2026年3月10日火曜日

剥取断面における貝殻連続性の予備解釈

 Preliminary Interpretation of Shell Continuity in the Denudation Profile


I have provided a preliminary interpretation of the shell deposition continuity in the shell layer denudation profile on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound. The shell continuity line shows a discontinuous relationship, and erosion is also evident. I interpret the slope shell layer as a culmination of erosion and deposition from a mini-hyperconcentration flow (shell mudflow).


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面の貝殻堆積連続性に関する予備解釈をしました。貝殻連続線には切った切られた関係があり、侵食作用も確認できます。斜面貝層とはミニ高濃度流(貝殻泥流)侵食・堆積の総集であると解釈します。

1 剥取断面、予察検討範囲の略位置


剥取断面、予察検討範囲の略位置

2 貝殻連続性の予備観察


土器破片凸面方向分布と貝殻堆積の連続性

貝殻連続性を線で示しました。

貝殻連続線AとBは斜面上部でCによって切られています。この現象を次のように解釈します。

AとBが堆積した後、それを斜面上部でCが削りその場で堆積し、斜面下部ではAとBの上に乗って堆積した。

3 貝殻連続性の予備解釈

貝殻連続性とは検討範囲よりはるか上部で投棄された貝殻や土器破片が崩壊して、規模の小さなミニ高濃度流(貝殻泥流)になって斜面を下り、堆積した様子を表現していると解釈します。高濃度流(貝殻泥流)は水・泥・砂・微細な破砕貝殻片・イボキサゴなどの小さな貝殻、ハマグリなどの大きな貝殻、土器破片を含みます。発生したミニ高濃度流(貝殻泥流)は斜面を流下する際に、既に堆積していた高濃度流堆積物を侵食して巻き込む場合も多かったと考えられます。高濃度流が斜面下部で堆積する場合、先頭は土器破片やハマグリなど大きなモノから構成され、また土器破片は沈降の再に重力により下凸に回転したと考えられます。

剥ぎ取り断面で観察される斜面貝層はミニ高濃度流(貝殻泥流)の侵食・堆積の総集であると解釈します。


八千代市郷土博物館 旧石器時代局部磨製石斧等観覧

 Viewing Paleolithic polished stone axes and other artifacts at the Yachiyo City Museum of Local History


I viewed Paleolithic polished stone axes and other artifacts at the Yachiyo City Local History Museum and took photographs to create 3D models. The polished stone axes, which are usually on display at the Iwajuku Museum, happened to be on homecoming display, and all eight examples excavated in Yachiyo City were on display.


八千代市郷土博物館で旧石器時代局部磨製石斧等を観覧し、3Dモデル作成用撮影を行いました。常時は岩宿博物館で展示されている局部磨製石斧がたまたま里帰り展示されていて、八千代市出土の全8件が揃っていました。

1 八千代市郷土博物館観覧と3Dモデル作成用撮影

久しぶりに八千代市郷土博物館を訪れ、原始・古代コーナーをメインに観覧しました。展示物及び展示の仕方はこの数年間大きな変化はないようです。

次の10件について3Dモデル作成用撮影をおこないました。


顔面突起


局部磨製石斧

深鉢


深鉢と鉢


人物埴輪


注口付舟形鉢形土器

東内野型尖頭器等

磨製石斧

弥生壺

有舌尖頭器

2 旧石器時代局部磨製石斧

「坊山遺跡のS44地点から出土しました。砂岩製です。岩宿博物館に展示されているものです。」という説明のある局部磨製石斧があり、その説明の意味が判りませんでした。ここに展示されているのに、岩宿博物館の展示の意味が不明でした。係りの人に質問すると、常時は岩宿博物館で展示されているものであるけれども、岩宿博物館改装工事のため、たまたま里帰りしているとのことでした。同様の別事情もあり、八千代市出土局部磨製石斧全8件が全部展示されている、稀有な展示状況にあるとのことでした。

3 ローム層剥取断面


ローム層剥取断面

展示されているローム層断面が、現場でみるローム層露頭と異なり、上下方向にほとんど変化が感じられませんでした。剥取断面風の単なる断面模型かもしれないと思い、係りの人にその旨質問しました。

