2022年2月28日月曜日

加曽利EⅢ式深鉢(No.25)(千葉市中薙遺跡)の観察

 Kasori EⅢ type deep bowl (No.25) (Nakanagi Site,Chiba City) Observation record 3D model


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-" Kasori EⅢ type deep bowl (No.25) (Nakanagi Site,Chiba City) was used as a 3D model for observation.Deployed pottery with the GigaMesh Software Framework.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示されている加曽利EⅢ式深鉢(No.25)(千葉市中薙遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 加曽利EⅢ式深鉢(No.25)(千葉市中薙遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EⅢ type deep bowl

加曽利EⅢ式深鉢(No.25)(千葉市中薙遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 195 images

Kasori EⅢ type deep bowl (No.25) (Nakanagi site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 195 image


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開(縄文範囲図示)

3 メモ

横位連携弧線文が上下で対向するので、対向系横位連携弧線文土器と呼ばれるタイプの土器になります。


横位連携弧線文土器


2022年2月27日日曜日

Sketchfab投稿3Dモデルが800を通過

 Sketchfab post 3D model passes 800


The number of 3D models created by Jomon pottery learning etc. and posted to Sketchfab has passed 800. 22 models will be posted every month. In my hobby activities (Jomon learning activities), 3D model creation and observation occupy a large proportion. Kasori E-type pottery, etc. I created the collections screen for each type of Kasori E type pottery.


縄文土器学習等で作成した3Dモデルの数が800を通過しましたのでメモします。

2019年3月12日にSketchfabの個人サイト(arakiminoru)を開設してから丸3年で800の3Dモデルを作成投稿してきました。毎月22モデルを投稿してきたことになります。自分の趣味活動(縄文学習活動)で3Dモデル作成観察が大きな比重を占めていることにあらためて気が付きました。


Sketchfab(arakiminoru)のsummary画面

閲覧数やいいねが多いなどのPOPULAR 3D MODELSが画面に張り付いています。Sketchfabが勝手に作った画面です。


Sketchfab(arakiminoru)のmodels画面

全800モデル(2022.02.27現在)が日付順に並んでいます。


Sketchfab(arakiminoru)のcollections画面

800モデル通過をきっかけに加曽利E式土器学習の便を図るため、加曽利E式土器とその前後の土器型式別に3Dモデルを集成したサイトです。次のような構成になっています。


加曽利E式土器等の3Dモデル

今後も次のような点に留意しながら学習資料としての3Dモデルを作成し活用していくことにします。

●3Dモデルに関する留意点

1 「ガラス面越し撮影による3Dモデル作成」に関する技術向上

ガラス面越し撮影という劣悪環境においてもそれなりの3Dモデル質を保持できるように撮影技術、フォトグラメトリソフト操作技術を向上させたいと思います。当面撮影に偏光フィルター導入を試してみます。

2 3Dモデル活用技術の向上

縄文土器3Dモデル活用の一つの画期的技術であるGigaMesh Software Frameworkによる土器展開技術についてより深く習得することにします。最近は3Dモデルに赤色立体原理や干渉色変換ツールを適用して試行しています。GigaMesh Software Framework以外の3Dモデル活用分析ソフトについてもwebで渉猟して導入したいと思います。

3 観察のための3Dモデル表現の工夫

多数3Dモデルを連続的に観察して有用情報を汲み取るような活動も徐々に可能になってきました。このような活動をする際に、3Dモデルの大きさを実感できる仕組みが求められます。具体的には判りやすい立体的スケールを開発することにします。単位長さが明瞭に判る透明立体空間に土器3Dモデルを置くようなモデルを開発したいと考えます。


2022年2月26日土曜日

アワビ形土器の3Dモデル観察

 3D model observation of abalone-shaped pottery


I found an abalone-shaped pottery in the pottery displayed in the passage of the Kasori Shellmound Museum, so I made a 3D model and observed it. The way to wind this abalone-shaped pottery (right-handed) is correct. Abalone-shaped baked clay object with the wrong winding method have been excavated at another archaeological site. The Jomon period abalone is interested in terms of religious objects and totems.


