2026年5月10日日曜日

貝層断面のファブリック分析(テスト分析5)加曽利貝塚南貝塚

 Fabric Analysis of Shell Layer Cross-Sections (Test Analysis 5): South Shell Mound of Kasori Shell Mound


I am currently testing fabric analysis on a 3D model of a stripped cross-section of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi North Shell Mound. To compare the data from the north slope shell layer with shell layers that are not slope shell layers, I have also started fabric analysis testing on a 3D model of a stripped cross-section of the South Shell Mound of the Kasori Shell Mound.


有吉北貝塚北斜面貝層の剥取断面3Dモデルを対象にファブリック分析のテストをしています。北斜面貝層データと斜面貝層ではない貝層との比較をするために、加曽利貝塚南貝塚剥取断面3Dモデルを対象としたファブリック分析テストも始めました。

この記事は2026.05.07記事「貝層断面のファブリック分析(テスト分析4)」の続きです。

1 加曽利貝塚南貝層観察記録3Dモデルにおけるテスト空間


加曽利貝塚南貝塚観察記録3Dモデルの場所

加曽利貝塚南貝塚には貝層断面観覧施設が設置されています。この施設には通路両側に剥取断面が設置されています。このうち、通路東側に設置されている剥取断面の一部(4m弱)の観察記録3Dモデルを作成しました。この剥取断面は通路西側断面から剥ぎ取られたものです。

上図で引用した「加曽利南貝塚(貝層断面観覧施設)における貝層断面(西断面)の全体図」は剥取断面製作前に観察されたものです。


テスト空間の位置

赤枠が今回テスト空間(24㎝×24㎝)です。(有吉北貝塚北斜面貝層のテスト空間と同じ大きさにしてあります。)


テスト空間画像

有吉北貝塚北斜面貝層の画像と比べると次の点が異なり、今後詳しく検討する予定です。

・イボキサゴ密集域が観察できる。

・二枚貝殻が大きい

・上下二枚の貝殻が閉じたように見えるものがある。(上下二枚で貝殻が閉じたように見えるのは単純に偶然に見られる現象であるが、有吉北貝塚北斜面貝層ではなぜか見られなかった。)

・場所によって貝殻の汚れの程度が異なる。

2 加曽利貝塚南貝塚テスト空間のファブリック分析

2-1 二枚貝の分布


二枚貝の分布

イボキサゴ密集域、二枚貝密集域、二枚貝非密集域に分解して捉えることが出来るかもしれません。


ヒートマップ

2-2 二枚貝の配向

2-2-1 二枚貝偏位角


二枚貝偏位角の空間分布

イボキサゴ密集域より上では右上の角度が多く、その部分の貝殻の汚れが共通しているので、人為的影響(貝層に穴を掘って、そこに食料残滓などと一緒に廃棄された)があるのかもしれません。


二枚貝偏位角の頻度分布

水平に近い角度が多く、斜面貝層(有吉北貝塚北斜面貝層)とは明らかに異なります。

2-2-2 二枚貝殻位(上凸・下凸)


二枚貝殻位(上凸・下凸) 青…上凸、赤…下凸

上凸殻位は45%、下凸殻位は55%です。

殻位の空間分布には特徴があり、ランダムとはなっていません。

2-2-3 二枚貝の配向(偏位角・殻位)


二枚貝の配向(偏位角・殻位)


二枚貝の配向(偏位角・殻位・ヒートマップ)

テスト空間左上の二枚貝密集域の殻位に下凸が多くなっています。また、右下の密集域でも下凸が優勢のように見えます。

3 メモ

殻位について、次のような思考をしました。

貝層形成時代に貝殻を棄てる時の棄て方が殻位情報に隠されているかもしれないと想像します。

例 籠に入れた二枚貝を平面にジャラジャラと単純に棄てる場合(A)と穴を掘ってその穴に上から連続的に二枚貝を棄てて穴を埋めようと意識した場合(B)を設定します。

Bの方が下凸殻位が増えると考えます。

理由 二枚貝殻は下凸殻位の方が安定するので、穴に棄てられるなど二枚貝殻が混ぜられる要素が生まれると下凸殻位が増えると考えます。

これは実験で実証可能と考えます。

この考えによれば、貝層断面で下凸殻位集中場所が見つかると、その場所は何らかの理由で二枚貝が流動して堆積した場所であることが推察できることになります。


2026年5月9日土曜日

二枚貝殻偏位角分布の見える化作業 2

 Visualization of Bivalve Shell Deviation Angle Distribution, Part 2


I also attempted to visualize the distribution of bivalve shell deviation angles using exfoliated cross-sections from the South Shell Mound of the Kasori Shell Mound.


