published in the excavation report. This revealed a significant difference in the spatial distribution of breakage rates. The breakage rate was high in the upstream area near the head of the gully, and low downstream. The soil weight breakage rate data may be an indicator of the strength of the water flow force.


発掘調査報告書に掲載されている有吉北貝塚北斜面貝層の土錘リストを使って、グリッド別土錘破損率を可視化しました。これにより空間における土錘破損率分布の顕著な差異がみつかりました。ガリー谷頭に近い上流部で破損率が高く、下流で低くなります。土錘破損率データが加曽利EⅡ式期水流営力強さの指標になるかもしれません。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘破損率

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘破損率

土錘が10以上出土したグリッドのみ表示

棒の長さは土錘出土数を示す(10~48)

データ出典:発掘調査報告書

赤:破損率>52%

黄:52%≧破損率≧32%

青:32%>破損率

(破損率とは完形土錘(残存率80%以上)のうち、破損が認められる土錘の割合。破損率平均値は42%。)

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3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

北斜面貝層上流部(ガリー谷頭部)で破損率が高く、下流部で破損率が低い傾向が見られます。

直観的には、上流部では侵食作用が強いため水流運搬中の破損が多くなり、下流部では水流の影響が弱いため破損が少なくなると捉えることができます。別の情報とも重ねてこのような捉え方でよいか十分に確かめる必要があります。もしこの考えの的確性が高まれば、逆に土錘破損率の大小を侵食営力の強さの指標とすることができます。

この1枚の土錘破損率分布図だけからの特定的判断はできませんが、土錘破損率の空間分布に顕著な相違がみつかりましたので、今後の検討が楽しみです。


2024年7月26日金曜日

土偶(市原市西広貝塚)観察記録3Dモデル

 Clay figurine (Saihiro Shell Mound, Ichihara City) Observation Record 3D Model

This clay figurine is smaller than the Mimizuku Clay Figurine and has a very simple design.The eyes and mouth are made by piercing with a thin stick.It may have been a tool used in a small ritual with a different meaning from the Mimizuku Clay Figurine.


この土偶はみみずく土偶とくらべて大きさも小さく、造形はとても簡素です。目と口は細い棒で刺突して表現しています。みみずく土偶などとは別の意義の小さな儀礼に使われていた道具かもしれません。

1 土偶(市原市西広貝塚)観察記録3Dモデル

土偶(市原市西広貝塚)観察記録3Dモデル

縄文時代後期~晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 100 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 メモ

この土偶は山形土偶やみみずく土偶とくらべて大きさも小さく、造形はとても簡素です。目と口は細い棒で刺突して表現しています。耳(耳飾り)の表現もありません。同時代のみみずく土偶などの儀礼とは別の意義の小さな儀礼に使われていた道具であると想像します。


技術メモ 遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データ

 Technical memo: Relic ledger data and excavation report data


I compared the relic ledger data and excavation report data using the clay weights from the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita shell mound as an example.


有吉北貝塚北斜面貝層の土錘を例に遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データを比較してみました。遺物台帳データは現場で遺物を取り上げた際の情報で、遺物を吟味した結果の情報が発掘調査報告書掲載データです。発掘活動のイキイキとした様子が伝わってきます。

1 遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データ

遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データ

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘出土数

遺物台帳データ(現場で遺物を取り上げた際の情報)

発掘調査報告書掲載データ(遺物を吟味した結果の情報)

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 データ比較

遺物台帳データ…土錘出土件数736、出土グリッド数91

発掘調査報告書掲載データ…土錘出土数1090個、出土グリッド数108

遺物台帳データは現場で土錘と認識されて取り上げられた件数です。一方、出土土器や土製品を全て観察して、土錘として認識されたものは1090個になります。現場で土錘と認識されたものより354増えています。

現場で遺物を取り出す様子、取り出した膨大な遺物を吟味調査してリストにする様子が遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データの違いから伝わってきます。発掘活動のイキイキとした様子が伝わってきます。

