2026年6月24日水曜日

有吉北貝塚北斜面貝層のデータ総集 その2

 Comprehensive Data Collection for the Shell Midden on the Northern Slope of the Ariyoshi-Kita Shell Mound: Part 2


I examined the 3D data of the shell midden on the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Mound from an overall perspective, stepping back from the fine details. I noted observations based on the differences between the 3D distributions of pottery and those of bones and teeth. I hypothesize that during the final stage of shell midden formation (the new phase of the Kasori E-II style), a large-scale collapse and a high-concentration flow occurred in the western tributary at the head of the gully, and that the resulting secondary deposits extended all the way to the downstream end.


有吉北貝塚北斜面貝層の3Dデータを、詳細から離れて、全体として眺めてみました。土器3D分布と骨歯3D分布との違いから気が付いたことをメモしました。貝層形成最終段階(加曽利EⅡ式新段階期)にガリー谷頭西支谷で大規模な崩壊、高濃度流発生があり、その二次堆積物が最下流まで及んでいると思考しています。

この記事は2026.05.26記事「有吉北貝塚北斜面貝層データの総集」の続きです。

1 遺物データ3D分布

1-1 土器3D分布


土器3D分布

土器の件数は17484です。

画像には第2断面(左)と第3断面(右)を入れたあります。(以下同様)

1-2 石器3D分布


石器3D分布

石器の件数は2045です。

石器3D分布土器3D分布と似ています。

1-3 骨歯3D分布


骨歯3D分布

骨歯の件数は34050です。

骨歯の3D分布は貝層3D分布と近似すると考えることができます。

2 土器、石器、骨歯の相互関係

2-1 土器、石器の3D分布相互関係


土器、石器の3D分布相互関係

土器3D分布画像と石器3D分布画像をPhotoshopで「ピンライト」の関係でオーバーレイした画像です。

2-2 土器、骨歯の3D分布相互関係


土器、骨歯の3D分布相互関係

土器3D分布画像と骨歯3D分布画像をPhotoshopで「ピンライト」の関係でオーバーレイした画像です。

土器3D分布はあるが骨歯3D分布がない場所、逆に骨歯3D分布はあるが土器3D分布が虚弱な場所を見つけることができます。

2-3 石器、骨歯の3D分布相互関係


石器、骨歯の3D分布相互関係

石器3D分布画像と骨歯3D分布画像をPhotoshopで「ピンライト」の関係でオーバーレイした画像です。

3 予備思考 骨歯分布(≒貝殻分布)との関係から見た土器分布区分


予備思考 骨歯分布(≒貝殻分布)との関係から見た土器分布区分

土器、骨歯の3D分布相互関係図に予備思考結果をメモしました。骨歯3D分布を貝殻3D分布に見立てて、それと土器3D分布との関係を分析し、土器分布をa~kの11に区分しました。以下思考結果をメモします。

3-1 予備思考1

a:aの土器片分布は、点線で描いたような「台地縁から投棄された結果そのもの」では「ない」と思考します。aと台地縁の間に存在した「投棄結果貝層」が規模の大きな高濃度流で下流に一気に移動したと考え、その移動プロセス結果がaに残っていると考えます。高濃度流堆積物としての土器堆積です。

このように思考する根拠の一つは第2断面層序最下部付近から北斜面貝層最新土器型式(加曽利EⅡ式新段階土器)が出土していて、大規模な高濃度流を想定せざるを得ないことです。

b:bの土器分布は台地縁からの投棄結果であると考えます。第1断面谷頭急崖直下から加曽利EⅡ式中~新段階土器が出土しているので、その頃以降に投棄された土器がメインであると考えます。