二枚貝殻偏位角分布の見える化作業を加曽利貝塚南貝塚の剥取断面でも試行してみました。

この記事は2026.05.08記事「二枚貝殻偏位角分布の見える化作業」の補足です。

1 加曽利貝塚南貝塚剥取断面の試行範囲


加曽利貝塚南貝塚剥取断面の試行範囲

2 偏位角計測-偏位角空間分布-偏位角頻度分布


偏位角計測-偏位角空間分布-偏位角頻度分布

3 参考 有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面試行範囲の見える化作業


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面試行範囲の見える化作業

2026年5月8日金曜日

考古学切手 アブシンベル神殿 その5

Archaeological Stamps: Abu Simbel Temple, Part 5

I recently found two new archaeological stamps depicting the Abu Simbel Temple in my collection, and enjoyed looking at them.

アブシンベル神殿を描いた考古学切手2点を新たにマイコレクションの中から見つけて楽しみました。
この記事は2026.05.04記事「考古学切手 アブシンベル神殿 その4」の続きです。

1 アブ・シンベル大神殿のラムセス2世 アラブ連合共和国発行

アブ・シンベル大神殿のラムセス2世 アラブ連合共和国発行
1963年
アブ・シンベル神殿救済キャンペーン記念切手
2 アブシンベル神殿 モザンビーク発行

アブシンベル神殿 モザンビーク発行(切手シート)

アブシンベル神殿 モザンビーク発行(切手)
2010年
ユネスコ世界遺産(アフリカ編)をテーマにした記念切手シート
3 感想
考古学切手マイコレクションからアブシンベル神殿をテーマとした切手を抽出して2026年4月11日に記事にしました。その後見落としが見つかり、その切手を補遺として記事に書く活動が今回でなんと5回目となりました。全く予想しなかった事態です。そして、アブシンベル神殿のラムセス2世などの巨像以外の地物(レリーフなど)の切手がどうもあるようです。従って、このアブシンベル神殿切手記事はまだ続く可能性が濃厚です。

二枚貝殻偏位角分布の見える化作業

 Visualization of Bivalve Shell Deviation Angle Distribution


This document summarizes the visualization of bivalve shell deviation angle distribution in exfoliated cross-sections. Spatial distribution within each survey area (quadrat) is visualized using QGIS (pseudo-coordinate GIS analysis), while the frequency distribution across the entire survey area is visualized using a semicircular rose diagram created with a Python tool.


剥取断面における二枚貝殻偏位角分布の見える化作業をまとめました。調査区(コドラート)内部の空間分布はQGIS(疑似座標GIS解析)で、調査区全体の頻度分布はPythonツールによる半円形ローズダイヤグラムで見える化できます。

1 二枚貝殻偏位角分布の見える化作業


二枚貝殻偏位角分布の見える化作業

調査区(コドラート)内部の空間分布はQGIS(疑似座標GIS解析)で、調査区全体の頻度分布はPythonツールによる半円形ローズダイヤグラムで見える化できます。

二枚貝殻偏位角:殻と断面の成す直線(殻が断面によって仮想的に切断された際にできる接線の両端を結んだ直線)について鉛直線を基準として時計回りに測定した角度

2 参考 角度頻度分布をローズダイヤグラムに表現するPythonスクリプト

0°~20°、20°~40°という20°刻みで表現しています。

「CSV_PATH = "G:/test/aaa.csv"」のcsvファイルのパスを変更してください。

「R_MAX = 40          # 頻度表示の最高値」の数値をデータ最大数に対応して変更してください。

「R_STEP = 10         # 頻度目盛り間隔」を好みに合わせて変更してください。

csvファイルは次の例を参考に作成してください

…………………

angle,frequency

0-20,0

20-40,0

40-60,4

60-80,13

80-100,20

100-120,33

120-140,15

140-160,5

160-180,0

…………………


import pandas as pd
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# ===== 設定 =====
CSV_PATH = "G:/test/aaa.csv"
R_MAX = 40          # 頻度表示の最高値
R_STEP = 10         # 頻度目盛り間隔
BAR_COLOR = "indianred"   # 棒の色
EDGE_COLOR = "0.2"