なお、発掘時に遺物台帳データに記載された種別(名称)は遺物吟味で後日変化しても遡って訂正はされないとのことです。遺物番号は最後まで継承されます。

2-2 遺物台帳データ補正

発掘調査報告書掲載データには出土グリッド、遺物番号が記載されています。従って、発掘調査報告書掲載データを正として遺物台帳データを補正することが可能です。

遺物台帳データの補正は遺物台帳データを「訂正」するのではなく、遺物台帳データと発掘調査報告書掲載データから新しい遺物データベースを生成することにより実現します。SQL活用で実現する予定です。

2-3 データレベル

遺物を扱うデータレベルが現時点で3つあります。それぞれのデータ整備を行うつもりです。

1 個別遺物レベル

発掘調査報告書掲載土錘データがこれにあたります。発掘調査報告書では土錘の短軸と長軸の長さ、重量、部位、欠損有無が記載されていて、統計的解析が可能です。個別遺物データレベルは次の遺物台帳番号データレベルより優先して扱います。

2 遺物台帳番号レベル

遺物台帳番号は遺物1点の場合もあれば、遺物複数の場合もあります。同じ種別の遺物を一括して取り上げて1つの番号にしたものがかなりあります。この遺物台帳番号に対応して遺物分布図がつくられていて、出土3D座標がわかるのは遺物台帳番号レベルになります。従って、遺物台帳番号データレベルが今後検討の基本になります。

3 平面グリッド別レベル

遺物データを平面グリッド別に集計整理して分布図等で示すことによって、北斜面貝層の概要を知ることができます。平面グリッド別データレベルは概要把握のために活用します。立体グリッド(2m×2m×2m)別データ整理についても、それがより的確に北斜面貝層概要を示すものならば、採用することにします。

2024年7月23日火曜日

仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of masked owl clay figurine (Uchino No. 1 Site, Chiba City)


I created a 3D model of the observation record of the owl clay figurine (Uchino No. 1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “Faces of Clay Figurines from the Jomon Period”. This owl clay figurine is very interesting because it depicts a masked figure. The owl clay figurine ritual may have been related to theater.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されているみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。このみみずく土偶は仮面を被っている状況が表現されていて、とても興味深い土偶です。みみずく土偶儀礼が演劇と関連していたのかもしれません。

1 仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 115 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 展示説明


展示説明

展示パネルでは仮面の紐が土偶背面で結ばれている様子の写真も掲載されています。

3 観察メモ


観察

仮面とそれについた紐、顎の線、耳(耳輪はない)、頭髪などが観察できます。

みみずく土偶顔面の仮面を縄文人がつくり、儀礼として演劇を演じていた(儀礼で仮面を使っていた)ことがこの土偶から判ったということなのだと思います。

4 みみずく土偶顔面の意味するもの(想像)

みみずく土偶顔面は刑罰や拷問で顔の皮剥ぎが行われ、皮膚が剥がれた状況を示していると考えます。顔輪郭を示す丸い線刻付隆線は、剥がされた皮がそこまでだった様子を示しています。どのみみずく土偶も鼻の位置が異常に上にありますが、これは鼻の肉がなくなり、頭骨の鼻部分だけになった様子を表現しています。

女神(若い娘)を拷問して極限の苦しみを与えて殺し、その結果が世の中に豊穣をもたらすという大陸から伝来したハイヌヴェレ型神話に関わる儀礼が房総後晩期土偶儀礼の基本だったと想像します。

2020.08.26記事「本当は怖いミミズク土偶



2024年7月22日月曜日

儀礼考古学の研究目標

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 12


Research goals of ritual archaeology


Study 12 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I learned about the “Research goals of ritual archaeology” in “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi. As an archaeologist, I learned that there is a difference between trying to explain archaeological phenomena from the perspective of modern people, or trying to interpret them from the perspective of past participants. (At the same time: A playful comparison of my own version of the short-section summary and the ChatGPT version)


