2020年8月23日日曜日

全面赤彩された山形土偶頭部の3Dモデル

 縄文土器学習 453

千葉市埋蔵文化財調査センター展示室で展示されている全面赤彩山形土偶頭部の3Dモデルを作成して観察しました。

1 全面赤彩された山形土偶頭部(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

全面赤彩された山形土偶頭部(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利B式、最大高7.2㎝、最大幅9.4㎝、最大厚4.2㎝

千葉市埋蔵文化財調査センター所蔵

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2020.08.21

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.003 processing 50 images

展示の様子

展示の様子 特殊モード写真

実測図

内野第1遺跡発掘調査報告書から引用

3Dモデルの動画

2 メモ

ア 断末魔の表情

・飛び出した目玉から火花が四方に散っています。残酷な方法で殺害され、体がバラバラになっている最中の地母神の様子を表現しています。

・口から血の泡を吹いている様子が忠実に表現されています。

・口から横に伸びる隆線は頭蓋と顎が切り離されている様子を表現しています。

・目の上の横隆線は頭蓋が割られている様子を表現しています。さらに頭部にもう一本沈線で頭蓋が割られている様子が表現されています。

・鼻が短く表現されているのは、鼻削ぎされている様子を表現しています。

イ 女性としての地母神

・耳には耳飾りが付けられ、女性としての地母神が表現されています。実測図の裏側に中空を意味する円が描かれ、耳たぶの環にドーナツ状の耳飾りがはめ込まれている様子を表現しています。

ウ 人身御供の代替

・祭祀活動の最後に妊娠女性たる地母神が残酷な方法で殺害されバラバラにされ、各所にばらまかれる土偶祭祀は、生身の人間を生贄として殺害する人身御供祭祀の代替的活動であると見ることもできます。

エ 土偶出土分布図の有用性

・内野第1遺跡発掘調査報告書では定位段丘上の竪穴住居跡から主に出土する耳飾りなどと比べ、土偶は定位段丘上と低地部の竪穴住居跡、包含層、住居内貝層、土壙など広範囲にわたる様々な遺構から出土していることが記述されています。これは土偶祭祀が「幸いを呼び込みたい場所に土偶破片をばらまく」という活動特性から生まれています。したがって、土偶出土場所分布図を正確に作成すれば、人々が集落内のどのような場所に興味を持っていたか、あるいは何を祈願の対象にしたのか、わかることになります。畑存在推定などにも使える資料になる可能性があります。


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