# ===== CSV読み込み =====
df = pd.read_csv(CSV_PATH)

# angle列: "0-20" のような形式を想定
starts = []
ends = []

for a in df["angle"]:
    s, e = str(a).split("-")
    starts.append(float(s))
    ends.append(float(e))

df["start"] = starts
df["end"] = ends
df["center"] = (df["start"] + df["end"]) / 2
df["width"] = df["end"] - df["start"]

# matplotlibの極座標では角度をラジアンに変換
theta = np.deg2rad(df["center"])
width = np.deg2rad(df["width"])
r = df["frequency"]

# ===== 描画 =====
fig = plt.figure(figsize=(6, 8))
ax = fig.add_subplot(111, polar=True)

ax.bar(
    theta,
    r,
    width=width,
    bottom=0,
    color=BAR_COLOR,
    edgecolor=EDGE_COLOR,
    linewidth=1.5,
    align="center"
)

# 半円表示:0〜180度
ax.set_thetamin(0)
ax.set_thetamax(180)

# 角度表示
ax.set_theta_zero_location("N")   # 0度を上
ax.set_theta_direction(-1)        # 時計回り
ax.set_thetagrids([0, 30, 60, 90, 120, 150, 180])

# 頻度目盛り
ax.set_ylim(0, R_MAX)
ax.set_yticks(np.arange(R_STEP, R_MAX + 1, R_STEP))
ax.set_yticklabels([str(v) for v in np.arange(R_STEP, R_MAX + 1, R_STEP)])

# 頻度ラベルを左側に寄せる
ax.set_rlabel_position(180)

# 見た目調整
ax.grid(True, color="0.8", linewidth=1)
ax.spines["polar"].set_linewidth(1.5)

plt.tight_layout()
plt.show()

2026年5月7日木曜日

加曽利B式土器の底(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 Observation Record 3D Model of the Bottom of a Kasori B-Type Pottery (Kasori Shell Mound, Chiba City)


I enjoyed creating a 3D model of the observation record of the bottom of a Kasori B-type pottery vessel, which is on display at the 2025 Excavation Report Exhibition currently being held at the Kasori Shell Mound Museum. I will use this as material for future pottery studies.


加曽利貝塚博物館で開催中の令和7年度発掘調査速報展で展示されている、加曽利B式土器の底の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。今後の土器学習の素材の一つにします。

1 加曽利B式土器の底(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

加曽利B式土器の底(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

令和7年度調査区東側(北)出土

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和7年度発掘調査速報展

撮影月日:2026.04.22


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 74 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)


3Dモデルの画像(ワイヤフレーム)


3Dモデルの画像(ノーマルマップ)

2 加曽利B式土器の底(千葉市加曽利貝塚)展示風景の視覚変奏動画


加曽利B式土器の底(千葉市加曽利貝塚)展示風景の視覚変奏動画

6フィルター写真のバリエーションをクロスディゾルブを使って連続表示したスライドシーケンス動画です。Photoshopで作成しました。

3 メモ

土器の底の観察記録3Dモデル作成ははじめてです。今後の土器学習に役立つ資料になると期待して3Dモデルを作成しました。

貝層断面のファブリック分析(テスト分析4)

 Fabric Analysis of Shell Layer Cross-Sections (Test Analysis 4)


In two test spaces of shell layer cross-sections, the relationship between shell attitude and deviation angle of bivalve shells was represented using a semicircular rose diagram. In the test space on the middle slope of the shell layer, there are many shells with deviation angles close to the shell layer slope angle, but the difference in shell attitude is small. On the other hand, in the test space at the bottom of the shell layer, the deviation angles are more varied, and there are many shells with a convex-down attitude.