c:cの土器分布はaから継続し、fへと連なる高濃度流堆積物分布が軸となっていると考えます。

d:dの土器分布は台地縁から投棄された土器の分布を示すと考えます。

e:土器密度がdで粗でeで密である理由の一つは斜面に投棄された土器が高濃度流で斜面下部に集中しやすいことが影響していると考えます。

f:fの土器分布はcの土器分布と連続するものですが、高濃度流の特性として粒子の大きいもの(土器>貝殻)が堆積先端に集中するので、f域は貝殻が伴っていない、つまり、高濃度堆積先端域と考えます。

g:fの土器がその後の高濃度流で二次堆積したと考えます。

h:hの方がdより土器が密集しているのは、土器投棄量がhの方がdより多かったと考えます。

i:dとeの関係のように、hよりiの方が土器は密集しています。

j:j域に台地縁から土器が投棄されたと考えます。

k:i域からk域に土器が移動していますが、その営力は高濃度流ではなく、流水による可能性があると考えます。この付近の貝層に水平ラミナが存在するからです。

3-2 予備思考2

a-c-f、a-c-e-i-k:この区域は、加曽利EⅡ式新段階期における左岸側(西側)支谷谷頭部の大規模崩壊による高濃度流堆積物をメインとすると考えます。その堆積物より下位にそれより古い時期の堆積物が断片的に存在する可能性はあると考えます。

b:この付近のガリー谷頭浸食は少なくとも阿玉台式期にはあったことが判っています。。加曽利EⅡ式中~新段階期に顕著なガリー谷頭浸食があり、その直後から土器、石器、貝殻の投棄が始まったことが判っています。

d,h:ガリー侵食後の崩落層形成時から貝殻投棄が始まっています。ガリー侵食時期は少なくとも中峠式期には遡ります。それより古い時期まで遡るかどうかは情報がないので現状では判断できません。中峠式期以降加曽利EⅡ式新段階期まで貝殻や土器の投棄は継続すると考えられますが、斜面貝層の小崩落(高濃度流発生)が多発していたと考えられ、現状ではセクション図掲載分層の断面間対比は部分的にしかできていません。


2026年6月23日火曜日

考古学切手 エヴォラ・ローマ神殿

 Archaeology Stamp: The Roman Temple of Évora


I recently revisited a stamp from a collection I started around 1956—the only one in the set featuring an archaeological site—and enjoyed it all over again after 70 years. It is a stamp from Portugal (issued in 1935) depicting the Roman Temple of Évora. It brought back memories of visiting the site during a two-week trip to Spain and Portugal in 2009.


1956年頃収集した切手に1枚だけ考古学切手が含まれていたので、70年経った今、再び楽しみました。ポルトガル(1935年発行)のエヴォラ・ローマ神殿切手です。2009年スペインポルトガル2週間旅行で訪問したことを思い出しました。

1 エヴォラ・ローマ神殿 ポルトガル発行


エヴォラ・ローマ神殿 ポルトガル発行

1935年

ChatGPT説明:通称:ディアナ神殿。紀元1世紀頃のローマ帝国ルキウス・アウグストゥス帝の時代に建てられたもので、世界遺産にも登録されている歴史的遺構。


エヴォラ・ローマ神殿(2009.05撮影)


エヴォラ・ローマ神殿(2009.05撮影)

切手から、2009年スペインポルトガル2週間旅行でエヴォラ・ローマ神殿を訪問したことを思い出しました。

2 ヴィクトリア女王即位50周年記念普通切手 イギリス発行


ヴィクトリア女王即位50周年記念普通切手 イギリス発行

1887年

ChatGPT説明:この切手は当時、新聞や絵葉書の郵送用に大量に印刷・使用されたため、現在でも消印付き(使用済み)のものは非常に多く残っています。

この切手の消印は1895年8月7日と読めます。

この切手は考古学切手ではありませんが、70年前に自分が収集した切手で最も価値の高いものだと感じ、とても丁寧に保存してきたものです。わらしべ長者になった気分でした。今般ChatGPTの情報によると、希少性はあまりないようですが、愛着のある切手です。


考古学切手 ネフェルティティ胸像 その2

 Archaeology Stamps: Bust of Nefertiti (Part 2)


I enjoyed discovering another stamp featuring the bust of Nefertiti in my archaeology stamp collection. It is one of the stamps that make up a souvenir sheet titled "Egypt Under the Pharaohs," issued by Mozambique.


