2023年9月25日月曜日

遺物台帳からメッシュ別遺物数データ(オリジナル)を取得する

 Obtain the number of relics by mesh data (original) from the relic ledger


I obtained data on the number of relics by mesh from the relic ledger of the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound. The acquisition of original data to deepen my understanding of the excavation report has finally begun. At a glance, the distribution of pottery and the distribution of the number of relics are different, and my interest deepens anew.


有吉北貝塚北斜面貝層の遺物台帳からメッシュ別遺物数データを取得しました。発掘調査報告書理解を深めるためのオリジナルデータ取得がいよいよ始まりました。一瞥して、土器分布と遺物数分布の山が異なり、興味が新たに深まります。

1 メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)

メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)

この3Dは次の資料から構成されています。

1 メッシュ別遺物数棒グラフ(最小1、最大2704)

2 メッシュ図(貝層分布図)

3 北斜面貝層の地山地形と付近の地形

1、2、3は平面位置は正確ですが、高さ関係は任意です。


メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)画像1


メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)画像2


メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)画像3


メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)動画

2 メモ

2-1 メッシュ別遺物数順位グラフ


メッシュ別遺物数順位グラフ

メッシュ(2m×2m)別にみると、遺物数は最大2704、最小1、平均457、メッシュ数140となります。遺物総数は63930です。なお、ここで言う遺物数とは正確には遺物番号数です。完形土器が押しつぶされてバラバラになって一カ所から出土する場合、その遺物番号は1つになります。また遺物番号を個々に与えるだけの価値のない土器小片などはメッシュ単位で適宜集めて「一括」や「清掃」として1つの遺物番号が与えられます。

2-2 メッシュ別遺物数分布の特性

メッシュ別遺物数棒グラフ3Dモデル(予察検討のための資料)から一瞥して、発掘調査報告書掲載土器破片分布と遺物数分布はその山が異なります。土器投棄と全遺物の投棄原理が異なる、つまり土器投棄と土器以外遺物投棄の投棄原理が異なる可能性が予感できて、きわめて興味深い情報です。今後どのようにその分析をするか、じっくり検討していくことにします。


土器分布の山とは異なる遺物分布の山

2023年9月24日日曜日

発掘原票複写資料の整理

 Organizing the excavation record copies


The basic arrangement of the copies of excavation records related to the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound has been completed. So, I made a note of the situation. I am impressed that by using Python with support from ChatGPT, I was able to complete a week's work in one day.


有吉北貝塚北斜面貝層発掘原票の複写資料の基礎整理が一段落しましたので、その様子をメモしました。ChatGPT支援によるPython利用により、1週間作業が1日作業で終わったことに感動しています。

1 図面と遺物台帳の複写

千葉県教育委員会の許可を得て有吉北貝塚北斜面貝層の次の資料を複写しました。

図面(遺物分布図、セクション図、貝層分布図、地山地形図等、A2判)450枚は、全てについて書画カメラ(A2)で撮影するとともに、計測資料として利用予定の図面321枚はA3スキャナーでスキャンしました。

遺物台帳14冊(4600ページ、A4判)は全てをA4見開き2ページ単位にて書画カメラで撮影しました。


図面と遺物台帳の複写

2 図面の解像調整

図面は現場で薄鉛筆細線で描かれ、かつ紙質が経年劣化していてスキャン画像をそのまま利用することが困難であるため、書画カメラ画像、スキャナー画像ともにレベル補正とハイパスフィルター補正をPhotoshopマクロバッチ機能で一括調整しました。

遺物台帳はペン書きで文字も大きく、画像調整は不必要でした。


Photoshopによる図面の解像調整

3 図面の種別整理

図面を種別フォルダーをつくり、それぞれ収納しました。

4 メッシュ別フォルダーによる整理

遺物分布図と遺物台帳について、メッシュ別フォルダーに関連ファイルを整理しました。これにより発掘調査報告書掲載全遺物(土器を除く)の3D座標計測が効率的に出来るようになりました。

発掘調査報告書掲載全遺物(土器を除く)にはメッシュ番号と遺物番号が記載されています。この情報により、遺物分布図からx座標、y座標(平面位置)を、遺物台帳からz座標(標高)を知ることが可能です。


