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2019年6月23日日曜日

井草Ⅰ式土器 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 159

この記事は2019.04.23記事「井草式土器 東峰御幸畑西遺跡」の追補記事です。
千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室に展示されている縄文早期、前期土器の観察記録3Dモデルが出来ましたので、順次掲載し検討を加えます。

1 観察記録3Dモデル

井草Ⅰ式土器 東峰御幸畑西遺跡 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27

井草Ⅰ式土器 東峰御幸畑西遺跡
千葉県教育委員会所蔵

2 観察記録3Dモデル作成で判った事柄

撚糸文横走箇所が対向している
撚糸文はほとんどの箇所で縦走していますが、一部だけ横走していてその趣旨がわかりませんでした。「雑な」模様のつけ方のように感じていました。しかし3Dモデルでよく観察すると横走部分が対向部にもあることが判りました。「雑な」模様のつけ方ではなく秩序だって模様をつけていることが判明しました。
模様の凹凸を利用して滑り止め機能(実用機能あるいは滑り止めをイメージしたデザイン)を付加しているように推測しました。

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井草Ⅰ式土器展示の様子

2019年4月23日火曜日

井草式土器 東峰御幸畑西遺跡

縄文土器学習 91

縄文早期土器の最初として井草式土器を観察します。
この記事では千葉県教育庁文化財課森宮分室閲覧室に展示されている東峰御幸畑西遺跡出土井草Ⅰ式土器を観察します。

1 展示土器の観察

井草Ⅰ式土器 東峰御幸畑西遺跡出土 千葉県教育庁文化財課森宮分室閲覧室展示
撚糸文が口唇部で斜行、上部左端の一部で横走、他は全体に縦走して施文されています。
底部は平になっていますが、復元できない底部の仮の姿(復元物を置くための便宜的姿)であると考えます。本来は丸い底部であったかもしれません。

2 模様の詳細観察

模様の拡大

模様の観察
1 横走模様について
口唇部下の胴部の一部(写真左端)にだけ撚糸文が横走するのですが、なにか不自然です。口唇部下胴部の縦走して見える模様が横走撚糸文の見間違えかもしれないと考え、写真を拡大して観察しますが、よくわかりません。
2 撚糸文の欠落する領域
撚糸文が欠落する領域が各所に存在します。詳しく観察すると撚糸文が漸移的に消失するので「施文作業し忘れ」のような状況が読み取れると考えます。
3 撚糸文の起終点
撚糸文の起終点をみると施文の最初(最後)動作で模様に角度がついています。雑と言えるような動作です。

3 感想
撚糸文による施文に専門的斉一性が感じられません。この土器における造形デザインのレベルが特殊なものであるのか、一般的なものであるのか、今後観察数を増やして評価できるようになるようにします。
この土器の造形デザインレベルが一般的なものであるならば、それ(デザイン表現力)を社会発展の様子を捉える指標の一つとして活用できるにちがいありません。

4 参考 東峰御幸畑西遺跡の場所と情報

ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地 から引用
東峰御幸畑西遺跡から井草式土器が出土する竪穴住居3軒が検出されています。

5 参考 井草式土器の較正年代

千葉県縄文土器形式変遷の較正年代対比
井草式土器の較正年代はおよそ11000年前ごろとイメージできます。

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学習チェックリスト