答えはローム層の剥取断面そのものであるとのことでした。ローム層観察では色とかクラックとかが指標になりますが、それらの指標は水分を含んでいる時の状況です。薬剤で剥取ると、水分はなくなり、クラックそのものを剥取ることは不可能であったに違いないと感じました。別の場所でローム層の剥取断面をみたことがあるか調べて比較することにします。なお、係の人から、「あそこに境がある」と教えてもらうと、確かにローム層の境が見えてきて、自分の観察眼の虚弱さが恥ずかしくなりました。


2026年3月9日月曜日

有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面 土器破片凸面方向分布図

 Distribution map of pottery fragment convexity direction from a shell layer exfoliation cross section on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound.


A distribution map of pottery fragment convexity direction was created from a 3D model of the shell layer exfoliation cross section on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. There are many convexities (the outer surface of the pottery faces downward). I believe this provides clues to understanding the events that occur when shells and pottery fragments move downslope.


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面の3Dモデルから土器破片凸面方向分布図を作成しました。下凸(土器外面が下を向く)が多くなっています。貝殻と土器片が斜面を移動する時の事象を知る手がかりになると考えます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面 3Dモデル正面オルソ投影画面


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面 3Dモデル正面オルソ投影画面

枠線が土器破片凸面方向分布図作成範囲


参考 3Dモデル左から オルソ投影

参考 3Dモデル上から オルソ投影

2 有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面 土器破片凸面方向分布図

2-1 土器破片凸面方向判定方法

剥取断面3Dモデルで土器破片1件1件について、目視で凸面方向の鉛直線に対するベクトルが上方向か下方向か判定しました。加曽利EⅡ式土器の破片はほとんどが湾曲していますので、判定は比較的容易です。


下凸判定例 土器破片湾曲


下凸判定例 土器破片湾曲と外面文様確認

2-2 有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面 土器破片凸面方向分布図


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面 土器破片凸面方向分布図

●土器破片分布

土器破片分布が貝殻密集分布と関連しているよぅに観察できます。

●土器破片凸面分布

上凸(土器外面が上を向く):3件

下凸(土器外面が下を向く):20件

不明:6件

土器片の約7割が下凸です。不明は土器片に湾曲がなく、内外面判別ができないものです。1件は土器か石器か判別できないものです。

3 メモ

土器片の約7割が下凸という現象は単なる偶然ではなく、斜面貝層形成にかかる崩落事象の特徴を表現していると考えています。

土器破片凸面方向分布図作成の問題意識や2026.02.26記事「土器集中ゾーンにおけるファブリック観察」(断面6付近における土器片密集域露頭写真で土器片下凸が77%)との関連は次の記事で検討します。


2026年3月6日金曜日

考古学切手 イェットボーレ・アイドル オーランド諸島発行

 Archaeological Stamp: Göttbøre Idol, Issued in the Åland Islands


I was delighted to find a clay figurine-themed stamp issued by the Åland Islands (an autonomous region of Finland) in my archaeological stamp collection. This clay figurine was left behind by hunter-gatherers approximately 5,000 years ago (the middle Neolithic period). Comparing it to the Jomon clay figurines is timeless.


マイ考古学切手コレクションの中からオーランド諸島(フィンランド自治領)発行の土偶をテーマとした切手を見つけて楽しみました。この土偶は約5000年前(新石器時代中期)の狩猟採取民が残したものです。縄文土偶との比較に時を忘れます。

1 イェットボーレ・アイドル オーランド諸島発行


イェットボーレ・アイドル オーランド諸島発行

2025年

EUROPA切手 テーマ:国内の考古学的発見


参考 土偶写真 Clay Idol from Jettböle. Photo Finna archives.

https://janfast.blogspot.com/2022/03/newly-found-stone-age-clay-figurines.html#:~:text=Sensational%20new%20finds%20of%20several,fom%20MEDIS%20(Mariehamns%20Medborgarinstitut).