加曽利貝塚博物館の通路に展示されている土器の中にアワビ形土器を見つけましたので、3Dモデルをつくり観察しました。縄文時代アワビは信仰対象やトーテムの観点から興味を持っています。

1 加曽利B3式アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル Kasori B3 type abalone-shaped pottery

加曽利B3式アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展(通路)

撮影月日:2022.02.22


展示の様子


展示の様子


展示の様子


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 173 images

Kasori B3 type abalone-shaped pottery (Kasori shellmound, Chiba city) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Permanent Exhibition (Aisle)

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 173 images


3Dモデルの動画

2 メモ

現生アワビ、出土アワビ、アワビ形土器が一緒に展示してあるので、とても参考になります。アワビ形土器の巻き方が現生アワビの巻き方(右巻き)と一致します。当然といえば当然ですが、最近観察した次のアワビ形土製品(内野第1遺跡)は巻き方が間違っていますから、加曽利貝塚資料はこの間違いを際立たせてくれる資料として有用です。

アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル Abalone-shaped baked clay object

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2021.12.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 91 images

https://hanamigawa2011.blogspot.com/2021/12/13d.html

https://youtu.be/2UOghHUZOgo

Abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) Observation record 3D model

Location: Chiba City Folk Museum “Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City”

Shooting date: 2021.12.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 91 images


2022年2月25日金曜日

加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚) 観察記録3Dモデル

 Kasori E Ⅴ type deep bowl (No.39) (Rokutsu Shellmound,Chiba City) Observation record 3D model


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-" Kasori E Ⅴ type deep bowl (No.39) (Rokutsu Shellmound,Chiba City) was used as a 3D model for observation.Deployed pottery with the GigaMesh Software Framework.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示されている加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚)を3Dモデルにして観察しました。

1 加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚) 観察記録3Dモデル Kasori E Ⅴ type deep bowl

加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 114 images

Kasori E Ⅴ type deep bowl (No.39) (Rokutsu Shellmound,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 114 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開(外面)


GigaMesh Software Frameworkによる展開(内面)

3 メモ

土器上半部外面の断面は直線状を呈しています。


オルソ投影「正面から」画像

しかし土器断面を詳しくみると、外面は直線的ですが、内面は外側に向かって凸の形状をしています。いわゆるキャリパー形をしています。


土器断面

このような外面・内面の断面形状が微妙に異なる土器はこれまでも幾つか見た記憶があります。

精細な検討は後日行うことにして、現状の知識直観から次のように考えますのでメモしておきます。

(1) 外面形状は意思表現である表示すべきデザインであるが、内面の形状は実用的機能に関わるのではないかと考えます。

(2) この土器の内面形状がキャリパー形をしているのは、実用機能に関わるものであり、次の2点が指摘できる可能性があります。

ア 通常調理の際、液体内容物をこぼれにくくしている。

イ 土器を倒して調理する時、その調理がしやすい形状にしている。


参考図 土器外面黒変と土器内面おこげの対応考察

中段のような調理をする際に、土器内面がキャリパー形であると都合がよかったと考えます。

参照 2020.02.17記事「称名寺式土器黒変部の観察と考察



2022年2月24日木曜日

加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

 Kasori E IV type deep bowl (No.30) (Mochigasaki Site,Chiba City) Observation record 3D model


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-" Kasori E IV type deep bowl (No.30) (Mochigasaki Site,Chiba City) was used as a 3D model for observation.Deployed pottery with the GigaMesh Software Framework.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示されている加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡)を3Dモデルにして観察しました。

1 加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡) Kasori E IV type deep bowl 

加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 120 images

Kasori E IV type deep bowl (No.30) (Mochigasaki Site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 120 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開(テクスチャ有り)


GigaMesh Software Frameworkによる展開(テクスチャ無し)

3 メモ

・弧線文が横に連続している文様ですから、横位連携弧線文土器と呼ばれている土器です。弧線文が上下で対向しないで入組んでいますから、入組系横位連携弧線文土器ということになります。


横位連携弧線文土器

・展示では、隆帯の両側を指でなでていると説明されています。


2022年2月22日火曜日

加曽利博「あれもE・・・」企画展観覧

 Kasori Shellmound Museum "That is also E ..." Special Exhibition Viewing


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E  Kasori E type pottery  Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-" was viewed. I immediately took a picture of 6 potteries for creating a 3D model. In the future, I will deepen my learning about pottery while taking pictures.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」を観覧しました。