谷口康浩著「土偶と石棒」のなかで「儀礼考古学の研究目標」について学習しました。考古学者の立場として、現代人の視点から考古事象を説明しようとするのか、それとも過去当事者の視点から解釈しようとしているのかの違いがあることを知りました。(同時:小節要約自分版とChatGPT版の比較遊び)

序章 儀礼考古学の現代的意義

3 前提的問題

(1)どこに研究目標を置くのか

【要約】

1 儀礼研究は様々な視角をとり得る

儀礼は社会と文化に様々な形で結びついているため、過去儀礼研究は様々な視角をとり得る。

例 1 実生活と儀礼文化との関係を明らかにし、またその類似性から文化圏や文化の系統を論じようとするもの。

例 2 儀礼と社会構造との関係を探ること

例 3 儀礼の背景にある人間の心理や認知を考察しようとする

2 儀礼考古学が目指すもの

儀礼考古学の立場は次の3つある

1)実在資料現象面の客観的観察、記述

2)儀礼のパターンや規則性の意味や意義を現代の研究者の視点から説明する立場

3)考古資料から過去当事者の信仰や観念を再構成し、過去当事者の視点からその意味を解釈する立場

2)の立場は文化人類学の客観的・科学的な研究態度“etic”と、3)の立場は文化人類学の文化の当事者(natives)にとっての意味を解釈する研究態度“emic”と対応する。

2)と3)の違いは欧米考古学におけるプロセス学派とポスト・プロセス学派の違いにも重なる。

どちらか一方を正しい研究態度と考える必要はないが、儀礼祭祀を研究対象とする者は自分の立場を明示する必要がある。

歴史遡及法が適用できる分野に限っていえば、「彼らの文化」「彼らにとっての意味」の解釈は不可能ではないと思われる。たとえば神道考古学。

縄文文化の考古学では、「彼らの文化」「彼らにとっての意味」を解読することはほぼ不可能である。

3 筆者の立場

筆者は2)の立場を採っている。

【感想】

・考古学そのものを自分は良く知らないので、2つの立場の違いを生々しく理解できません。残念なことです。筆者のいう通りなのかもしれませんが、「縄文文化の考古学では、「彼らの文化」「彼らにとっての意味」を解読することはほぼ不可能である。」という文言を確かにその通りだと言えるだけの情報(体験)をもっていません。

・縄文考古学で3)の立場を採って記述した論文例があり、それが〇〇だから、トンチンカンなんだという捕捉説明がほしいです。

・二つの立場の違いを学習活動の中で実感して感動的感情が生まれた時には、それを記事にしたいと思います。

……………………………………………………………………

【ChatGPTによるこの小節の要約】

(テキストファイルaaa.txtはある儀礼考古学図書における研究目標についての記述です。この記述の要約を箇条書きで作成してください。)