貝層断面の2つのテスト空間で、二枚貝殻の殻位と偏位角の関係を半円形ローズダイヤグラムで表現しました。斜面貝層中腹テスト空間では貝層斜面角度に近い偏位角の貝殻が多いですが、殻位の差は少ないです。一方斜面貝層最下部テスト空間では偏位角がばらけるとともに下凸殻位の貝殻が多くなります。

この記事は2026.05.06記事「貝層断面のファブリック分析(テスト分析3)」の続きです。

1 二枚貝殻 殻位と偏位角の関係


二枚貝殻 殻位と偏位角の関係

test2空間とtest1空間及びtest2+test1について、二枚貝殻の殻位と偏位角の関係を半円形ローズダイヤグラムで表現しました。グラフには参考として貝層傾斜線を点線で記入してあります。

test2空間(斜面中腹)では斜面方向偏位角の貝殻が多くなっています。偏位角のばらつきがありません。また、殻位の差(上凸殻位の数と下凸殻位の数の差)は少ないです。下凸殻位率は53%です。

一方test1空間(斜面貝層最下部で貝層が地面と衝突している)では偏位角がばらけるとともに下凸殻位の貝殻が多くなります。下凸殻位率は64%になります。

test1空間とtest2空間の殻位と偏位角関係の差は斜面を高濃度流(貝殻泥流)が流下し、地面と衝突し、堆積する様子に対応している可能性があります。つまり、斜面貝層の構造を把握するための情報である可能性があります。

2 参考情報


test2空間とtest1空間


前記事で作成した二枚貝方向(殻位)と傾斜(偏位角)の関係(test2+test1)

3 メモ

偏位角の分布状況表現手段として半円形ローズダイヤグラムが有効であることを確認しました。

test1空間で下凸殻位が63%と優勢になることは意味があることだと想定します。今後、下凸殻位率という指標をつかって貝層断面を見ていくことにします。また、偏位角が集中するかばらけるかという指標の開発も意味がありそうです。


貝層断面ファブリック分析の用語変更

 Terminology Changes in Shell Layer Cross-Section Fabric Analysis


I am conducting a fabric analysis on a 3D model of a stripped cross-section of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. I have reviewed the terminology used in this analysis and have decided to use the term "shell attitude" for the convex/convex distinction of bivalve shells, and the term "deviation angle" for shell inclination.


有吉北貝塚北斜面貝層の剥取断面3Dモデルを対象としたファブリック分析を進めています。この分析で使う用語について検討し、二枚貝殻の上凸・下凸区分について殻位(shell attitude)という用語を、貝殻傾斜について偏位角(deviation angle)という用語を使うことにしました。

1 二枚貝殻の殻位(shell attitude)

二枚貝殻の出土姿勢について、上凸か下凸かという区分をこれまで方向という言葉を使ってきましたが、これからは殻位(shell attitude)という用語を使うことにします。


二枚貝殻の殻位の区分

2 二枚貝殻の偏位角(deviation angle)

二枚貝殻の出土姿勢の傾斜について、これまで傾斜という言葉を使ってきましたが、これからは偏位角という用語を使うことにします。


二枚貝殻の偏位角計測法

偏位角:殻と断面の成す直線(殻が断面によって仮想的に切断された際にできる接線の両端を結んだ直線)について鉛直線を基準として時計回りに測定した角度

2026.04.27記事「技術メモ 貝層剥取断面と二枚貝(ハマグリ)の交線描画原理

3 メモ

方向という言葉を使うと、方位を連想してしまう可能性があるので、「殻凸面の上下向き」の表現にふさわしいものとして、殻位という用語を使うことにしました。

傾斜という言葉を使うと、水平面に対する角度を連想してしまう可能性があるので、「鉛直線を基準として時計回りに測定した角度」の表現にふさわしいものとして、偏位角という用語を使うことにしました。


2026年5月6日水曜日

土偶2点(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 Observation Record 3D Model of Two Clay Figurines (Kasori Shell Mound, Chiba City)


I created and observed 3D models of two clay figurines on display at the 2025 Excavation Report Exhibition currently being held at the Kasori Shell Mound Museum. The figurine on the right is unusual, consisting only of the torso, with both hands, both feet, both breasts, and the face torn off. The torso is joined to the other parts only at the outer edges, making it a figurine that was easily torn off.