「あれもE・・・」企画展入口


企画展パンフレット

1 「あれもE・・・」企画展の経緯

「あれもE これもE 加曽利E式土器」企画展は平成30年度から始まり、今回で4回目です。

平成30年度 千葉市内編

令和元年度 印旛地域編

令和2年度 北西部地域編

令和3年度 千葉市編2

加曽利貝塚博物館縄文時代研究講座(2022.02.19)における説明では、今年度は本来「内房編」を予定していたのですが、コロナの影響で準備が出来ないため急遽手続き等が簡易な千葉市編に変更したとのことでした。令和2年度北西部地域編では加曽利EⅠ式誕生前の中峠式土器の代表的なものを展示できたので、今年度は加曽利EⅣ式から称名寺式にかけてのE式終末に焦点を当てた展示にしたそうです。

2 「あれもE・・・」企画展の内容

展示はショーケース6つを使い、内5つは土器展示、1つはパネル展示となっています。


加曽利EⅢ式と加曽利EⅣ式の展示


加曽利EⅤ式の展示

加曽利E式土器は通常Ⅰ~Ⅳ(あるいは1~4)に細分されますが、加曽利EⅣ式の後、称名寺式土器が出現した時期にも加曽利E式系の土器が残り、それを加曽利EⅤ式と呼んでいるそうです。


称名寺式土器などの展示


称名寺式土器などの展示


北白川C式土器の展示

東日本からの強い影響で成立した近畿地方の北白川C式土器が逆輸入されたとの説明があります。

3 今回の観覧

次の6点について3Dモデル作成用写真撮影をしました。


加曽利EⅢ式深鉢(千葉市中薙遺跡)


加曽利EⅣ式深鉢(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅤ式深鉢(千葉市六通貝塚)


加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(千葉市すすき山遺跡)


称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市愛生遺跡)


称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市上谷津第2遺跡)

今後3Dモデルを作成して詳しく観察することにします。

4 感想

平成30年度加曽利貝塚博物館企画展「あれもE・・・」をきっかけに縄文土器学習を始め、今年で4回目の加曽利E式土器学習になります。加曽利E式土器の変遷もかなり知識が増えてきました。今回の学習では加曽利EⅣ式、EⅤ式、称名寺式土器を集中的に学習して興味を深めたいと思います。

なお、これまでに作成してSketchfabに投稿した加曽利E式土器3Dモデルの数は、多少重複がありますが、125を越えています。そこでSketchfabにコレクション(ディレクトリー)を作って中峠式、加曽利EⅠ式、EⅡ式、EⅢ式、EⅣ式、EⅤ式、称名寺式などに分類して学習の便利を図りたいと思います。


Sketchfabで「加曽利E」で検索した結果

128ヒットし、全て私の投稿であり、2点を除き全て加曽利E式土器の3Dモデルでした。


2022年2月21日月曜日

干渉色段彩図動画による尖頭器観察

 Observing the point with a video of the interference color step color chart


I made a video of the interference color step color chart and observed the shape of the point. The interference color step color chart has a flashy color and is distributed in contour lines, so the visibility of the fine shape (unevenness) of the feature is very good. In addition, the visibility of features can be further improved by moving the interference color step color chart.


干渉色段彩図動画を作成してそれにより尖頭器形状を観察しました。干渉色段彩図は派手な色をしていて、それが等高線状に分布しますから、地物微形状(凹凸)の視認性がとてもよくなります。その干渉色段彩図を高いところから低いところに一定スピードで移動する動画をつくると、どのような観察効果が生まれるか、実験的に観察してみました。

干渉色段彩図動画はやまだこーじさん開発公開「干渉色変換ツール」で作成しました。やまだこーじさんに感謝します。

1 「上から」画像の干渉色段彩図動画

「尖頭器(箕輪町神子柴遺跡) 観察記録3Dモデル Point」(https://skfb.ly/o8HZp)から作成した高さグレー濃淡図に実測図(※)をオーバーレイした画像をつくり、それを干渉色に変換(位相を1%ずつずらして100枚変換)して、パラパラ漫画のように並べて、干渉色段彩図動画を作成しました。


3Dモデル


実測図

※実測図は「林茂樹・上伊那考古学会編「神子柴 Mikoshiba Site 後期旧石器時代末から縄文時代草創期にかかる移行期石器群の発掘調査と研究」(2008、信毎書籍出版センター)」から引用