参考 オーランド諸島(フィンランド自治領)の位置(Wikipediaから引用)

2 webから得られた情報

2-1 切手

切手に描かれているのは、イェットボーレ・アイドル(Jettböle idol)と呼ばれる、約5,000年前の石器時代の粘土像です。

2-2 土偶の概要

発見の歴史: この像は1906年、オーランド諸島のヨマラにあるイェットボーレ遺跡で、フィンランド人考古学者ビョルン・セダーバルブによって発見されました。

特徴: 焼成された粘土で作られた小さな人物像で、頭部や胴体に幾何学模様や印が刻まれています。スカンジナビアで石器時代の人間を模した粘土像が見つかったのは、当時これが初めてのことでした。

意義: 現在では、オーランド諸島の石器時代を象徴する重要な文化的シンボルとなっています。その用途については、儀式用の道具など、長年にわたり様々な解釈がなされています。 

2-3 イェットボーレ遺跡

フィンランドのオーランド諸島(Åland)にあるイェットボーレ遺跡(Jettböle)は、紀元前3400年〜2800年頃(新石器時代中期)の代表的な石器時代居住跡です。オーランド諸島で最初に発見された石器時代遺跡であり、当時の海上交易や独自の文化を伝える極めて重要な場所です。 

2-3-1  遺跡の重要性と特徴

場所: オーランド諸島のヨマラ(Jomala)に位置し、かつては2つの島の間の狭い海峡に面した北側の斜面にありました。

生活様式: 狩猟採集民の居住地であり、アザラシ狩り、鳥の狩猟、漁業が生活の中心でした。時代が下るにつれて、牛、羊、豚の飼育や、おそらく大麦の栽培も行われていたと考えられています。

出土品: 独特なピット・ウェア(Pitted Ware / くぼみ文土器)文化の土器が多数見つかっています。 

2-3-2 「イェットボーレ型」の土製偶像(Clay Figurines)

この遺跡の最大の特徴は、「イェットボーレ型(Jettböle Type)」と呼ばれる、珍しい人型や動物型の土偶が出土していることです。 

100年以上前の発掘で頭部などが見つかり、2021年にも同種の大きな頭部破片が再発見されました。

これらは儀礼や祭祀に使われたと考えられています。 

2-3-3 カニバリズム(食人)の可能性

1905年から1911年にかけて行われた初期の発掘で、埋葬された男性の遺体とともに、人間の骨が細かく砕かれた状態で大量のゴミ層から見つかりました。 

骨に見られる切断痕(カットマーク)から、カニバリズム(食人)の習俗があった可能性が古くから議論されています。 

2-3-4 まとめ

イェットボーレは、単なる居住地ではなく、独特の土偶や墓の状況から、宗教的・祭祀的な意味を持つ場所であったと研究されています。 

3 感想

縄文土偶との比較思考に時を忘れます。

縄文土偶のように乳房、妊娠など女性要素がありません。

祭祀道具だとしても、背景となる神話・ナラティブが全く異なるのだと想像します。

4 参考

オーランド諸島帰属の歴史の中で、Wikipediaに次の記述があり、興味が深まりました。

「1921年に、国際連盟の事務次官であった新渡戸稲造を中心として、オーランドのフィンランドへの帰属を認め、その条件としてオーランドの更なる自治権の確約を求めたいわゆる「新渡戸裁定」が示された。これらは両国政府の具体化作業と国際連盟の承認の後、1922年にフィンランドの国内法(自治確約法)として成立し、オーランドの自治が確立した。」


Illustratorの生成塗りつぶし(シェイプ)によるピカチュウ遊び(形状比較資料作成)

 Pikachu Play Using Illustrator's Generative Shape Fill (Shape) (Creating a Shape Comparison Material)


I used Illustrator's Generative Shape Fill to create a shape comparison material showing similarities between images of animal-shaped clay products and Pikachu.