メッシュ別フォルダーによる遺物分布図の整理


メッシュ別フォルダーによる遺物台帳の整理

なお、土器は現物閲覧により破片別に記載されているメッシュ番号と遺物番号を調べ、その情報から破片の3D座標を知る活動を今後展開する予定です。

5 技術メモ

遺物分布図と遺物台帳のメッシュ別フォルダー整理作業は当初1週間程度の作業時間を予定しました。しかし、Pythonを使えば面倒臭い作業を効率的に処理出来る可能性に気が付き、ChatGPTの支援を受けて次のPythonスクリプトを利用して、結果として1日で作業を終えることができました。

5-1 ファイル名称変更のPythonスクリプト


ファイル名称変更のPythonスクリプト


ファイル名称変更の効果

5-2 メッシュ別フォルダー作成と関連画像をそこに収納するPythonスクリプト


メッシュ別フォルダー作成と関連画像をそこに収納するPythonスクリプト


フォルダー名称と収納ファイル名の指示テキスト

6 感想

ChatGPT支援Pythonスクリプトの絶大な作業時間短縮効果に大感動です。まるで未来世界に足を踏み入れたような感覚を覚えます。ChatGPT支援によるPythonやBlenderPython活用をさらに進め、さらにChatGPTに限定しないで、多様な生成AIを活用して縄文学習をより深く楽しむことにします。


2023年9月22日金曜日

ロゼッタ・ストーン発見200年記念切手

 Stamp commemorating the 200th anniversary of the discovery of the Rosetta Stone


I received a stamp commemorating the 200th anniversary of the discovery of the Rosetta Stone (Egypt), so I enjoyed looking at it carefully. I remembered the scene 10 years ago when I caught a glimpse of the actual object in the crowded British Museum.


ロゼッタ・ストーン発見200年記念切手(エジプト)が手元に来ましたので、じっくり眺めて楽しみました。10年前に、大英博物館の混雑の中で現物を垣間見た場面を思い出しました。

1 ロゼッタ・ストーン発見200年記念切手(エジプト)


ロゼッタ・ストーン発見200年記念切手(エジプト)

半年ほど前、切手商に注文したところ売り切れとなり、ようやく再入荷したものです。

2 大英博物館での現物観覧

30年程前に大英博物館でロゼッタ・ストーン現物を見ていますが、その時の写真は見つかりません。10年程前に大混雑の中で、人込みの隙間から現物を見ました。


人込みの隙間から見たロゼッタ・ストーン


人込みの隙間から見たロゼッタ・ストーン(拡大)

3 ChatGPTにロゼッタ・ストーンの考古学的意義を聞く

ChatGPTにロゼッタ・ストーンの考古学的意義を聞いたところ、次のような回答を得ました。

●ロゼッタストーンの考古学的意義について教えてください。

…………………

ロゼッタ・ストーンは、考古学的に非常に重要な発見の一つです。この石は、1799年にエジプトで発見され、古代エジプトのヒエログリフ文字を解読する鍵となりました。以下に、ロゼッタ・ストーンの考古学的意義について詳しく説明します。

1 ヒエログリフ解読の鍵:

ロゼッタ・ストーンには、同じテキストが3つの異なる言語で記されています。ギリシャ語、デモティック(古代エジプト語の一種)、そしてヒエログリフ(神聖文字)です。この多言語の碑文が同じ内容を伝えていることから、ヒエログリフの解読に重要な手がかりとなりました。フランスの学者ジャン=フランソワ・シャンポリオンが、ロゼッタ・ストーンを元にしてヒエログリフを解読し、古代エジプト文化の理解に大きな貢献をしました。

2 古代エジプトの歴史と文化の復元:

ヒエログリフの解読により、古代エジプトの歴史、宗教、文化、社会構造などについて深い洞察が得られるようになりました。ロゼッタ・ストーンに刻まれたテキストは、プトレマイオス朝時代(紀元前4世紀から紀元前1世紀)のものであり、この時代のエジプトに関する貴重な情報源となっています。

3 言語学的研究への影響:

ロゼッタ・ストーンの発見とヒエログリフの解読は、言語学や古代文字の研究において革命的な進歩をもたらしました。これは、異なる言語や文字系統を比較し、解読するための方法論を提供した重要な事例です。この手法は、他の未解読の古代文字や言語にも応用され、新たな知識の獲得に寄与しました。

4 考古学とエジプト学の進展:

ロゼッタ・ストーンの解読により、古代エジプトに関する研究が飛躍的に進展し、考古学やエジプト学の分野が豊かな成果を生み出しました。古代エジプトの遺跡や文化遺産の理解が深まり、多くの発見や研究プロジェクトが生まれました。

総括すると、ロゼッタ・ストーンは古代エジプトに関する知識の大幅な増加と、言語学や考古学の分野における重要な発展に貢献した重要な考古学的な発見です。その解読は、文化や歴史の理解において不可欠な要素となりました。

…………………


2023年9月19日火曜日

加曽利EⅡ式深鉢形土器(千葉市有吉北貝塚) 観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)

 Kasori EII type deep bowl-shaped pottery (Ariyoshi Kita Shell Mound,Chiba City) Observation record 3D model (Pattern extraction version)


When making a pattern extraction version of this pottery, the polished drooping patterns make the bulge in the lower half of the body look more graceful. I imagine that this bulge is associated with fertility and proliferation (fruit ripening, pregnancy and childbirth, etc.) in animals, plants, and people.


この土器の文様抽出バージョンを作ってみると、磨消垂下文が胴部下半の膨らみをより優美な姿に見えるように演出しています。この膨らみは動植物や人における豊穣や増殖(結実成熟とか妊娠出産とか)に紐づけられていると想像します。

1 加曽利EⅡ式深鉢形土器(千葉市有吉北貝塚) 観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)

加曽利EⅡ式深鉢形土器(千葉市有吉北貝塚) 観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)

千葉県教育委員会所蔵

撮影:加曽利貝塚博物館夏休み企画展示「調べて発見!!わたしのまちの縄文時代」

撮影月日:2023.08.30


展示の様子


テクスチャ画像の操作

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.021で生成 processing 127 images


加曽利EⅡ式深鉢形土器(千葉市有吉北貝塚)観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)と本モデルのオルソ投影画像


加曽利EⅡ式深鉢形土器(千葉市有吉北貝塚)観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


加曽利EⅡ式深鉢形土器(千葉市有吉北貝塚)観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)のGigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

3-1 磨消垂下文の器形演出効果

文様抽出バージョンを作ってみると、両側に沈線を伴う磨消垂下文が胴部下半の膨らみをより優美な姿に見えるように演出しているように感じます。

胴部下半の優美な膨らみは動植物や人における豊穣や増殖(結実成熟とか妊娠出産とか)に紐づけられた形状だと想像します。

3-2 人が理解できるテクスチャ画像への変換

フォトグラメトリにより作成した3Dモデルのテクスチャ画像は人が理解できない画像ですが、これを人が理解できる画像に変換する方法に慣れてきました。

3-3 テクスチャ画像の色塗り

人が理解できるテクスチャ画像の文様をPhotoshopを使って抽出する方法になれてきました。遅ればせながら、1本の界線の両側で色がピタリと変わるように見える色塗りが出来るようになりました。


2023年9月17日日曜日

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデルの文様抽出バージョンと干渉色バージョン

 Pattern extraction version and interference color version of observation record 3D model of Shomyoji type deep pot-shaped pottery (Uchinodaiichi Site,Chiba City) 


I enjoyed creating a pattern extraction version and an interference color version of the observation record 3D model of Shomyoji type deep pot-shaped pottery (Uchinodaiichi Site,Chiba City).


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデルの文様抽出バージョンと干渉色バージョンを作成して楽しみました。

1 称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)

千葉県教育委員会所蔵

文様を塗色(沈線→赤、縄文→緑)し、文様だけのテクスチャ画像による3Dモデル

撮影:加曽利貝塚博物館夏休み企画展示「調べて発見!!わたしのまちの縄文時代」

撮影月日:2023.08.30


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.021で生成 processing 101 images


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)画像


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(文様抽出バージョン)のGigaMesh Software Frameworkによる展開

3 称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(干渉色バージョン)

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(干渉色バージョン)

千葉県教育委員会所蔵

3Dモデルテクスチャ画像を干渉色変換ツール(やまだこーじさん発明、地図アート研究所)で干渉色に変換

https://ymd5022002.github.io/map-art-jp/tools/index.html

撮影:加曽利貝塚博物館夏休み企画展示「調べて発見!!わたしのまちの縄文時代」

撮影月日:2023.08.30


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.021で生成 processing 101 images


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(干渉色バージョン)画像


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(干渉色バージョン)動画

4 GigaMesh Software Frameworkによる展開


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(干渉色バージョン)のGigaMesh Software Frameworkによる展開