以下は、テキストファイル「aaa.txt」に記載されている儀礼考古学の研究目標に関する要約です。

儀礼考古学の研究目標の要点

1 生業と儀礼の関係

・儀礼は生業と不可分の関係にあり、例えば日本の神社祭礼は稲作農耕と結びついている。

・縄文時代の儀礼も生態的多様性と地域性を反映し、狩猟民、漁労民、植物栽培民の要素が複合していた可能性がある。

2 儀礼と社会構造の関係

・社会統合と維持において、儀礼は重要な役割を果たす。

・儀礼は集団規範や価値観を可視化し、共有可能にする手段として機能する。

3 儀礼と人間の心理・認知の関係

・儀礼の形式には当事者の心理や認知パターンが表現されている。

・これを解読することで、象徴能力や認知パターンの復元が可能となる。

4 研究者の立場と研究目標

・儀礼考古学の研究目標は研究者の関心によって異なる。

・過去の儀礼を復元し、その心を知ることを目指すのか、一般的な問題を見つけ出すことを目指すのかが異なる。

5 考古学者の立場の分類

・儀礼に関わる資料を客観的に観察・記述する立場。

・過去の儀礼に関わるパターンや規則性を見つけ出し、社会・文化の意味を説明する立場。

・考古資料をテキストとして捉え、過去の信仰や観念を再構成し、その文化の意味を解釈する立場。

6 文化人類学との比較

・「emic」(当事者の視点)と「etic」(外部からの視点)の違いが儀礼考古学にも適用される。

・客観的説明と主観的解釈の違いを峻別することが重要。

7 研究態度の明示

・儀礼祭祀を研究する際には、自分の立場を明示する必要がある。

・どの立場を採るかによって、研究目標や方法が異なる。

8 具体的な研究例

・著者は縄文時代後半期の儀礼祭祀と社会構造、権力形成、社会階層化との関係を考察している。

・歴史的コンテクストの中で儀礼と文化・社会の関係を考察する立場を採用している。

以上が、テキストファイル「aaa.txt」に記載されている儀礼考古学の研究目標の要点です。


ChatGPT画面

【ChatGPT要約に関する感想】

・自分の要約を作成した後、ChatGPT要約を作成しました。

・ChatGPT要約はわかりやすい印象をうけます。キーとなる用語を使っていて、そつがない印象をうけます。一般論でいえば、使い物になるという印象をうけます。

・自分の要約は自分のために作成したものであり、自分がすでに理解していることで「書くまでもない」ことは、それが一般読者に有用であっても、書いてないことを意識させられました。読者のために書いた要約ではなく、自分の学習メモとしての要約であることを意識させられました。

・谷口康浩著「土偶と石棒」学習ではテキストの要約をChatGPTに書いてもらっても、自分の学習には役立ちません。したがってChatGPT要約は行いません。しかし、関連する多数の参考情報を全部読むわけには時間上からできませんから、テキスト化できるもの(pdfなどファイル化できるもの)はChatGPT要約をつかって、効率的に学習を進めることにします。また海外考古学はChatGPTが情報を所持していて、それを要約として引き出すことが可能ですから、大いに使うことにします。

2024年7月21日日曜日

人面付土器(レプリカ)(市原市三嶋台遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of vessel with human face ornament (replica) (Mishimadai site, Ichihara City)


I created a 3D model of the observation record of vessel with human face ornament (replica) (Mishimadai site, Ichihara City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum's special exhibition "Faces of Clay Figurines from the Jomon Period."

While observing the 3D model, I enjoyed imagining that this person was a master hunter who could supply feather products such as swans, and was also a central figure in bird rituals.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている人面付土器(レプリカ)(市原市三嶋台遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

3Dモデルを観察しながら、この人物が狩猟名人で白鳥などの羽製品を供給できる人物であり、同時に鳥儀礼の中心人物でもあるとする想像を楽しみました。

1 人面付土器(レプリカ)(市原市三嶋台遺跡)観察記録3Dモデル

人面付土器(レプリカ)(市原市三嶋台遺跡)観察記録3Dモデル

弥生時代中期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 132 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 感想

設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)ではこの人面付土器(顔壺)を、弥生時代の稲作に関連する鳥信仰に因り、鳥が飛ぶ空を見ている顔の例として紹介してます。

そのような指摘に基づいて、次の想像を楽しみました。

【想像】

・この人面付土器は弥生時代鳥信仰を表現する土器であり、「鳥が飛ぶ空を意識している」人面を表現している。

・この人物は鳥信仰で実施される各種鳥儀礼で枢要な役割を果たしていた。

・この人物は白鳥、ツル、トキなどの狩猟名人であり、鳥儀礼に欠かせない羽製品を供給することができる達人であった。

・この人物は頭に鳥狩猟の際に使う実用帽子を着装している。


ルーター故障で気が付いたこと

 What I realized when my router broke


Amid the news of global system failures, my router also broke at home. Although the internet was only cut off for half a day, I realized how precious the internet is, and especially how precious ChatGPT is.