Illustratorの生成塗りつぶし(シェイプ)を使って、動物形土製品画像とピカチュウが似ている資料(形状比較資料)を作って遊びました。

1 動物形土製品画像と生成したピカチュウ画像


動物形土製品画像

千葉市埋蔵文化財調査センターで開催中の令和7年度特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている動物形土製品の3Dモデル画像

2026.03.04「動物形土製品4点(佐倉市吉見台遺跡)観察記録3Dモデル


動物形土製品画像とピカチュウ画像の乗算画像


ピカチュウ画像

2 ピカチュウ画像の作り方

Illustratorの生成塗りつぶし(シェイプ)では輪郭線から画像を生成できます。今回は下の輪郭線を使ってピカチュウ画像を作成し、目の位置だけ手作業で調整しました。従って、より目になっています。


Illustrator生成塗りつぶし(シェイプ)でつかった輪郭線

Illustrator生成塗りつぶし(シェイプ)機能そのもので目の位置を指定したり、輪郭線にピカチュウの体を完全に一致させることはできないようです。Illustrator生成塗りつぶし(シェイプ)は自分の肥大化した期待感から見ると限界があり万能ではありませんが、これまでできなかった資料的情報図作成ができるようになり、とても有用なツールであると理解でき、感心しました。


2026年3月5日木曜日

土器集中ゾーンの複数土器型式の混ざり方

 Mixing of Multiple Pottery Types in the Pottery Concentration Zone


Distribution maps confirm that the three pottery types that make up the pottery concentration zone in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound are intermingled without any spatial segregation. This is consistent with the assumption that they were transported and deposited by a highly concentrated flow (shell mudflow).


有吉北貝塚北斜面貝層の土器集中ゾーンを構成する3つの土器型式は空間的に棲み分けすることなく混ざりあっていることを分布図で確認しました。高濃度流(貝殻泥流)で運ばれてきて堆積した想定と整合します。

この記事は2026.02.28記事「土器集中ゾーンの土器型式」の情報追加記事です。

1 土器集中ゾーンの土器型式別土器破片分布


土器集中ゾーンの土器型式別土器破片分布


土器集中ゾーンの土器型式別土器破片分布

2 メモ

有吉北貝塚北斜面貝層の土器集中ゾーンは主に3つの土器型式(加曽利EⅡ式中、中~新、新)から構成されています。土器破片毎に土器型式を特定して、その様子を空間的に表現した分布図を作成しました。この分布図を観察すると、3つの土器型式は空間的に棲み分けするなどの偏在性はなく、よく混ざりあっていることを直観的に理解することができます。この分布の様子(3つの土器型式が混ざりあって分布している様子)は、土器片が高濃度流(貝殻泥流)で運ばれてきて堆積した想定と整合します。


2026年3月4日水曜日

動物形土製品4点(佐倉市吉見台遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Record Models of Four Animal-Shaped Earthenware Figures (Yoshimidai Site, Sakura City)


I created 3D observation record models of four animal-shaped earthenware figures (Yoshimidai Site, Sakura City) that are on display at the Chiba City Archaeological Research Center's special exhibition "The Mysterious Late Jomon Period."

The exhibit description reads, "It's difficult to determine what they represent. Some of the clay figures resemble Pikachu." It's fun to imagine what animals they represent. Perhaps imaginary animals?


千葉市埋蔵文化財調査センターで開催中の特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている動物形土製品4点(佐倉市吉見台遺跡)の観察記録3Dモデルをつくりました。

「何を表現したのか判断が難しい。ピカチュウのような土製品も。」という展示説明があり、モデル動物が何であるか考えると楽しくなります。想像動物も?

1 動物形土製品4点(佐倉市吉見台遺跡)観察記録3Dモデル

動物形土製品4点(佐倉市吉見台遺跡)観察記録3Dモデル

何を表現したのか判断が難しい。ピカチュウのような土製品も。

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター 令和7年度特別展「謎多き縄文晩期」

撮影月日:2026.02.12


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 127 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのピンライトミックス)

2 メモ

展示説明「何を表現したのか判断が難しい。ピカチュウのような土製品も。」の通り、この4点の動物形土製のモデル動物が何であるか考えることは誠に楽しいことです。


ピカチュウ似

ピカチュウ似のモデルはリスでしょうか?

右上の頭に瘤(角?)があり、装甲をまとっているような動物は想像動物のように感じてしまいます。


考古学切手 手斧、石鏃など

 Archaeological Stamps: Hand Axes, Arrowheads, etc.


