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2023年10月21日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳のデータベース化の第1歩 その2

 The first step in creating a database of the artifact register related to the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound   Part 2


The altitude range of relics by mesh in the first step area where the relic ledger has been digitized is displayed as a bar graph in 3D space. I secretly think that it is significant that elevation values have been used and visualized for the first time, even though they are statistical, and even if only for a certain area.


遺物台帳電子化が済んだ第1ステップ区域のメッシュ別遺物標高範囲を3D空間に棒グラフで表示しました。標高値を統計的とはいえ、一部区域だけであるとはいえ、はじめて利用し可視化したことは意義のあることであると秘かに思考します。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 第1ステップ区域のメッシュ別遺物標高範囲 3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層 第1ステップ区域のメッシュ別遺物標高範囲 3Dモデル


説明図

棒グラフはメッシュ別に遺物最大標高と遺物最低標高を表現しています。

貝層平面図は標高20mの位置に置いています。3Dスケールの原点もZ軸に関して標高20mに置いています。


動画

2 メモ

遺物台帳の全遺物には原則として標高値が記載されています。その標高値を統計的とはいえ、一部区域だけであるとはいえ、はじめて利用し可視化したことは意義のあることであると秘かに思考します。

「メッシュ別遺物標高範囲 3Dモデル」を貝層断面情報、地形情報(地山地形図=ガリー侵食地形図)と関連させることにより貝層発達の詳細データを得ることができると考えます。


2023年10月20日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳のデータベース化の第1歩

 The first step in creating a database of the artifact register related to the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound


I have taken the first step in creating a database of artifacts related to the north slope shellfish layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound. A simple analysis of the 3391 artifacts revealed that 65% of the total was bones (animal bones and human bones not classified) and 29% were pottery fragments.


有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳のデータベース化作業の第1歩を踏み出しました。3391遺物について簡易分析したところ、骨(獣骨・人骨未区分)が全体の65%、土器片が29%という結果になりました。

1 学習計画の中における遺物台帳データベース作成の位置


有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画の中における遺物台帳データベース作成の位置

有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画は次の記事でまとめています。3ヵ年をかける壮大な学習計画となっています。遺物台帳データベース作成はその最初の取り組みです。

2023.09.30記事「有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画 発掘原票に基づくデータベース作成と分析

2 遺物台帳データベース化作業のステップ区域

遺物台帳データベース化作業は次のように6ステップ区域に分けて考えています。各ステップ区域の作業が終わった段階で、簡易なまとめ分析を行い、全体分析を有効に進めるための方法等の情報を得ることにします。


有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳データベース化作業の6ステップ区域

3 第1ステップ区域作業結果

第1ステップ区域の遺物総数は3391で、全体の約5.5%になります。簡易的に種別遺物数を集計すると次のようになります。


メッシュ別種別遺物数 表


種別遺物数 グラフ

ここでの遺物種別分けは次の通りです。

土器片…土器片、朱塗土器、土器片一括、土錘等(土器片2次加工物も含んでいます)

石器…石斧、黒曜石、石鏃、石錘、フレーク、フレーク一括、石、礫等(加工品以外も含んでいます)

骨…骨、顎骨、鹿骨、骨一括、歯等(獣骨と人骨の分類は遺物台帳では行われていません)

貝…貝刃、すり貝、貝製品、貝サンプル等(貝サンプルが遺物として含まれています)

その他…灰、スミ、木、フン石等

種別にみると骨が約65%、土器片が約29%、石器が約5%、貝製品が約1%、その他約0.2%という結果になりました。骨の数が遺物総数の中で占める割合が大きいことを知ることができました。なお、遺物台帳ではその区分が行われていませんが、骨には獣骨と人骨が含まれています。

4 第1ステップ区域メッシュ別簡易分析

メッシュ別種別遺物数の分布を立体棒グラフにして並べて観察してみました。


メッシュ別種別遺物数分布図(立体棒グラフ)

