2026年3月26日木曜日

294土器の出土場所の特定

 Identification of the excavation site of 294 pottery fragments


The excavation site of 294 pottery fragments (the largest pottery fragments in the northern slope shell layer) has been identified. This confirms that the pottery fragments in the concentrated zone are distributed across two layers, upper and lower.


294土器(北斜面貝層最大級土器)の出土場所を特定しました。それにより、土器集中ゾーンの土器は上下2層で分布していることを確認しました。

この記事は2026.03.26記事「359土器の出土場所の特定」の続きです。

1 294土器(a土器)の出土状況

a土器は写真と平面図の対比指標としてつかった土器です。


a土器を対比指標として使った写真


a土器を対比指標として使った平面図

この土器は発掘調査報告書では294土器で、北斜面貝層最大級土器です。西野雅人さんによって「加曽利EⅡ式中~新」として分類されています。


294土器


294土器出土状況写真

土器片がほとんど下凸になっていて、貝殻泥流で流されてきた土器片が停止する時に重力により下凸に回転して沈下堆積した様子が読み取れます。


294土器資料

2 294土器の出土場所


294土器の出土場所

294土器の出土場所を5断面でほぼ特定しました。その高さは359土器より20~40㎝高い場所になります。

つまりこの付近の土器集中は上下2層から構成されていることが判明しました。

土器片が最下層で、その上に貝殻を含む泥層からなる断面セットが1波の貝殻泥流の跡であると想定します。

従って、266グリッド付近では発生時期が異なる2波の貝殻泥流の跡が残ったと想定します。

下の貝殻泥流の土器(359土器)の型式が加曽利EⅡ式新、上の貝殻泥流の土器(294土器)の型式が加曽利EⅡ式中~新ですから、その時間差は極めて小さいと考えます。(2波の貝殻泥流は「加曽利EⅡ式新」土器と「加曽利EⅡ式中~新」土器が同時に使われていた時期にともに発生したと考えます。)


359土器の出土場所の特定

 Identifying the Excavation Site of Pottery No. 359


By correlating photographic and plan view information of the pottery concentration zone with a 3D spatial analysis of the distribution of densely packed pottery, the specific excavation site of pottery No. 359 was identified in 3D space. This allows for the analysis of the relationship between pottery concentration information (photographs and plan views) and stratigraphy.


土器集中ゾーンの写真・平面図情報と3D空間密集土器分布分析を対応させることで、具体土器(359番土器)の出土場所を3D空間で特定しました。これにより、土器集中情報(写真・平面図)と層位との関係分析ができるよになります。

この記事は2026.03.25記事「土器集中ゾーン発掘状況写真とグリッド・断面の対応関係」の続きです。

1 低所にあるため写真では観察できない359番土器

266グリッド付近の土器集中ゾーンの発掘状況写真と平面図を対比すると、平面図では359番土器が真二つに割れて近くに分布するのに、写真ではそれが観察できません。その様子から359番土器は低所にあるため陰になり、写真に写っていないことが想定できます。


359番土器が写っていない写真


359番土器が写っていない写真


359番土器が表現されている平面図


359番土器が表現されている平面図

2 359番土器の発掘状況写真

359番土器の発掘状況写真が発掘調査報告書に掲載されています。


359番土器の発掘状況写真

この写真から359番土器は貝層基底面(地山地形面…下総層群侵食面)に直接乗る貝混じり泥層から出土しているように見えます。359番土器そのものが基底面に接触しているように見えます。

3 3D空間密集土器分布分析

発掘原票(遺物台帳、遺物分布図)由来データに基づく3D空間における密集土器分布(距離10㎝以内に別の土器が存在する土器の分布)と5断面との空間位置関係を分析して、5断面の前後10㎝以内の空間における密集土器分布を把握しました。


密集土器分布と5断面との空間関係


5断面前後10㎝以内の密集土器分布


5断面前後10㎝以内の密集土器分布(拡大)

この図から、密集土器を高さという観点でみると、基底面に直接乗るものと、それより20~40㎝程上の貝層の中に存在するものの2つにわけて捉えることができます。

4 359番土器の出土場所


359番土器の出土場所

土器集中ゾーン平面図と5断面前後10㎝以内の密集土器分布図から359番土器出土場所を特定できました。

写真で想定した通り、貝層基底面に直接乗ってこの土器が出土していることが確認できました。

この情報により、写真・平面図の土器集中ゾーン情報と層位(断面図)との詳細関係が分析できるようになりました。続きの記事で分析を進めます。

5 359番土器の型式


359番土器実測図(発掘調査報告書から引用)

