2013年12月24日火曜日

印旛沼筋下総下位面の横断形

花見川流域の小崖地形 その82 (5mメッシュDEM図を読む 21

印旛沼筋の下総下位面の横断形を7本の横断線で見てみました。

1 横断線位置
横断線位置は次の通りです。

横断線位置図
基図は杉原(1970)地形分類図(「千葉県の自然誌本編2」より引用)

横断線位置図
基図は5mメッシュによる地形段彩図

参考 横断線位置図
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

2 横断図
横断図は次の通りです。

なお、横断図の作成は、下総下位面が南東から北西の方向に流れた河川(現在の印旛沼筋の河川と真逆の方向に流れた河川)が形成した地形であると想定して、南側を左、北側を右としました。

断面図5
左の高所は下総上位面で、崖下は全域下総下位面です。

断面図6
左端と右端が下総上位面でそれ以外は全て下総下位面です。左から4.6Km付近の特徴ある凸地形も下総下位面であり、地殻変動の結果を表現しています。(これは人工地形でした。2013.12.27追記)

断面図7
下総下位面が新川(平戸川)流域にも広がっていることを確認するために作成した断面です。
ウ面とエ面の関係や千葉段丘の位置(標高14m付近)など興味深いことが判る断面です。詳細は考察で記述します。

断面図8
下総下位面が谷状に分布していることを確認できる断面です。

断面図9
鹿島川河口付近の下総下位面の状況が判ります。

断面図10
断面図10や断面図11から帯状(谷状)の下総下位面が現在の利根川低地方向に開いていたことは確実であると推察されます。詳しくは考察で検討します。

断面図11
中央の削り残された台地の25m付近の面は下総下位面と認定されているのだと思いますが、30mの突起は下総上位面だと思われます。下総上位面が下総下位面時代の河川によって削られた跡のような予感がします。

詳しくは考察で検討します。

記事の分量が大きくなりますので、横断図の考察等は次の記事で行います。


2013年12月23日月曜日

印旛沼筋下総下位面の縦断形 追補

花見川流域の小崖地形 その81 (5mメッシュDEM図を読む 20

2013.12.22記事「印旛沼筋下総下位面の縦断形」で作成した断面図2と断面図3にそれぞれ断面図4を縮尺と位置を合わせて投影し、書き込みました。それにより台地地形と沖積地形の縦断形を対比して比較できるようにしました。

縦断図対比区間

断面図2と断面図4の対比

断面図3と断面図4の対比

上記二つの対比図に見られる台地勾配と沖積地勾配の関係は、普通では見られない珍しい関係であると考えます。

この二つの対比図から、下総下位面形成時の縦断勾配がどうであったか、3つの作業仮説をつくって、どれが正しいか、追々検討して行くことにします。

現在のところ、私は下総下位面の分布形状、特に新川(平戸川)流域に広がる下総下位面との連続性から、南東→北西の河川流を想定しています。そうだとすると作業仮説3が正しいことになり、大規模な河川争奪(河道逆行争奪)があったことになります。いづれにしてもまだ直感レベルの考えであり、これから検討を深めたいと思います。



3つの作業仮説

2013年12月22日日曜日

印旛沼筋下総下位面の縦断形

花見川流域の小崖地形 その80 (5mメッシュDEM図を読む 19

印旛沼筋の下総下位面の縦断形を2本の縦断線と1本の参考線で見てみました。

1 縦断線位置
縦断線位置は次の通りです。

なお、印旛沼筋地形の検討では断面図に通し番号をふり比較できるようにします。

2013.12.18記事「印旛沼筋下総下位面の類型」で作成したテスト用縦断図ABを断面図1とし、これから作成する断面図(縦断図、横断図)を掲載順に通し番号をつけて、断面図○として表示します。

縦断線位置図
基図は杉原(1970)地形分類図(「千葉県の自然誌本編2」より引用)