考古学切手マイコレクションから新たにネフェルティティ胸像切手を見つけて楽しみました。モザンビーク発行「ファラオの下のエジプト」小型シートの一枚を構成する切手です。

この記事は2026.06.10記事「考古学切手 ネフェルティティ胸像」の続きです。

1 ネフェルティティ胸像 モザンビーク発行


ネフェルティティ胸像 モザンビーク発行

2014年

ポルトガル語の説明文: 「O busto de Nefertiti foi a grande esposa real, e data para cerca de 1370 aC - 1330 aC(ネフェルティティの胸像は偉大なる王の正妃であり、紀元前1370年頃〜紀元前1330年頃のものです)」

2 「ファラオの下のエジプト」小型シート モザンビーク発行


「ファラオの下のエジプト」小型シート モザンビーク発行

2014年

ネフェルティティ胸像切手の隣の切手のChatGPT説明:太陽神アテン(天体としての太陽)の光を浴びる、ファラオ・アクエンアテン(アメンホテプ4世)と王妃ネフェルティティ、そして子供たちの姿が彫られたレリーフ。 

3 メモ

2026.06.10記事を書くときになぜこの切手を見落としたのか、自分でも不思議です。エジプト切手が4000枚(1/3が考古学切手)未整理で存在していて、それを丹念に確認することに気がとられていたようです。


第1断面谷頭部の遺物分布ヒートマップ

 Heat Map of Artifact Distribution at the Head of the Valley (Section 1)


I created a heat map showing the distribution of pottery, stone tools, and bone/tooth artifacts at the head of the valley in Section 1 of the shell midden located on the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Midden. The map reveals a concentration of artifacts near the area of ​​the shell layer situated in the middle section of the stratigraphy. This distribution map provides valuable information suggesting that shells, pottery, stone tools, and bone/tooth artifacts were all discarded from the edge of the plateau down to the same location at the base of the cliff.


有吉北貝塚北斜面貝層の第1断面谷頭部の土器、石器、骨歯の分布ヒートマップを作成しました。層序中段の貝層分布域付近に遺物分布が集中しているように観察できます。この分布図は、貝殻と土器・石器・骨歯が台地面縁から崖下の同じ場所に投げ込まれたと推測できる貴重な情報です。

1 第1断面谷頭部の遺物分布ヒートマップ


第1断面谷頭部土器分布ヒートマップ


第1断面谷頭部石器分布ヒートマップ


第1断面谷頭部骨歯分布ヒートマップ


第1断面谷頭部土器石器骨歯分布ヒートマップ


参考 第1断面谷頭部貝層区分(区分は発掘調査報告書による)

2 メモ

2-1 層序中段の混土貝層付近に遺物が集中

層序中段の混土貝層分布域付近に遺物分布が集中しているように観察できます。これらの分布図は、貝殻と土器・石器・骨歯が台地面縁から崖下の同じ場所に投げ込まれたと推測できる貴重な情報です。

2-2 基底混土貝層付近に遺物がない

基底混土貝層付近に遺物がほとんど分布しません。谷頭部ができた直後は貝殻の投棄はしたけれども土器、石器、骨歯の投棄はほとんどなかったことになります。なぜそうなのか、その理由に興味が深まります。

2026年6月22日月曜日

技術メモ pngファイルからヒートマップを作成するPythonスクリプトの改良

 Technical Notes: Improvements to a Python Script for Creating Heatmaps from PNG Files


I've been using a very convenient Python script to create heatmaps from dot distribution images (transparent background PNG files). However, I encountered some issues, so I've improved it. The resulting Python script is now more robust.


