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2019年8月18日日曜日

加曽利EⅡ式把手付鉢の把手復元イメージ

縄文土器学習 239

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢の把手部の破片は見つからなかったようです。

把手部の残存部の様子が正確にわかるようにオルソ投影すると次のようになります。

正面向かって右の把手部残存の状況 オルソ投影画面

企画展説明資料では次のような把手部復元を行っています。

企画展説明資料

把手が上にはねていておしゃれな感じになっていて、「違和感」を感じます。
WEBで検索するとこのようなおしゃれな把手の例もあるようですが、多くは次のような丸い把手になっています。

参考 加曽利EⅢ~Ⅳ式両耳壺(りょうじこ) 愛生遺跡出土
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(終了)展示

おしゃれな感じの把手に「違和感」を感じた理由を考えると、この土器が実用土器であり、把手だけおしゃれにする理由が存在しないことからきていることに気が付きました。
もともと存在したであろう把手はおそらくそれ自身は力学的な意味での実用機能はなかったと思いますが、そうであってもその把手は土器の役割(実用性)を表現していたと考えます。
加曽利EⅡ式の時代は縄文時代人口急増最盛期であり、実用性(業務性)が全てに勝っていた時期だとイメージしています。

加曽利EⅡ式把手付鉢の杖のような模様

縄文土器学習 238

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢には杖のような模様が付いています。

加曽利EⅡ式把手付鉢で観察できる杖のような模様

観察記録3Dモデルでよくみると3箇所に存在しますから、おそらく4か所に同じ模様が存在しているものと推察します。

この模様から次のようなインスピレーションが湧きましたのメモしておきます。

水噴出を表現する沈線記号か?
杖のような沈線模様は水が噴出する様子を表現していて、この片口土器が水瓶であることと対応するのではないかと考えます。
杖のような模様の両側の沈線は縄文と磨消を区分する役割の線分と理解します。

縄文土器にこのような象形文字的記号が存在するのかどうか知りません。
そのため、杖模様=泉記号という仮説が成り立つのかどうか、わかりません。
今後学習を深めることにします。

加曽利EⅡ式把手付鉢の片口の利用法

縄文土器学習 237

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見-さわってみよう、見てみよう-最新発掘情報展」(2019.07.13~09.16)展示のおさわり自由な大型土器加曽利EⅡ式把手付鉢(小谷貝塚)には片口(単独の注ぎ口)が付いています。

片口を展示正面の反対側から見た様子(3Dモデル画面)

加曽利E式土器で片口のついた土器はめずらしものと思います。
この片口は実用機能であると考えます。
実用機能であるとするとこの大きな土器(容量71リットル、重量17キロ)を傾けて使っていたと考えられます。
この土器を地面に穴をあけ、そこに設置していたのでは土器を傾けることはできません。
土器を傾けることができる仕掛は次のような木枠台座毎傾ける方法しかないのではないかと考えます。

片口の利用方法
木枠台座で液体の入った土器を安置し、液体を注ぐときには木枠台座毎土器を傾けたと考えられます。

このように考えると、木枠台座が遺物として残る可能性はほとんどゼロですが、木枠台座を置いた跡、特に台座を傾けた時にできる溝は床面に残る可能性があります。
小谷貝塚のこの土器出土遺構にそのような跡が見られるか、あるいは、類似大型土器出土遺構で台座跡が見つかるか、新たな興味が生れます。

加曽利EⅡ式把手付鉢の観察記録3Dモデル作成

縄文土器学習 236

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見-さわってみよう、見てみよう-最新発掘情報展」(2019.07.13~09.16)で展示され、おさわり自由な大型土器加曽利EⅡ式把手付鉢(小谷貝塚)の観察記録3Dモデルを作成しました。

加曽利EⅡ式把手付鉢 小谷貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」
撮影月日:2019.08.14
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 26 images

展示風景

ガラス面越し撮影ではなく、かつ特段に暗い場所ではないため観察記録3Dモデルの質が高まりました。さらに手を触れて観察できたこともあり形状詳細面に自分の意識が集中していきます。
この3Dモデル観察から次の3点について特に強い興味を持ちましたので、それぞれ別記事で検討します。

1 片口の利用方法
加曽利E式土器では珍しく片口が付いています。その利用方法に興味が及びます。

2 杖のような模様
磨り消し部に杖のような沈線模様があります。その模様からインスピレーションが湧きます。

3 把手の形状
説明資料に把手復元イメージが描かれています。そのイメージに違和感が生れます。

2019年8月15日木曜日

企画展「流山のお宝新発見」観覧

縄文土器学習 232

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見-さわってみよう、見てみよう-最新発掘情報展」(2019.07.13~09.16)を観覧してきました。

企画展会場
縄文土器満載の企画展で(弥生式土器なども満載ですが、自分の眼中にあらず)、自分の学習欲を強く満足させていただきました。
最もうれしいことは展示大型土器2点に「縄文土器にさわってOK!」の注意書きがあったことです。

おさわりOKの大型深鉢形土器2点(加曽利EⅡ式、小谷貝塚出土)

注意書き

案内係の人に教えてもらい、深鉢の内部をさわると確かに縄文人の指でこすって内部を整形した様子が触感的に理解できました。また外面縄文の様子も恐る恐るさわりました。
またとない体験をすることができました。

企画展展示の様子

企画展展示の様子
企画展の25ページ資料が無料で配布されていて、学習の強力なよすがとなります。

常設展では中野久木谷頭遺跡の興味深い土器と器台が展示され、こちらの方は印刷資料(販売)もあり環状集落の例として学習意欲が湧きました。

中野久木谷頭遺跡出土土器展示のようす