359番土器は西野雅人さんにより「加曽利EⅡ式新」と判断され、有吉北貝塚北斜面貝層では最も新しい型式に分類されます。この情報は今後北斜面貝層発達を考える上で重要情報となります。


2026年3月25日水曜日

土器集中ゾーン発掘状況写真とグリッド・断面の対応関係

 Correspondence between excavation photos of the pottery concentration zone and grid/cross-sections


This document summarizes the correspondence between excavation photos of the prominent pottery concentration zone on the northern slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound and grid/cross-sections.


有吉北貝塚北斜面貝層の顕著な土器集中ゾーンの発掘状況写真とグリッド・断面との対応関係を整理しました。

2026.03.22記事「土器集中ゾーン発掘状況写真の分析」の続きです。

1 発掘状況写真とグリッド・断面の対応関係


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(写真)

グリッド・断面線はイメージ的なもので正確性はありません。次の写真も同じです。


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(写真)


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(平面図)


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(平面図)


平面図と断面図の対応


平面図と断面図の対応(拡大)

2 メモ

1で作成した資料により、発掘状況写真と遺物3D空間分布との対応関係を分析する基礎が出来ました。写真が現場でどの方向から撮影され、どの層位が表面になっているのか、判断できるようになりました。


2026年3月24日火曜日

五領ヶ台式土器2点のGigaMesh Software Framework展開

 GigaMesh Software Framework Deployment of Two Goryogadai-style Pottery Pieces


I enjoyed observing the patterns of two Goryogadai-style pottery pieces (from the Kamiya site in Yachiyo City), which are on display at the Yachiyo City Local History Museum, by deploying the 3D models of my observation records onto a 2D plane using the GigaMesh Software Framework. Triangles are used throughout the short bowl. The pattern on the deep bowl is difficult to fully understand.


八千代市郷土博物館に展示されている五領ヶ台式土器2点(八千代市上谷遺跡)の観察記録3DモデルをGigaMesh Software Frameworkで平面に展開して文様観察を楽しみました。背の低い鉢は随所に三角が使われています。深鉢の文様は全体を理解できません。

1 背の低い鉢のGigaMesh Software Framework展開


背の低い鉢のGigaMesh Software Framework展開(テクスチャ有り)


背の低い鉢のGigaMesh Software Framework展開(テクスチャ無し)


背の低い鉢のGigaMesh Software Framework展開(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)

2 背の低い鉢の文様観察


背の低い鉢の文様

随所に三角が使われているのが特徴です。

3 深鉢のGigaMesh Software Framework展開


深鉢のGigaMesh Software Framework展開(テクスチャ有り)


深鉢のGigaMesh Software Framework展開(テクスチャ無し)


深鉢のGigaMesh Software Framework展開(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)

4 深鉢の文様観察


深鉢の文様(GigaMesh Software Framework展開画像をPhotoshopで調整)


深鉢の文様(撮影写真)

展示正面付近の渦巻状付近の文様はよく視認できるのですが、それから離れると文様として理解できません。しかし、よくよく見ると、文様があるように感じます。文様が土器の黒色にまぎれ、彫も浅く、観察(撮影)も遠方からであり、文様観察限界を越えています。近々発掘調査報告書も調べて実測図を探すことにします。(全国文化財総覧にこの土器が掲載されている発掘調査報告書はまだアップされていないようです。)

深鉢の底部には鋭利な刻み込みがあります。土器製作者が特定の意味を表現するための刻み込みであると考えます。


深鉢底部の刻み込み

他の土器で類似のものを見たことがあります。


加曽利EⅠ式併行期土器(有吉北貝塚出土)の底部の稜線を切るような刻み(写真は発掘調査報告書)


五領ヶ台式土器2点(八千代市上谷遺跡)観察記録3Dモデル

 Observation Record 3D Model of Two Goryogadai-style Pottery Pieces (Kamiya Site, Yachiyo City)


I enjoyed creating an observation record 3D model of two Goryogadai-style pottery pieces (Kamiya Site, Yachiyo City) that are on display at the Yachiyo City Local History Museum. They were excavated from the same burial pit, and the contrast between the slender, deep bowl and the plump, rounded bowl is striking.