縦断線位置図
基図は5mメッシュによる地形段彩図

参考 縦断線位置図
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

2 縦断図
縦断図は次の通りです。

断面2

断面3

断面4
この断面は現在の印旛沼水系沖積面の標高の傾向を知るために、河川堤防裏すぐの沖積地を通るように断面線を引いて作成したものです。(水面及び水面下地形の標高は航空レーザ測量による5mメッシュでは表示されていないため、このような近似的方法をとりました。)

3 縦断図の考察
3-1 断面図2
●下総下位面の傾斜が現在の沖積地の傾斜と逆方向です。
下総下位面のこの傾斜傾向は、下総下位面が出来た当初の姿と同じものであるのか、それとも違うものであるのか、これから検討を始めたいと思います。
現在の私の見立ては、谷津の分布形状から、下総下位面の現在の傾斜傾向は形成当時の傾斜傾向と同じものだと考えています。
もしそうだとすると、河川の流れが真逆になった瞬間が存在していたことになり、その地史ドラマに興味津々です。

●特徴的で顕著な帯状隆起地形が存在します。
下総下位面の一部が帯状に隆起しています。このような特徴的な地殻変動の様式をどのように呼んでよいのか、知識がありません。学習したいと思います。また、特徴的ですから、この変動地形について地元で研究されているかもしれません。地元の博物館等に問い合わせてみたいと思います。

断面図2の考察

3-2 断面図3
●特徴的で顕著な帯状隆起地形は下総上位面
縦断図2で表現される帯状隆起地形が下総上位面に連続して分布しています。隆起地形の比高は9mに及んでいます。
隆起地形は帯状に平行する2本の断層によって形成された地塁のように見えます。このようなミクロな地塁が存在するのか、学習したいと思います。

●新川と手繰川の間の印旛沼南岸に下総上位面が存在する。
新川と手繰川の間の印旛沼南岸に下総上位面が小島状に存在すると考えました。これは杉原(1970)には無いものです。

断面図3の考察

3-3 断面図4
●印旛沼筋沖積地縦断イメージを作成する。
農地造成盛土や堤防の影響を除去して、印旛沼筋沖積地縦断イメージ図を作成しました。この図と上記縦断図23と比較した図を作成して、印旛沼筋の地形ドラマについて検討していくつもりです。
新川合流部付近で沖積地縦断の勾配が急変するように見ることができます。

断面図4の考察


2013年12月20日金曜日

光回線スピード

2012.1025記事「光回線のセールス電話に感謝で、あるキッカケで自宅のau光回線スピードを改善したことについて書きました。

改善した結果の回線スピードは次の通りでした。

1年前の回線スピード
Radish Network Speed Testing による

今から考えると、超高速です。

それから1年経って、自宅光回線のスピードも徐々に低下しているような印象を持っていました。社会の光回線利用量が幾何級数的に増加し、回線のハードが必ずしも追いついていなのだと思います。

そうした感想を持っていたところ、また光回線商品の訪問セールスがありました。NURO光(So-net)(NTT東日本光回線利用)という商品のセールスでした。良いことずくめなので、半信半疑ではありましたが、契約して、新しい光回線が開通しました。

この商品のセールスポイントは次の通りでした。
●回線スピードが世界最速の2Gbps(下り最大2Gbps、上り最大1Gbps)である。(これまでの契約は当時の国内最速1 Gbps。)
●宅内高速無線LAN機能(450Mbps)標準装備(これまでの商品では無線LAN機能はオプションで有料)
●マカフィーが標準装備(パソコン5台までマカフィーをダウンロードできる。)(これまでの商品にはない)
●光電話を含めて、経費が毎月1.5千円ほど安くなる。
●工事費等一切無料(キャンペーン)でかつ2万円キャッシュバック。

この光回線工事前の回線スピードは次の通りでした。

201312Nuro光回線工事前の回線スピード
Radish Network Speed Testing による

1年前と比べると下り回線のスピードが急激に落ちています。(世間一般と比べると速い方だとは思いますが。)

