2026年4月15日水曜日

園生貝塚剥取断面の3Dモデル作成失敗の原因

 Reasons for Failure in Creating a 3D Model of the Sonnou Shell Mound Cross Section


A 3D model of the Sonnou Shell Mound cross section, exhibited at the Chiba City Archaeological Research Center, was created in 2020 and is used as educational material. This time, in order to create a more accurate 3D model, photogrammetry was performed using photographs taken in 2025. However, unusually, the 3D model creation failed. This was due to an incorrect method of orbital photography.


千葉市埋蔵文化財調査センターに展示されている園生貝塚剥取断面の3Dモデルを2020年に作成して、学習材料に使っています。今回、より精度の高い3Dモデルを作成するために2025年撮影写真によりフォトグラメトリ作業をしました。しかし珍しく3Dモデル作成に失敗しました。周回撮影方法が間違っていたためでした。

1 2020年作成 園生貝塚貝層断面 観察記録3Dモデル

園生貝塚貝層断面 観察記録3Dモデル

平成20年度確認調査

縄文時代後期~晩期(約4000~3000年前)

断面の大きさ:95㎝×270㎝

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2020.08.21


展示の様子

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.003 processing 102 images

2020.08.25記事「園生貝塚貝層断面3Dモデル

2 2025年撮影写真に基づく3Dモデル作成作業

2025年2月25日に園生貝塚貝層断面の写真を233枚撮影し、2026年4月14日に3DF Zephyr Liteで3Dモデル作成作業を行いました。

作業前の印象では、2020年撮影枚数より倍以上の撮影枚数があるので、精度の高い3Dモデル作成を期待しました。

ところが、低密度点群は出来るのですが、何回作業してもそれ以上進みません。設定を趣旨とは異なるもの(ドローン撮影用など)に変更して、「だましだまし」作業して高密度点群、メッシュまで作業を進めましたが、最後のテクスチャメッシュまですすむことができませんでした。また、メッシュの仕上がりも2020年のものより劣るような印象をうけます。結論として、失敗を受け入れざるを得ません。

3 失敗の原因

3DF Zephyr Lite画面に、2020年作業と今回作業のカメラ配置を図示すると、失敗の原因が浮かび上がりました。2020年撮影は教科書的に周回撮影しています。従って、難なく3Dモデルが出来ました。しかし今回作業分は周回とは逆に特定場所からカメラを回転させて対象物の異なる場所を撮影しています。これが原因で3Dモデル作成に失敗したことを確認できました。

実際の撮影では「カニ歩き」で横方向に移動して撮影しているので、それでよいと考えたのですが、垂直方向でカメラが回転したため(見上げる-見下げる)、これが良くない結果と直結したようです。


正しい周回撮影と誤った周回撮影


2020年3Dモデル画像(テクスチャメッシュ)


今回3Dモデル画像(メッシュ)

4 3度目の挑戦

千葉市埋蔵文化財調査センターに次に出かける時に、3度目の園生貝塚貝層断面3Dモデル作成にチャレンジすることにします。

5 園生貝塚貝層断面の意義


園生貝塚平面図(「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用)

園生貝塚は台地平面に立地していて、剥取断面の貝層は投棄された貝殻がそのまま堆積した結果を表現しているようです。つまり、斜面を移動してソートされた結果ではありません。従って、斜面を移動して貝層がソートされたと考える有吉北貝塚北斜面貝層資料と比較対照できる資料としての価値があります。

たとえば、園生貝塚剥取断面のオキアサリ(二枚貝)の貝殻向き(下凸か上凸かなど)に一定の傾向がなければ、その場にカゴから「じゃらじゃら」と投棄された状況と整合します。本当にそうであるのか、ファブリック観察すれば判ります。一方、有吉北貝塚北斜面貝層のハマグリ純貝層で同様のファブリック観察を予定していますが、そちらでは、貝殻向きに一定の傾向があれば、二つのデータの比較対照は大変面白いものになります。


月の裏側から見た地球の沈み

 Earthset From the Lunar Far Side


I was deeply inspired by the image of "Earthset From the Lunar Far Side" taken by NASA's Artemis mission, so I enjoyed creating a visual variation video. I used Photoshop functions and an interference color conversion tool (Map Art Institute).