ドット分布画像(背景透明pngファイル)からヒートマップを作成するPythonスクリプトをとても便利に使っています。しかし、不都合が生じたので改良しました。より堅牢なPythonスクリプトとなりました。

この記事は2026.06.03記事「技術メモ pngファイルから直接ヒートマップを作成するPythonスクリプト」の続きになります。

1 遭遇した不都合


遭遇した不都合

これまで順調にpngファイルからPythonスクリプトで直接ヒートマップを作成してきました。しかし、上記のような不都合に遭遇しました。

調べたところ、画像の透明部分にRGBの色が残っている部分が存在しているために生じた現象であることがわかりました。Pythonスクリプトは透明か否かではなく、色がある部分=点群データとして扱っているので生じた不都合です。

2 不都合の解決策

この不都合の解決策として、次の2を執りました。

1 画像透明部から色を完全に除去する新たなPythonスクリプト作成。

2 色のある透明部を間違って拾わないヒートマップ作成Pythonスクリプトの作成。

それぞれのPythonスクリプトを作成しましたが、2の新たな改良ヒートマップ作成Pythonスクリプトを使う方が作業の手間がはぶけます。ヒートマップ作成Pythonスクリプトがより堅牢となりました。

3 改良Pythonスクリプト (透明部に色が残っていても正常に作動する改良版)


from pathlib import Path

import cv2
import numpy as np
from PIL import Image
from matplotlib import cm

# =========================
# 設定
# =========================

input_path = r"G:/test/aaa.png"
output_path = r"G:/test/aaa_heatmap.png"

# 使用する単色グラデーション
# 例: "Blues", "Reds", "Greens", "Purples", "Oranges", "Greys"
color_map_name = "Reds"

# グラデーションの区分数
# 例: 5, 8, 10, 16, 32
gradient_steps = 10

# 密度計算のぼかし半径
# 大きいほど広くなめらかな密集度になる
blur_radius = 20

# 背景を透明にするか
transparent_background = False

# 点群抽出に使うアルファ閾値
# alpha > alpha_threshold のピクセルだけを点として扱う
# 0: わずかでも不透明なら点
# 10〜30: ほぼ透明なノイズを除外
alpha_threshold = 20

# ヒートマップの透明出力時、薄い密度部分を透明にする閾値
# 通常は 0.0 のままでOK
heat_alpha_threshold = 0.0

# =========================
# 処理
# =========================

input_file = Path(input_path)
if not input_file.exists():
    raise FileNotFoundError(f"画像が読み込めません: {input_path}")

# RGBAで読み込み、RGB値には依存しない
img = Image.open(input_file).convert("RGBA")
arr = np.array(img)

# アルファチャンネルだけで点群を抽出
alpha = arr[:, :, 3]
dot_mask = alpha > alpha_threshold

point_pixels = int(np.count_nonzero(dot_mask))
if point_pixels == 0:
    raise ValueError(
        "アルファ値から点を検出できませんでした。"
        f" alpha_threshold={alpha_threshold} を下げてください。"
    )

print(f"画像サイズ: {img.size[0]} x {img.size[1]}")
print(f"alpha min/max: {int(alpha.min())} / {int(alpha.max())}")
print(f"点として使うピクセル数: {point_pixels}")

# 密度画像を作成
density = dot_mask.astype(np.float32)

# ガウシアンぼかしで密集度を計算
density = cv2.GaussianBlur(
    density,
    ksize=(0, 0),
    sigmaX=blur_radius,
    sigmaY=blur_radius,
)

# 0〜1に正規化
max_density = float(density.max())
if max_density > 0:
    density = density / max_density

# グラデーションを段階化
density_step = np.floor(density * gradient_steps) / gradient_steps
density_step = np.clip(density_step, 0, 1)