分布図を詳しく観察すると、骨の分布には顕著なピークがありますが、土器片にはそれがなく、骨分布パターンと土器片分布パターンは異なることがわかります。


骨と土器片分布パターンが異なる様子

骨と土器片分布パターン相違の検討は現在はできませんが、投棄方法の違い、比重や大きさに起因する地層内移動分級作用の違いなどがかかわっているものと想定します。

4 感想

・遺物台帳画像を見て、それを手入力で電子化するという作業はこれ以上は無いといえるような単調で苦痛を伴う作業です。この単調作業を効率的に行う方法をいつか見つけたいと希望しています。

・一方、約40年まえの発掘原票をはじめて電子化(データベース化)する意義はとても大きなものがある考えますので、それが作業推進の大きな原動力となっています。

・遺物台帳を最初の1ページから全部読む作業をしていることになりますが、単調な電子化作業の中で、40年前発掘担当者の思考の一端が理解できるように感じることができ、とても不思議な感覚を味わっています。

・貝層や地形との関係分析はもっと電子化作業を進めてから行うことにします。

・遺物分類も今後データが増えた段階で再検討することにします。


次の記事で遺物の標高分布について簡易検討します。


2021年3月17日水曜日

埼玉編年のデータベース化による分析的学習 2

 縄文土器学習 561

2021.03.09記事「埼玉編年のデータベース化による分析的学習」の続きです。

上記記事でⅨ期・Ⅹ期の1群土器だけという極小範囲についてカードを利用して土器細分類を整理しました。その整理を立体的モデルにして、より理解学習と考察を深めるためのツール作成を目指し、その試作に着手しました。

次の図の立体モデルを作成しました。


埼玉編年(1982) Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式) 1群土器(キャリパー形土器)分類の理解

なお、この図は上記記事と時間軸を逆にしています。この図は古→上、新→下にしていて、古→奥、新→手前をイメージしています。

この2D資料を立体化すると次のようになります。

埼玉編年(1982)Ⅸa期・Ⅸb期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)1群土器(キャリパー形土器)分類カードの3D展開 素材1

このモデルの趣旨:埼玉編年(1982)土器分類を理解学習するための3Dツール作成用素材。


3Dモデルの動画

●感想

・素材1はまだ完全なる素材ですが、このような3Dモデル作成が自分の技術的レベルでなんら問題なくできることを確認できました。慣れれば2D資料作成に準じた時間で作成出来そうです。Photoshopから直接カードのWabefront(.obj)ファイル作成ができることが効率化の鍵です。

・webにおける画像は解像度が低くなり見にくくなりますが、3Dモデルではそうした画質低下の問題は生まれないので、使い勝手のよいツールになることを確認できました。

・Sketchfab画面内で、多数カード間を高速で移動して拡大縮小できるので、情報を3次元配置のなかでその関係等について思考を深めることができそうです。

・今後整飾を加え、本格的なモデルを構築します。


2021年3月9日火曜日

埼玉編年のデータベース化による分析的学習

 縄文土器学習 559

有吉北貝塚における加曽利E式期の土器分類は埼玉編年(1982)に基づいています。そこで埼玉編年(1982)加曽利EⅠ式部分(Ⅸ期・Ⅹ期)について、土器細分類記述と画像をFileMakerでデータベース化してカードにしました。その土器細分類カードを並べなおして、分析的に学習しました。紙報告書(のスキャン画像)をいくら詳しく理解しようと思っていも、複雑な対応関係を頭の中で理解することは困難で気力の限界を超えます。しかしデータベース化、カード化、カードの配置考察という手作業を含む分析学習によって加曽利EⅠ式の土器細分類の全貌を納得感をもって学習することができました。

