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2023年9月30日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画 発掘原票に基づくデータベース作成と分析

 Learning plan for the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

Database creation and analysis based on excavation records


I have finished copying and organizing all of the excavation records for the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, and I am finally starting to create the artifact database. The final goal is to obtain and organize detailed data and 3D coordinates of 63,000 artifacts and visualize the structure of the northern slope shell layer.


有吉北貝塚北斜面貝層の発掘原票全部の複写と整理が終わり、いよいよ遺物データベース作成に取り掛かります。63000遺物の詳細データと3D座標を取得整理して、北斜面貝層の構造を見える化することが最終目標です。

参考 2023.09.24記事「発掘原票複写資料の整理

1 遺物データベース作成の手順と最終成果のイメージ

1-1 遺物台帳(原票)データベース作成

遺物台帳データベースのメイン項目

・メッシュ番号

・遺物番号

・名称(遺物種別)

・状況(出土層位等)

・標高値(z座標値)

関連項目(メッシュ番号にリレーションさせる項目)

・メッシュ番号のBlender位置情報

・メッシュ番号収録遺物台帳の編冊番号


遺物台帳ページ例

1-2 遺物分布図(原票)データベース作成

遺物分布図データベースのメイン項目

・メッシュ番号

・遺物番号

・メッシュ内におけるx座標値(メッシュ内における計測読み取り値)

・メッシュ内におけるy座標値(メッシュ内における計測読み取り値)

・Blender空間におけるx座標値(Blender空間原点に対応したx座標値)

・Blender空間におけるy座標値(Blender空間原点に対応したy座標値)

関連項目

・遺物番号掲載遺物分布図番号(座標読み取りした図面番号)


遺物分布図例

1-3 原票による素遺物データベース作成

1と2のデータベースをメッシュ番号、遺物番号でリレーションさせて次の項目のデータベースを作成する。

メイン項目

・メッシュ番号

・遺物番号

・名称(遺物種別)

・状況(出土層位等)

・Blender空間におけるx座標値

・Blender空間におけるy座標値

・Blender空間におけるz座標値

1-4 発掘調査報告書掲載の遺物種別リストの電子化

発掘調査報告書には石器、石斧、土器片錘、貝刃、装飾品、イノシシ頭骨、散乱人骨、磨貝等についてメッシュ番号、遺物番号、名称・諸元を含むリストが掲載されています。この遺物種別リストを電子化します。


発掘調査報告書掲載磨製石斧リスト例

1-5 土器現物閲覧による土器破片データベース作成

発掘調査報告書に掲載されている北斜面貝層出土全土器の現物を閲覧して、全土器の全破片のメッシュ番号・遺物番号を調査して、次の項目を含む土器破片データベースを作成します。

・土器番号

・メッシュ番号

・遺物番号

・土器種別(2022年における新分類)


294土器の破片別メッシュ番号・遺物番号調査例

1-6 遺物総合データベース作成

3のデータベースに4と5の情報をメッシュ番号・遺物番号でリレーションして、遺物総合データベースを作成します。

遺物総合データベースの主な項目

・メッシュ番号

・遺物番号

・遺物種別

・遺物種別毎の諸元(遺物種別毎に異なる複数諸元項目が設定される)

・出土層位

・Blender空間におけるx座標値

・Blender空間におけるy座標値

・Blender空間におけるz座標値

2 貝層3D精細資料作成

セクション図、貝層分布図、地山分布図(いずれも発掘原票)から貝層に関する精細な3D資料を作成します。

3 北斜面貝層の遺物・貝層の分析と表現

1と2から北斜面貝層の遺物・貝層に関する分析を総合的の行い、貝層発達史と貝層利用史について検討します。分析結果を判りやすい3D資料で表現して、北斜面貝層を見える化します。


有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画

4 メモ

4-1 学習活動の時間イメージ

1の遺物データベース作成に18ヵ月、2の貝層3D精細資料作成に6ヵ月かかるイメージを持っています。1と2は同時並行的に進める予定ですから、本格分析できる状況になるまでに2ヵ年の作業時間を消費することになります。分析と表現に12ヵ月掛けることにすると、この学習は今後3ヵ年のプロジェクトになります。