# カラーマップ適用
cmap = cm.get_cmap(color_map_name)
heat_rgba = cmap(density_step)

# 0〜255へ変換
heat_img = (heat_rgba[:, :, :3] * 255).astype(np.uint8)

# 密度ゼロ部分の処理
if transparent_background:
    out_alpha = (density > heat_alpha_threshold).astype(np.uint8) * 255
    output = np.dstack([heat_img, out_alpha])
    Image.fromarray(output, mode="RGBA").save(output_path)
else:
    # 背景は白
    heat_img[density <= heat_alpha_threshold] = [255, 255, 255]
    Image.fromarray(heat_img, mode="RGB").save(output_path)

print(f"ヒートマップを書き出しました: {output_path}")

2026年6月20日土曜日

考古学切手 兵馬俑 その1

 Archaeological Stamps: Terracotta Army, Part 1


I enjoy collecting archaeological stamps featuring the Terracotta Army from my personal collection. These are four older stamps issued in 1983. They were out of stock at stamp dealers, so I acquired them through Mercari.


兵馬俑をテーマとした考古学切手をマイコレクションの中から集めて楽しんでいます。最初に1983年発行の古い切手4種です。切手商には在庫がなく、メルカリで入手しました。

1 兵馬俑 T.88.(4-1) 中国発行


兵馬俑 T.88.(4-1) 中国発行

1983年

特種切手「秦始皇帝兵馬俑(カタログ番号:T88)」の4種セットのうちの1枚

2 兵馬俑 T.88.(4-2) 中国発行


兵馬俑 T.88.(4-2) 中国発行

1983年

特種切手「秦始皇帝兵馬俑(カタログ番号:T88)」の4種セットのうちの1枚

3 兵馬俑 T.88.(4-3) 中国発行


兵馬俑 T.88.(4-3) 中国発行

1983年

特種切手「秦始皇帝兵馬俑(カタログ番号:T88)」の4種セットのうちの1枚

4 兵馬俑 T.88.(4-4) 中国発行


兵馬俑 T.88.(4-4) 中国発行

1983年

特種切手「秦始皇帝兵馬俑(カタログ番号:T88)」の4種セットのうちの1枚

5 メモ

よく見かける兵馬俑の切手であり、直ぐにでも入手できると楽観していました。しかし、どの切手商にも在庫がなく、入手をあきらめかけていました。あるとき、フト、メルカリの存在に気が付き検索したところ、格安で即入手できました。それ以来切手入手方法としてメルカリを多用するようになりました。

メルカリ販売者(過去のお土産品などの不要物処分)←→私(考古学切手として入手したい価値ある小品)という対照が面白いです。

話しは脱線しますが、古い考古学図書の入手にヤフオクを利用したことあります。縄文土器大観全4巻を、うまく立ち回り、格安で入手できた体験があります。しかし、ヤフオクを使ってみて、無意味に他の人と競うという心を磨り減らす側面があり、それ以来止めました。それに対して、メルカリは心の負担なしに価値交換できるので、よりよい仕組みです。


2026年6月18日木曜日

第1断面谷頭部の混貝土層母材の供給源

 Source of the Mixed Shell Soil Layer at the Head of the Valley in Section 1


At the head of the valley in Section 1, there are no landslides or collapsed layers. Nevertheless, the steep cliff is completely filled with a mixed shell soil layer. I have long wondered where this parent material came from. However, by examining the cross-section in a 3D topographic model, I was able to estimate the topography of the parent material's source.


第1断面谷頭部では崖崩れがなく、崩落層がありません。にもかかわらず急崖は混貝土層で埋めつくされています。その母材がどこからきたものか以前から疑問でした。しかし地形3Dモデルのなかで断面を見ると母材供給源の地形を推定できました。