加曽利貝塚博物館で開催中の令和7年度発掘調査速報展で展示されている、土偶2点の観察記録3Dモデルを作成して観察しました。右の土偶は両手、両足、両乳房、顔面がもぎ取られてた胴部のみで、異様です。胴部に部材を外周縁辺部だけで接合していて、もぎとられやすいようにつくられた土偶です。

1 土偶2点(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

土偶2点(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

令和5年度調査区西側出土

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和7年度発掘調査速報展

撮影月日:2026.04.22


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 121 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)


3Dモデルの画像(ワイヤフレーム)


3Dモデルの画像(高さによる彩色)

2 土偶2点(千葉市加曽利貝塚)展示風景の視覚変奏動画


土偶2点(千葉市加曽利貝塚)展示風景の視覚変奏動画

6フィルター写真のバリエーションをクロスディゾルブを使って連続表示したスライドシーケンス動画です。Photoshopで作成しました。

3 メモ

右の土偶は両手、両足、両乳房、顔面がもぎ取られていて、異様です。両手、両足、両乳房のもぎ取り跡を観察すると、両手、両足、両乳房ともに胴との接合が縁辺部だけで、中央部は中空になっていたようにみることができます。最初からもぎ取りやすいようにつくられていたと考えることができます。この土偶は肢体バラバラに破壊して、それぞれの部材を投棄する祭祀のツールだったと想像します。

左の土偶は足の一部でしょうか?


貝層断面のファブリック分析(テスト分析3)

 Fabric Analysis of Shell Layer Cross Sections (Test Analysis 3)


I am conducting a fabric analysis test using a stripped cross section of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound as a case study. This time, I examined the inclination and direction (upward convex/downward convex) of bivalves by representing them with frequency graphs. Characteristics of slope shell layers can be observed in the inclination and direction of bivalves.


有吉北貝塚北斜面貝層の剥取断面を事例としてファブリック分析のテストを行っています。今回は二枚貝の傾斜や方向(上凸・下凸)を頻度グラフなどで表現して検討しました。二枚貝の傾斜や方向に斜面貝層の特徴が見られます。

この記事は2026.05.02記事「貝層断面のファブリック分析(テスト分析2)」の続きです。

1 テスト対象空間


テスト対象空間

test1とtest2が今回のテスト対象空間です。ともに、24㎝×24㎝の範囲です。

2 二枚貝数


二枚貝数

test2が90、test1が103となります。密度は15.6個/100㎠、17.9個/100㎠となります。


分層別二枚貝数

C(2)層のデータが多くなっています。

3 二枚貝傾斜

3-1 C(2)層の略傾斜

傾斜は鉛直線から右回りで角度を計測しています。

C(2)層の略傾斜は次図のとおり、114.6°となります。


C(2)層の略傾斜

3-2 二枚貝傾斜頻度分布


test2とtest1の二枚貝傾斜頻度分布

test2は貝層分層が斜面途中に位置する観察範囲であり、傾斜頻度分布は100°~120°が最も多くなっています。一方、test1は貝層分層が下の層に衝突する斜面最下部に位置する観察範囲であり、傾斜頻度分布は突出した傾斜区分がありません。test2とtest1の違いは高濃度流の挙動に対応した二枚貝の反応が表現されている可能性があります。(test2は斜面を流れる挙動の状況、test1は流れが地面に衝突して堆積する挙動の様子。)


C(2)層の二枚貝傾斜頻度分布

test2とtest1のC(2)層だけの情報を抽出して作成した二枚貝傾斜頻度分布です。斜面に存在する貝層分層の二枚貝傾斜頻度分布はこのような形状になるのではないかと考えます。

4 二枚貝方向

4-1 二枚貝方向区分

二枚貝方向は次のような区分をしています。


二枚貝方向区分

4-2 二枚貝方向分布


二枚貝方向

斜面途中のtest2では上凸・下凸の差はほとんどありませんが、斜面下部のtest1では下凸が多くなります。

これまでに検討した予備解釈では高濃度流が停止する際に土器や貝殻が安定形状に回転して流体の中を沈下すると考えていますので、この予備解釈とtest1で下凸が多くなることは整合します。