光回線工事後の回線スピードは次の通りです。

201312Nuro光回線工事後の回線スピード
Radish Network Speed Testing による

下りのスピード向上は期待したようなものではありませんでした。この商品に関係するものではない他の要因の影響が大きいものと思います。(要するに、千葉県北部のインターネット回線利用量が急増中で回線幹線が混んでいて、購入した商品で改善できる余地が少なかったということだと思います。)

上りのスピード向上は驚異的です。商品仕様の最大スピードに迫ります。

宅内の無線環境は大幅に改善しました。

Nuro光回線工事以前の宅内無線経由スピード
(バッファローの旧式無線ルーター使用)
Radish Network Speed Testing による

Nuro光回線工事後の宅内無線経由スピード
Radish Network Speed Testing による

NURO光という商品は、回線スピードのアップをはじめ各種ICTサービスを受けることができ、経済的なメリットも大きい商品でした。

これを、ICT技術革新の果実を1市民まで受け取ることが出来たという結論で締めくくってよいのか、それともまだ気が付いていない落とし穴がどこかにあって、「そんなうまい話があるわけない」のであるのか、工事が終わってもまだ半信半疑です。


2013年12月19日木曜日

印旛沼筋下総下位面の検討専用地形段彩図作成

花見川流域の小崖地形 その79 (5mメッシュDEM図を読む 18

2013.12.18記事「印旛沼筋下総下位面の類型化」で、テスト用地形縦断図を検討して、印旛沼筋下総下位面の類型化ができ、その分布の様子もイメージできそうであることが判ってきました。検討の橋頭堡ができたという感想を持ちました。

そこで、印旛沼筋下総下位面の縦横断やその分布の検討を効率的に進めるために、印旛沼筋下総下位面検討のための専用地形段彩図を作成しました。

印旛沼筋下総下位面検討のための専用地形段彩図の作成

印旛沼筋下総下位面の標高は略20m28mの間に分布しているらしいので、多少余裕をみて標高18m30mの間を1m毎に刻んで地形段彩図を作成したものです。

地形段彩図の色分けは次のようにしました。

印旛沼筋下総下位面検討のための専用地形段彩図の色分け

色分けの趣旨は、一般の地形段彩図のように全体を「自然な」印象で観賞するためのものではなく、あくまでも、1m毎の標高の違いが明瞭にわかる様にしたものです。

なお、前記事まで使っていた地形段彩図は、どのような標高レベルでも谷津地形パターンの存在を浮き彫りにすることを趣旨としたものでした。従って標高の違いを読み取るためのものではありませんでした。

印旛沼筋下総下位面検討のための専用地形段彩図を拡大して表示すると次のようになります。

印旛沼筋下総下位面検討のための専用地形段彩図

この図を一見して、有用な情報が得られるであろうことがすぐにわかります。
地形面の褶曲変位の特性が各所にある円弧状の模様、あるいは直線状の分布等で表現されています。

この地形段彩図とこれから作成する多数の地形断面図に基づいて地形の概要を自分なりに把握し、その情報と既往の文献とを突き合わせ、検討を進めたいと思っています。

次に、早速新しい地形段彩図をGoogle earthにオーバーレイして地形段彩図と地表地物の状況との突合せをしてみました。

地形段彩図をオーバーレイしたGoogle earth画面

地形段彩図をオーバーレイしたGoogle earth画面
地形段彩図は半透明

この状態で画面を拡大していくと、地形段彩図の情報と現場の具体的状況の双方を一緒に理解できます。

Google earth画面

地形段彩図をGoogle earthにオーバーレイして、斜めから地表の地物をみることにより、現場調査を常時行うのと類似した効果を得られます。
実際はパソコンにかじりついているのに、作業のレベルは現場調査をしたのと類似した成果を得られるということです。