世界的システム故障のニュースの中で、我が家でもルーターが故障しました。半日インターネットが遮断しただけですが、インターネットのありがたさ、特にChatGPTのありがたさを痛感しました。

1 ルーター故障

2024.07.19の23時ごろ急にパソコンでインターネットが不調になりました。完全に途切れているわけではないのですが、web画面が全くあるいはほとんど表示されません。タスクマネージャーをみるとイーサネットは動いているのですが、実用上インターネット利用はほぼ完全にできません。

別のパソコンでも同じであり、スマホはWi-Fiからモバイル回線に切り替わっています。

この日と翌20日は全世界的システム障害が報道されていて、そんなことに関連しているかもしれないし、関連していなくても稀にあるプロバイダーの機器障害の可能性があるから、待っていれば直るだろうと高を括っていました。

しかし、一向に改善しないので、プロバイダーに連絡し、ルーター再起動をアドバイスしてもらい、それでインターネット不調は嘘のように改善しました。

2 インターネット遮断で感じたこと

半日以上インターネット遮断下の趣味生活をしました。この中で、趣味生活がインターネット無にはほとんど成立していないような状況であることに気が付きました。失われてはじめて不便を痛感し、そのありがたさが判ったという次第です。次のようないつもは空気のように使っていたインターネット機能が実はとてつもなく自分にとって重要だった(価値のあることだった)のです。

1 Google検索

専門的情報の所在から、言葉遣いや漢字の確認まであらゆることを調べます。情報確認やきちんとした文章を書くためには必須です。

2 Google翻訳

はずかしいながら、これなしにブログ要約の英文作成はできません。

3 ChatGPT活用

Pythonスクリプト作成とか、最近では込み入った分析方法とか、一団の情報(文章や図表)の要約とかをChatGPTを活用して、ChatGPTに解決してもらっています。ChatGPT利用がない趣味生活はもうありえません。今回のインターネット一時遮断でもっとも残念だったのはChatGPTが使えないことでした。

4 ブログ「花見川流域を歩く」から画像を取得する

現在の自分の趣味生活(学習生活)は過去生活と深く関わっているため、過去に作成した画像を取得することが多くなっています。その過去画像はブログ「花見川流域を歩く」を内部検索して表示した記事画面からdrag and dropでフォルダーにコピーして利用しています。パソコンに接続した数台の外部ドライブのどこかにもその画像は必ずあるのですが、それを検索する手間は膨大になります。いつからか、外部ドライブから画像取得することは少なくなりました。

5 ブログ記事投稿

ブログ記事を書いてブログに投稿することが趣味生活の重要な定常活動です。

6 動画のYouTube保存

作成した3Dモデル動画は自分のYouTubeチャンネルに投稿して、webで使えるようにしています。

7 3DモデルのSketchfab投稿

作成した3DモデルはSketchfabの自分サイトに投稿して、webで使えるようにしています。

8 クラウド利用

Googleドライブ、ワンドライブ、Amazonphotoなどの利用は日常的に欠かせません。

9 webにおけるニュースや音楽の視聴

趣味生活の休息時間にはwebでニュースや音楽を視聴しています。

10 メール利用

メール利用は生活に必須です。

今回は短時間のインターネット遮断なので感じませんでしたが、長期化すれば、ズーム利用、通販、決済、AdobeCreativeCloud利用などに支障が生まれます。

3 感想

半日のインターネット遮断体験で気づいたことをこれからの生活に活かしていくことにします。

インターネット機能のうち、特に重要な項目の価値をより高める活動をこれから展開したいと思います。

2の10項目について、自分にとってのその価値をどのように高めるのか、じっくり考えていきたいとおもいます。

特に、ChatGPTの多様な活用を開発して、自分の趣味生活における知的生産力を飛躍的に向上させることにします。ChatGPTの自分にとっての価値を大いに高めたいと思います。


花見川の朝


2024年7月20日土曜日

ChatGPTの高度なOCR機能に感動

 Impressed by ChatGPT's advanced OCR function


I used ChatGPT to perform OCR on the artifact list in the excavation report. I was impressed by ChatGPT's advanced function that allows me to further reconvert the text generated by OCR to my liking.