4-3 二枚貝方向と傾斜との関係


二枚貝方向と傾斜との関係

傾斜が80-100、100-120、120-140で下凸の割合が大きくなっています。高濃度流の斜面流下に伴う事象と考えて矛盾はありません。

5 メモ

test1とtest2だけの分析ですが、二枚貝傾斜と方向の2指標から高濃度流の特徴を整理できる可能性を感得することができました。これにより、剥取断面が詳しく検討する価値のある対象であることと、現在の分析方法から有用情報を汲み取ることができることを実感できました。

今後、分析対象面積を拡大します。同時に斜面貝層でない剥取断面(加曽利貝塚南貝塚)の分析も比較のために行うこととします。



2026年5月4日月曜日

考古学切手 アブシンベル神殿 その4

 Archaeological Stamps: Abu Simbel Temple, Part 4


I enjoyed discovering six new archaeological stamps depicting the Abu Simbel Temple and the statue of Ramesses II in my collection.


アブシンベル神殿やラムセス2世像を描いた考古学切手6点を新たにマイコレクションの中から見つけて楽しみました。

この記事は2026.04.30記事「考古学切手 アブシンベル神殿 その3」の続きです。

1 アブシンベル神殿移築工事着工記念 アラブ連合共和国発行


アブシンベル神殿移築工事着工記念 アラブ連合共和国発行

1966年

LAYING THE FIRST STONE IN ABU SIMBEL TEMPLE(アブ・シンベル神殿の第一石を据える)

テーマ: アスワン・ハイ・ダム建設に伴うヌビア遺跡保存事業の一環として、アブ・シンベル神殿の移転作業を描いた記念切手です。

額面: 10ミッリーム(M)です。

デザイン: 神殿の石像がクレーンで吊り上げられている様子が描写されています。

2 アブ・シンベル大神殿のラムセス2世 アラブ連合共和国発行


アブ・シンベル大神殿のラムセス2世 アラブ連合共和国発行

1965年

「ヌビア遺跡保存国際協力」の記念切手


切手とほぼ同じ構図の現場撮影写真(2018年1月訪問時に撮影)

3 ラムセス2世 アラブ連合共和国発行


ラムセス2世 アラブ連合共和国発行

1964年

アブシンベル大神殿左端像のデザイン画

ユネスコ(UNESCO)による「ヌビア遺跡救済キャンペーン」記念切手


ラムセス2世(アブシンベル神殿左端像)(2018年1月訪問時に撮影)

4 ラムセス2世 アラブ連合共和国発行


ラムセス2世 アラブ連合共和国発行

1965年

アブシンベル大神殿左端像のデザイン画

ユネスコ(UNESCO)による「ヌビア遺跡救済キャンペーン」記念切手

5 アブシンベル大神殿内部列柱室 アラブ連合共和国発行


アブシンベル大神殿内部列柱室 アラブ連合共和国発行

1963年

ヌビア遺跡保存運動の一環として発行された、エジプトのアブ・シンベル神殿の記念切手。


アブシンベル大神殿内部列柱室(2018年1月訪問時に撮影)

6 アブシンベル大神殿のネフェルタリ王妃像 アラブ連合共和国発行


アブシンベル大神殿のネフェルタリ王妃像 アラブ連合共和国発行

1963年

ユネスコによる「ヌビア遺跡救済キャンペーン」記念切手


アブシンベル大神殿のネフェルタリ王妃像(2018年1月訪問時に撮影)

7 感想

考古学切手マイコレクションの中からアブシンベル神殿切手を抽出して楽しんでいます。1回で終わると考えていたのですが、次々に発見が相次ぎ、4回目となってしまいました。ヌビア遺跡保存運動が国際的で意義の大きな取組みで、エジプト切手発行に大きな影響を及ぼしたことが偲ばれます。同時に自分の切手眼がまったくもって初歩的であることを自覚します。大神殿・小神殿の全景だけでなく、ラムセス2世像やネフェルタリ像あるいは列柱などを含めるとまだまだ発見できそうです。