1 第1断面谷頭部貝層区分


第1断面谷頭部貝層区分

この貝層区分図は発掘調査報告書区分をセクション図にトレースしたものです。

第1断面谷頭部はガリー侵食による急崖となっています。この急崖には崖崩れがありません。従って急崖下には崩落層がありません。

急崖頂部から投棄された貝殻が急崖直下と混貝土層の途中に混土貝層として分布しています。

この貝層発達を見て、混貝土層と土層の母材の起源がどこであるのか、以前から疑問として残っていました。

下流の斜面貝層が発達する断面では崩落層の存在から急崖の頂部に崖崩れを想定できて、崖崩れが崩落層や混貝土層母材の供給源として推定できました。


参考 第30断面(剥取断面)崩落層の母層(崩落母層)の推定

2 第1断面谷頭部 母材供給源の推定


第1断面谷頭部 母材供給源の推定

地形モデルの中で第1断面をみると、第1断面と台地平面部との間に小崖と言えるような急斜面部が存在しています。この小崖から第1断面急崖を埋める混貝土層、土層の母材が供給されていたと推定します。

この小崖はその分布からガリー侵食とは無関係な地形と判断できます。


2026年6月16日火曜日

第1断面谷頭部における出土土器の型式

 Pottery Types from the Valley Head of Section 1


I have extracted pottery with a determined type from the valley head of Section 1. Within the ±0.5m box, there is only one piece, which is a Kasori EII type, mid-to-late stage pottery. The excavation site is directly below a gully erosion cliff. This indicates that gully erosion in this section was active during the Kasori EII type, mid-to-late stage. This is very valuable information for considering the development history of shell beds.


第1断面谷頭部における型式判明土器を抽出しました。±0.5mボックス内では1件だけで、加曽利EⅡ式中~新段階土器です。出土位置はガリー侵食崖直下です。この状況からこの断面のガリー侵食は加曽利EⅡ式中~新段階期にアクティブであったことが判ります。貝層発達史を考える上でとても貴重な情報です。

1 第1断面谷頭部 ±0.5m幅ボックス内土器片の投影図


第1断面谷頭部 ±0.5m幅ボックス内土器片の投影図

±0.5mボックス内では1件だけで、加曽利EⅡ式中~新段階土器です。出土位置はガリー侵食崖直下です。

ボックス幅を±1mにひろげると崖頂部近くに阿玉台式土器1件が出現します。


参考 第1断面谷頭部 発掘調査報告書貝層区分

2 考察

2-1 加曽利EⅡ式中~新段階期前後の状況

加曽利EⅡ式中~新段階土器がガリー侵食急崖直下から出土しているので、この急崖がアクティブであった状況下で、急崖上の台地縁から貝殻や土器片投棄があったと考えられます。この情報からこの付近は加曽利EⅡ式中~新段階期にもガリー侵食が進行していたことを確認できます。同時に加曽利EⅡ式中~新段階期から加曽利EⅡ式新段階期までに崖がほぼ完全に埋め立てられたことも確認できます。土器北斜面貝層の貝層発達史を考える上でとても貴重な情報です。

2-2 阿玉台式土器出土の意義

断面から±1mまでボックスの幅を広げると急崖の上の方に阿玉台式土器が出土します。この情報から次の状況を推察します。

阿玉台土器が加曽利EⅡ式中~新段階期に台地縁から投棄された可能性もゼロではないと考えます。しかし、各土器型式はその型式が使われていた時期に投棄されたと想定して検討し、つぎのように考えます。

阿玉台式期にこの当たりは既にガリー侵食が進み急崖ができていた。阿玉台期には阿玉台式土器が投棄され、その一部は崖の途中に引っかかるようにして堆積した。ガリー侵食はその後も続き、加曽利EⅡ式中~新段階期の崖は阿玉台式期の崖から50㎝ほど離れた場所に発達していた。加曽利EⅡ式中~新段階期以降急崖は急激に投棄貝殻で埋め立てられた。