I enjoyed collecting stamps from my archaeological stamp collection depicting stone tools with sharp blades, such as hand axes and arrowheads. Two of the eight stamps are Japanese.


マイ考古学切手コレクションの中から手斧や石鏃など、鋭利な刃部を有する石器が描かれている切手を集めて楽しみました。8点中2点は日本切手です。

1 手斧 チュニジア発行


手斧 チュニジア発行

1983年

先史時代のチュニジアシリーズ

額面100ミリム

考古学遺跡エル・メクタ(El-Mekta)で発見された石器

2 フリント製鏃 チャド発行


フリント製鏃 チャド発行

1966年

先史時代の道具シリーズ

額面30フラン

チャド国立博物館収蔵

3 黒曜石製石槍と石匙 日本発行


黒曜石製石槍と石匙 日本発行

2022年

世界遺産シリーズ<第15集>「北海道・北東北の縄文遺跡群」

額面84円(シール式)


世界遺産シリーズ<第15集>「北海道・北東北の縄文遺跡群」シート

4 旧石器時代打製石器と出土地層 日本発行


旧石器時代打製石器と出土地層 日本発行

1999年

黒曜石製槍先形尖頭器など

額面80円

「岩宿遺跡発掘50周年」記念ふるさと切手・群馬県

5 磨製石斧 ジャマイカ発行


磨製石斧 ジャマイカ発行

1979年

アラワク族の石器 AD500年頃

額面10セント

 磨製石器(ケルトと呼ばれる石斧)

アワラク族の工芸品第2シリーズ

6 モナコにおける考古学的発見 モナコ発行


モナコにおける考古学的発見 モナコ発行

旧石器時代手斧など

2025年

額面2.1ユーロ

欧州郵便事業体(PostEurop)が毎年共通テーマで発行する「ヨーロッパ切手」の2025年テーマ「各国の考古学的発見」の一環で発行されたもの。

モナコ市内の「エキゾチック庭園」内にある有名な観測所洞窟と、そこであるいはモナコ領内で発見された重要な遺物が描かれてる。 

背景: 観測所洞窟

左上:手斧

左下:アンフォラ(保存用壺)

中央下(左):オオヤマネコ頭蓋骨化石

中央下(右):金貨

右下:ブレスレット 

7 前期旧石器時代石器 スリランカ発行


前期旧石器時代石器 スリランカ発行

2005年

額面5

通し番号:1/38

主題:前期旧石器時代/ミニハガルカンダ:最大で30万年前の可能性、石器は推定12万5千年前

8 溝付石斧 チャド発行


溝付石斧 チャド発行

1966年

額面25フラン

チャド国立博物館収蔵

9 感想

8溝付石斧の「溝付」の意味は、本来は手斧の握る部分に溝を付けて滑りにくくする工夫を施した石斧を指しているようです。しかし、その工夫が発達して握る部分が膨らんだ突起状に変化したものも指すようになったと理解しました。

8溝付石斧は磨製石斧で、刃部は鋭利であると想像します。

3の石匙と8溝付石斧はモノを切り裂くナイフであるという意味で同類の石器であると考えました。



2026年3月3日火曜日

石冠(市原市祇園原貝塚)観察記録3Dモデル

 3D Model of Observation Records of Stone Crown (Gionbara Shell Mound, Ichihara City)


I enjoyed creating a 3D model of the observation records of the stone crown (Gionbara Shell Mound, Ichihara City), which is on display at the Chiba City Archaeological Research Center's special exhibition "The Mysterious Late Jomon Period."

This is a ritual implement excavated from a large dwelling. It is tilted when viewed longitudinally. It also suggests that it was used upside down.