あるいは事前調査が超精密に行われるので、実際の現場調査の効率をきわめて向上させることができるようになった、と表現すべきでしょうか。

2013年12月18日水曜日

印旛沼筋下総下位面の類型化

花見川流域の小崖地形 その78 (5mメッシュDEM図を読む 17

1 印旛沼筋下総下位面の縦断面図の位置対応図
印旛沼筋下総下位面の縦断面図の位置対応図を作成しました。

印旛沼筋下総下位面の縦断面図の位置対応図

2 異常値の確認
GIS(地図太郎PLUS)画面上で縦断図と平面図の両方で同じカーソル(赤丸)を動かすことが出来ますので、その機能を使い、異常値と考えられる情報を確認しました。
次の異常値を確認することが出来ました。

白井市の宅地造成地

縦断面図で、この出っ張りを自然地形として使わないことにします。

他の箇所についても検討しましたが、人工改変による顕著な標高変化はみられませんでした。

3 印旛沼筋下総下位面の縦断高度分布による類型化
縦断図の標高分布の最高点と接する包絡線を描き、その包絡線を印旛沼筋下総下位面の本来の高度であると仮定しました。包絡線より低い標高部分は浸食の影響を受けているという考え方です。

包絡線を描くと次のようになり、地形面を4つに類型化できます。

印旛沼筋下総下位面の縦断高度分布による類型化

包絡線の分布、つまり、印旛沼筋下総下位面の縦断高度分布から、地形面は次の4つに類型化できます。

ア面:手賀沼北岸の台地、手賀沼南岸の台地、金山落と神崎川の間の台地の北半の3箇所の台地に分布する下総下位面です。
手賀沼と金山落の間の台地の標高がその南北と比べて高くなっていて、特徴的です。
金山落とその南の台地の平面分布は北西に凸の弓形状になっています。
地殻変動による変位を直接表現していると考えられます。

イ面:神崎川の両岸の台地に、周囲から落差12mの高度を持つ、帯状の下総下位面です。北西に凸の弓形状に分布します。
地殻変動による変位を直接表現していると考えられます。

ウ面:南東から北西に向かって高度を下げる特徴を有し、面積が広い地形面です。この地形面を刻む二重川の谷津やその東の谷津は北に向かっており、この地形面の高度分布と整合的です。
二重川の谷津やその東の谷津の北に向かう方向は、現在の神崎川本流の流れの方向、つまり北西から南東に向かう方向とは逆らう関係にあります。
ウ面は新川(平戸川)沿いに分布する下総下位面と同一面であると考えられ、そうだとすると、ウ面は新川(平戸川)の上流の勝田川付近から北(あるいは北北西)方向に向かった流れをイメージさせます。
ウ面は次のエ面を縦断方向に刻むように分布するように理解できます。つまり、ウ面はエ面より時間軸上では後に形成された地形面のようにイメージできます。

エ面:新川(平戸川)付近から印旛沼の下流部付近まで分布する地形面であり、高度があまり変化しません。見かけ上鹿島川付近が高くて、その両側が低くなるように表現されていますが、そうした傾向が真であるかは、テスト用の1本の縦断線の情報だけですので、不明です。
エ面はウ面に刻まれています。
ウ面は新川(平戸川)の上流に分布する発達した下総下位面と連続するように想定できます。
一方エ面は新川(平戸川)より流域の広い鹿島川沿いに分布がほとんどありません。
エ面とウ面の特徴の違いが明白であり、印旛沼筋下総下位面の形成プロセスを考える上で示唆に富んだ情報となっていると思います。

ウ面とエ面の分布イメージ図
このような分布イメージが本当であるか、及びこうした地形面分布が意味する事柄をこれから検討したいと思います。

テスト用に作成した縦断図ですが、杉原(1970)の地形分類図と突き合わせることによって、思いの外有用な情報が得られたと思います。
縦断図だけでなく横断図も作成し、また他の学術文献等も参考にして、印旛沼筋の地形ドラマについて解き明かしたいと思います。

検討の橋頭堡は築けました。