「上から」画像の干渉色段彩図動画

2 「眺望的」画像の干渉色段彩図動画


3Dモデル


「眺望的」画像の干渉色段彩図動画

実測図を3Dモデルのなかに取り込み「眺望的」画像の中にも実測図をオーバーレイ表示するべく色々な試行をしましたが、結局自分が現状で使えるソフトと今の技術では出来ませんでした。もし「眺望的」画像の干渉色段彩図動画に実測図を取り込めることができれば、より訴求力のある動画になったものと考えます。

3 観察

3-1 「上から」画像の干渉色段彩図動画について

精細な実測図界線と干渉色分布が合うところが多いですが、合わないように見えるところもあります。実測図界線は敲打痕の拡がりを表現していて、凹凸そのものの狭義表現ではないのでこのようになるのだと思います。このような観点からこの動画をみると、この石器の理解が深まります。

3-2 「眺望的」画像の干渉色段彩図動画

干渉色段彩の動きから尾根筋線、谷筋線の様子を手に取るように観察できます。この観察からこの石器形状の理解が進みます。この理解は単一平面からの推測よりも強く印象に残ります。

4 感想

干渉色段彩図動画は今回尖頭器のように、展示されている状況下ではその形状理解に困難を伴うモノに適用すると、その理解・学習に有益な資料となることを確認できました。

2022年2月20日日曜日

眺望的視点からの尖頭器観察

 Observing the point from a panoramic point of view


From a panoramic point of view, I made a red stereoscopic image of the point and an interference color step color chart to see the correspondence.

I was able to grasp the fine irregularities of the point.

The red stereoscopic image was created based on the red stereoscopic principle (invented by Mr. Tatsuro Chiba).


眺望的視点から尖頭器の赤色立体画像、干渉色段彩図をつくりその対応関係をみました。

平面(オルソ投影「上から」)に関する同じ検討は2022.02.03記事「尖頭器の赤色立体画像試作」で既に実施しています。

赤色立体画像は赤色立体原理(千葉達朗先生発明)に基づいて作成したものです。干渉色段彩図はやまだこーじさん開発公開「干渉色変換ツール」で作成したものです。

1 赤色立体画像

「尖頭器(箕輪村神子柴遺跡) 観察記録3Dモデル Point」(https://skfb.ly/o8HZp)から次の赤色立体画像をつくりました。


尖頭器(箕輪村神子柴遺跡)赤色立体画像

2 干渉色段彩画像

同じ情報から干渉色段彩画像を作成しました。


干渉色段彩画像

(干渉色繰返し3回、位相0%の例)

3 赤色立体画像と干渉色段彩画像のオーバーレイ

赤色立体画像と干渉色段彩画像(モノトーン変換画像)をオーバーレイしました。


赤色立体画像と干渉色段彩画像(モノトーン変換画像)のオーバーレイ

4 メモ

赤色立体画像と干渉色段彩画像はもともと同じ情報源から出発していますから、当然ですが、よく合います。

また、これらの画像は写真測量の成果ですからとても正確です。

これらの画像によりこの尖頭器の立体性を、普段見る眺望的視点から直観的に把握することができました。尖頭器の微細な凹凸を把握することができました。


2022年2月19日土曜日

加曽利博縄文研究講座聴講

 Attendance at the Jomon Research Course sponsored by the Kasori Shellmound Museum


"Reiwa 3rd Jomon Period Study Course 6th" Kasori E IV Pottery and Its Descendants-About the End of Kasori E Ceremony in Chiba City- "(Lecturer: Yuki Tate) held on February 19, 2022  was attended. This course is limited to 30 people and was drawn in December to prevent corona infection.


