花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 40 (最終回)
千葉市は、昭和59年10月、21世紀に向けて「緑と水辺の都市宣言」をしました。この宣言を契機に快適な環境づくりに拍車がかかり、その中で自然とともに歩む機運が盛り上がりました。そうした思いの中で、千葉市都市緑化植物園をあしがかりにして、この図書が生まれました。
「行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド」の諸元、内容、主要目次
【諸元】
書名:行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド
編著:千葉市自然研究会(代表 大賀宣彦)
発行:千葉市
発行日:昭和68年(1988年)3月31日
体裁:B5判、136頁
【内容】
「川の流れに沿って
千葉市自然研究会
雨が降ります。雨は大地をうるおし、流れは地形をつくります。千葉市の大地も、長い歴史の中で水の営みによってつくられました。
水は生命を育みます。水辺には植物、動物たちの豊かなくらしがあります。
千葉市にも川があります。都川、鹿島川、花見川などです。この本を作るにあたって、私たちは、これらの川をさかのぼりながら、流域の自然をさぐり、見ていこうとしました。そして、流れの注ぐ海辺にも目を向けようとしました。
たくさんの市民の方にも参加してもらい、地域にすばらしい自然のあることを見てきました。しかし,地形が変わり、水が汚れ、生きものがくらしにくくなっている現実にも直面しました。
いま自然は、人に追い払われる一方かのように見えますが、その反面、自然はまた人の周辺に近づこうとしているのです。「街のなかの自然」はそんな一面です。自然の再発見は、足もとから、庭さきからできます。「こんなところに」という驚きも生まれることでしょう。
市民の皆さんに「自然の理解者」が増えることを、私たちは心から願っています。この本は、そのよきガイドになれるものと信じます。」(中表紙の囲い文章から)
【主要目次】
1 街のなかの自然
2 都川をさかのぼって
3 鹿島川の流域
4 雑木林を歩けば
5 花見川の周辺
6 海辺の自然
7 大地のすがた
8 野外で気をつけたい生物
9 泉自然公園探訪
10 千葉市の気象
11 自然観察レポート
行こうさぐろう緑と水辺 千葉市自然ガイド
112頁が写真あるいはイラストを多用したカラー刷りであり、とても読みやすいガイドブックです。
花見川流域ではなく、鹿島川と都川の流域境についてですが、この図書に次のようなイラストが掲載されていて、河川争奪という言葉は使っていませんが、河川争奪そのものを説明しています。
鹿島川と都川境の河川争奪地形説明イラスト
千葉市の分水界と水系について「都川が鹿島川の支流を奪う?」説明がされています。
このような生物をメインとする自然環境ガイド本としては異色の地学事象を扱っていて、大変興味深い自然ガイドとなっています。
なお、このイラストに気がつく前ですが、3年程前、都川と鹿島川の河川争奪について千葉県立中央博物館にこれまで調べられたり興味を持った人がいたか尋ねたことがあります。その時は、都川と鹿島川がからむ河川争奪については初耳だとの回答をいただきました。
レーキの検討をしている中で、この付近に、これ以外にも沢山の河川争奪を見つけています。
このイラストに描かれた事象を含めて、河川争奪による水系網の変遷を調べれば、地殻運動の経緯が判るのではないかと考えています。今後その検討をGISを使って5mメッシュにて行いたいと思っています。
この図書に表現されている、河川を軸にした自然に対する興味の持ち方に心底共鳴します。
レーキの検討をしている中で、この付近に、これ以外にも沢山の河川争奪を見つけています。
このイラストに描かれた事象を含めて、河川争奪による水系網の変遷を調べれば、地殻運動の経緯が判るのではないかと考えています。今後その検討をGISを使って5mメッシュにて行いたいと思っています。
この図書に表現されている、河川を軸にした自然に対する興味の持ち方に心底共鳴します。
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「花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介」シリーズは今回を持って一旦終了します。
まだ紹介したい図書はあるのですが、いつか改めて追補します。
2014年4月1日以降は花見川地峡に関わる幾つかの話題について、それぞれシリーズ記事で掲載を予定しています。
手始めに、シリーズ「花見川地峡とは」を開始します。
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海老川(Ebigawa) 乱歩(Ranpo) です。
返信削除これは面白いです。
柏井小崖の北と南、新京成線の三咲~北習志野間で東北側と南西側も
同じ事が起こっていたのかなぁと思えてきました。
(根拠となるデータを示していないのであくまでも空想です。)
海老川乱歩さん
返信削除コメントありがとうございます。
面白いといっていただいてありがとうございます。
柏井小崖の北と南は同じことだと思います。
新京成線は丁度台地上の分水界をなぞって設置されているので、その両側の水系の関係が確かに気になります。
海老川の支川が平行に発達していることも特徴的です。
詳しく調べてみます。
なお、そこより少し北の鎌ヶ谷大仏駅付近を中心とする広域の水系網を俯瞰すると、その場所から放射状に水系が発達していて、国分川、真間川、海老川、桑納川、二重川、神崎川、下手賀川、大津川などの源流がこの場所を共有しています。特別の意味がある場所のように感じます。