NASAのアルテミスミッションによる「月の裏側から見た地球の沈み」写真から強い刺激を受けたので、視覚変奏動画を作成して楽しみました。Photoshop機能と干渉色変換ツール(地図アート研究所)を利用しました。

1 Earthset From the Lunar Far Side


Earthset From the Lunar Far Side

https://science.nasa.gov/earth/earth-observatory/earthset-from-the-lunar-far-side/

2 月の裏側から見た地球の沈み 視覚変奏動画


月の裏側から見た地球の沈み 視覚変奏動画


利用写真

干渉色画像は干渉色変換ツール(地図アート研究所)により作成しました。


2026年4月14日火曜日

第4断面分層記載の検討

 Examination of the Description of the Fourth Section of the Shell Bed


I have examined the fourth section of the shell bed on the north slope of the Ariyoshi North Shell Mound, based on the detailed description in the section diagram, to determine the major shell species, shell fracture rate, etc. The data is consistent with the preliminary interpretation of shell bed development.


有吉北貝塚北斜面貝層第4断面について、セクション図の詳細記載に基づき主要貝種、貝殻破砕率などについて把握しました。データは貝層発達予備解釈と整合します。

1 崩落層と斜面貝層の境


崩落層と斜面貝層の境

貝層か土層・砂層であるか、分布形状が不規則か斜面に沿った成層かなどを指標に崩落層と斜面貝層の区分を行いました。資料で砂層か混土貝層であるかの確認が十分にとれないところがあるので、崩落層と斜面貝層の境は斜面下部でA案とB案の二つになりました。

なお、右岸側は分層分布と記載から崩落層はないと判断しました。斜面貝層とそれぞれ対応する「斜面土層」が存在すると考えます。斜面貝層・「斜面土層」のそれぞれの分層は個別の高濃度流(貝殻泥流)の跡であると予備解釈します。

2 崩落層における貝殻分布


崩落層における貝殻分布

崩落層の各所から貝殻が検出されていて、崩落層形成前に貝層があったこと、あるいは崩落層形成中に貝殻投棄があったことがわかります。

3 主要貝種


主要貝種

斜面では全てイボキサゴウあるいはハマグリ・イボキサゴとなります。ガリー流路谷底付近ではハマグリあるいはイボキサゴとなります。ハマグリ(純貝層)がガリー流路谷底付近にのみ出現し、斜面に出現しません。この様子は、斜面の上(この断面には図示されていない、台地縁)から投棄されたハマグリ・イボキサゴ・(大量の)イボキサゴ破砕貝片などが高濃度流で斜面を流下し、貝殻の大きさでソートされて、相対的に大形のハマグリ貝殻が斜面下部に集中堆積したと考える予備解釈と整合します。

4 破砕率


破砕率

破砕率の数値は分層によってバラバラの値を示しますが、図示したように斜面と谷底では平均値が53%、22%と倍半分の関係になります。この様子も、ハマグリ・イボキサゴ・(大量の)イボキサゴ破砕貝片などが高濃度流で斜面を流下し、貝殻の大きさでソートされて、相対的に大形のハマグリ貝殻が斜面下部に集中堆積したと考える予備解釈と整合します。

5 メモ

第4断面に関連して、引き続き次の検討を行います。

・密集土器平面図・写真と断面との関係

・第4断面にかかる全土器、骨、他遺物の分布

・地山地形3Dモデルと第4断面との3D空間における関係

・高濃度流の推定

2026年4月13日月曜日

アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 Observation Record 3D Model of Abalone-Shaped Pottery (Kasori Shell Mound, Chiba City)


"Relive That Special Exhibition" Series


In February 2025, I visited the Chiba City Archaeological Research Center's special exhibition, "Shells and People." I enjoyed creating an observation record 3D model of the abalone-shaped pottery (Kasori Shell Mound, Chiba City) that was exhibited at this special exhibition. This is an activity utilizing unused photographic assets.


