縄文土器学習 456
千葉市埋蔵文化財調査センターで観覧したミミヅク土偶を3Dモデルでじっくり観察すると、「本当は怖いミミヅク土偶」とでもいえる状況が浮かび上がってきましたので、メモします。
1 縄文晩期安行3a式 ミミズク土偶(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文晩期安行3a式 ミミズク土偶(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル最大高11.4㎝、最大幅10.7㎝、最大厚3.1㎝
撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター
撮影月日:2020.08.20
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.003 processing 50 images
展示の様子
展示の様子 特殊モード写真
実測図
千葉市内野第1遺跡発掘調査報告書から引用
3Dモデルの動画
2 観察メモ
ア 鼻削ぎ
・鼻の孔が大きくかつ目より上に表現されています。これは地母神を殺す前に鼻削ぎして辱めた様子を表現していると解釈できます。鼻が目より上に表現されているのは、鼻削ぎされて口と鼻の間に空間が広がった様子を誇張しているものと考えます。
イ 顔の皮剥ぎ
・顔の回りに刻みのある隆線が巡っています。これは地母神の顔の皮を剥いだ様子を表現していると解釈します。顔から皮を剥いだ結果、目や口は単なる穴ですから、単純な楕円形として表現されています。
ウ 体の解体
・首下の二十の刻み線や腹脇や妊娠腹を巡る刻み線は体の解体の様子を表現していると考えます。
エ 黒色塗料
顔を巡る隆線の刻みの外側や乳房などが黒く塗料で塗られています。
オ 一部摩滅している
土偶の向かって右部分が摩滅しています。耳も欠落し、乳房の黒色塗料も一部欠落しています。地表に露出した時期に風や水で摩滅したものと推測します。
3 感想
・鼻削ぎや顔の皮剥ぎなど、単なる殺害や死体バラバラだけではなく、陰湿な凌辱を地母神に加えています。神話がそのようになっているということですが、そのような神話が受け入れられる縄文実社会の様子が垣間見えてきます。
・おそらく、ミミズク土偶のころの実社会には刑罰や制裁方法として鼻削ぎや顔の皮剥ぎが存在していたと想像します。
・想像を発展させれば、実際の鼻削ぎや顔の皮剥ぎを伴う残酷な公開処刑開催を人々は楽しみにしていて、その機会は少ないので、疑似体験として土偶祭祀が盛んだったと考えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