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2020年1月30日木曜日

GigaMeshによる縄文土器展開写真の効率的作成

縄文土器学習 328

webの中を放浪していたとき、「文化財の壺」という冊子を知り、最新数冊を購入しました。何気なくパラパラとページをめくっていると、奈良文化財研究所の金田明大さんという方が「縄文土器の展開図を描く-開いてみました」(文化財の壺VOL.7)という論説を書いていて、展開図作成ソフトのGigaMesh(https://gigamesh.eu/?page=home)(フリーソフト)を紹介していました。
先日、清瀬市郷土博物館の内田裕治先生から内田裕治式土器展開写真作成法を伝授していただいたばかりであり、興味がありますので早速ダウンロードしていじくってみました。
2020.01.20記事「内田裕治式土器展開写真の作成

尖石縄文考古館で撮影した抽象文土器観察記録3Dモデルを例にしてYouTubeのGigaMesh特設チャンネルの動画チュートリアルを参考にしました。

作業例にした抽象文土器

3DF Zephyr Liteで作成した抽象文土器観察記録3Dモデル

動画が英語ですから苦労しましたが見様見真似の操作を繰り返しているうちに、なんと数時間で次の展開写真作成まで到達することができました。

GigaMeshによる縄文土器展開写真 その1

GigaMeshによる縄文土器展開写真 その2

GigaMeshの操作方法がいったんわかってしまえば、その操作はきわめて簡略です。習熟すれば数分でできる操作です。
3DモデルがあればGigaMeshを使うことにより土器展開写真がほんの数分でできるという信じがたい効率化が実現することになりました。
3Dモデル作成時間も数分に短縮できたのですから自分でもアレヨアレヨと時短がすすんでいる状況に驚くばかりです。
ブログ花見川流域を歩く番外編2020.01.10記事「3Dモデル作成時間カウント
一目で全体像を観察できない縄文土器文様の学習にGigaMeshはきわめて強力なツールになります。
GigaMeshを紹介していただいた奈良文化財研究所金田明大さんと小冊子「文化財の壺」を発行されている皆様に大感謝です。

2019年7月6日土曜日

縄文土器展開写真の作成

縄文土器学習 176

見よう見まねで、かつ原始的方法で、縄文土器展開写真を作成しました。素人チャレンジとしてはそれなりの品質の展開写真ができたと思います。

1 展開写真作成対象土器と観察記録3Dモデル

展開写真作成対象土器
船橋市飛ノ台史跡公園博物館展示(2019.02)の船橋市海老ケ作貝塚出土獣面把手土器を展開写真対象土器としました。
四周から障害物なく写真が撮れる環境のため、次の質の高い観察記録3Dモデルを作成することができました。

獣面把手土器 海老ケ作貝塚 観察記録3Dモデル(展開図作成)

2 展開写真作成の方法
パソコンソフト3DF Zephyr Liteで3Dモデルを水平方向にオルソグラフィック投影しました。

水平方向にオルソグラフィック投影した3Dモデル

参考 通常投影の3Dモデル

水平方向オルソグラフィック投影した3Dモデルを4度ずつ回転させながらその都度画像を作成し、360度回転させ、90枚(実際は重複をいれて99枚)の画像を取得しました。

4度ずつ回転させてその都度作成した画像(一部)

次に99枚の写真をスリット状に切り抜いた写真を作成し、それを横に画像がつながるように並べて展開写真を作成しました。

3 展開写真

スリット状写真から作成した展開写真
土器前面は際立った難は存在しない画像となります。土器の対向後面の把手はギザギザの画像となり難となりました。

2019.07.09追記
後面把手がギザギザになったのはスリット写真を切り抜いた場所が回転軸からずれていたことが原因かもしれないと気が付きました。回転軸を探して、その軸を中心にスリット写真を作って展開写真を作り直すチャレンジをいつかしたいと思います。


参考 発掘調査報告書に掲載された土器実測図
「海老ケ作貝塚 -縄文時代中期集落祉調査報告-」(1972、船橋市教育委員会)から引用

4 感想
・通常のスナップ写真44枚から土器展開写真を気軽に作ることができました。観察記録3Dモデルが出来ている状態ですが、思い立ってから半日で完成しました。
・通常の展示土器の展開写真は対象域が狭くなるのでもっと短時間で作成できそうです。
・土器文様の理解のための学習資料として土器展開写真が活用できそうです。文様の特徴等を表現(情報発信)する際に平面図の方が適切な場合も多いと考えます。
・多量画像をPhotoshopにレイヤーとして読み込み、その多量レイヤーをファイルとして出力する方法を最近知ったので、作業が効率的に済みました。
ブログ花見川流域を歩く番外編2019.04.07記事「Photoshop 画像の一括レイヤー読み込み、レイヤーの一括ファイル書き出し
・手作業は全てバッチ処理可能と直観できますから、そのためのソフト(機能)は世の中のどこかにあるに違いありません。今回の作業はあまりに原始的です。3Dモデルからワンタッチで展開写真をつくるソフトを探したいと思います。ペーパークラフトの型紙をつくるソフトで展開写真ができないか?
・博物館や図書で縄文土器展開写真が大仰に展示・紹介されていますが、今は誰でもできるものになったことを実感しました。