千葉市埋蔵文化財調査センターで開催中の特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている石冠(市原市祇園原貝塚)の観察記録3Dモデルをつくり楽しみました。

大型住居から出土した祭祀具です。長軸方向で見ると傾斜しています。倒置利用もうかがえます。

1 石冠(市原市祇園原貝塚)観察記録3Dモデル

石冠(市原市祇園原貝塚)観察記録3Dモデル

大型住居出土の祭祀具

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター 令和7年度特別展「謎多き縄文晩期」

撮影月日:2026.02.12


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 147 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)

2 メモ

・石冠の展示左側端部に凹線が彫刻されています。それ以外に幾つかの場所に削られたような部分が見られます。

・置いた状態の石冠を長軸方向でみると傾いていて、意味が隠されています。

・天井部が水平に近い平面になっています。色もこすれたためか白っぽく変化しています。倒置して置いて使われた様子がうかがえます。


長軸方向


上から


2026年3月2日月曜日

技術メモ 展示物の3Dモデル作成用撮影について

 Technical Note: Photographing Exhibits for 3D Modeling


When I photographed a double-mouthed pottery vessel on display in the special exhibition "The Mysterious Late Jomon Period" and created a 3D model, the 3D model completely failed. However, after reworking it with just one additional photograph, I was able to create a satisfactory 3D model. I investigated the reasons for this and made notes.


特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている双口土器を周回撮影し、3Dモデルを作成したところ、3Dモデルが完全に破綻しました。しかし、たった1枚の写真を追加して再作業すると、立派な3Dモデルができましたので、その理由を検討し、メモしました。

1 3Dモデル作成 ケース1

千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている弥生前期双口土器の3Dモデルを作成しました。170枚の写真を多段(6段)周回撮影しました。


多段周回撮影の様子

撮影は双口土器が画面の中央にくるように撮影しました。


双口土器撮影写真例


撮影写真

フォトグラメトリソフト3DF Zephyr Liteで3Dモデルを作成したところ、完全に破綻した3Dモデルとなりました。


完全に破綻した3Dモデル

3DF Zephyr Liteがはねた写真は9枚です。

2 3Dモデル作成 ケース2

ケース1で使った170枚写真の先頭に次の展示台全体が写る写真1枚を加えました。


ケース1の170枚に加えた1枚

3DF Zephyr Liteで同じ作業をしたところ、次の完全に正常な3Dモデルができました。


正常に造形された3Dモデル

3DF Zephyr Liteがはねた写真は1枚です。

3 写真1枚で3Dモデル造形が劇的に改善した理由

ケース1に写真1枚を加えたケース2で、3Dモデル造形が劇的に改善した理由について、ChatGPTの支援をうけて検討し、次のように想定しました。

3-1 ケース1で3Dモデルが破綻した理由

・土器が黒く微細テクスチャに乏しく、土器以外がほぼ白く無地で安定した特徴点(対応点)が得られない。

・そのため誤対応が混ざり、誤った姿勢推定となり、メッシュ化で破局して、紙が剥がれたようになった。

3-2 1枚の写真で造形が劇的に改善した理由

・加えた1枚の写真には展示台、壁の継ぎ目、説明板、他遺物、ラベルなど形がはっきりした特徴点が大量に増え、カメラ姿勢が一気に安定した。これは結果として「はねられる写真」が 9→1 に減ったこととも整合する。

・加えた1枚の写真を先頭に入れることによって、スコアの高い特徴点が採用され、初期解が最適化した。3DF Zephyr LiteのようなSfMでは、最初の数枚で作る骨格が悪いと、その後ずっと悪い解を引きずる。

・結果として1枚で劇的に改善された。

・加えた1枚の写真は構図が広いので、画面全域に直線や構造物が入りやすく、歪み推定の手掛かりが増えるため、内部パラメータが安定→姿勢推定も安定、につながった。

4 メモ

展示物3Dモデル作成では150枚程度撮影するとそれなりの品質のものができることを経験的につかんできています。しかし、今回のように真っ黒で表面テクスチャに特徴がなく、かつ周辺に別の地物がないと、3Dモデルが破綻することを改めて理解しました。

今後、展示物3Dモデル作成用撮影では構図の広い写真を数枚以上必ず意識的に追加することとします。

この双口土器は次の記事で説明してます。

2026.02.17記事「弥生時代前期 双口土器(富岡市上高田社宮子原遺跡)観察記録3Dモデル