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2021年2月1日月曜日

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(鎌ヶ谷市根郷貝塚J5号住居跡) 観察記録3Dモデル 5

 縄文土器学習 534

2019年8月に鎌ヶ谷市郷土資料館で観覧した阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(鎌ヶ谷市根郷貝塚J5号住居跡)の観察記録3Dモデルを作成し直し、GigaMesh Software Frameworkによる展開も行いましたので記録します。

1 阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(鎌ヶ谷市根郷貝塚J5号住居跡) 観察記録3Dモデル 5

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(鎌ヶ谷市根郷貝塚J5号住居跡) 観察記録3Dモデル 5

撮影場所:鎌ヶ谷市郷土資料館 

撮影月日:2019.08.23 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成  v5.016 processing 63 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 メモ

・この土器について過去に「中峠式土器」という間違った名称で3Dモデルを作成したり、ブログ記事を書いたりしてきています。最近中峠式土器の過去記事を整理していてその間違いに気が付きましたので改めて阿玉台Ⅳ式土器として3Dモデル、動画、GigaMesh Software Framework展開図を作成しました。

・ブログ記事、3Dモデル(Sketchfab)の名称は今後全て訂正します。

・有吉北貝塚関連で阿玉台式土器、中峠式土器学習を進めてきて、この土器が阿玉台式土器であること、あるいは中峠式土器ではないことは間違いなく直観できる程度の感覚が生まれていることは、この1ヵ月間の学習成果であり、自分事ながら喜ばしいことです。


参考 小林達雄編「総覧縄文土器」掲載阿玉台式土器細別編年模式図


2019年9月4日水曜日

根郷貝塚学習で生まれた廃屋墓に関する興味

縄文土器学習 253

鎌ヶ谷市郷土資料館展示阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(根郷貝塚)の3Dモデルを作成しましたが、この土器をキッカケにして寄り道学習をしています。
この記事では根郷貝塚寄り道学習でうまれた興味(学習課題)のうち廃屋墓に関するものをメモします。

1 廃屋墓の状況
阿玉台Ⅳ式深鉢形土器が出土したJ5住居跡は6体の人骨が検出されています。1号人骨骨盤横下からバンドウイルカ下顎骨製垂飾品が3号人骨右手首付近からイノシシ牙製腕輪が出土しています。
人骨は床面に堆積した暗褐色土層の上に位置し、その上に貝層(混貝土層)が堆積しています。
また3号人骨から6号人骨は重なっている部分があります。

J5号住居跡実測図
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用

J5号人骨出土状況
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用

2号人骨
鎌ヶ谷市郷土資料館展示

2 廃屋墓に関する興味
廃屋墓に関する状況からどのような埋葬活動が行われたか推察することに興味が湧きます。
大膳野南貝塚の学習などから次のような想像をします。
1 J5住居が廃屋になり、恐らく上屋はなくなり、床面に土(暗褐色土)が堆積した。
2 時間差を伴って6人が死亡し、別の場所で殯(もがり)が長期間(長ければ1-2年)行われた。遺体はミイラになった。
3 ある時、集落各所で行われていた殯を区切るため、6体の遺体(ミイラ)をJ5住居跡に埋葬した。
4 3~6号遺体は親族でありわざと遺体に重なる部分を作って、一団となるように配置した。
5 6体の遺体を置いた後、その上に貝(混貝土)を被せ、全体を白っぽくして墓らしくした。

このような想像が合理的なものであるかどうか、今後学習を深めたいと思います。
参考 2017.12.12記事「人骨7体出土縄文時代後期廃屋墓

3 中峠式深鉢形土器の意義
J5号住居跡は集落のなかで重要な埋葬施設であったことは確実です。そこから石鏃・打製石斧・磨製石斧・磨石・凹石・ 石皿・ 砥石・削器・軽石製浮子・ 土器片錘・貝刃などが出土しています。その出土物に混じって阿玉台Ⅳ式深鉢形土器が出土したことになります。
これらの出土物は廃棄物集積場に廃棄されたと考えるのではなく、埋葬場所に置かれたお供え物として考えることが適切であると考えます。
現代人からみると廃用物を廃棄したと見える活動も、縄文時代にあっては死者を弔う祭祀活動(及び住居施設廃絶祭祀)の一環であったと考えます。

J5号住居から出土した阿玉台Ⅳ式深鉢形土器

2019年8月30日金曜日

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器の3Dモデル観察

縄文土器学習 249

鎌ヶ谷市郷土資料館に展示されている阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(根郷貝塚J5号住居跡)の明るい観察記録3Dモデルが出来ました。
ブログ「花見川流域を歩く番外編」2019.08.30記事「3Dモデルで暗い(黒い)土器表面を明るくする方法
そこで、まずその形状をじっくり観察しました。出土遺構や出土遺跡の学習は追って行います。
このような大きな把手のついた土器は自分にとって初めての実物観察です。

1 3Dモデルによる観察

正面A 観察記録3Dモデル

正面Aと同じ写真
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用
土器を地面においた時「正面」という概念は縄文人にも存在していたと考えられます。その正面がどこであるか判定することは大切であると考えます。
この土器の正面はこのAか次のBのどちらかになると考えますが、口縁に存在する2連の丸い穴を正面から見た姿がこの土器の縄文人が設定した「正面」であると考えます。

正面B 観察記録3Dモデル

正面Bと同じ写真
「鎌ヶ谷市史 資料編Ⅰ(考古)」から引用

正面Bと同じ向きの挿図
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用
背中合わせに2連となっている口縁部丸い穴は一つの引き離せない造形と考えますので、この正面Bは縄文人が「正面」をどのように考えていたかということを考慮しない図柄であると考えます。

上から 観察記録3Dモデル
3つの把手と2連丸い穴の出っ張りがそれぞれ近似正三角形をつくり、それが重なった図柄となっています。

上から の図柄

下から 観察記録3Dモデル
把手を載せる口縁部は近似正六角形になっています。

下から の図柄

2 感想
・正面Aが縄文人設定の「正面」であると推測することができました。
・正面Aの図柄をみると自分には次のような構成として観察できました。

正面Aの構成
大きな目玉とその両脇に大きな耳(把手)があり、とおくに尾(羽)があり、手前胴部の中央は腹、その両脇は折りたたんだ翼のように見えてしまいます。フクロウのような印象を受ける造形です。

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阿玉台Ⅳ式深鉢形土器 根郷貝塚J5号住居跡 観察記録3Dモデル 4(露出変更)
撮影場所:鎌ヶ谷市郷土資料館
撮影月日:2019.08.23
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.507 processing 63 images