八千代市郷土博物館に展示されている五領ヶ台式土器2点(八千代市上谷遺跡)の観察記録3Dモデルを作成を楽しみました。同じ墓坑から出土したもので、スリムな深鉢とふくよかな鉢の対比が印象的です。

1 五領ヶ台式土器2点(八千代市上谷遺跡)観察記録3Dモデル

五領ヶ台式土器2点(八千代市上谷遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:八千代市郷土博物館

撮影月日:2026.03.10


展示の様子

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 123 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)

2 五領ヶ台式土器2点展示風景の視覚変奏動画


五領ヶ台式土器2点展示風景の視覚変奏動画

6フィルター写真のバリエーションをクロスディゾルブを使って連続表示したスライドシーケンス動画です。

Photoshopで作成しました。

3 3Dモデルの切り抜き


切り抜き前の素3Dモデル


切り抜きした今回3Dモデル

4 土器に関する感想


出土状況写真(展示写真)


展示説明

墓坑と推測される土坑から2点の完形鉢が同時に出土しています。2つの土器の形状がスリムとふくよかでペアになっているような印象をうけます。被葬者と関係があるのでしょうか。

根拠はありませんが、どうしても一緒に出土したペアで大小がある次の異形台付土器と重ね合わせてこの土器を捉えてしまいます。


2つの異形台付土器(加曽利B3式期 加曽利貝塚博物館展示)

五領ヶ台式土器2点は、2つの異形台付土器がそうであったように、祭具として作られ、祭場に完形で残された可能性を考えて不自然なところはありません。

5 3Dモデル技術に関する感想

7年前に同じ展示を14枚写真から3DモデルにしてSketchfabに投稿しています。

https://skfb.ly/6KutQ

7年も経てば鈍い自分でも多少は技術進歩があることを確認しました。撮影枚数を100枚以上にして、一筆書きで周回撮影すれば、展示物の見える範囲の3Dモデルはなんとかできることを知りました。ソフト(3DF Zephyr Lite)のバージョンアップによる結像力の強化も進んでいます。


土器のGigaMesh Software Framework展開と文様鑑賞は次の記事で行います。


2026年3月22日日曜日

土器集中ゾーン発掘状況写真の分析

 Analysis of Photographs of the Excavation Site of the Pottery Concentration Zone


In the prominent pottery concentration zone on the northern slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound, both a plan view and photographs of the excavation site exist. I have begun a detailed analysis of these photographs. First, I identified the correspondence between the photographs and the diagrams.


有吉北貝塚北斜面貝層の顕著な土器集中ゾーンでは平面図と発掘状況写真が存在します。その写真の詳細分析に着手しました。まず写真と図面の対応関係を把握しました。

1 土器集中ゾーンの発掘状況写真と平面図

発掘調査報告書には土器集中ゾーンの発掘状況写真が複数掲載されていますが、今回は次の2枚の写真を分析対象し、その写真に対応する平面図を全体から切り抜きました。


土器集中ゾーンの発掘状況写真


土器集中ゾーンの発掘状況写真

写真は発掘を進め、土器集中ゾーンの土器が出土した場合はそれを残し、土器が存在しない場合は地山地形(下総層群上面)まで、掘り進めた状況を表現しているようです。


土器集中ゾーンの平面図

写真範囲と平面図は266グリッド付近です。

2 土器集中ゾーンの発掘状況写真と平面図の対応関係


土器集中ゾーンの発掘状況写真(対比指標記入)


土器集中ゾーンの発掘状況写真(対比指標記入)


土器集中ゾーンの平面図(対比指標記入)


土器集中ゾーンの平面図(対比指標記入)

写真と平面図を対比するための指標となる土器A、B、Cとその他(★印)を描き込みました。

また概略のグリッド266(2m×2m)範囲を描き込みました。

この対比指標を描き込むことにより現場の状況が詳しく把握できるようになりました。

3 参考 土器集中分布図と266グリッドと5断面・6断面の対応関係


参考 土器集中分布図と266グリッドと5断面・6断面の対応関係

4 今後の分析

写真と平面図の対応関係を把握できましたので、今後次の分析を行うことにします。

・土器の出土する高度に違いはあるか、その違いはどのような事象に起因しているか。

・土器が出土した貝層はどのようになっているか。写真から土器出土より上位の貝層を観察できるか。断面図から土器出土層位を確認できるか。

・土器が流れてきた方向を写真から推察できるか。