5 メモ

・文様抽出バージョンや干渉色バージョンを作成する過程はまことに楽しい時間です。もっと多用なバージョンを作成して、3Dモデル作成を楽しみたいと思います。

・人が理解できる3Dモデルテクスチャ画像作成の一つのコツが判ってきました。土器の縁や底部以外で土器外面と内面がつながっている所がある場合、それを切断して置く必要に気が付きました。

・土器文様のトレースの効率化に意識が向き、そのテクニックに興味を持ちました。Photoshopの初歩的な使い方ですが、いままで「いつか、いつか・・・」とほっぽておいた学習課題です。

・干渉色変換ツールは大変有用なツールで、あらためてやまだこーじさんに感謝します。土器の外面がザラザラしているので、その様子が干渉色変換ツールに表現され、まるで点描画のようになっています。



2023年9月16日土曜日

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(塗色バージョン)

 Shomyoji type deep pot-shaped pottery (Uchinodaiichi Site,Chiba City) Observation record 3D model(Colored version)


I had fun painting the sinking lines of the 3D model of observation records of Shomyoji type deep pot-shaped pottery (Uchinodaiichi Site,Chiba City) in red and the Cord-mark impressions in green.


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデルの沈線を赤、縄文を緑に塗色して楽しんでみました。

1 称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(塗色バージョン)

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル(塗色バージョン)

千葉県教育委員会所蔵

沈線→赤色、縄文→緑色に塗色

撮影:加曽利貝塚博物館夏休み企画展示「調べて発見!!わたしのまちの縄文時代」

撮影月日:2023.08.30


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.021で生成 processing 101 images


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(塗色バージョン)画像


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(塗色バージョン)動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル(塗色バージョン)のGigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

塗色方法は次の通りです。

ア Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャファイルを人が理解できるように作成する。

イ そのテクスチャファイルをPhotoshopで塗色する。


2023年9月14日木曜日

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル

 Shomyoji type deep pot-shaped pottery (Uchinodaiichi Site,Chiba City) Observation record 3D model


This individual piece of Shomyoji type pottery is perfectly formed and has a typical vessel shape and pattern, as it was exhibited at past exhibitions of excellent products. This pottery is of great interest to me because it was excavated from a ruin in the Hanamigawa River Basin (Uchinodaiichi Site) near my home.


この土器個体は、過去優品展でも展示されたように、完形で称名寺式のひとつの典型的器形・文様をしています。自宅近くの花見川流域内遺跡(内野第一遺跡)から出土しているので、自分にとって着目度が強い土器です。

1 称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル

称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡) 観察記録3Dモデル

千葉県教育委員会所蔵

撮影:加曽利貝塚博物館夏休み企画展示「調べて発見!!わたしのまちの縄文時代」

撮影月日:2023.08.30


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.021で生成 processing 101 images


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル画像


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3Dモデル動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


称名寺式深鉢形土器(千葉市内野第一遺跡)観察記録3DモデルのGigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

この土器個体は、過去優品展でも展示されたように、完形で称名寺式の典型的器形・文様をしています。自宅近くの花見川流域内遺跡(内野第一遺跡)から出土しているので、自分にとって着目度が強い土器です。


2023年9月12日火曜日

ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル

 3D model of distribution of pottery fragments by type near the head of the gully


Pottery from each period after the early period has been excavated near the head of the gully in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. Pottery dumping activities existed from the early period, indicating that gully erosion was weak at least from that period onwards.


有吉北貝塚北斜面貝層におけるガリー谷頭付近では前期土器以降の各時期土器が出土します。前期から土器投棄活動が存在し、少なくともその頃以降はガリー侵食が虚弱だったことがわかります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル


凡例

貝層断面図2より上流域をここでのガリー谷頭付近とします


有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル画像


有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル動画


参考 有吉北貝塚北斜面貝層谷頭部付近土器破片分布

2 メモ


有吉北貝塚北斜面貝層 谷頭部破片数の割合(%) 表


有吉北貝塚北斜面貝層 谷頭部破片数の割合(%) グラフ

ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布をみると、前期土器以降全ての土器型式が出土します。また前期土器と阿玉台式土器は出土全破片に対する割合が高くなっています。この情報から次の推測の合理性が高いと判断します。