2022.02.19「令和3年度縄文時代研究講座第6回「加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-千葉市内の加曽利E式の終末について-」(講師:館祐樹(千葉市立加曽利貝塚博物館))を聴講しました。コロナ感染防止のため12月に抽選が行われた30名限定の講座です。


講演の様子


講演の様子

1 研究講座の内容

研究講座の内容は次の3点です。

ア 今年度の加曽利E式展について

イ 加曽利EⅤ式とは

ウ 千葉市内の加曽利EⅢ式~称名寺式

2 今年度の加曽利E式展について

加曽利貝塚博物館では平成30年度から今年度(令和3年度)まで4回にわたる連続企画展として「あれもEこれもE-加曽利E式土器-」を開催しています。

今年度企画展はコロナ禍の影響で当初予定(内房編)を変更して、「千葉市編2」と銘打って加曽利E式土器の終末に関連した土器を展示しています。

講座では最初にこの展示の様子について説明がありました。


令和3年度あれもE…企画展展示の様子

令和3年度縄文時代研究講座第6回館祐樹先生資料から引用

この連続企画展のうち過去のものは全て足繁く通い、多数の展示土器を3Dモデルにして、縄文土器学習を深めてきています。しかし今年度企画展にはコロナ禍と諸般の事情によりまだ観覧できていません。近々是非とも観覧したいと思います。

3 加曽利EⅤ式とは

加曽利E式土器は通常Ⅰ~Ⅳ(あるいは1~4)に区分されて理解されています。しかし、加曽利E式土器の終末頃、中津川式土器の影響を受けた称名寺式土器が生まれると称名寺式土器と併行して加曽利EⅤ式とよばれる土器が存在したことの詳しい説明が館先生からありました。加曽利E式土器は縄文中期最後の土器型式で称名寺式土器が縄文後期最初の土器型式であることから、加曽利EⅤ式土器の存在は興味深いことになります。


加曽利EⅤ式土器と関連型式との関係図
令和3年度縄文時代研究講座第6回館祐樹先生資料から引用

4 千葉市内の加曽利EⅢ式~称名寺式

加曽利EⅢ式から称名寺式までの土器変遷について、判りやすい土器写真を多様しながら詳しく説明がありました。この講座のメインコンテンツです。これまで気が付かなかった特徴の説明が多数あり、自分は縄文土器学習に対する興味を強く刺激されました。

一例としてあげれば、加曽利EⅠ式~Ⅲ式によく見られる口縁部文様帯と胴部文様帯の縄文施文方向の違いが、加曽利EⅣでは口縁部文様帯が存在しないにもかかわらず口縁部付近と胴部で縄文施文方向の違いが存在することの説明がありました。加曽利E式土器デザインの仕方が後の時代にも影響を残していることの説明です。


地文の方向

令和3年度縄文時代研究講座第6回館祐樹先生資料から引用

この事例以外にも加曽利EⅢ式から加曽利EⅣ式へ、加曽利EⅣ式から加曽利EⅤ式・称名寺式へと受け継がれ、あるいは変化するデザイン要素の詳しいかつ判りやすい説明がありました。

5 感想

コロナ禍のため肝心の企画展示をまだ観覧していません。機会をみつけてぜひとも観覧し、興味のある土器の3Dモデルをつくり、3Dモデルによる観察学習を深めることにします。学習は本日講座説明を咀嚼するかたちで進めることにします。

縄文土器学習のスタートは加曽利博平成30年度企画展「あれもE・・・」からでした。その頃は今から思うと聞く説明に対して「ちんぷんかんぷん」感が生まれ、それがひどかったものです。しかし、今日の講座説明を聞いて、だいたい理解できているような感じを持ちました。せっかくここまで到達できたのですから、縄文学習をさらに進めることによって、学習の醍醐味をもっと味わい、楽しみを深められるようにしたいものです。

今回の講座はコロナ感染防止という観点から抽選で限定30名出席でした。自分はたまたま抽選で選ばれたのでラッキーでした。しかし、千葉市民が支払った税金によって運営されている文化行政としては、誠にもったいないイベント開催です。選ばれし30名だけに貴重な情報を提供して満足されるのではなく、zoom等を使って興味のある市民全員に貴重な情報を届けるべきものだと思います。コロナがあろうとなかろうと、zoom等を使った講演会開催の方が情報発信効果が高いと思います。市民としてもいちいち肉体を会場に運ぶより、自宅で聴講できる方がうれしい場合が多いです。

6 千葉市内出土考古資料優品展の関連展示

今回の縄文時代研究講座は千葉市生涯学習センターで開催されましたが、センターロビーで千葉市内出土考古資料優品展の関連展示が開催されていました。こちらの展示も興味深いものばかりです。


千葉市内出土考古資料優品展の関連展示


千葉市内出土考古資料優品展の関連展示