発掘調査報告書掲載遺物リストのOCRをChatGPTで行いました。OCRで生成したテキストをさらに私の好みに応じて再変換できるChatGPTの高度機能に感動しました。

1 OCR対象画像


OCR対象画像


OCR対象画像(拡大)

有吉北貝塚北斜面貝層から出土した土器片錘計測リストの一部です。

2 最初のChatGPT依頼


最初のChatGPT依頼画面

ChatGPTプロンプトに画像をdrag and dropして、次の言葉を入力しました。

「この画像をExcelファイルにコピペできるように表形式テキストにしてください。」

結果は正確なコンマ区切りテキストが生成しました。

OCR機能としては申し分ありません。

しかし、この結果をExcelにコピペすると、カッコ表示( )の数値がマイナスの数値になります。これはExcelの仕様です。

OCR結果をエディターの置換機能を利用して( )を[ ]に変換することも考えました。しかし、それでは手間がかかります。

注( )表示は破損部分の計測値

3 カッコ変換指示を加えたChatGPT依頼画面

そこで、ChatGPTにOCRだけでなく、( )の[ ]変換も指示してみました。

「この画像をExcelファイルにコピペできるように表形式テキストにしてください。

なお表形式テキストでカッコ(、)がある場合、カッコ[、]に変換してください。」


カッコ変換指示を含むChatGPT依頼画面

結果は指示通り、OCR結果のうち( )を[ ]に変換したものをアウトプットしました。

4 ChatGPTのOCR結果


ChatGPTのOCR結果(エディター表示)


ChatGPTのOCR結果(Excel表示)

5 感想

ChatGPTのOCR機能を利用してテキストを生成し、そのテキストをさらに指示に従って再変換することが1つの言葉指示でできることに感動を覚えます。

縄文人の過去のモノへの想い

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 11


Jomon people's feelings towards things from the past


Study 11 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


In “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi, he touches on evidence that Jomon people had feelings towards things from the past (pottery handles and stone rods). I have read that in the Ariyoshikita Shell Mound, Jomon people similarly possessed things from the past and discarded them along with new things, which has deepened my interest.


谷口康浩著「土偶と石棒」のなかで、縄文人が過去のモノにある想いを寄せていた証拠に触れています。有吉北貝塚でも、同じように縄文人が過去のモノを所持し、それを新しいモノと一緒に廃棄した様子が読み取れ、興味を深めています。

序章 儀礼考古学の現代的意義

2 儀礼考古学の研究法一モノ・行為・コンテクストー

(4)記憶と歴史の物象化

・この小節では前半で社会的記憶の物象化が、後半で縄文人の過去遺物に対する想いが述べられています。双方のテーマともにとても重要で興味があります。社会的記憶の物象化についての学習は

2024.07.16記事「同じ場所で長期に繰り返される儀礼行為」で記事にしました。この記事では縄文人の古いモノに対する想いを学習します。

・次の4事例をあげています。

・埼玉県赤城遺跡の「祭祀遺物集中地点」(晩期前半)→大型中空土偶などの遺物が集中していたが、明らかに時期の古い中期・後期の土器把手が少なからず含まれていた。

「晩期初頭の縄文人たちが、過去の遺物に関心をもち、ここに集めてきた状況が窺える。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・新潟県寺地遺跡(晩期)、東京都田端環状積石遺構(後期~晩期)、東京都下布田遺跡(晩期)の配石遺構→中期の石棒が集積され再活用されていた。

「縄文人が過去のモノにある想いを寄せていた証拠である。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

「縄文人が過去をどのように認識していたのかを、こうした事例から読み解く必要がある」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