4-2 予察的分析

分析活動の主眼は3Dモデル分析になります。しかし、メッシュ別分析(平面分析)も資料が整う中で順次可能になります。そこで、3Dモデル分析を行う方向を探るために、メッシュ別分析を随時実施することにします。

4-3 遺物・貝層の見える化技術開発

63000遺物や貝層モデルを3D空間にプロットすると、全体が塊になり、その内部構造を見ることは困難です。内部構造を見える化するための技術(特徴抽出表現、情報要約表現、断面連続表現、・・・)を入手し、開発することに注力することにします。


2023年9月24日日曜日

発掘原票複写資料の整理

 Organizing the excavation record copies


The basic arrangement of the copies of excavation records related to the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound has been completed. So, I made a note of the situation. I am impressed that by using Python with support from ChatGPT, I was able to complete a week's work in one day.


有吉北貝塚北斜面貝層発掘原票の複写資料の基礎整理が一段落しましたので、その様子をメモしました。ChatGPT支援によるPython利用により、1週間作業が1日作業で終わったことに感動しています。

1 図面と遺物台帳の複写

千葉県教育委員会の許可を得て有吉北貝塚北斜面貝層の次の資料を複写しました。

図面(遺物分布図、セクション図、貝層分布図、地山地形図等、A2判)450枚は、全てについて書画カメラ(A2)で撮影するとともに、計測資料として利用予定の図面321枚はA3スキャナーでスキャンしました。

遺物台帳14冊(4600ページ、A4判)は全てをA4見開き2ページ単位にて書画カメラで撮影しました。


図面と遺物台帳の複写

2 図面の解像調整

図面は現場で薄鉛筆細線で描かれ、かつ紙質が経年劣化していてスキャン画像をそのまま利用することが困難であるため、書画カメラ画像、スキャナー画像ともにレベル補正とハイパスフィルター補正をPhotoshopマクロバッチ機能で一括調整しました。

遺物台帳はペン書きで文字も大きく、画像調整は不必要でした。


Photoshopによる図面の解像調整

3 図面の種別整理

図面を種別フォルダーをつくり、それぞれ収納しました。

4 メッシュ別フォルダーによる整理

遺物分布図と遺物台帳について、メッシュ別フォルダーに関連ファイルを整理しました。これにより発掘調査報告書掲載全遺物(土器を除く)の3D座標計測が効率的に出来るようになりました。

発掘調査報告書掲載全遺物(土器を除く)にはメッシュ番号と遺物番号が記載されています。この情報により、遺物分布図からx座標、y座標(平面位置)を、遺物台帳からz座標(標高)を知ることが可能です。


メッシュ別フォルダーによる遺物分布図の整理


メッシュ別フォルダーによる遺物台帳の整理

なお、土器は現物閲覧により破片別に記載されているメッシュ番号と遺物番号を調べ、その情報から破片の3D座標を知る活動を今後展開する予定です。

5 技術メモ

遺物分布図と遺物台帳のメッシュ別フォルダー整理作業は当初1週間程度の作業時間を予定しました。しかし、Pythonを使えば面倒臭い作業を効率的に処理出来る可能性に気が付き、ChatGPTの支援を受けて次のPythonスクリプトを利用して、結果として1日で作業を終えることができました。

5-1 ファイル名称変更のPythonスクリプト


ファイル名称変更のPythonスクリプト


ファイル名称変更の効果

5-2 メッシュ別フォルダー作成と関連画像をそこに収納するPythonスクリプト


メッシュ別フォルダー作成と関連画像をそこに収納するPythonスクリプト


フォルダー名称と収納ファイル名の指示テキスト

6 感想

ChatGPT支援Pythonスクリプトの絶大な作業時間短縮効果に大感動です。まるで未来世界に足を踏み入れたような感覚を覚えます。ChatGPT支援によるPythonやBlenderPython活用をさらに進め、さらにChatGPTに限定しないで、多様な生成AIを活用して縄文学習をより深く楽しむことにします。