2023年11月2日木曜日

大膳野南貝塚学習の再開

 Daizenno Minami Shell Mound learning resumes


I decided to have a learning exchange with the Oyumino History Enthusiast Association on the theme of the Daizenno Minami Shell Mound. Therefore, I will restart the Daizenno Minami Shell Mound study. In this shell mound, the Moroiso-style pottery group and the Ukishima-style pottery group formed a community in the latter half of the early period. In this shell mound, from the end of the middle to late period, there are pit dwellings in which stucco and shell layers have been excavated, and pit dwellings in which such materials have not been excavated. It is very interesting to observe this phenomenon.


おゆみ野歴史愛好会と大膳野南貝塚をテーマに学習交流することになり、大膳野南貝塚学習を再開します。この貝塚では前期後葉に諸磯式土器集団と浮島式土器集団が共同社会をつくりました。中期末から後期には漆喰・貝層が出土する竪穴住居と出土しない竪穴住居が併存するという興味深い事象が観察できます。

1 大膳野南貝塚学習の経緯

私は、大膳野南貝塚学習を2016年12月~2018年5月の間に熱心に行いました。大膳野南貝塚発掘調査報告書のpdf版を利用できたからこそ実現した学習です。

※大膳野南貝塚発掘調査報告書は現在全国遺跡報告総覧で公開されています。

大膳野南貝塚発掘調査報告書

学習結果は中間とりまとめをしました。

大膳野南貝塚学習の中間とりまとめ(A4判62ページ)

とても僥倖なことですが、なんと、この中間とりまとめを千葉市埋蔵文化財調査センター所長西野雅人様に添削していただく機会がありました。千葉市埋蔵文化財行政の枢要な役職にあり、日本の貝塚研究の先頭を走る多忙極まる西野雅人様に、専門家でもなんでもない私の学習メモを添削していただき、心から感謝し御礼する次第です。

このたび、おゆみ野歴史愛好会の皆様と大膳野南貝塚をテーマに学習交流することになりました。そこで、西野雅人様添削を踏まえて中間とりまとめを踏み台にして学習を発展させ、その学習成果を学習交流に持ち込むことにしました。

2 大膳野南貝塚の概要

「大膳野南貝塚の発掘調査により、旧石器時代、縄文時代、古墳時代、平安時代、中・近世、現代の戦争関連遺構など、多岐にわたる時代の遺跡が発見された。

 旧石器時代についてはⅣ・Ⅶ・Ⅸ層で文化層が確認され、それぞれの文化層でブロックが検出された。縄文時代早期では炉穴、陥し穴が検出された。

 縄文時代前期については諸磯b(浮島Ⅰ~Ⅱ)式期の拠点的集落が検出された。千葉市域および隣接する市原市域をあわせても、当該期集落としては最大級の規模である。また、多量の獣骨を伴う大型住居の発見は特筆されよう。

 縄文時代中期末~後期については、堀之内1式期を主体時期とする貝塚を伴う環状集落の全貌をほぼ明らかにすることが出来た。とくに新知見となる縄文時代における「漆喰」を使用した遺構(漆喰貼床住居、漆喰炉など)の発見は特筆されよう。また、廃屋墓(複葬・単葬)、小児土器棺、土坑墓などから、合計30体の人骨が出土した。縄文時代の遺物については、総量で824箱を数える多種多様な遺物が出土したが、中でもJ105号住(堀之内1式期)から出土した鯨骨製骨刀は注目に値する。

 古墳時代では終末期の方墳、古代では平安時代前期集落、中・近世ではシシ穴関連遺構の可能性がある溝状遺構と陥し穴状の土坑、現代の戦争関連遺構としては陸軍照空部隊の探照灯車用通路と推定される切り通し状の遺構が発見された。」(大膳野南貝塚発掘調査報告書掲載要約)

3 興味を深めたい主な学習項目

次の学習項目について特に興味を深めたいと考えています。

3-1 縄文早期の炉穴、陥穴

縄文早期の炉穴、陥穴の様子を把握し、そのデータからどのようなことが判るか(想像できるか)思考してみることにします。


陥穴と炉穴分布

3-2 縄文前期後葉における諸磯式土器集団と浮島式土器集団の共同社会

縄文前期後葉において大膳野南貝塚で営まれた諸磯式土器集団と浮島式土器集団の共同社会の様子を詳しく知り、2集団の関係実態に迫りたいと思います。


主体土器形式分布

3-3 縄文中期末~後期における竪穴住居における漆喰・貝層有無の意義

縄文中期末~後期における竪穴住居は漆喰・貝層が出土するものと出土しないものに2分類することができます。竪穴住居における漆喰・貝層出土の有無がどのような意義を有するか、検討します。


竪穴住居における漆喰・貝層出土の有無

また屋外漆喰炉の意義について検討を深めたいと思います。

4 遺跡・遺構・遺物の3Dモデル

中間とりまとめ(2018年7月)以降に大膳野南貝塚に関連して次のような3Dモデルを作成してきました。

・大膳野南貝塚の地形(開発前の復元地形)3Dモデル(旧版都市図から作成)

・炉穴3Dモデル(挿図から作成)

・屋外漆喰炉3Dモデル(挿図から作成)


屋外漆喰炉3Dモデルの様子

・イノシシタブレット3Dモデル(展示物からフォトグラメトリで作成)

・アワビ3Dモデル(展示物からフォトグラメトリで作成)


祭具と考えられる巨大アワビの3Dモデル

学習交流ではこれらの3Dモデルも紹介し、大膳野南貝塚に関する理解を皆様と一緒に深めたいと考えます。


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