【考察】

・以上の記述を読んで、真っ先に有吉北貝塚北斜面貝層の発掘写真を見て生まれた同種感想(縄文人が過去遺物に想いを寄せて使っていた)を思い出しました。


有吉北貝塚北斜面貝層の発掘写真

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用・加筆(Photoshopでカラー化)

・この写真には加曽利EⅡ式最終段階土器と一緒に右端に藤内Ⅱ式土器(阿玉台Ⅲ式期に比定される勝坂様式の資料で藤内Ⅱ式の縦帯区画文土器)が写っています。


藤内Ⅱ式土器

この出土地点は北斜面貝層第2断面の純貝層直下の多様な遺物が出土する混貝土層で、祭祀的活動の跡を示していると考えられます。


出土状況

出土状況から、加曽利EⅡ式土器と一緒にこの藤内Ⅱ式土器もこの場所に持ち込まれたことは確実です。つまり、加曽利EⅡ式期縄文人は過去遺物である藤内Ⅱ式土器を所持していて、あるとき、加曽利EⅡ式土器、器台、貝輪などと一緒にこの藤内Ⅱ式土器をこの場所に持ち込みました。

・加曽利EⅡ式最終段階土器の簡素化省略化した渦巻と特徴的な懸垂文と較べると、藤内Ⅱ式土器の三角形区画文とその中に彫刻的手法で描かれた三叉文は文様デザインの重厚さ、緻密さが浮き彫りになります。このデザインの違いは当時の縄文人も同じように感じていたと想定できます。当時の縄文人はこの藤内Ⅱ式土器を自分たちのデザイン原理とは異なる過去のデザイン原理でできた作品と認識して、所持活用していたと考えます。

・この藤内Ⅱ式土器片(タブレット)を儀礼の道具としてどのように活用したのかは不明というしかありませんが、儀礼の道具であったことは間違いないと考えます。想像するに、祖先信仰に関わる儀礼の道具として使われたのかもしれません。

・北斜面貝層で加曽利EⅡ式最終段階土器が大量廃棄され、その直後に有吉北貝塚集落が消滅状況になります。そうした状況を考えると、集落しまい(集落廃絶?移転?)に関連して、祖先に想いをはせる道具であるこのタブレットも廃棄したのかもしれません。

2021.07.09記事「有吉北貝塚北斜面貝層から出土した藤内Ⅱ式土器」参照


2024年7月19日金曜日

技術メモ 異なる指標の分布を比較する一つの方法

 Technical memo: A method to compare the distribution of different indicators


I tried a method to compare the distribution characteristics of the number of pottery and earthen weights excavated by grid in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound.

By comparing the pottery distribution and the earthen weight distribution, I was able to extract grids where the pottery distribution was weak and the earthen weight distribution was strong. This will be a hint for considering the difference in the principles of pottery dumping and earthen weight dumping.


有吉北貝塚北斜面貝層の土器と土錘のグリッド別出土数分布特性を比較する一つの方法を試してみました。

土器分布と土錘分布をくらべて土器分布が弱く、土錘分布が強いグリッドを抽出することができました。土器投棄と土錘投棄の原理の違いを考えるヒント材料になります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土器出土数(標準化表示)

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土器出土数(標準化表示)

グリッド別土器出土数を平均値で除した指数1を2mの棒で表示

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデル画像

この3D棒グラフはグリッド別土器出土数分布を標準化表示したものです。

2 有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘出土数(標準化表示)

有吉北貝塚北斜面貝層 グリッド別土錘出土数(標準化表示)