この記事では1群土器(キャリパー形土器)の学習をメモします。

1 埼玉編年における土器群・類の分類概要

1-1 分類手順

Ⅸ期・Ⅹ期の土器群・類の分類は次のようなステップで行われています。

ア 最初に1~5群土器に分類する。

イ 次に各期ごとに群の中を類として分類する。

1-2 群の分類

ア 1群土器

加曽利EⅠ式の主体となるキャリパー形土器。口縁部文様帯に最も特徴を持つ。

イ 2群土器

加曽利EⅠ式段階に関東で成立し、変遷する土器。客体的存在であるが、加曽利EⅠ式土器群の構成において、常に一部を占めている。

ウ 3群土器

中部地方に主体を持つ曽利Ⅰ式、Ⅱ式に比定される土器、あるいは類似する土器。

エ 4群土器

前段階の勝坂式及び中峠式の系統を残す土器。

オ 5群土器

1~4群の浅鉢形土器に対して、浅鉢形を中心に小型土器等の一括。

1-3 1群土器の類の分類

Ⅸa期…A類、B類、C類、D類、E類、F類、G類、H類

Ⅸb期…A類、B類、C類、D類、E類、F類、G類、H類

Ⅹ期…A類、B類、C類、D類、E類、F類、G類、H類、I類

(A類、B類・・・には特徴を類推できる名称がつけられていないだけでなく、3つの期での対応がありません。)

2 FileMakerによるデータベース化、カード化


FileMakerによるデータベース 一覧表表現(部分)


FileMakerのよるカード画面(レコード画面) Ⅸa期A類


FileMakerのよるカード画面(レコード画面) Ⅹ期H類

3 カード配置による1群土器分類の理解


埼玉編年(1982) Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式) 1群土器(キャリパー形土器)分類の理解

(この資料は同じ情報を3Dモデルにすることを念頭していますので、下(つまり手前)が古く、上(つまり奥)が新しくなるように表現しています。通常の土器編年表と異なります。)

紙資料をいくら理解しようとしても3重4重に情報を変換して対応関係をみることは苦痛であるばかりでなく、事実上不可能でした。しかしデータベース化、カード化することにより加曽利EⅠ式キャリパー形土器(Ⅸ期・Ⅹ期の1群土器)の細分類の全体像を把握することができました。埼玉編年(1982)という資料がどのような思考でどのような結果を提示しているかということの理解が一応できたことは、それを知らないで通り過ぎるよりも、よほど素晴らしいことです。

4 学習メモ

大局的にみて荒川あたりを境に、関東西部と東部で特徴が違います。

S字文、渦巻文、区画文土器が西部を中心に分布していて、それらの土器地文は撚糸文が多くなっています。

クランク文、曲線文、棒状沈線文は東部を中心に分布していて、それらの土器地文は縄文が多くなっています。

口縁部文様はS字文を始め各文様ともにⅨa期よりもⅨb期で発達する(大きくなる、彫りが深くなる)傾向があるようです。しかしⅩ期になると区画文の中に様式化して取り込まれ、退化していくようです。

西部の土器地文である撚糸文はⅩ期になると減少し、縄文が増えます。

5 疑問・問題意識

ア 文様の優先順位

一つの土器にS字文、渦巻文、区画文、クランク文、曲線文、棒状沈線文の複数の要素が見られることは極普通です、逆に単一の要素だけということは事例としては少ないと思います。しかし、埼玉編年ではあたかも土器には主要な文様が1つだけあるのが一般的であり、それにより分類しているような記載になっています。おそらく複数文様が見られる場合、分類で使う優先順位(重みづけ)があると思いますが、それが判りません。

イ 文様のレベルの差

S字文、渦巻文、区画文、クランク文、曲線文と棒状沈線文は次元が異なる文様項目です。棒状沈線文は地文ですから、それと本来の文様を同じレベルで指標にすることは疑問が生まれます。