「あの企画展をもう一度」シリーズ

2025.02に千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」を観覧しました。この特別展で展示されたアワビ形土器(千葉市加曽利貝塚)の観察記録3Dモデルを作成して楽しみました。未利用撮影資産の活用活動です。

1 千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」


会場風景


パンフレット

2025.02.26記事「千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」観覧


2 アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」

撮影月日:2025.02.25


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v8.038 processing 87 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)

3 アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚)展示風景の視覚変奏動画


アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚)展示風景の視覚変奏動画

4 メモ

この特別展で展示されたアワビの観察記録3Dモデルは次の記事に掲載しています。

2025.03.04記事「アワビ(千葉市大膳野南貝塚)観察記録3Dモデル

この特別展は内容充実が半端なく、忘れられない特別展です。

5 「あの企画展をもう一度」シリーズについて

過去に各地博物館で数多くの企画展を観覧し、展示遺物の観察記録3Dモデルを作成し楽しんできました。しかし、撮影はしたけれども趣味・学習活動の時間的都合などで3Dモデル作成に至っていないものが多数あります。もったいないことです。そこで、「あの企画展をもう一度」シリーズと銘打って、未利用撮影資産を活用して3Dモデル作成活動を展開することにします。


第4断面の検討

 Examination of Section 4


I have begun a detailed examination of the shell bed strata in Section 4 of the Ariyoshi Kita Shell Mound's northern slope, based on the original excavation data. Section 4 contains more descriptive information than the preceding and succeeding sections, and I anticipate further progress in this examination.


有吉北貝塚北斜面貝層の第4断面について、発掘原票に基づいて貝層分層の詳細検討に着手しました。第4断面は前後断面より記載情報が豊富であり、検討進展を期待しています。

1 4断面検討着手について

これまで6断面の検討をすすめ、予備解釈により貝層発達イメージをより詳しくもてるようになりました。本来なら、次の5断面の検討をおこない6断面の検討結果を活用したいところです。しかし、5断面のセクション図には分層記載がほとんどありません。しかし、ひとつ飛ばした4断面は特別に分層記載が豊富です。そこで、6断面の次に4断面を検討して、その後、5断面の検討をすることにします。

2 4断面貝層分層の色分け

4断面セクション図分層を6断面と同じ凡例で色分けしました。


有吉北貝塚北斜面貝層6断面

この分層結果は発掘調査報告書掲載図と異なるところもあります。発掘調査報告書掲載図は表現をまるめているところがあるので、今回作成した分層図がより正確です。


発掘調査報告書掲載4断面

4断面の分層には詳細な層相記載があり、今後この記載に基づいて検討を深めます。


4断面の層相記載

3 密集土器分布

4断面における密集土器分布をプロットしました。


密集土器分布

4断面における密集土器分布とは、密集土器を「当該土器から10㎝以内に別の土器が存在するもの」と定義し、6断面の前後10㎝以内に存在する密集土器を点プロットし、その点プロットを大まかにくくった範囲です。

なお、密集土器の分布位置は発掘調査報告書掲載4断面図と異なります。発掘調査報告書掲載情報は3D空間識における過誤であると考えます。


本検討において密集土器と4断面の対応を観察している3D空間画面

4 セクション図記載情報の空間位置特定について

4断面分層記載では、「cf Ⅱ64~68sec」といった記述が多数あります。この記述は「264グリッドから268グリッドに関するセクション図を参照すること」という意味です。

ここで、「264グリッドから268グリッド」が記載されているセクション図がどのセクション図であるか、調べる必要があります。この対応関係はいちいち別の対応資料を確認する必要があるので、手間がかかります。また、指示されたセクション図にたどり着いても、肝心の文章記載がないこともあります。

おそらく現場で発掘している担当者は、眼前で観察している貝層があたりまえであり、それを記載しているのですが、40年後に資料だけから現場を観察しようする自分にとって、あたりまえのことが判らないので、もどかしさを感じます。

作業の中で、断面図と対応するグリッドの関係図を作成しました。


断面とグリッド表示の関係

5 感想

4断面は情報が多いので、貝層分層情報と密集土器3D分布、発掘写真等により貝層発達の様子をできるだけ詳しく観察して、予備解釈を深めたいと思います。



2026年4月11日土曜日

考古学切手 アブシンベル神殿

 Archaeological Stamp: Abu Simbel Temple


I possess several hundred unorganized Egyptian archaeological stamps. As part of organizing them, I enjoyed collecting stamps depicting the Abu Simbel Temple.