2-3 第30断面との比較


参考 第30断面(剥取断面)±0.5m幅ボックス内土器片の投影図

ガリー侵食谷の下流に位置する第30断面では斜面貝層の年代は中峠式期に遡ります。従って、第30断面では遅くとも中峠式期にはガリー侵食活動は終了しています。それと較べると第1断面谷頭部は大変新しい時期(加曽利EⅡ式中~新段階期)までガリー侵食活動が継続していたことになります。ガリー侵食活動のアクティブな状況が下流から上流に向かって移動してい様子を推察することができます。


2026年6月14日日曜日

比較資料 断面の全石器分布ヒートマップ

 Comparative Data: Heatmap of All Stone Tool Distribution in a Cross Section


I created a heatmap of stone tool distribution in the 30th section of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound and compared it with heatmaps of pottery and bone/tooth distribution. It is very interesting that the heatmap characteristics differ for each type of artifact.


有吉北貝塚北斜面貝層の第30断面における石器分布ヒートマップを作成し、土器と骨歯分布ヒートマップと比較しました。遺物種毎にヒートマップ特性が異なることはとても興味深いことです。

1 第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全石器投影図のヒートマップ


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全石器投影図のヒートマップ

石器出土数は91です。

ヒートマップは点分布pngファイル画像からPythonスクリプトで生成しました。


第30断面(剥取断面)±0.5m幅ボックス内全土器片投影図のヒートマップ


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全骨歯投影図のヒートマップ

2 第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全石器投影図のヒートマップ(背景セクション図)


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全石器投影図のヒートマップ(背景セクション図)


第30断面(剥取断面)±0.5m幅ボックス内全土器片投影図のヒートマップ(背景セクション図)


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全骨歯投影図のヒートマップ(背景セクション図)

3 メモ

全石器分布ヒートマップを見ると、斜面貝層では斜面上部に分布は少ないですが、斜面中部と下部に分散的に分布していることが特徴となっています。土器や骨歯のように分布集中域が見られないことが特徴です。なぜそうなのか、その理由は現段階で不明です。

斜面中部から下部にかけて斜面勾配が緩くなること、石器と言っても大小や形状が様々あることなどが高濃度流における石器挙動の選択的要因になっているのかもしれません。今後検討を深めることにします。

いずれにしても、土器、骨歯、石器という遺物種毎に断面分布特性が異なることはとても興味深いことです。


2026年6月12日金曜日

比較資料 断面の全骨歯分布ヒートマップ

 Comparative Data: Heatmap of Whole Bone and Tooth Distribution in a Cross-Section


I observed from the heatmap of whole pottery fragment distribution in the 30th cross-section of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound that pottery fragments were concentrated and unevenly distributed on the lower part of the slope. To compare and contrast this pottery distribution, I created a heatmap of whole bone and tooth distribution. The uneven distribution of bones and teeth, which are smaller than pottery fragments, is small, and the center of distribution is in the middle of the slope.


有吉北貝塚北斜面貝層の第30断面における全土器片分布ヒートマップから、土器片は斜面下部に集中偏在している様子を観察しました。この土器分布と比較対照するために、全骨歯分布ヒートマップを作成しました。土器より小さい骨歯の偏在性は小さく、分布の中心は斜面中部です。

1 第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全骨歯投影図のヒートマップ


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全骨歯投影図のヒートマップ

骨歯出土数は1533です。

ヒートマップは点分布pngファイル画像からPythonスクリプトで生成しました。


第30断面(剥取断面)±0.5m幅ボックス内全土器片投影図のヒートマップ

2 第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全骨歯投影図のヒートマップ(背景セクション図)


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全骨歯投影図のヒートマップ(背景セクション図)


第30断面(剥取断面) ±0.5m幅ボックス内全土器片投影図のヒートマップ(背景セクション図)

3 メモ

ヒートマップを比較すると全土器片分布特性と全骨歯分布特性が明白に異なることが判明します。骨歯、土器、貝殻は全て台地縁から投棄されたと考えることできますから、投棄後の投棄物移動運動(高濃度流)でソートされたと想定します。土石流先端に巨石が集中する現象と類似の現象を想定します。