グリッド別土錘出土数を平均値で除した指数1を2mの棒で表示

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデル画像

この3D棒グラフはグリッド別土錘出土数分布を標準化表示したものです。

3 有吉北貝塚北斜面貝層    土器分布と土錘分布を比較する資料

有吉北貝塚北斜面貝層    土器分布と土錘分布を比較する資料

土器と土錘の分布特性指標の差を色分けしている

赤色は土器分布特性指標が優越するグリッド

黄色は土錘分布特性指標が優越するグリッド

※分布特性指標=グリッド出土数をグリッド平均値で割って得た数値

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデル画像

土器出土数は土錘出土数の27倍近くあるので、実数として両者を比較するのは困難です。しかし、1と2の3D棒グラフは標準化してあるので、比較可能になっています。

3のグラフは標準化指数の差を表現していて、赤色は土器分布と土錘分布をくらべて土器分布が強く、土錘分布が弱いグリッドを、黄色は逆に土器分布が弱く、土錘分布が強いグリッドを抽出しています。

指数の差の値に厳密な意味を求めることは困難ですが、グラフは土器分布と土錘分布の関連を考察する時の一つの材料になると考えます。

4 考察

大局的観察では土器集中分布域と土錘集中分布域が異なります。

この分布の違いを3の方法(標準化指数の差)で比較分析すると土器と土錘の双方の分布の関連を考察できる新しい情報を得ることができます。


土器分布と土錘分布を比較する資料


2024年7月18日木曜日

加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」の観覧

 Visiting the Kasori Shell Mound Museum's special exhibition "The Faces of Clay Figurines from the Jomon Period"


I visited the Kasori Shell Mound Museum's special exhibition "The Faces of Clay Figurines from the Jomon Period." This special exhibition featured many interesting Jomon clay figurines and even more interesting Yayoi human-faced pottery. Yayoi human-faced pottery was introduced in Shitara Hiromi's "Facial Archeology" as "an example of a face looking at the sky where birds fly."


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」を観覧しました。興味深い多数縄文土偶とさらに興味深い弥生人面付土器等から構成された企画展です。弥生人面付土器は設楽博己著「顔の考古学」で「鳥が飛ぶ空を見ている顔の例」として紹介されたものです。

1 企画展「縄文時代の土偶の顔」の様子

市原歴史博物館との連携展で千葉市と市原市から出土した土偶等が所狭しと展示されています。


企画展入口


展示の様子


展示の様子

展示の様子

2 興味深い土偶等(例)

2-1 人面付土器


人面付土器(レプリカ)(市原市三鷹台遺跡)弥生時代中期

自分はこの企画展で最も興味をもった遺物です。この企画展で顔が上を向いているのは、この1点だけです。

設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)では次の写真とともに、弥生時代の稲作に関連する鳥信仰に因り、鳥が飛ぶ空を見ている顔の例として紹介されています。本書では弥生時代の鳥信仰が詳しく紹介されていて「鳥が飛ぶ空を意識している」という解釈にとても説得力があります。


顔壺 (三島台遺跡出土、市原市教育委員会所蔵)

設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用

2-2 土偶


土偶(市原市西広貝塚)縄文時代後期-晩期

確かに顔ですが、展示会場では目が悪いせいかしっかり造形を確認できません。多数写真撮影により3Dモデルを作成してじっくり観察したくなる遺物です。

2-3 山形土偶


山形土偶(千葉市内野第1遺跡)縄文時代後期

千葉市埋蔵文化財調査センターで観覧したことがあり、3Dモデルを作成したことがあります。全面赤彩されていて特徴的な顔つきに興味をひかれます。再び3Dモデルを作成してたのしむことにします。

3 感想

専門家により「鳥が飛ぶ空を意識している」と解釈された顔壺を、レプリカとは言え観覧できたことはとてもうれしい出来事です。

渦巻き文様を見つけることができるか、探しましたが、展示では確認できませんでした。

この企画展を幾度か訪問して、山形土偶やみみずく土偶のバリエーションをたのしむことにします。

過去に3Dモデルを作成した遺物も数点ありますが、興味深い遺物は再度3Dモデルを作成することにします。同じ遺物でも展示会場の違いにより光線や視野が異なり、より良い3Dモデルができる可能性があります。また撮影技術も少しは向上し、カメラ性能もアップしています。