未整理のエジプト考古学切手数百枚以上を所持しています。その整理の一環として、アブシンベル神殿を描いた切手を集めて楽しみました。

1 アブシンベル大神殿 アラブ連合共和国発行


アブシンベル大神殿 アラブ連合共和国発行

1963年

アスワン・ハイ・ダム建設に伴うユネスコ(UNESCO)によるヌビア遺跡救済キャンペーンの一環として発行

航空郵便切手

アラブ連合共和国は当時のエジプト・シリアの連合国家です。

2 アブシンベル小神殿 アラブ連合共和国発行


アブシンベル小神殿 アラブ連合共和国発行

1963年

アスワン・ハイ・ダム建設に伴うユネスコ(UNESCO)によるヌビア遺跡救済キャンペーンの一環として発行

航空郵便切手

3 アブシンベル大神殿 大韓民国発行


アブシンベル大神殿 大韓民国発行

1963年

ユネスコ「ヌビア遺跡保護運動」記念切手の2種連刷

4 アブシンベル神殿 アラブ連合共和国発行


アブシンベル神殿 アラブ連合共和国発行

1966年

アスワン・ハイ・ダム建設に伴うユネスコ(UNESCO)によるヌビア遺跡救済キャンペーンの一環として発行

航空郵便切手

5 アブシンベル神殿 アラブ連合共和国発行


アブシンベル神殿 アラブ連合共和国発行

1966年

アスワン・ハイ・ダム建設に伴うユネスコ(UNESCO)によるヌビア遺跡救済キャンペーンの一環として発行

6 アブシンベル大神殿 フジャイラ(アラブ首長国連邦構成首長国)発行


アブシンベル大神殿 フジャイラ(アラブ首長国連邦構成首長国)発行

1966年

1966年のエジプト切手100周年記念展に関連するフジャイラシリーズ切手の一部。

7 アブシンベル大神殿 エジプト発行


アブシンベル大神殿 エジプト発行

1972年

航空郵便用切手

8 アブシンベル大神殿(ラムセス2世像) サントメ・プリンシペ民主共和国発行


アブシンベル大神殿(ラムセス2世像) サントメ・プリンシペ民主共和国発行

2003年

エジプトの歴史的建造物を紹介するシリーズの一部として発行

サントメ・プリンシペ民主共和国はアフリカギニア湾の島国。

9 アブシンベル小神殿 エジプト発行


アブシンベル小神殿 エジプト発行

2006年

「エジプト・中国外交関係樹立50周年(金婚式)」を記念した特別なシリーズの一部。

10 2018年のアブシンベル神殿訪問

2018年1月にアブシンベル神殿を訪問しました。


アブシンベル大神殿


アブシンベル大神殿


アブシンベル小神殿


アブシンベル小神殿

11 エジプト考古学切手について

エジプト切手約3000枚を入手していて、そのうち2割程度が考古学切手といえるものです。この多数考古学切手の分類からはじめて、考古学的興味とリンクする活動をこれから楽しむことにします。

手始めに、切手に描かれた対象物でエジプト考古学切手を分類することにします。今回はその最初の試みでアブシンベル神殿切手を抽出してみました。


2026年4月10日金曜日

壺(八千代市栗谷遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Model of Observation Records of a Yayoi Period Jar (Kuriya Site, Yachiyo City)


I enjoyed creating a 3D model of my observation records of a Yayoi period jar (Kuriya Site, Yachiyo City) displayed at the Yachiyo City Local History Museum. It is similar to the pottery excavated from a middle Yayoi period reburial tomb (Takeshi Site, Ichihara City) that I observed previously.


八千代市郷土博物館に展示されている弥生時代壺(八千代市栗谷遺跡)の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。以前観察した弥生時代中期再葬墓出土土器(市原市武士遺跡)と似ています。

1 壺(八千代市栗谷遺跡)観察記録3Dモデル

壺(八千代市栗谷遺跡)観察記録3Dモデル

弥生時代

撮影場所:八千代市郷土博物館

撮影月日:2026.03.10


展示の様子

一部ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 142 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しの絶対値の差ミックス)

2 壺(八千代市栗谷遺跡)展示風景の視覚変奏動画


壺(八千代市栗谷遺跡)展示風景の視覚変奏動画

6フィルター写真のバリエーションをクロスディゾルブを使って連続表示したスライドシーケンス動画です。Photoshopで作成しました。

3 メモ

この土器の形状が次の記事で観察した弥生中期再葬墓出土土器とよく似ています。

2024.02.21記事「弥生時代中期 再葬墓出土の土器(市原市武士遺跡)観察記録3Dモデル


弥生時代中期 再葬墓出土の土器(市原市武士遺跡)観察記録3Dモデルの画像


20断面と発掘現場写真との対応

 Correspondence between 20 Cross-Sections and Excavation Site Photographs


I strengthened my spatial awareness of the site by confirming the correspondence between photographs of the excavation site of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound (taken around 40 years ago) and cross-sectional diagrams of the shell layer. The flow carrying pottery fragments (high-concentration flow) is eroding the underlying shell layer.