・前期土器から加曽利EⅡ式新段階土器まで、谷頭部の上から谷底に向けて土器投げ入れによる廃用土器投棄活動が行われてきた。

・谷頭部の上から谷底に向けて投げ入れられた土器の破片の一定数は谷頭部急斜面に「引っかかって」その場に堆積して、下流に流れ出ることが少なかった。そのため、前期土器や阿玉台式土器では谷頭部の土器破片がだけが残存し、下流に流れ出た土器破片はより下流にはこばれたので、谷頭部出土の割合が大きくなった。

・前期土器以降の各時期の土器型式が谷頭部から出土することから、ガリー谷頭部がすでに強い侵食力にさらされていないことがわかります。少なくとも前期以降は、このガリー侵食谷における侵食営力ははなはだ虚弱であったと考えられます。このガリー侵食谷が発達した時期がいつの時代であるのか、興味学習の対象となります。(前期以降にガリー侵食が虚弱であった様子は、下流の貝層断面に侵食力を示す土砂層が全くと言っていいほどみられないことからも判ります。)

・ガリー侵食が台地集落に迫り、縄文人が危機意識、防災的意識から貝殻や土器を投棄したという想像の成立は難しい感じです。

・ガリー侵食により台地付近の竪穴住居が谷底に流れ込み、それにより竪穴住居に存在していた大量の遺物が貝層に流れ込んだという想像も成立は困難です。


2023年9月9日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器の破片3D分布

 Northern slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

3D distribution of pottery fragments with 10 or more fragments


I investigated the 3D distribution of fragments of pottery with 10 or more fragments (≒ pottery discarded because it resembled a complete shape). It can be assumed that all the pottery was thrown from the top of the gully towards the bottom of the valley. The details of the pottery dumping activity are starting to emerge, and I'm excited.


破片数10以上土器(≒完形似で廃棄された土器)の破片3D分布を調査しました。全ての土器がガリー谷頭上から谷底に向かって投げ込まれたと想定できそうです。土器投棄活動詳細が浮かび上がりつつあり、ドキドキします。

1 破片数10以上土器(≒完形似で廃棄された土器)の破片3D分布

破片数10以上土器(≒完形似で廃棄された土器)は、発掘調査報告書掲載グラフ由来の情報では、全部で12土器あります。この12土器の破片3D分布は次のようになります。

1-1 加曽利EⅡ式中段階土器


218番土器


275番土器


279番土器


280番土器


319番土器


325番土器

1-2 加曽利EⅡ式中~新段階土器


241番土器


250番土器


294番土器


296番土器


297番土器

1-3 加曽利EⅡ式新段階土器


355番土器

2 分析

2-1 有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器の全破片3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器の全破片3D分布モデル

破片数10以上土器の内訳

加曽利EⅡ式中段階土器6点

加曽利EⅡ式中~新段階土器5点

加曽利EⅡ式新段階土器1点

2-2 有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器のガリー最上部分布破片3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器のガリー最上部分布破片3Dモデル

破片数10以上土器の内訳

加曽利EⅡ式中段階土器6点

加曽利EⅡ式中~新段階土器5点

加曽利EⅡ式新段階土器1点

2-3 有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器の全破片3D分布モデル動画


有吉北貝塚北斜面貝層 破片数10以上土器の全破片3D分布モデル動画

破片数10以上土器の内訳

加曽利EⅡ式中段階土器6点

加曽利EⅡ式中~新段階土器5点

加曽利EⅡ式新段階土器1点

※動画最初と最後は破片数10以上土器(全12土器)のガリー最上部分布破片3Dモデル

2-4 分析検討

破片数10以上土器(≒完形似で廃棄された土器)の破片3D分布をみると、破片はA~Dゾーンに分布しています。


破片数10以上土器(全12土器)の破片3D分布モデル 画像

Aゾーンで投棄された土器がB~Dゾーンに流水の力で運搬されていったと考えることができます。そして破片数10以上土器のガリー最上部分布破片3Dモデルを見ると、ほとんどがAゾーンとなっています。


破片数10以上土器(全12土器)のガリー最上部分布破片3Dモデル 画像

Aゾーンの地形の特徴を考えると、破片数10以上土器はガリー谷頭上から谷底に投げ込まれたと想定できます。この想定を今後データで実証することにします。完形に近い廃用土器を台地平坦面縁からガリー谷底へ向けて「投げ込んだ」というダイナミックな活動があり、その意義検討が重大な学習興味となります。