ウ 胴部文様など

胴部文様、器形、大きさなどの要素が埼玉編年土器細分類とどのような関係になるのか興味が湧きます。

6 感想

埼玉編年(1982)で検討された思考の一端をⅨ期・Ⅹ期で知ることができました。大労作であり、学習のしがいがある資料です。

その後40年で膨大な発掘情報が加わっています。千葉県分を含めた、それらの膨大情報を整理した新版関東編年資料ができることを期待します。

2020年2月9日日曜日

学習加速資料サイト「縄文土器3Dモデル素材集」の充実

縄文土器学習 340

1 サイト「縄文土器3Dモデル素材集」充実の必要性
Sketchfabにおける3Dモデルコンテンツ掲載が356と多数になりました。

Sketchfab画面 最近掲載コンテンツの様子
縄文草創期から晩期までのかなりの土器型式を網羅するようになりました。また加曽利E式土器だけでも60以上のモデルになり、比較学習がある程度可能な数になりました。
しかし、これだけモデルが増えると「あの土器モデルを見たいけれどもドコダッケ」ということに時間ばかり食ってしまいます。
Sketchfabはもともと原データ格納保存機能を期待しているのですが、それにしてもそのリストが作成出来ていないことは大変不便でした。
しかし、リスト作成方法の端緒が開かれました。
ブログ花見川流域を歩く番外編2020.02.08記事「Sketchfab3Dモデルリスト作成の目途が立つ
そこで、Sketchfab3Dモデルコンテンツリスト作成により原データをデータベース化し、そのデータベースと連携したサイト「縄文土器3Dモデル素材集」で効率的に閲覧利用できるようにします。
Sketchfabで3Dモデルコンテンツを直接閲覧してもよいのですが、リストを置く場所がSketchfabサイト内に作れないことと、日本語検索機能が虚弱で「あの土器モデルはドコダッケ」に十分対応できません。

サイト「縄文土器3Dモデル素材集」画面
注)サイト「縄文土器3Dモデル素材集」はBloggerブログを利用しています。
サイト「縄文土器3Dモデル素材集」は現在のところ記事数が148で作りかけになっています。
このサイトにおける縄文土器3Dモデル閲覧機能を充実させて、縄文土器学習加速の手立てとすることにします。

なお、原データデータベース作成、サイト「縄文土器3Dモデル素材集」作成そのものは学習の目的ではなくあくまでも手段です。従って自分の学習加速促進に資する範囲内で作業をとどめることにし、完結的作業は必ずしも目指さないことにします。

2 Sketchfab3Dモデルコンテンツのデータベース化
2-1 Sketchfab3Dモデルコンテンツへの情報追記
3Dモデルコンテンツへ次の情報を追記します。
●番号
●ブログ「縄文土器3Dモデル素材集」関連記事のURL

2-2 Sketchfabコンテンツリスト作成
次の項目を含む3Dモデルコンテンツリストを作成します。(FileMakerで作成。リストはサイト「縄文土器3Dモデル素材集に掲載」します。)
●番号
●名称
●撮影場所
●撮影月日
●メモ(整理番号、撮影要件、3Dモデル諸元等)
●ブログ「縄文土器3Dモデル素材集」のURL

3 サイト「縄文土器3Dモデル素材集」の充実
3-1 ページ作成
次の項目を含む3Dモデルページを作成します。
なお、GigaMesh Software Frameworkにより3Dモデル作成土器は全て展開写真が簡易な手間で作成できるようになったことは特筆すべきことで、ページの利用価値を大いに高めます。
●3Dモデル(Sketchfab画面のはめ込み)
●Sketchfab掲載情報
●撮影写真の一例
●展開写真
●器形測定資料(実寸法、指標値)
●関連ブログ記事URL

展開写真の例

3-2 サイト「縄文土器3Dモデル素材集」索引作成
サイトの索引(リンク)を作成し、サイト内記事にすぐアクセスできるようにします。
同時にSketchfab3Dモデルコンテンツリストも掲載し原データにもアクセスできるようにします。

4 メモ
Sketchfab3Dモデルとその画面はめ込みサイトの作成はあくまでも自分の学習加速用ツールです。
しかし、興味のある方には学術資料性が担保されていないことを前提として、楽しんでいただくことが可能です。

5 参考 縄文土器学習ブログ記事の検索
縄文土器学習記事について「あの記事ドコダッケ」的検索は学習管理ページがとても有効に機能しています。

縄文土器学習全記事のツリー表示

6 参考 千葉県縄文土器形式別出土遺跡分布図
縄文土器形式別に見た千葉県遺跡分布図はサイト「千葉県縄文土器形式別出土遺跡分布図」が学習に役立っています。

サイト「千葉県縄文土器形式別出土遺跡分布図」画面

またサイト「私家版千葉県遺跡DB地図帳」も学習に役立っています。

サイト「私家版千葉県遺跡DB地図帳」画面