有吉北貝塚北斜面貝層の発掘現場写真(40年前頃撮影)と貝層断面図との対応関係を確認して、自分の現場空間識を強化しました。土器片を流す流れ(高濃度流)が下位貝層を削っています。

1 検討材料


発掘現場写真(空間位置関係記入)


密集土器近景(20断面と6断面の交差部付近)


20断面(発掘現場写真付近)


20断面と密集土器の関係(3D空間の様子)


6断面の詳細貝層分層図

2 20断面と発掘現場写真の対応

検討材料に基づき、20断面と発掘現場写真の対応関係を把握しました。


20断面と発掘現場写真の対応

密集土器が砂層から出土していて、この砂層が下位の貝層の境は波打っています。これは密集土器を運ぶ砂からなる高密度流が下位貝層を浸食した結果であると観察します。

3 感想

3D資料を扱い分析する上で、現場の空間識を強く持つことが必須です。現場写真と断面図等データの関係を把握することで、現場空間識の強化に役立ちます。


2026年4月9日木曜日

6断面分層記載の検討

 Examination of the Description of Six Cross-Sectional Layers

Regarding Section 6 of the shell midden on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, we examined the shell fragmentation rate, major shell species, and shell midden color from the detailed description in the excavation report. There are areas where shell middens with a low shell fragmentation rate are concentrated.

有吉北貝塚北斜面貝層6断面について、発掘調査報告書の詳細記述のうち、貝殻破砕率、主要貝種、貝層色について把握し、検討しました。貝殻破砕率が小さい貝層が集中しているところがあります。

1 6断面貝殻破砕率


6断面貝殻破砕率

Aの領域は貝殻破砕率の値が大きいものが多くなっています。一方、Bの領域は貝殻破砕率が小さいものが多くなっています。

高濃度流(貝殻泥流)が斜面からガリー谷底に流れる様子をイメージすると、高濃度流(貝殻泥流)の先端部にゆくほど大きな物質が集まる(ソートされる)という特性と、この結果は整合します。

投棄された貝殻にはハマグリやイボキサゴの貝殻だけでなく、イボキサゴの人工的破砕物が混じり、それらが高濃度流で運ばれるなかで、貝殻の破壊も進みますが、堆積した結果をみると、運ばれた物質の大きさでソートされて堆積するので、斜面では貝殻破砕率が大きく、斜面下部(ガリー谷底)では貝殻破砕率が小さく観察されると考えます。

Cでは破砕率が大きくなっていますが、この堆積物の下部は水平堆積していて、Bなどと較べると勢いの弱い高濃度流の堆積物(高濃度流の先端から離れた場所の堆積物)であると考えます。

2 主要貝種


主要貝種

ハマグリが主要な貝層 4

イボキサゴが主要な貝層 3

ハマグリとイボキサゴが主要な貝層 6

という結果になりました。

断面中央部で純貝層と貝層(混土率20%未満)の主要貝種がイボキサゴとなっています。この貝層を含む高濃度流(貝殻泥流)の全体の主要貝種がイボキサゴであるのか、それとも、この断面から離れると、ハマグリやハマグリ・イボキサゴに変化するのか、その立体空間における変化が判れば、このデータの解釈が出来るようになります。現状では、6断面から下流(高濃度流の先端方向)にいくと、イボキサゴからイボキサゴ・ハマグリへ、さらに行くとハマグリへと変化すると予想します。

3 貝層の色


貝層・土層砂層の色

全体に貝層・土層砂層に色は暗褐色が多くなっています。谷底の2つの貝層が黒褐色になっていますが、堆積環境(地下水の影響)によるものであるかどうか、興味が湧きます。

4 メモ

高濃度流(貝殻泥流)の特性として、結果として物質が大きさでソートされて堆積すると想定しています。その想定が真であるかどうか理論的・実験的検討が必要です。同時に、堆積物ソートの実体を把握することを資料調査(発掘調査報告書データ解析)で進めています。